Mr. Bliss
 
 この本は、トールキンが自分や子供たちの楽しみのために書いたユーモアあふれるお話の中のひとつです。ブリスさん(Mr.Bliss)とは、強いて訳せば「しあわせさん」といったところで、お話の内容もその名の通り、人間やクマやキリンウサギが一緒にお話したり、車に乗ったり、食事をしたりと大騒動です。 キリンウサギとは、キリンの身体にウサギの顔(もちろん長い耳も)を持った動物で、ちゃんと言葉も話せます。一説には全体がウサギで首だけキリンの様になったとも言われています。さて本当はどっちでしょう?

 
お話は、ブリスさんが新しく自動車を買って出かけるところから始まります。ブリスさんはたくさんの帽子を持っています。この日も雨は降らないというキリンウサギの言葉を信じてお気に入りの帽子でいざ出発!黄色い車体に赤いホイール。でもライトが付いてないません。このあと、とんでもないことが・・・
途中デイさんとナイトさん(昼さんと夜さんとでもいうのでしょうか?この二人は後に結婚するのです。)を車に乗せる羽目になります。実はブリスさんがデイさんを車ではねてしまうのです。デイさんの手押し車に積んでいたキャベツは飛んで、デイさんはひっくり返ってしまいました。そしてこの後ナイトさんも・・・・

そんなこんなで、3人と3人の荷物をいっぱい積んだ車は再出発!。今度は森を通りかかったところで3びきのクマに出会います。アーチィテディブルーノです。お話はまだまだ続くのですが、このあたりから、お話はどんどんハチャメチャになります。

 
トールキンのユーモアがたっぷり溢れています。 トールキン独特の自筆の本文と挿絵が、トールキンズ・ワールドを醸し出しています。稿本は、アメリカのマーキット大学に大切に保存されています。

【思うところ】

  『ブリスさん』にしろ、『サンタ・クロースからの手紙』にしろ、トールキンはクマが好きなのでしょうか?ロバやトナカイはしゃべらないのに、クマはいつも人間の言葉をしゃべり、友達なのです。また 『ブリスさん』には、「ギャムジーじいさん」が出てきます。 ギャムジーという名前は英国では日本で言う「くまさん、はっつぁん」のような感じで使う名前なのでしょうか?それとも指輪物語の「ギャムジーじいさん」と遠い親戚関係なのでしょうか?
 
 

【書籍情報】
ブリスさん(Mr.Bliss)
評論社 J・R・R・トールキン著、田中明子訳 1993年1月30日初版
ISBN 4-566-01321-9 103ページ 148×218mm

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