学思塾  ー学びて思わざれば則ち罔し、思いて学ばざれば則ち殆しー (「論語」為政より)

 

いろいろ




<1>合格体験記


 難関大に合格した生徒や母親の体験記がよくあり、いつどんなことをやり何に気を付けたかが書かれています。しかし、それが役立つのは同じ能力を元からもっている生徒だけです。そうでない生徒が真似すると逆効果になりかねません。
https://tanq.tai-san.net/index.php?QBlog-20150227-3
 母親が書いた本には「こうやって能力を伸ばしました」などと書かれていますが、能力のほとんどは文化的環境で決まります。うまくいった一番の要因が何かを母親であってもわかっていないのです。
http://koledewa.blog57.fc2.com/blog-entry-356.html
 「この教材をやれば難関校に合格できる」などの情報も、その教材にレベルがあっている生徒にしか役立ちません。
https://juken-benkyou.info/benkyouhou/textbook.html
 体験記は参考程度に読むのが無難です。

 


<2>鶏口牛後


 中学や高校の受験では、少しでも高偏差値の学校に行きたいと誰でも思います。でも、入学後に学力が伸びやすいのは、学校で中位以上の生徒です。学校は自校の生徒のレベルに合わせて内容を決めます。レベルが自分に合えば力がつきますが、自分にとって難しすぎる場合は頑張っても力がつきません。偏差値の高い学校に“無理”に入学するより、実力通りの学校(すべり止め校)の方が後の伸びが大きくなります。
http://blogos.com/article/225746/
https://noblesse-colors.com/中学受験であと伸びする驚異的なお友達とその親/
 ただし、受験勉強で能力を伸ばす努力をすることはとても大切です。

 


<3>学習時間


 通塾生は非通塾生より成績が良い傾向があります。
https://allabout.co.jp/gm/gc/66171/
 また、学習時間が長いほど成績は良くなります。
https://berd.benesse.jp/up_images/textarea/op42_fig1.gif
 しかし、学習時間が同じ場合、通塾の有無は成績にあまり影響しません。
http://www.s-lab-tomita.com/cont/column/no65hokagojr.html
 つまり、塾は学習時間を増やしますが、成績への貢献度は意外なほど小さいのです。
https://chu.benesse.co.jp/chu1/juku/_assets18/rwd/img/0302/juku_feature_thumb.png
 特に、小さい頃からの通塾は学習力を下げ、将来の成績も下げます。
http://tmaita77.blogspot.com/2011/06/blog-post_12.html

 ゆとり教育で減り続けていた学習時間が、脱ゆとり教育で増加に転じました。しかし、高校では差が拡大しています。
https://berd.benesse.jp/berd/data/dataclip/clip0005/img/graph1_4.gif
 小学5,6年時の学習時間・学習内容は中学受験組とその他で大きな差があり、それが先での学力差につながります。

http://benesse.jp/img_o/kj/common/images/s/ednews/030129/kimu02.gif
 ただし、本当は学習時間以上に「学習の質」が学力差を作ります。
https://www.inter-edu.com/juku/contents/research/research-141204/

https://www.e-juken.jp/benkyo/post_221.html
 「学習の質」を決めるのは、小さい頃からの経験です。
https://toyokeizai.net/articles/-/109632

 


<4>似て異なるもの


「甘やかす」ではなく「甘えさせる」
https://www.mamatenna.jp/article/46780/
「見張る」ではなく「見守る」
https://children.publishers.fm/article/4228/
「褒める」ではなく「認める」
http://yukikomine.com/kosodate/130
「怒る」ではなく「叱る」
https://manabi-with.shopro.co.jp/manabico/638/
「耳で聞く」ではなく「耳を傾ける」
http://ikujimama.net/listening/
「放任」ではなく「任せる」
https://ameblo.jp/chiisana-asobi/entry-12238057279.html
https://ameblo.jp/chiisana-asobi/entry-12237649247.html
「先取り学習」ではなく「準備学習」
https://ameblo.jp/nicomarujyuku/entry-12228240061.html

「万能感」より「有能感」
http://casadeibambini.jp/「万能感」と「やらされ感」の対極にあるもの発/
「ティーチング」と「コーチング」はバランスが大事
http://kurisu-sora.com/coaching/coaching-teaching/
「恥の文化」と「罪の文化」
http://www.nino2no.com/entry/2018/04/28/100810


<5>疑似相関


 因果関係が直接ないのに相関関係がある「疑似相関」は多くの例でみられます。
①高身長ほど高学力
http://hoxo-m.hatenablog.com/entry/20130711/p1

 身長を伸ばしても学力は上がりません。
②高収入世帯ほど高学力
https://jin-plus.com/academic-ability-income/

 文化力が高い家庭ほど高収入で、結果的に子どもの学力も高くなります。当然、世帯収入を上げても学力は上がりません。
③通塾生の方が高学力
https://allabout.co.jp/gm/gc/66171/

 塾に通うと成績は一時的に上がりますが、将来の学力はたいてい低下します。
④部活する子が高学力
https://pbs.twimg.com/media/DITysexUMAAjrRO.jpg

 能力の高い子ほど活動的で部活も熱心ですが、部活だけやっても頭が良くなるわけではありません。

https://blog.timecrowd.net/timemanagement_forchildren/
⑤コンピュータを早く使い始める子ほど高学力、 英語を早く習うほど英語力が高い
https://dual.nikkei.com/article/091/79/
 教育に対する意識が高い家庭ほど、早い時期にコンピュータや英語に親しむ機会が増えますが、それで頭が良くなるわけではありません。逆に、将来の学力が低下することがよくあります。
⑥読書速度が速いほど高学力
http://cube-d.kir.jp/sun/html/kyouiku/kyouiku-21seiki010.htm
 頭がいい子ほど読書速度が速いですが、頭がいいから速いのであって、逆ではありません。速読の練習は学力を大きく低下させます。
⑦計画的な子・意欲がある子・話し合える子ほど高学力
https://benesse.jp/kyouiku/201706/img/KJ_20170629_03.jpg
 高学力の子ほど計画的で、意欲があり、他の子と話し合えますが、それは頭がいいからです。その真似をしても学力は上がりません。


<6>算数・数学と国語


 子どもたちを「算数・数学が得意で国語が苦手なタイプ」と「算数・数学が苦手で国語が得意なタイプ」に大きく分けることができるという考え方があります。
https://manabiyablog.com/post-1083/
 ところが実際は、算数・数学と国語には正の相関関係があります。
https://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/gakuryoku_jittai/hon/hon2_1_1.html
https://berd.benesse.jp/berd/center/open/report/gakuryoku_jittai/hon/hon5_1_1.html
 問題文を読んで頭の中で映像化する能力を一番必要とするのが算数・数学の文章題と国語です。そのため、映像化の能力が高い子は両方の成績が高くなるのです。



<7>得意科目と年収

 学生時代に得意だった科目と平均年収との関係をみると、どの世代でも「数学>理科>社会>英語>国語」の順に年収が高くなっています。
https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/03/得意教科別平均所得.png
 英語力は年収にあまり影響しません。
http://www.chokin365.com/article/409619146.html
https://miidas.jp/magazine/wp-content/uploads/2017/04/eigoryoku_nensyuu.png
 理科の得意科目別では「物理>化学>生物」の順に年収が高くなっています。
https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/03/理科の得意科目別平均所得.png
 文系でも数学が得意だった人の方が高年収になっています。
https://www.rikagasuki.com/wp-content/uploads/2015/03/年齢と年収.png
 「これからの時代は英語が大切だ」という情報が多く出回っていますが、いつの時代でも本当に大切なのは思考力だということでしょう。実際、機械・電気・化学工業などの製造・研究分野だけでなくIT・金融・通信・流通・医療・コンサルティングなどのあらゆる業種で、ますます物理学・数学に精通した人材が求められるようになってきています。
https://www.meti.go.jp/press/2018/03/20190326005/20190326005.html
https://wired.jp/2017/03/23/physicists-silicon-valley/
https://entre.exblog.jp/18481308/



戻る