学思塾  ー学びて思わざれば則ち罔し、思いて学ばざれば則ち殆しー (「論語」為政より)

 

初めに



<1>塾や〇〇教室ではなく、家庭でこそ学力は伸ばせます!


 テストで測れる学力以外に「自己学習力」「創造力」「表現力」「判断力」など多くの力の総合力が学力です。
 学習塾で問題の解き方を教われば目先の点数は上がりますが、学力が伸びたわけではありません。学力テストの点数は学力そのものではないのです。
 「机に座って勉強」以外に「多様な体験」「自由な発想」「無意識に身につけた広い知識」「バランスの良い食事」などによって、“本物の学力”は家庭を中心にゆっくり育ちます。
http://arcs-edu.com/education/5973
https://toyokeizai.net/articles/-/113514?page=3
 また、世間で出回っている教育情報に振り回されないようにすることが大切です。
https://news.yahoo.co.jp/byline/otatoshimasa/20190713-00134089/
 ここでは、「一生役立つ“本物の学力”の育て方」を実践的に説明し、少し難しい「学習・教育理論」は別に説明します。また、参考になる内容のサイトを厳選してアドレスを載せています。


<2>将来のため?

 「将来のことを考えて勉強したりするより今をただ楽しんで生きよう」という刹那主義では将来困るでしょう。「将来のために今は楽しむより嫌々でも苦しい勉強に打ち込むべきだ」という禁欲主義では将来も人生を楽しめないでしょう。
https://saita-puls.com/25797
 「よく遊び、よく学ぶ」こと、将来を見据えながらも毎日を楽しむこと、遊びの延長で勉強すること、が望まれます。
http://lifedesign.poplife.jp/?p=2211


<3>実体験があってこそ

 机に座って勉強することは大切ですが、「実体験」の積み重ねの上に「机上の勉強」は初めて成り立ちます。
 子どもたちは日々の「生活」「遊び」「会話」「運動」「お出かけ」「読書」などで得た経験をもとにして「勉強」をし、「勉強」で得た知識や思考力をまた日常生活で使うことで成長します。「勉強」だけやっても、勉強もできるようにはなりません。実体験不足のまま「机上の勉強」をすることは、砂の上に高い塔(砂上の楼閣)を建てようとするようなものなのです。
https://www.jiatama-t.com/子どもたちの環境/
https://gentosha-go.com/articles/-/5009
https://stat.ameba.jp/user_images/20180127/09/letsort/0c/7c/j/o0480036014119731372.jpg


<4>心の安全基地


 家は『心の安全基地』であるのが理想です。素の自分を出していい場所、甘えていい場所、帰ったらホッとできる場所、愚痴をこぼせる場所、ダラダラできる場所、時には気楽に口喧嘩できる場所、くだらないことを言ってもいい場所、鼻歌を歌いたくなる場所。それが、外の世界で頑張る勇気と力の源になります。家でリラックスできていない子どもは、充電しないまま使い続けている充電池のような状態になっているのです。
https://happylifestyle.com/12133
https://kodomo-manabi-labo.net/daradara-brain
 完璧を目指すのは疲れます。適度に散らかっている家が落ち着きます。
https://sawachin.com/tidy-room-for-kids/

 以前は、成長とともに『心の安全基地』は家庭から友達関係に少しずつ移行することが一般的でした。

https://gomachan-pipipi.com/gang-cham-heart/
 しかし、「スマホ・テレビゲームの普及」や「保護者の子ども間の問題への干渉」などによって子ども同士の関係は急速に希薄化し、心を許してバカ話をできる友達を持ちにくくなっています。外の世界に『心の安全基地』を持つことが難しくなっているのです。
https://president.jp/articles/-/24160

 本当は、「外でおもいっきり遊び、安心できる家庭に帰る」のが幼児期の子どもの理想の環境です。

http://oyaryoku.blog.jp/archives/35367947.html

 


<5>やってはいけない危険なこと


 これらによって能力が壊れると、後で取り返すことは困難です。
睡眠不足・夜更かし、偏った食事・糖分の過剰摂取
 良い睡眠と良い食事こそが脳を育てます。睡眠と食事を整えずに勉強することは、脳の器を大きくしないまま小さい器に水(知識)を注いでいるようなものです
http://kosotatu.jp/食事、睡眠、遊びで子供は健全に成長する/
http://yugami-kaisho.com/wp-content/uploads/2016/05/012746437d90986c5cf3bb89c609e0c1.jpg
http://nemuri-kurashi.jp/wp/wp-content/uploads/2015/04/学業成績と就床時刻.jpg
https://getnavi.jp/wps/wp-content/uploads/2017/01/20170116_sugitani_KN03-1.jpg
スマホ育児、テレビ育児、DVD育児
 頭脳や精神の発達が阻害され、言語能力・コミュニケーション能力・思考力などが大きく低下します。その後のあらゆる能力の発達が悪くなります。
http://niji.sakura.ne.jp/sblo_files/nijino/image/E382B9E3839EE3839BE381ABE5AD90E5AE88E3828AE3839DE382B9E382BFE383BC.jpg
https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51RP7Z1MKHL.jpg
https://iphone-mania.jp/news-166828/
https://latte.la/column/27664037
https://papaburo.com/tv-adversely-affects-babies/
 「知育DVD」や「知育アプリ」も子どもの能力を壊します。
http://sengakuhisai.com/tv-dvd-kodomo-kotoba-huerunoka/
タブレット学習・スマホ学習などのコンピュータ学習
 コンピュータ学習では子どもの学習を機械がコントロールします。人が機械を使っているように見えても、実は機械が人を動かしているのです。当然、学習能力・読解力・理解力・記述力・暗記力などが低下するどころではなく、かなり失われてしまいます。コンピュータ学習をやめても、一度失った能力を取り戻すことは困難です。コンピュータ学習による「やる気」や「理解」は見せかけの偽物なのです。広く普及しだしたのは最近なので世間が影響に気づくのは先のことでしょうが、気づいたときには手遅れになります。
https://chi-vi.com/disadvantages-of-tablet-learning-10919.html
https://note.com/toyotakids/n/n9e540bc5b309
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/05/post-101652.php
英語早期教育
 乳幼児は日常生活の中の実感のある状況でのみ言葉の本当の意味を学びます。英語早期教育は実感の伴った正常な言語能力の発達を阻害し、理解力・思考力の伸びも大きく低下させます。英語早期教育をやめてもその影響はずっと続き、あらゆる学力が低下します。また、幼少期から英語を習っている子どものほとんどが、中学や高校では英語すら苦手になっています。
http://sengakuhisai.com/daiitijigengo-teityaku-gengohattatu/
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/03281100/?all=1&page=2
 「英語力を伸ばすことが大切」とよく強調されますが、『英語力と年収の関係』では英語力が高いにもかかわらず年収が低い場合が多くみられます。
https://miidas.jp/magazine/wp-content/uploads/2017/04/eigoryoku_nensyuu.png
 ただし、高年収の人の多くは英語力も高くなっています。つまり、年収は「英語力」ではなく「思考力」で決まり、「思考力」が高い人は結果的に「英語力」も「年収」も高くなるということなのです。

低学年から結果主義の学習塾

 わからないことが解決することで学力や理解力が向上したように一見感じますが、わかりやすく教わることで自ら試行錯誤して理解・思考しなくなります。つまり、実際には学習能力・読解力・理解力などの基礎能力が低下するどころではなく、かなり失われてしまいます。学習塾をやめても、一度失った能力を取り戻すことは困難です。そうやって自分で勉強を成り立たせることができなくなると、より親切に教えてくれる学習塾や家庭教師に依存するしかなくなり、いっそう自分の頭で考えられなくなるという悪循環にはまっている子ども達も急増しています。
http://jukennsei.com/2016/02/gakusyuujuku-no8/
https://twitter.com/tmaita77/status/629930173169700864/photo/1
http://www.mori7.com/as/1650.html
早すぎる先取り学習
 物事に実感がなくなり、深く意味を考えないで勉強するようになります。先取り学習をやめても、考えないで勉強する習慣はその後もずっと残ります。
https://haha-gaku.com/3歳の我が子に「あいうえお」を教えるのは危険!/
http://willseeds.txt-nifty.com/omoi/2007/12/post_bde9.html
日常的なイヤホンの使用
 たまに使う分には問題ありませんが、日常的に使っているとコミュニケーション能力低下・学習能力低下などの様々な悪影響があります。
http://kosotatu.jp/study/勉強中・外出中いつもイヤホンで音楽は考えもの/
アナログ時計が家に少ない
 乳幼児期から身近に「秒針のある見やすいアナログ時計」がたくさんある環境でのみ実感のある時間感覚が育ちます。時刻がわかることと時間感覚は別ものです。時間感覚は子どもの正常な発達・自立・思考力に不可欠なものであり、大きくなってからでは高度な時間感覚を育てることは無理なのです。
https://happylifestyle.com/12449
家に新聞をとっていない
 世の中の出来事を広く正確に知ることのできる唯一のものが新聞です。テレビのニュース番組は世の中を元々わかっている人向けです。もちろん、ネットニュースや週刊誌ではまともな情報を得ることなどできません。世の中で何が起こっているかを知ることもできない環境にいる子どもがいくら勉強しても高い学力がつかないのは当たり前のことです。
https://nie.jp/pamphlet/
過度の勉強重視・成績重視
 子どもを疲労させ、結局は学力も低下します。
http://www.jamh.gr.jp/kokoro/series2/series5-9-2_clip_image002.jpg
http://www.chsi.osaka-cu.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2014/02/healthscience04.jpg
https://toyokeizai.net/articles/-/292400
過去問で定期試験対策
 カンニングをして点数をとっているようなものです。普段の勉強が成り立たなくなります。
http://usjuku.jugem.jp/?eid=1562
http://mita-gakuin.com/blog-105272/
安易な映像授業の利用
 映像授業では優秀な先生の授業をうけることができるので、思考力が十分あって自立している生徒なら効果的に利用できます。ただし、そうでない生徒の場合は「わかりやす過ぎる授業」「一方的な説明」によって生徒が受身になってしまい、思考力がより低下します。読書をすれば思考力が向上するのに対し、テレビをたくさん見ると思考力が低下するのと同じ原理です。
https://ishikawajuku.jimdo.com/映像授業の問題点/
 わかるまで親切に教えてくれる家庭教師や個別指導塾でも思考力が大きく低下します。
http://how-to.jp/home/tutor.html
https://seiseki-t.com/archives/1059114200.html


<6>スマホの使用などで、常識的な知識や経験もない子どもたちが急増


 スマホやインターネットの使用の増加によって、外遊び・指先遊び・日常会話・運動・お手伝い・読書などの子どもたちの正常な日常体験が急激に減少しています。使いすぎないことを約束させてスマホを与えても、「LINEなどの無料通話アプリ」「YouTubeなどの動画サイト」「オンラインゲーム」「Facebook・TwitterなどのSNS」は終わりなく続けることができるので、多くの子どもが長時間スマホを使うようになってしまっています。しかも、これらには人を成長させるような情報がほとんど存在しない上に精神を不安定にするので、これまで学力低下の一因とされてきたテレビやマンガや家庭用ゲーム機よりもはるかに危険です。
https://img.king.mineo.jp/system/content_comment_images/images/000/000/237/888/fullsize_image.jpg
 その結果、スマホを持っている子どもの多くが程度の差こそあれ「学習能力低下」「言語能力低下」「コミュニケーション能力低下」「意欲低下」「視力障害」「睡眠障害」「精神障害」「健康障害」などの状態になっています。
http://okimideiko.blog.fc2.com/blog-date-20140912.html
 また、スマホの使用や学習塾・英語教室通いの低年齢化によって豊かな実体験が減り、ほとんどの子どもたちが普通に生活していれば知っているはずの常識的な知識や経験がまるで足りていない状態になっています。勉強以前の当たり前の知識や経験があって初めて学校での勉強も成り立つのです。それが足りていない子どもは、もともと頭がよくて勉強量も多くても小学校から中学校や高校へと学年が上がるにつれて学習内容が理解できなくなってしまっています。小さい頃から頑張ってたくさん勉強している子どもでも、勉強が何の成長ももたらさない意味のない単純作業になってしまうのです。
http://www.garbagenews.com/img14/gn-20140520-18.gif
https://img.king.mineo.jp/system/content_comment_images/images/000/000/237/890/fullsize_image.jpg
 スマホやインターネットには麻薬のような強力な中毒性があり、子どもの脳はそれらに支配されてしまいます。「少しだけなら麻薬を使ってもいいよ」というのがダメなのと同じで、「ルールを決めてスマホを使わせて、使いすぎたら取り上げよう」という考えではダメなのです。一度スマホを使うことを覚えた子どもは麻薬を覚えたようなもので、スマホを取り上げても精神や学力への悪影響は消すことができないのです。とにかく最初からスマホを持たせない、触れさせないことが肝心です。当然、周りの大人も子どもの前でスマホを使わないようにしなければいけません。
http://アンドロイドマニア.com/child-ruru-sumaho-2102
 ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズなどITエリート達の多くは「IT機器が子どもの能力を壊す」ことをよく知っているため、自分の子どもにはIT機器を使うことを厳しく制限する『テックフリー教育』を行っています。
https://president.jp/articles/-/69038?page=3
 子どもに連絡用の電話を持たせるなら、機能が限られたキッズ携帯が最適です。
http://www.oraclehighereducation.com/blog/keitai-kids.html


<7>おすすめの本


 世の中に出回っている教育関連の本や雑誌の9割以上は長い目でみると逆効果になることを推奨しています。子どもの能力を伸ばす本当の方法について書かれている本は限られています。ぜひ、これらの本を読んでみて下さい。
『子育てハッピーアドバイスシリーズ』明橋大二(1万年堂出版)
https://www.10000nen.com/books/series/happyadvice/
『子どもの心のコーチング』菅原裕子(PHP研究所)
https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-66893-2
『1日7分の絵本で子どもの頭はみるみる良くなる!』浜島代志子(すばる舎)
http://www.subarusya.jp/book/b297796.html
『「語りかけ」育児』サリー・ウォード(小学館)
https://www.shogakukan.co.jp/books/09311251
『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』小川大介(すばる舎)
http://www.subarusya.jp/book/b218030.html
『「旬教育」のススメ』鷹姫(宝島社)
https://bookmeter.com/books/226215
『自分から勉強する子の育て方』西村則康(実務教育出版)
https://www.amazon.co.jp/自分から勉強する子の育て方-プロ家庭教師が教える合格への下地づくり-西村-則康/dp/4788910489
『12歳までに「絶対学力」を育てる学習法』糸山泰造(草思社)
https://bookmeter.com/books/226214
『英語学習7つの誤解』大津由紀雄(NHK出版新書)
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000882292007.html


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