社会保険労務士田村事務所 事務所便り 『のぞみ』 平成17年8月号
公的年金と税金
平成16年度の税制改正によって、公的年金等の源泉所得税について次のような改正がなされました。この改正は平成17年に受け取る公的年金等から適用され、これまでと年金額が同じでも所得税が増額される場合があります。
◆主な改正点
所得者本人が65歳以上で、かつ、合計所得金額が1,000万円以下である場合に適用されていた老年者控除(50万円)が廃止されました。
65歳以上の人に対する公的年金等控除が縮小され、源泉徴収を要しない公的年金等の収入限度額が引き下げられました。
公的年金等の支払いの際に源泉徴収される税額の計算において、その支給額から控除される控除額(基礎的控除額および人的控除額)が一部引き下げられました。
◆公的年金からの源泉徴収のしくみ
公的年金等の収入金額から一定の控除額を差し引いた額に10%をかけた税額が源泉徴収されます。このとき控除されるのは公的年金等控除、基礎控除、配偶者控除などの一部のみです。社会保険料、生命保険料や医療費控除は実際に支払った額を控除するため、年末にならないと控除額が確定しません。
公的年金収入−(公的年金等控除+各種所得控除)=課税所得
◆税額の精算方法
社会保険料控除や公的年金等控除などの各種控除額の合計額が年金額を上回る場合、課税所得は発生しません。ただ、公的年金等の所得はサラリーマンのように年末調整の対象になっていませんので、源泉徴収された税額との差額は確定申告をして精算することになります。
高齢者の医療制度改革
本格的な高齢化社会を迎え、医療費の3分の1を占める高齢者医療費をどう抑えるかが
最大のポイントとなっています。厚生労働省の推計によると平成16年度の約11兆5000億円から平成37年度には34兆円に膨らみ、医療費総額のほぼ半分を占める見通しとなっています。
◆現行の高齢者医療制度
現行の老人保健制度では、72歳以上(2007年10月までに75歳以上へ引上げ)の患者は保険料の負担はなく、医療機関窓口で原則1割(高所得者は2割)の一部負担金を支払うことで医療を受けることができます。医療費は健康保険組合や国民健康保険など各医療保険制度からの拠出金が58%を占め、残りを税金でまかなっています。そのため誰が医療費を負担しているのかが見えにくく、医療費の抑制が難しくなっています。
◆主な改革案
政府は2006年10月までに高齢者医療費の公費負担を30%から50%に引き上げる方針を決めています。しかし、公費負担を増やすことで今まで以上にコスト意識が低くなることも考えられます。そこで政府は、お年寄りにも保険料を負担してもらうことでかかるコストを意識させ、医療費を抑制しようと考えています。また、医療機関窓口での患者負担を引き上げることも検討されています。
医療費を支払う側の健康保険組合連合会は、患者の負担割合を原則2割(高所得者は3割)への引き上げることを求めています。また医療費の膨張によって保険料の負担が増えるのを恐れる日本経団連は、入院2割、外来3割への引上げを提案しています。
一方、患者の窓口負担が増えることによって、受診が控えられることを避けたい日本医師会は、高齢者から1割の窓口負担と1割程度の保険料を徴収し、残り8割を税金で賄うことを主張しています。
新たな高齢者医療制度の対象年齢もさまざまな思惑があり、意見が分かれています。
政府は75歳以上が入る新しい保険をつくり、すべての高齢者から保険料を徴収する方針をすでに決定していますが、経団連や健保連は年金や介護保険の給付年齢に合わせることが合理的であると、65歳以上を主張しています。現役世代の保険料の4割が高齢者のための拠出金と消えてしまうため、新保険の対象を65歳以上として税金を投入すればそのぶん現役世代の負担を軽くできるというのが本音のようです。
政府は来年の通常国会への法案提出を目指し、厚生労働省は年内に具体案をまとめる予定ですが、制度の運営を誰がするのか、負担をどのようにするのかなど意見の対立する
問題が山積みで調整は難しいでしょう。
8月の税務と労務の手続
「提出先・納付先」
10日
源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>
[公共職業安定所]
労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>
[労働基準監督署]
20日
勤労青少年旅客運賃割引証交付申請書の提出期限[労働基準監督署]
31日
個人事業税の納付<第1期分>[郵便局または銀行]
個人の道府県民税・市町村民税の納付<第2期分>[郵便局または銀行]
労働保険料の納付<延納第2期分>[郵便局または銀行]
健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
日雇健保印紙保険料受払報告書の提出[社会保険事務所]
労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所 ]
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所長 特定社会保険労務士 田村 幾男
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