ぬるま湯からこんにちわ

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 第二章では総合選抜について説明しましたが、お分かり頂けましたでしょうか? えっ?わからない?

 この高校入試制度は、明石では、昭和47年に決定され、昭和50年から実施されました。平成10年に明石市市議会議員が提出した「明石学区の総合選抜制の維持を求める意見書」にはこうあります。

 明石学区では総合選抜制という優れた公立高校入試制度が実施されている。この制度は、単独選抜地区に見られる過酷な受験競争に陥ることなく、また親や子が誤った優越感、劣等感を持つことなく、今日では市民にも十分理解され、定着しており、過酷な受験競争の緩和に重要な役割を果たしていることは明らかである。

「誤った優越感、劣等感…」

 つまり加古川や神戸のような単独選抜学区ではこの誤った優越感、劣等感を持った人たちばかりだということだそうです。(冗談です)

 単独選抜学区では、「賢い高校」と「アホな高校」が出来てしまいます。中学生は「賢い高校」行こうとして、必死がんばります。これが受験戦争、受験地獄につながり、受験戦争の敗者は「アホな高校」で惨めな高校生活を送らなければならなくなります。それがかわいそうだということで、総合選抜が始まったわけです。

 大阪、神戸、加古川から明石に転居された方や単独選抜学区に住む方には、この総合選抜が何者かなかなか理解できないと思います。では、もう少しわかりやすく、第二章とは違う視点から説明することにしましょう。

 まず、明石には定員2,000名の一つのマンモス高校があると考えて下さい。そのマンモス高校は校舎が6つに分かれていて、子供たちはその6つの校舎にそれぞれの校舎が学力均等になるように振り分けられます。

 「定員2,000名の高校」と聞いてどう思われますか?単独選抜学区の公立高校出身のみなさんは恐らく定員100〜400名程度の高校を受けたと思います。どちらが合格しやすいですか?

 単独選抜では、トップ高校がダメなら二番手高校に行くというわけにはいきません。自分がトップ高校合格のボーダーラインギリギリなら必死になって勉強するでしょう。不合格なら公立高校には行けません。泣く泣く滑り止めの私立に行くハメになります。

 総合選抜だと、市全体で2,000人の中に入る学力さえキープしておけば、どこかに行けるわけです。つまり市で1番であろうと2,000番であろうと同じなのです。

 例えばこういうことです。

 単独選抜学区に住むA君は市全体で600番。市にある各高校の定員300人程度。先生には「三番手の高校なら確実や」と言われます。でもA君はどうしても二番手の高校に入りたい。そうであれば必死で勉強しますよね。もっと言えば、四番手高校が確実な子の三番手高校を目指す戦い、五番手高校が確実な子の四番手高校を目指す戦いという「それぞれのレベルにおける戦い」があることでしょう。

 かたや総合選抜学区に住むB君はどうでしょう。B君もA君と同じく市全体で600番の子供です。でもB君にはA君のような努力は不要です。ちょっとサボって1000番になろうと、プレステに熱中しすぎて1,500番になろうと結果は同じなのです。

 明石には、こういった緊迫感のない良く言えばのびのびとした中学生活があるのです。明石ではそれほど真剣に勉強する必要はありません。「ぬるま湯」のような中学生活です。

「子供には受験戦争など体験させずのびのびとさせたい」
「私立に行かせるほどお金がない」
「子供はクラスで中くらい。大学に行こうとは思ってなく、高校さえ出ればいいと思っている」

 などなど…。これらの条件が揃っているご家族には、総合選抜は最も有意義な高校入試制度と言えるでしょう。


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