連載 平成12年度決算を読む   

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分析としては未だ、途中までです。

(第1回) 積補助金事業が減少して98年水準へ戻った高槻市財政 
  歳入総額 歳出総額 標準財政規模 実質収支 市債現在高 積立金現在高
2000年度 94,241,300 93,773,831 66,592,439 234,350 68,333,673 28,290,721
1999年度 102,635,772 102,101,695 65,280,434 360,382 73,133,260 27,512,087
1998年度 95,070,206 93,107,226 64,613,343 390941 77,454,829 23,532,433
2000-1999 -8,394,472 -8,327,864 1,312,005 -126,032 -4,799,587 778,634
2000-1998 -828,906 666,605 1,979,096 -156,591 -9,121,156 4,758,288

 高槻市の2000年度(平成12年度)決算が公表されました。9月議会で審議されています(決算監査が進行中)。
 「財政は行政を写す鏡」といわれます。細かい数値ばかりの表の中に高槻市の行財政の特徴が見え隠れしています。
そこで、2000年度決算の数値を追いながらそこに表れた高槻市の財政の現状と課題を明らかにしていきたいと思います。
 2000年度決算をどう見るかは過去の決算の中に位置付けすることが必要です。80年度以降、3回の画期があります。
第一は1984年度です。江村市政2年目でそれまでの財政危機が克服され基盤が立ち直った時期です。第二は1993年度。財政規模が最も拡大する一方財政危機の兆候が現れた時期です。第三は1998年度。2年間の緊縮財政を終え新たな動きが始まった時期です。2000決算はそうした第三の画期の延長にあります。即ち、大阪府下の凡その衛星都市が財政危機を深刻化させる中で、以下の分析によって明らかになるように、高槻市は財政危機を「高槻的に解決」した結果、財政面だけからの分析に限定すれば、相対的に「マシな」状態が続いている、と言えます。
 2000年度決算は歳入総額942.42億円、歳出総額937.73億円で前年度比較で-83.94億円となっており、ほぼ、98年度の規模に戻っています。その理由は内容の分析によって明らかになります。
 実質収支は2.34億円の黒字で、1984年度以降黒字決算が続いています。市債現在高は昨年度より47.99億円減少し、逆に積立金現在高は7.78億円増えて、282.90億円に至っています。

(第2回) 財政危機状況からの「脱出」   
  1985年度 1993年度 1996年度 1997年度 1998年度 1999年度 2000年度
財政力指数 0.913 0.977 0.958 0.936 0.915 0.878 0.853
経常収支比率 92.0% 88.1% 96.7% 91.5% 93.9% 89.3% 87.5%
公債費比率 18.2% 12.8% 13.6% 13.5% 13.4% 12.9% 11.5%

 次に、一般に使用されている財政指標から財政状況を見ていきます。
 先ず、財政力指数は、2000年度が 0.53 と1999年度の 0.878 と比較して 0.025ポイント昨年に引き続いて低下しています。その結果、地方交付税は1999年度の88.25億円から93.97億円へ5.72億円余増加しました。基準財政収入額の減少が主な要因です。財政力指数(単年度)が一を超えると地方交付税の不交付団体となります。全国都市の平均が0.70といわれていますから高槻市を含め大阪府下の財政力水準は極めて高いといえます。      
 次に、経常収支比率ですが、1999年度は 87.5 %と1999年度の 89.3 からさらに 1.8 ポイント改善し 80 %台で推移しています。大阪府下ではこの経常収支比率が 100 を超える市が 多くあり、1999年度の平均で 99.3 (2000年度は調査中)まで上昇して、現在進行している大都市圏財政危機の大きな特徴をなしています。
 

(第3回) 税収入の減少と構造変化  
                                    
市税収入の変化                                                            ( 単位 億円)

  1985年度 1993年度 1996年度 1997年度 1998年度 1999年度 2000年度
個人市民税 160.70 253.67 221.33 244.48 221.27 210.39 194.47
法人市民税 49.14 45.51 42.76 37.05 31.03 31.88 33.62
固定資産税 115.25 181.97 212.07 213.13 219.83 224.86 219.46

 今度は歳入全体の56.2.6%を占め最も重要な市税の動きを見ます。
  先ず、個人市民税です。政府の特別減税などの影響が直接出ている年がありますが、2000年度は194.47億円と昨年に続いて三年連続して前年比マイナスになっています。これはここ数年の深刻な不況によって年収が減少していることなどが反映しているのではないかと推測しています。全体として1993年度の253.67億円をピークとする頭打ち感が強くなっています。
  同様に、法人市民税は2000年度で33.62億円でした。これは最高だった1989年度の75.50億円からは依然として55.5%減の大幅減少となっています。この落ち込み率は府下でも大きい方となっています。その結果、市税に占める割合が15.4%から6.3%へと小さくなっています。
  次に固定資産税です。1980年以降一貫して増収となっていて1999年度で224.86億円となっていましたが、2000年度で初めて前年度比マイナスとなり、219.46億円(前年度比で-5.4億円)でした。地価が依然として下がっている中で、3年に一度の評価替えが影響したものではないかと思われます。額は市民税・個人分より多くて一位であることには変わりありませんが。
  これらの市税全体としては、2000年度で529.37億円となっており、これも三年連続してマイナスでした。
  1990年代不況の深刻化と高槻の街の成熟化(人口横ばいないしは低下・高齢化)によって税収構造が変化し、個人・法人市民税の増収が見込めず固定資産によって賄うものの、それも頭打ちとなって市税全体としては550億円〜530億円で推移しているといえそうです。

(続く)

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