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高槻市人材育成方針(2001.12公表)

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編集者よりのコメント(2002.1.14記)

★今回公表された「人材育成方針」の主な内容
 
1.人材育成の目的
  社会経済情勢の変化、中核市への移行等の新たな行政課題に応える職員の資質の向上。@全体の奉仕者との自覚、A人  権の尊重、BIT社会への対応
 2.求められる職員像
  市民から信頼される職員 @町を愛し誇りを持ち課題に挑戦する A市民・生活者の視点をもってアカウンタビリティを果たす  B組織人として市民との協働関係を築く
 3.人材育成の方策
  〇団塊の世代が職員全体の3分の1を占める。係長級は50代が70%、40代が28%である。課題は、中高年の活性化と若手・   中堅の登用へ経歴開発・能力開発。
  @基本的な考え方
    職員自らが能力の向上・態度の改善に取り組む。それを支援する体制。職場での指導・助言。高度専門的な職場外研修。   人事管理諸制度による能力管理・処遇管理。
  A自己啓発の促進
   人材育成の基本。@通信教育の充実 A自主研究グループへの支援 B政策形成チームへの支援
  B管理監督者による実践的な育成の推進
   人を育てる仕事の進め方を実践する(仕事の割り振り・責任分担・指示・侵攻管理などの工夫)。 
  C.研修所研修の充実
   階層別研修は伝達能力・育成能力を強化する。
   職種別・業務別研修は、OA研修の充実など。
   派遣研修は、研修機関への派遣、民間への派遣。
   職場から自己啓発の支援をする。
  D.人を育てる人事管理
   今後はポスト団塊の世代対策へシフト変更。
   @ジョブ・ローテーション 管理・窓口・事業の3部門への人事異動を行う。 中高年の一般職には総合職化と専門職化を意    識した人事異動。
    A男女共同参画型職場づくり  積極的な女性職員の配置。
   B庁内公募制の実施  特定の業務を対象にして、庁内公募制を実施する。
   C新たな採用手法の検討  今後の人材採用のあり方を検討する。    
 4.人材育成の留意点
   今後、研修課目・研修技法、自己申告制度・係長級昇任資格試験制度等を見直す。新たな方策を検討する。

★若干のコメント
  
〇「職員を育てる」という観点で、職員の研修と人事諸施策とが一緒に「方針」として提起されたのは、おそらく初めてのことで   はないか、と思います。「職員像」をはっきりさせることは、目標を設定するという意味で有効だと思います。
  〇今年の確定闘争の中で提起されてきた、中高年令層での自己申告制度の変更、係長級試験での新たな検討、などはこの   「人材育成方針」を根拠にして出されてきている気がします。
  〇中高年の一般職と若手・中堅職員への対策は語られていますが、係長級の70%が50才代という恐るべき数値に対する「対   処方針」が明確でないのが気になります。その70%の値はここ8年にわたる「団塊の世代」対策の結果の数値です。では、そ   のあとはどうするのか明確ではないということ。自己啓発や職場研修などは他の職員と同じですが、処遇対策をどうしてい   くのかということです。このまま定年を迎えなさい、というにはまだ若いと思う。彼等の活躍がここ5〜6年の高槻市の運命   を左右するようにも思うのですが。

  


 「高槻市人材育成基本方針」の内容

目次

      はじめに
      第1 人材育成の目的
      第2 求められる職員像
      第3 人材育成の方策
         現状
         1 基本的な考え方
         2 自己啓発の促進
          
(1)通信教育講座の充実 (2)自主研究グループヘの支援(3)政策形成チームヘの支援
         3 管理監督者による実践的な育成の推進
         4 研修所研修の充実

          (1)階層別研修(2)職種別・業務別研修(3)派遺研修(4)職場の学習的風土づくり
         5 人を育てる人事管理

          (1)ジョブ・ローテーションの確立(2)男女共同参画型職場づくり(3)庁内公募制の実施
          (4)新たな採用手法の検討
      第4 人材育成推進の留意点

 


はじめに
 新世紀がスタートし、また、それに先立つ昨年4月には、いわゆる地方分権一括法が施行されるなど、地方自治は新たな時代を迎えたといえます。
 また、かつて経験したことのない少子・高齢社会の到来、国際化・情報化のめざましい進展や、地球規模での環境問題への対応など、社会経済状況の著しい変化に伴う多様で高度な行政課題が提起されています。
 こうしたなか、本市にあっては、自らの責任と判断で、分権型社会の構築に向けた行政運営を進めていくこと、また私たちには、職員である前に一人の人間として、信頼され、尊敬されるよう人間性を磨いていくことが、求められています。

第1 人材育成の目的

 本市は、これまで、開かれた市政の構築に資するため情報公開条例を制定するなど、市民の市政に対する理解と参加の増進をはかってきました。
 また、他市に先駆けて全職員を対象に勤務評定を実施するなど、人事管理諸制度の整備に努め、職員の意欲、能力の向上をはかってきました。
 こうした施策を通じて、行政の体質変革や人材育成の上で、一定の成果をあげてきたところです。
 今、21世紀を迎え、心ふれあう 水とみどりの生活・文化都市 の実現をめざし、総含計画に沿って、市民・事業者・行政がそれぞれの役割と責任を認識し、協働でまちづくりを進めていくことが求められています。加えて、平成15年4月を目途とする中核市への移行が行政課題となっています。
 こうしたことから、社会経済情勢の大きな変化への対応はもとより、これらの新たな課題に応えるためにも、これまでの成果を踏まえ、行財政運営システムを再構築するとともに、職員一人ひとりの資質のより一層の向上をはかり、その可能性、能力を最大限に引き出していくことが求められています。
 また、このことは、職員にとっても、自己の可能性、能力を最大限に活かし、仕事を通じてまちづくりに寄与できることから、充実感を一層高めることとなるものといえます。
 このため、人材育成にあたっては、より総合的、体系的な取り組みに努め、公務員は「全体の奉仕者」であるとの自覚と使命感を基本的な心構えとして、人権を尊重して業務の遂行に努める基本姿勢と市民と協働する意識を持ち、広い視野と先例にとらわれない創造力・構想力を養うとともに、IT社会に対応できる能力や政策形成能力・法務能力などを磨き、もって、時代に即した、市民の信頼に応えられる人材づ<りを、その目的とするものです。

第2 求められる職員像

 職員一人ひとりは、次に掲げる「職員像」をめざして、"勇気・元気・やる気"を合言葉に、鋭意、自己の変革に取り組むものとします。

〜市民から信頼される職員〜
◇このまちを愛し、誇りを持ち、創造力を発揮して、諸課題に果敢に挑戦する人間性豊かな職員
◇常に市民・生活者の視点を持ち、誠意をもって説明責任(ア力ウンタビリティ)を適切に果たす職員
◇組織人として、経営感覚を磨き、市民や関係機関などと協働関係を築き、いきいきとして仕事に取り組 む職員

第3 人材育成の方策

〈現状〉
 本市は、昭和40年代後半の人口急増に伴う行政需要に応えるため、大量の職員採用を行い、その結果、いわゆる「団塊の世代」と称される50代前半の職員が全体の約3分の1を占めています。
 かつ、係長級職員の年齢別構成は、30代が約2パーセント、40代が約28パーセント、そして50代が約70パーセントとなっています。
 こうした現状に照らせば、今後の組織運営に必要な人員の確保、幹部職員の養成などを計画的に進めていくことが求められます。
 人員確保の面にあっては、再任用制度の導入や中核市への移行、さらには雇用情勢の変化などを踏まえて、適切に対応していくことが必要です。
 また、人材育成の面においては、中高年の職員の活性化、若手・中堅職員に対する幹部職員への登用に向けた意識付けや経歴開発・能力開発が、本市の課題であるといえます。

※ 経歴開発:異なった職務分野を経験させ、多面的なものの見方、行政需要に対処できる能力を養成すること。

1 基本的な考え方

 地方分権の時代にあって、市民と協働してまちづくりを進めるには、行政は、これまで以上に、信頼性や透明性、市民の満足度を高めていくことがきわめて重要です。
 業務の遂行にあたって、職員一人ひとりが、このことを強く意識しなければなりません。
 また、能力の向上や態度の改善は、職員が自らの問題としてこれをとらえ、日々、工夫・努力をしなければ、真に成就しえないものであるといえます。
 したがって、先に掲げた人材育成の目的に沿って、職員の意識を変革し、能力を開発するには、職員自身の主体的・意欲的な取り組みを促すとともに、その取り組みを支援する体制を整えることが、なによりも大切です。
 あわせて、管理監督者により、職員一人ひとりに対して、その現状に応じ、日常業務を通じて指導・助言を適切におこなう職場研修を充実することも必要です。
 さらには、職場外研修により、高度・専門的な知識・技術の習得をはかるとともに、参加者同士による相互啓発の機会とすることもまた重要です。
 こうした自己啓発の促進や職場研修、職場外研修の充実をはかることは、人材を育成するうえでの大きな柱といえます。
 一方、仕事の割り振りや進行管理などの仕事の一連の過程を、人材育成の観点から工夫することも有効な手法となりえます。
 また、能力管理や処遇管理をはかるための人事管理諸制度は、職員の意識変革、意欲の向上、能力開発にとっても、きわめて大きな力を持つといえます。
 それだけでな<、人事管理諸制度は本市に見られる課題の解決に向けて、その基本となるものです。
 したがって、人材育成にあたっては、実効性を高めるため、これらそれぞれの分野が密接かつ有機的な連携をはかるよう努めることとします。
 また、それぞれの分野にあっては、「求められる職員像」の実現に向け、本市に見られる課題を十分に意識し、職種や職階に応じた、きめこまかな適切かつ有効な実行をはかるとともに、職員の意欲を高め、職員の自発的な取り組みが高まるような職場環境づくりに努めることとします。

2 自己啓発の促進

 自己啓発は、自己の能力アップ・センスアップをめざして、本人自らが進んでおこなうことから、人材育成の基本であり、最も効果の期待できるものといえます。
 管理監督者は、課や係の職務遂行能力を高めるうえで、個々の執務能力や執務態度の向上、改善が不可欠であるとの認識のもと、活発で風通しのよい執務環境を形成し、自己啓発を促す職場の風土づ<りに努めなければなりません。
 このため、管理監督者に対する研修所研修や勤務評定の評定者研修を通じて、部下の指導育成は管理監督者の職務であることを明確にし、かつ人材育成の基本である自己啓発を促す風土づくりの大切さについて、啓発をはかっていくこととします。
 また、こうした職場の学習的風土づくりの気運を高めるため、次に掲げるように、現行のリニューアルや新たな支援をおこなうこととします。

(1)通信教育講座の充実
 自ら資質の向上をめざす職員の学習意欲を支援するために、職員二一ズの把握に努め、講座内容と支援等の充実をはかること。

(2)自主研究グループヘの支援
 自主的な研究活動グループの結成やその活動を奨励し、その育成に努めること。

(3)政策形成チームヘの支援
 新たに、まちづくりに関する自主的な提案グループの有益な活動に対して支援すること。

3 管理監督者による実践的な育成の推進

 人間は自己実現の欲求をもっており、同時に、易きにつきやすいものでもあります。そのうえ、職場には職務経験や適性もさまざまな職員が配置されています。
 管理監督者は、特性や職務適性の多様な部下の一人ひとりについて、仕事の割り振り、責任分担、指示の出し方、進行管理等について工夫をし、職員の意欲や主体的な取り組みを引き出し、仕事を通じて意識改革、能力開発につながるように配慮することが、その務めです。
 これまで「忙しすぎて部下の育成など、かまっていられない」と考える上司も一部に見られましたが、そうした考えは、「私は仕事をしていない」と言っているのと同じだといえます。
 部下を育成することは、上司にとっても能力開発の場であり、管理のスキルを磨く絶好の機会でもあります。
 勤務評定は、こうした日常の管理行動を基礎として、部下の実績・能力・態度について評定するものです。
 こうしたことを踏まえ、管理監督者は、職員の意識を変え、能力を伸ばすような「人を育てる仕事の進め方」を工夫し、実践してい<こととします。

4 研修所研修の充実

 研修所研修は、多くの職員を対象として、必要な知識を体系的、集中的に学ぶえで、有効なものといえます。
 従前、ややもすれば研修の受講は二の次とする風潮が一部に見られましたが、今後は、研修の目的をより具体的に周知し、あわせて研修は自己変革への大きなチャンスであるとの意識づけにより、受講にあたってのモチベーションを高めるとともに、研修で習得した知識・技能を職場で共有化をはかるよう努めていくこととします。
 また、市民から信頼される職員づくりにあたっては、在職年数や階層、職種、専門性等に着目して、きめこまかく目標を定め、効果的な研修をおこなう必要があります。
 特に、階層別研修においては、過去の研修分析を踏まえ、伝達能力・育成能力の強化をはかることとします。
 また、「意識改革」について啓発に努めるとともに、従来から取り組んでいる「業務遂行能力強化」、「政策形威能力の向上」のための研修を、より一層充実することとします。

(1)階層別研修は、基本的には全職員を対象として、職員研修体系に基づいて行い、求められる人材の育成に努めることとします。
〈在職年数別研修〉
新採職員研修(前期・後期)→ 一部研修 → 二部研修 → 三部研修
              (採用後1年) (採用後4年) (採用後7年)
〈役職別研修〉
新任係長級研修→課長補佐・現任係長級研修→
新任課長級研修(前期・後期)→次長・現任課長級研修→部長級研修

(2)職種別・業務別研修では、たとえば団塊の世代の活性化をはかるために、心身ともに自己を見つめ直し活力を高める研修や、IT社会への対応をめざして、情報の収集・発信を自在にできるようOA研修を推進することとします。

(3)派遺研修としては、常に時代の変化に即応した高度、専門的な研修を提供している広域的な研修機関への派遣、経営感覚や顧客満足のための接遇のあり方を身につけるための民間への派遣を引き続きおこなうこととします。

(4)職場の学習的風土づくりを進ゆるため、先に掲げた自己啓発への支援をおこないます。
また、管理監督者が、そうした風土づくりに大きなウエイトを占めており、職場研修の推進者として実践的な育成に携わることから、「職場研修の手引き」を作成し、管理監督者を啓発するとともに、職場研修の充実をはかることとします。

5 人を育てる人事管理

 人事管理制度は、職員の意欲・能力を最大限に引き出すことを、その目的の一つとするものです。
 本市では、昭和63年以降、団塊の世代の活性化対策として、自己申告制度、係長級昇任資格試験制度や勤務評定制度など、一連の人事管理諸制度の整備を進めてきましたが、今後は、職員の高齢化やそれに伴う職員意識の変化など本市に見られる課題を十分に認識するとともに、「ポスト団塊の世代対策」へのシフト変更を意識した、総合的な人事管理諸制度の下での系統だった人材育成を実現することが極めて重要な課題といえます。

(1)ジョブ・ローテーションの確立
 若手職員に対し、多様な職務を経験させることにより事務・技術職員としての視野や知識・技術を幅広く・深いものとするため、「管理」・「窓口」・「事業」の3部門への人事異動をおこなうこととします。
 このことにより、自らの適性を把握し、今後の伸ばすべき能力と補うべき能力を自覚する契機とするものです。
 また、このことにより、若手職員を受け入れる側の先輩職員や管理監督者にとって、活性化のためのよい刺激となり、指導力の向上につながることが期待できます。
 中高年の一般職員に対しては、その適性に応じ、これまで培ってきた能力を最大限に発揮させるため、いわゆる「総合職化」と「専門職化」を意識した人事異動をおこなうこととします。

(2)男女共同参画型職場づくり
 職員の性別にとらわれることな<、従前は配置されることが少なかった職場にも、適材適所により、積極的に女性職員を配置していくこととします。
 また、仕事の割り振りや責任分担などにあたっても、固定観念を排し、人材育成の観点から適切におこなうこととします。

(3)庁内公募制の実施
 特定の業務を対象として、関心・意欲のある職員を募り、その業務を担当させるために人事異動をおこなうことは、職員の自己実現の途を開くことによって、チャレンジ精神の高揚をはかるものであり、ひいては職員全体のモラールの向上につながるものです。
 このため、機会をとらえ、積極的に庁内公募制廣を実施することとします。

(4)新たな採用手法の検討
 職員の年齢構成上のアンバランスや高度専門化する行政需要に対応していくため、今後の人材採用のあり方について検討を進めていくこととします。

第4 人材育成推進の留意点
 この基本方針は、人材育成の基本的な考え方やその方策の方向性を示すものです。
 したがって、人材育成の担当部門や管理監督者にあっては、今後、この基本方針に定める「求められる職員像」の実現に向け、現行の研修課目や研修技法、自己申告制度や係長級昇任資格試験制度等を、必要に応じて見直すとともに、新たな方策についても、検討を行い、実施していくことが必要です。
 一方、職員にあっては、「求められる職員像」をめざして、公務員倫理や人権についての意識・感覚はもとより、基礎的な業務遂行能力や政策形成能力・法務能力を高め、チャレンジ精神や創意工夫の発揮できる職員となるよう、主体的、日常的に自己研鎖に取り組む必要があります。
 本市は、これから先、中核市への移行や全体の約3分の1を占めるいわゆる団塊の世代の定年・再任用等によって、組織の人的構成が変化することが予想されます。
 また、行政二一ズも不変のものではありません。
 いずれにしても、「組織は人なり」であり、組織力を高めるには人材の育成が不可欠です。
 このため、この基本方針の趣旨を十分に踏まえ、時々の組織の現状に応じた適切な育成策を、育成担当部門の密接な連携のもとに計画的・体系的に推進していくことが大切です。
 このことによって、より一層、「市民から信顛される市役所」づ<りに努めてい<こととします。