本文へスキップ

エラール 1920年・パリ

ピアノ教室へのお問い合わせは、メールでお願いいたしますsound_scape444@yahoo.co.jp

〒651-2117 神戸市西区北別府2-6-1


ショパン ・ タールベルグ ・ リスト などの ヴィルトゥーゾピアニス達が
入れ代わり立ち代りリサイタル催し、各人が目も眩む様な超絶技巧を披露し
拍手喝采を浴びていたこの時代には、ピアノの機構にも それまでとは全く違ったものが
求められるようになりました。
 
目も眩む素早い指さばきに敏捷に反応する鍵盤
轟く様なフォルティッシモにも耐える頑丈さ
観客を瞠目させる金属的な音色など
ピアノは次第に
「 木製楽器 」 から「高性能マシーン 」へと変貌を遂げていきます。




1830年 にパリで起きた 7月革命 は、音楽史的にも 重要な意味を持っていました。

サロン文化の担い手だった 金持ちの商人や 法律家・銀行家などの上流ブルジョワによる
無血革命で、この時代は
「7月王政の時代」 と呼ばれ 一種のバブル時代が始まります。

そして 音楽的史には、
グランドオペラの隆盛 と ヴィルトゥオーゾの時代の到来 を意味します。

「悪魔に魂を売り魔術の様な技法を手に入れた」

と 噂された稀代のヴァイオリニスト “パガニーニ” の演奏を 1831年3月に
パリで聴いたリストが、 パガニーニの人間離れしたテクニックを ピアノに 移植すべく
翌年に 「ラ・カンパネッラ」 を 書きま した。 

これは ピアノ演奏技巧の歴史にまったく 新しいページを開いた作品でした。




ヴィルトゥオーゾ・ピアニストとグランドオペラと パリ社交界は
お互いに切っても切れない関係 があります。 
夜毎、開かれるブルジョワたちのサロンで演奏 するヴィルトゥオーゾたちの
パトロン であり 弟子 であったのが、社交界の女性達 だったのです。

今日は舞踏会、明日はカジノへ、明後日は オペラ座へ、その次は伯爵夫人のサロンへ
というような暮らしを送っていた人々が、 ヴィルトゥオーゾたちの
聴衆でありパトロンで あったのです。

オペラ座で評判になったオペラが、サロンで話題 に上り
サロンの女主人が、そのオペラの主題 での演奏をリクエストする。

リスト の
オペラ・パラフレーズ は、こうした サロンの即興演奏から生まれた ものだそうです。






ショパンとプレイエル



ピアノ製作史上 最も偉大なメーカーのひとつとして知られる エラール社 の基礎を築いた
セバスチャン・エラール は、16歳の時にパリに出て ハープシコード製作者に弟子入りをしました。 
彼の天才的な技とアイデアはパリで好評を博し王侯貴族から優遇されました。  

やがて、ピアノの製造に興味を持つようになり、彼は兄弟との共同経営で

1780年 に ピアノ製造会社を設立 します。
ここで作られた
5オクターブのスクエアピアノ
で市場を開拓し、イギリスピアノの人気を
凌ぐようになりましたが、同業者の嫉妬やフランス革命の影響により 仕事が阻害されだし
イギリスへ渡る事になります
     
当時のロンドンでは、同じく戦争の難を逃れる為にやって来た
ジルバーマンの弟子達 が、ピアノ製作を始めていました。
セバスチャンは、いち早くロンドンに移り住み、
ブロードウッドらによる新技術
を 直接に学び取る機会を得て、ピアノの改良に力を注ぎました。

その後パリへ戻り、1796年に 最初のイギリス式アクションのグランドピアノ を完成させました。
この型のピアノを
愛用したのは、デュセック ・ シュタイベルト ・ ベートーヴェン などで
当時のピアノ製作技術の最高の水準を誇るものでした。

1808年に再びロンドンに渡ったセバスチャンは、楽器の改良に努め
1809年 に 弦を下向きに抑える装置を考案、1821年には ダブルエスケープメント打弦機構
を完成させ、打弦機構を効率よくハンマーに伝える この打弦機構が
ピアノ音楽の大きな福音となりました。


セバスチャン死後は、甥のピエールがエラール社の全権を受け

1824年には7オクターブに及ぶグランドピアノ
を 製造しています。 

その後も度々、打弦機構の改良・簡略化などを図り、そういったエラール社の技術革新には
デュセック ・フンメル ・ メンデルスゾーン ・ モシェレス ・ リスト ・ ヘルツ ・ タールベルグ
などの演奏家からの積極的な助言や協力が大きな役割を果たしています。 

なかでもリストは、ピエールと知己を得て以来、好んでエラールのピアノを弾いていたようです。
エラールのピアノは「響時間が長く、現代のベーゼンドルファーの響きに似ている。」
と言われているそうです。


教室情報

音楽広場Sound-Scape

〒651-2117
神戸市西区北別府2-6-1
 お問い合わせは、メールでお願いいたします