明石市総合選抜制度を考えるシンポジウム レポート 完結編

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会場に来られたみなさんのご質問、ご感想のお時間

シンポジストの意見交換が終わったところで、横山教授、会場から質問、感想を求める。

(1) 小中高の塾講師をやっているという方のご意見

 総選は賛成だと言うことですが、運用に問題があると考えておられるようです。以下要約します。

 学校選択の自由と言うが、他の単独選抜(以下、単選と略す)学区が学校の選択の自由があると思っていない。明石総合選抜(以下、総選と略す)だからこそ学校選択の自由があると思っているが、明石6校にそれを選べるほどの特色がない。

 総選だからこそ多様化・個性化が出来るたはず。しかしそれをしなかった。例えば勉強一辺倒の学校、パソコン一辺倒の学校があってもいいと思う。高校が競争すればいい。各高校が同じスタートラインで競い合って多様化が出来たはず。

 定員をやめたらいいと思う。希望校に全員入れるようにする。人気校に生徒が集中し、不人気校はどうやったら人気が上がるか考える。そうすれば、特色が出る。出るから生徒も選びやすくなる。思春期の内に自分で考えて選択すれば学ぶ力もついてくる。

 この意見に対し、公家氏(明石市教育委員会教育次長)、総選だから多様化できたのではという意見、ご尤も。定員をやめればいいと意見は現実問題として可能かどうかは別として検討すべき意見として受け取るとのこと。

 この公家氏の発言に対し横山教授、「学力均等をはずさない限りは多様化は出せませんよ」と発言。そりゃそうだ。

 まわされる400人の希望にちゃんと応えたら、各高校間の生徒数のバラツキはどうなるのでしょうか?明南の生徒が少なくなるとか?意外にたいしたことなかったりして。横山教授が言うようにこれをやっちゃうと学力均等の前提は崩れますね。余計な詮索かもしれないが、明石が総選で、塾としては得なんだろうか?損なんだろうか?(やっさん)

(2) 50代くらいの男性のご意見

 仮定の話ばかりだった。明石の総選だからこうなっていると事実をちゃんと公表して議論して欲しかった。総選がこういう弊害を作っているという「思い」でなく、事実を出して議論して欲しかったとのこと。

 この意見に対し横山教授、結果、事実がどうかということと、子供の意思を尊重できるものかは別問題だと思っているという前置きの後、公家氏に客観的に評価できる資料の提示を求める。

「例えば、『子供の問題行動』についてはどうですか? 学力低下の問題もあるが、これも全国的に問題視すべきものです。総選になって子供の問題行動は減ったのか否か?」と横山教授。

この質問に応え、公家氏、以下の資料を提示。

子供の問題行動(暴力行為)の1000人あたりの発生率について
小学校 全国0.19% 兵庫県0.37% 明石1.14%
中学校 全国6.81% 兵庫県8.70% 明石17.22%


「出せえ言うたら出てくるのが行政でありまして」と横山教授。会場にどっと笑い。

「総選だからこうなっているとも言えないので、色々と客観的に評価する必要があろうと思う」と横山教授。

 朝ナマで和田秀樹氏が言ってましたけど、ちょうど詰め込み教育が盛んな時期に子供の犯罪件数が減っているそうです。やはり勉強で忙しいと悪いことする暇もなくなるのとちゃう?勉強させすぎも問題がありますので、どの辺りに着地点を持っていくかが難しいと思います。(やっさん)

(3) 明石在住の総選経験者X氏のご意見

次に後ろの方から手を高くあげる男性一人。
「2003年11月の高校1年進研模擬試験の結果、明石、受験者362名。国35点、数19点、英27点…」と突然、模擬試験の平均点らしき数字を読み上げるX氏。

「兵庫県、受験者合計32478名、英37点、10点の差があります…」

「誠に済みません。そういう数字があるのはわかりますが、今は制度についてご意見をお聞きしたいのです」と制止する横山教授。

「ですから、私は明石市にちゃんとしたデータを出してくださいと言っているのですけど…」

「写真を撮らないで下さい。写真を撮らないで下さい。」

 と突然、話を切るX氏。ええ?何?何だろ?何だろ?

 レポートを書くを手を止め、ふと振り向くと、後ろの方に座っていたX氏の前方に、X氏に対してデジカメを向けているオタクっぽい男性が一人。慌ててデジカメを隠そうとしている。

コラー!そこ!写真撮るな!

すかざす横山教授も応戦。「肖像権の問題がありますから写真を撮らないで下さいね。止めてください」

 わははは。こりゃあ、おもしれえ。

 その男性の周辺を見ると先ほど玄関でビラ撒きをしていた男性がちらほら。

 ははーん。こいつかあ…。

笑わしてくれるな!明石総選数学教師!

 こいつが兵高教組のサヨク教師ですか! 恥ずかしいやっちゃなあ。X氏の写真を撮ってどうするつもりだったのでしょうか? おまえのやってることは立派な肖像権侵害行為だ。教師のクセにそんなことも知らないのか!またまた良いネタ提供して下さいました!(やっさん)

 サヨク教師におかげで話が切れてしまいましたが、騒ぎが収まったところで、X氏の発言が続く。

「ちゃんと明石市がデータを出してくれないからこうやって素人が独自で調べているのです」とX氏。

明石の子供は学力が低い!

と怒鳴るような大きな声でX氏。わははは。拍手!

「わかりました。では、制度に対する意見を何かありますか?」と言う横山教授の質問に対してX氏の発言。以下要約します。

 実は私、池田先生の教え子です。池田先生は中学時代に元素記号を103個まで覚えろと熱心に教えてくれた。そのおかげで私は高校時代、理科は3年間トップクラスで国公立理系大学にも合格した。そんな熱意のある先生が総選当初はいた。そういう情熱のある先生ばかりであれば総選でも一向に構わない。しかし、不逞な輩も多い。情熱も維持できるとはとても思えない。何らかの起爆剤が必要。制度を変えることが起爆剤になればいいと思う。

 その発言の後、X氏、教育委員会の方になにやら耳打ち。おそらくさっきの明石総選数学教師の肖像権侵害行為についてでしょう。後で聞いた話ですが、「本当に写真を撮ってるかもしれないのでちゃんと没収して厳重注意して下さい」とお願いしたそうです。明石総選数学教師の奴、後で相当怒られたんだろうなあ。愉快愉快。こいつは確実に教育委員会のブラックリストに載ったでしょう。

(4) 明石総選数学教師の発言

 では、ここでその明石総選数学教師の発言。適当に要約するけど、間違ってたらゴメンな!訂正は掲示板でやってくれ、匿名でなくてね。

 努力すれば報われるというのはご尤もな話だが、それを大学入試だけで語るのは心外。我々教師は勉強だけでなくクラブの指導なんかもやっている。生徒はクラブの中からも努力すれば報われることを学ぶのである。

 多様化・個性化の問題について。クラブも一つの個性であり、例えば明石北のブラスバンド部が有名だが、明石は総選ゆえに明石北でブラスバンドをやりたいと生徒が希望すれば明石北に入れる可能性がある。

 学力序列のある単選地区であれば学力が足りなければ選べない。例えば、加古東(加古川のトップ高校)に人気のブラスバンド部があったとして、そのクラブに入るために加古東に行きたいが、加古東に行ける能力がないと選べない。ですから明石の方が寧ろ個性化・多様化は出来ている。

 この意見に対し、横山教授、「学力だけで均等化する建前から言うと、ブラスバンド部をやりたいという生徒を取るというやり方は必ずしも良いとは思えない。学力均等のルールを守っていくとするなら、ブラスバンド部で推薦するやり方は良くない」と発言。

 これに対し、明石総選数学教師、「もう少しねえ、ちゃんと調べてから発言してください」と激昂!
 高校教師としては心外。部活動を重視するなんて言っていない。ブラスバンドを希望している人は明石北高校を希望しており、80%が希望通りに行くのだから、結果的に多くのブラスバンドを希望している生徒が明石北に行っているということ。クラブで推薦するなんて言ない。

「それはわかるんでよ。それはいいんです」となだめるように横山教授。

「私は学力だけで均等にする方法がいいのか?ということを言っているんです。学力の他に何か評価すべきことはないかということです。それがクラブであってもいい。先生の考えからすれば、明石北に入る生徒のパーセンテージは増えるが、子供の意思希望を重視することが制度としてあるか否かということにはならない」と横山教授。

 この後も明石総選数学教師、オタクっぽくなにやらブツブツ言っていましたが、聞き取れなかったのでバトル終了。

 わけわかりません。高校教師の発言とは思えない。クラブなんて遊びでしょ。高校は勉強するところです。加古川東でブラバンやりたいがアホなので入れないと言いますが、加古川東が入って欲しい生徒というのは、この例の場合、「成績優秀でその上でブラスバンドができる生徒」。京大のアメフトの連中もちゃんと試験を受けて大学に入っているのと同様、加古川東はブラスバンドだけしか出来ないアホは要らないと思いますけど。

 こいつが言っていることは、極端なことを言えば「高校に勉強なんて要らない。3年間お座りしていれば、高卒資格をやるから、ブラバンでもやってなさい」ってことだ。何度も言いますけど、クラブなんて遊び。高校は勉強をするところ。普通クラブでは飯食えない。クラブで飯食って行けるように高校が指導するというなら、それこそ、クラブ推薦をやってプロの音楽家やスポーツ選手を育てればいい。クラブ推薦があるわけでなく、なんとなく明石北にブラバンが上手い子が多く集まるなんて変な考え。じゃあ、将来、ユーミン級の音楽家になるかもしれない生徒が明石北以外の音楽が盛んでなない高校にまわされたらどうする?それはいいのか?そんな曖昧な制度は教育の場としての高校では認められないと思いますけどね。(やっさん)


 この後も同じく兵高教組の別の教師から「総選でまわされて泣いている生徒は6月頃になれば順応してくる」とか「高校は特に個性化する必要はない。どんな個性の生徒でも受け入れられるようにすべき」という意見がありましたが、明石総選教師と横山教授とのバトルを書き留めるのに必死だったのであまり書いてません。このくらいの紹介でお赦しください。

 それにしても総選を守る会(某サヨク系偏狭思想組合)の人数少なかったなあ。実は、私、サヨクが100人くらい押し寄せて来るんじゃないかと心配していたのです。歴史教科書問題の時みたいに全国からサヨクが集結して妨害行為をするんじゃないかと思っていたのです。所謂「プロ市民」っていうヤツね。

 でもそんな心配することはなかった。な〜んだ、この程度か。笑わしてくれるぜ。賃上げ闘争とか、(地方公務員法違反である)政治活動で忙しいんじゃないかい?それだけやってりゃいいんだよ。(やっさん)


(5) 主婦らしき女性のご意見

「男性ばかり発言しているので、女性の立場として」と言う女性。自分も総選で育ち、子供も明石総選に行ったというお母さんだそうです。以下要約します。

 中学の時に数学があまり出来ていませんでしたが、明石総選のおかげで高校に行くことができ、そこで一からやり直した。単選であれば出来たかどうかわからない。努力を否定するわけでないですが、努力しても報われないこともある。総選で努力しなくても高校に行け、進学組の子とも接したりすることが出来てよかった。

 優しいお母さんという感じですね。一からやり直したと言ってますがホントに?ホントかなあ? それと言っておきますが、これは女性代表の意見でも何でもありません。私の母親など私が小さい頃から「大学に行かなアカン」「勉強で討ち勝て」と私に教えていました。子供は絶対、大学まで行かせないとと思っていたようです。これが大多数の女性の考えです。そして私は母親の希望通りの大学(国公立)に行きました。

 このお母さんに言うわけでないですが、「子供がアホなので総選のおかげで受験が楽でよかった」「総選のおかげでアホが隠せる、単選地区のように底辺校に行ってバカにされずに済んだ。」と言う人がいるとすれば、それは大きな間違いです。

 総選の当初の目的は「新設校の育成」「高校同士を同じスタートラインで競わせる」のが目的でしたから。公家氏も「アホでも高校に行ける制度というイメージがついてしまった」と言っていますが、そう思うとすれば、これは総選の悪用です。(やっさん)


(6) 若いカジュアル男性のご意見

 会も終わりに近づいた頃、最後の意見ということで横山教授の求めに対し、最後に良いこと言う人がいました。以下要約します。

 明石の高校から大学を受けて落ちて浪人した。そして予備校に行ったが、そこで感じたは、高校教師と予備校教師との情熱の差。格段の差があった。高校教師が頑張るのなら総選を続けてもよい。高校教師がダメなら総選を廃止せざるをえない。

 このシンポジウムの結論をこの意見が象徴しているように思います。結局、制度が何であろうと(高校内部の教育システムも含めた)教師の資質が向上すればなんとでもなるということですよ。でもそれが難しいから…(以下略)ってことですね。(やっさん)

というわけで、シンポジウム閉会。

 いやあ、おもしろかったね、参加者が少なかったのは残念だったけど。私は総選は必ず廃止されると確信しました。明石市の腹つもりは決まっている。このシンポジウムはその時に向かう通過儀礼に過ぎない。いや、儀礼だなんて言って申し訳ない。明石教育委員会のみなさんは本当によくやってくれたと思います。最後に重ね重ねお礼を申し上げ当レポートを終了したいと思います。(やっさん)


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