明石市総合選抜制度を考えるシンポジウム レポート その1

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 こんにちわ。当サイトの管理人やっさんです。高校入試制度改善(総合選抜廃止)に向け盛り上がる明石ですが、この度、明石市教育委員会主催の「明石市総合選抜を考えるシンポジウム」に行ってまいりましたのでレポート致します。開催要領は以下の通りです。

明石市総合選抜制度を考えるシンポジウム
日時:平成15年11月22日(土)
場所:明石市民会館 中ホール(約450名)

内容:第一部 基調講演
 「教育改革と高等学校教育の個性化・多様化」
 講師 文部科学省初等中東教育局児童生徒課 斎藤光男 係長
第二部 シンポジウム「明石市総合選抜制度を考える」

 コーディネーター関西学院大学教授 横山利弘 氏
 シンポジスト 明石青年会議所理事長 戎義弘 氏
明石市野々池中学校教諭 池田好志 氏
明石市連合PTA副会長 中塚清 氏
明石市教育委員会教育次長 公家裕 氏
主催 明石市教育委員会学校教育課 078-918-5055

レポートを読む前に以下の当サイトのコンテンツを読んでおくとわかりやすいかと思います。
平成15年9月17日 明石市定例市議会レポート
明石市・市政だより「総合選抜制度検討委員会発足」の記事
調査会議事録→【1】【2】【3】なんかも読んでおくといいです。

 尚、当レポートは録音したりとかデジカメで写真撮ったりとか良くないんじゃないかと思いまして、速記の出来ないやっさんが必死で書きとめた範囲のものですので、内容不足で不正確かもしれません。また、当シンポジウムの参加者がその通りに発言したかのようにカギカッコで括って書いたりしてますが、全部書き留められなかったので、文字通りでない場合があります。その点を御了承の上、お読みください。

 開会15分くらい前に明石市民会館到着。会場の前には何やら、ビラまきをしている中年男性が数人。私が会館前の階段を上がろうとすると、その男性の一人がニコニコしながら、私にビラを手渡す。中身を見ると、「明石総選を守り発展させましょう」と書いてある(笑)

 裏には「市民が声をあげないと明石総選が危ない!」だって。ワンパターンだ。神戸第三学区の複数志願制の時と全く同じ。

 新たな活動テーマですね。兎に角、何でも批判して自分たちの存在意味を固持しようとするわけだ。マルクスレーニン主義が崩壊してから今日まで、色々とたいへんだねえ。せいぜい頑張ってください。

 それにしてもこいつら、私が明石の教育を考える会会員(といっても私一人)だということを知らないな。うひゃひゃひゃ。愉快愉快。サヨクってどんな顔してるんだろう。よう、見といたろ!

 てなわけで、2階の中ホールに上がる。会場前には教育委員会のみなさんがズラリ。本当にお疲れ様です。

 会場に入ると人の入りはまばら。前の空席が目立つ。

「やっぱりこんなもんかあ」

 市民の関心の薄さが伺える。私が入った後もゾロゾロ、人が入って来たが、最終的には定員450人の会場で150人程度。ここに来なかった市民は明石教育委員会にどうされても良いってことでOKね。そんなこんなでシンポジウム始まり始まり。

第一部 基調講演「教育改革と高等学校教育の個性化・多様化」

 文部科学省の斎藤光男氏を迎えての講演。内容は文部科学省の最近の取り組みの報告・紹介みたいなもんでした。詳しい内容は省略しますが、入試制度については、文部科学省としては、大まかな枠組みだけ決めて、後は各自治体が独自でやってくれればいいというスタンスなんだそうです。

 この講演が何の為なのか、いまいちわかりませんでしたが、少なくとも国家レベルで明石の惨状が知られることになったわけですよね。明石は国を方針に背いてますよ。憲法違反をやってますよ。その点を斎藤氏に、文部科学省の方に持ち帰って欲しいものです。

第二部 「明石市総合選抜制度を考える」

 さて、本題です。まずコーディネーターの関西学院大学教授 横山利弘氏より、以下のテーマが挙げられました。
1.総選制の成果と課題
2.新しい時代に求められる人間像
3.これからの明石の高校の入学者選抜制度について
 これら3つのテーマでシンポジストの方が意見を述べるという形式で会は進むそうです。当シンポジウムで挙がった意見は明石総選検討委員会の検討材料とするそうです。議論とかはしないようですね。

1.総選制の成果と課題

 まず、公家氏(明石市教育委員会教育次長)より、市民のみなさんは明石の高校入試制度「総合選抜制度」(以下、総選または明石総選と略します)についてよく知ってると思うが、どのように運営されているか必ずしも共通認識できていないかもしれないということで、大体の説明がありました。公家氏は総選経験者だそうです。

 「私などより随分詳しい方がいる中でなかなかうまく伝えられるかわかりませんが」と公家氏。それは私のこと?(笑)

 説明の内容は、「志望者を何段階かの成績群に分けて、明石の各県立高校が学力均等になるように振り分ける」といった選抜の方法についてでした。

 「その各成績群の志望者の人数がうまくちょうどの数になっていれば問題ないが、多くなっていると、各高校に配分することになる」 所謂「まわされる」ということが発生するわけです。

 公家氏によると、市は、昨年行なわれた市民意識調査で「現行制度を良しとしない」という意見が多かったことを重く受け止め、特に直近で総選を経験した18才以上、20代の市民の50%が他の制度を導入すべきとしていること、それから40代の中学生辺りの子供を持っているであろう市民の50%が他の制度を導入すべきと考えていることを総選を考える上で念頭に置く必要があると考えているそうです。

 次に総選の当初の目的ついて説明がありました。
 総選導入当初の1970年代の社会状況は、全国の高校進学率が80%近くになっていた。市内の公立高校(明石、明石南、明石商業)に入学できる割合は40%であった。こういった状況の中で高校増設が叫ばれていたとのことです。

 しかし、新設校は志望者が少ないことが予想され、多大な税金を投入し市民の期待を担って開校したにも関わらず、すぐに最底辺校に位置付けられてしまう。生徒が希望を持って高校に入学するということに繋がりにくい。そこで、これを避けるために総選による各校への入学者振り分けを行うことが必要不可欠となったとのことです。

 「多大な税金を投入し市民の期待を担って…」ってところ、いいねえ。まあ、民間人の感覚からすれば、例えば兵庫県の私立高校の白陵なんて、最初は超アホ高校だったんですけど、そこから頑張って一流進学校にのし上がって来たのだから、公立高校も激しい競争に晒されながら努力していくというのが普通だと思いますけど、「新設高校の育成」という考えは、考え方としては良い考え方だったと思います。(やっさん)

 そして次に公家は「総選の成果と課題」について説明しました。
 成果として「受験競争が緩和」「学校間の学力序列がなくなった」「同じ高校に様々な学力の生徒が共存する」といったことを挙げました。

 次に課題については、まず、「まわし」により「希望校に行けない」ということは、この制度を維持していく限りは宿命であり、導入当初から現在まで続く大きな課題としました。現在は約20%(400人)の生徒が「合格しても涙を流す」ということになっているそうです。

 他の課題として「私学を希望する生徒が増え公立高校離れ傾向にある」「高校内で学力格差が発生し、個々の生徒の学力に合わせた指導が困難」「文部科学省の推し進めている高校教育の多様化が困難」ということを挙げました。

 そして最も大きな課題として「健全な競争原理が働かず、中学生の学習意欲が希薄になる」ということを挙げました。普通程度に勉強していれば、そんなに頑張らなくても確実にどこかに高校に行けるという雰囲気が蔓延し、勉強せんでも高校に入れるというイメージが拡がってしまった。これが一番の問題だとしています。

 成果にしても課題にしても「そんなつもりじゃなかった!」ということばかりですね。成果なんて全て後付け論。本来の総選の目的は「新設校の育成」の一点に尽きると思います。これは評価に値する。明石市は何も子供が勉強しなくてもいいように総選を始めたわけではないのですよ。各高校が同じスタートラインに立って切磋琢磨しあえるように考えたものなのです。ですから「受験が楽でよかった」と言うのは大間違い。そんなこと言っているお父さん、お母さんはその点、よく噛み締めて下さい。「受験競争の緩和」なんて如何にも綺麗な言葉ですけど、子供を甘やかしてアホを大量発生させるだけのものですよ。(やっさん)


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