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社会保険労務士田村事務所        事務所便り  『のぞみ』               平成17年5月号

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労働保険の強制加入の強化                       

厚生労働省は2005年度から、労働保険(雇用保険と労災保険の総称)に加入していない事業所を強制的に加入させる「職権適用」の強化を決めました。

労働保険は、パート、アルバイトを含む労働者を1人でも雇っていれば、その事業主は加入手続きを行い、労働保険料を納付しなければならないことになっています。

保険料の負担は、労災保険料が全額事業主負担で、雇用保険料は労使折半での負担ですが、コスト負担を嫌うことや事業主の認識不足から、労働保険の加入手続きをしていない中小・零細企業が少なくないという現状があります。

 

◆事業主が労働保険の加入手続きを怠っていた場合

事業主が労働保険の加入手続きを怠っていた場合であっても、社員が失業や事故にあった際には一定の給付を受けることが可能です。

ただし、故意または重大な過失により加入を怠っていた事業主に対しては、2年間さかのぼった保険料の徴収に加え、罰則として10%の追徴や労災保険給付に要した実際の費用の一部を請求されることになります。

 

◆未加入事業所の洗い出し

厚生労働省では、現在約2,000人が労働保険の加入促進や徴収業務にあたっていますが、新たに100人の非常勤職員を各地の労働局に配置して、未加入事業所の洗い出しを強化する方針です。

新たに配置される100人には、制度に詳しい社会保険労務士などを「適用指導員」として採用し、地域の業界団体などと協力して未加入事業所の把握や加入指導にあたることになります。

 

◆それでも加入を拒み続けた場合

度重なる指導や立入検査にもかかわらず、加入を拒み続けた場合には、従業員20人以上の事業所を中心に「職権適用」を発動し、職権で加入手続きをさせて保険料を徴収する方針です。

さらに、200510月からは労災保険の未加入に対する事実上の罰則も強化されます。加入指導に応じない悪質な事業所で労災事故が発生した場合には、現状では労災保険給付額の4割を徴収していますが、これを全額負担に改めるということです。

例えば、死亡事故の場合の遺族補償一時金は、賃金の1000日分が支給されますが、この全額負担となると、賃金が10,000円の労働者の場合で1,000万円を負担することになってしまうのです。

 

   この「職権適用」の流れは労働保険だけでなく、厚生年金保険の未加入問題についても検討されています。社員にとって老後の生活がかかっている年金問題だけに、より厳しい処置が予想されます。

 

政府管掌健康保険の保険料を

都道府県別へ                

厚生労働省は、中小企業のサラリーマンとその家族らが加入する政府管掌健康保険の改革案を発表しました。それによると、同省は、現在社会保険庁が行っている政府管掌健康保険の運営を切り離し、労使の代表でつくる新たな公法人に移行させる方針のようです。

政府管掌健康保険は加入者3,600万人で、公的医療保険では4,600万人の国民健康保険に次ぐ規模だけに、改革案が成立すれば大きな影響が予想されます。

 

◆地域格差の拡大

政府管掌健康保険の保険料率は全国一律で年収の8.2%の労使折半となっていますが、改革案によると、地域ごとの医療費に応じて都道府県別に保険料率を設定することになります。

厚生労働省の試算では、保険料率が最も高くなるのが北海道の8.7%で、最も低いのが長野県の7.5%になり、年間数万円の地域格差が生じるということです。

保険料率について国は上下限を設定するだけで、各都道府県が医療費抑制に取り組めば、その地域の保険料は下がるため、厚生労働省としては医療費抑制につなげたい考えのようです。

 

◆医療保険の種類

日本では、「国民皆保険制度」をとっているため、すべての国民が何らかの医療保険制度に加入し、万一の病気やけがに備えることになっています。職場で加入する被用者保険(公務員等を対象にした共済組合や政府管掌健康保険、大企業等を対象にした組合管掌健康保険など)に加入していない場合は、国民健康保険に加入することになります。

被用者保険も国民健康保険も一部負担金は、以下のとおりです。

 

3歳未満

3〜69

7074

2割負担

3割負担

1割〜2割負担

※ 75歳以上の方は老人保健制度の対象となり、1割〜2割負担となります。

 

◆医療費の流れ

「国民皆保険制度」のおかげで、病院にかかっても、窓口で健康保険証を提示するだけで、一部負担金のみの支払いで医療を受けることができます。

実際にかかった医療費のうちの一部負担金を除く費用を、病院が“レセプト”という形で審査機関を経由して保険者に請求し、保険者が病院に支払っています。

また、1カ月にかかった医療費が一定額を超える場合には、高額療養費が保険者より支給されます。

 

退職金の受け取り方                          

第二の人生の貴重な財源である退職金ですが、税制適格年金の平成24年の廃止が決定しているなど、企業が制度の見直しを進める中、どのように受け取れば退職者に有利なのか、その判断が難しくなっています。どの受け取り方が得なのかについては、税金や自らの生活設計など、考慮すべき材料が多くありますので、人生設計を確認しながら、自らで判断するしかありません。

 

 

 

◆退職金とは

退職金は給料とは違って労働の対価ではないため、使用者にとって支払う義務はありません。また、退職金について、法律上必ず支払わなければならないという規定ありません。就業規則等で定め、支給基準が明確にされている場合に、労働条件の1つとして保護されるものです。

 

◆退職金の性質

退職金は本来、使用者が任意に恩恵的に支給するものであるので、はじめから退職金制度がなければ、退職金の支払義務は発生しません。

退職金の性質としては一般的に「功労報償」、「賃金の後払い」、「老後保障」という考え方があるとされています。

 

◆一時金で受け取る

退職金を一時金で受け取ると「退職所得」として勤続年数に応じた控除を受けることができ、控除された金額のさらに1/2に対して税率がかけられます。また、控除を超える分についても他の所得とは分離課税されます。退職金の性質を考慮し、税制面ではとても優遇されていることがわかります。

 

◆年金で受け取る

退職金を年金で受け取ることができる企業年金制度を取り入れている企業は多くありますが、年金制度があっても、一定の条件を満たさなければ受給できないなどの要件が定められている場合がありますので、自社の制度を事前によく確認しておく必要があります。

年金形式で受け取ると、国民年金や厚生年金などと合わせて、公的年金等控除を超える分については、雑所得として課税されます。なお、再就職などで収入があれば、額に応じて税率が上がることもあります。

 

数年前までは、“長い目でみれば年金で受け取る方が得”というのが常識でしたが、年金換算率(原資を運用する際に会社が保証する利回りのこと)を下げる企業が増え、一概にそうは言えなくなってきています。

 

5月の税務と労務の手続

[提出先・納付先]

10

○源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

○雇用保険被保険者資格取得届の提出(前月以降に採用した労働者がいる場合)[公共職業安定所]

○労働保険一括有期事業開始届の提出(前月以降に一括有期事業を開始している場合)[労働基準監督署]

20

○労働保険の今年度の概算保険料の申告と昨年度分の確定保険料の申告書の提出期限(年度更新)[労働基準監督署]

○労働保険料の納付[郵便局または銀行]

31

○自動車税の納付[都道府県]

○健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]

○日雇健保印紙保険料受払報告書の提出[社会保険事務所]

○労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]

 

 


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                                       所長  特定社会保険労務士 田村 幾男


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