社会保険労務士田村事務所 事務所便り 『のぞみ』 平成17年9月号
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65歳以上の扶養家族の健康保険料
徴収へ
厚生労働省は高齢者の医療制度改革として、2008年度から75歳以上のすべての人が保険料を払う新たな高齢者医療保険制度の創設をめざしています。その一環として、現在は健康保険料を負担していない65歳から74歳までの会社員の扶養家族からも保険料を徴収する案を検討しています。同省は受益と負担の公平を保ち、医療費を賄っていくには高齢者の応分の負担が不可欠と判断しているようです。
◆現在の高齢者医療制度
現在は会社員が入る健康保険組合・政府管掌健康保険の保険料は会社員本人だけにかかっています。扶養家族は保険料を支払わず、医療にかかる給付の負担は保険料を納める会社員が分担する仕組みとなっています。一方、国民健康保険には扶養家族というシステムがないため、自営業者などは夫婦別々に保険料を支払わなければなりません。会社を退職し、扶養してくれる家族がいない場合も同様です。
◆政府の見直し案
2007年度の推計では65歳から74歳までの「前期高齢者」は、国民健康保険の加入者が約1,100万人、被用者保険加入者で保険料を負担する人が約130万人で、現在保険料の負担がない扶養家族が約170万人となる見込みです。
政府が新たに徴収対象としているのは、前期高齢者のうちの扶養家族についてです。扶養家族を持つ会社員の保険料に上乗せして徴収する案が有力で、64歳以下の扶養家族については、子育て世帯などに配慮し今まで通り保険料の負担を求めません。
扶養家族の中でも前期高齢者は年金収入があるため、平均所得が年100万円弱と64歳以下の約4倍あり、一人当たりの医療費給付は全体平均の4倍近くあります。また、75歳以上の「後期高齢者」が入る新しい保険制度をつくり、保険料を徴収することなどから現在は保険料を負担していない「前期高齢者」の扶養家族からも保険料を徴収する考えのようです。
厚生労働省は、年末までにまとめる政府・与党案に前期高齢者の負担見直しも盛る考えで、来年の通常国会への関連法案提出をめざしているようです。
ライバル会社への転職を阻止できる?
雇用環境が大きく変わる中、転職も珍しくなくなっています。転職に際し、これまでの知識や経験を活かすためライバル会社へ転職される方も多いのではないでしょうか。職業選択の自由は憲法で明示された権利ですが、会社としては営業秘密や顧客を奪われるようなことがあると損害を被るため、裁判所は退職後についてもライバル行為を行わない旨の義務を課すことを一定の要件があれば認めていて、ライバル会社への転職を規制することができます。
◆競業避止義務とは
一般的には在職中は会社に対し、企業秘密をライバル会社に漏らすなどの行為が許されない競業避止義務を負っているとされます。この考え方を発展させ、特別な労働契約をあらかじめ結ぶことで退職後にも競業避止の義務を負わせることができます。
会社は資産を守るため、適切かつ必要最小限度の範囲で職業選択の自由に規制を設けることは許されると考えられています。具体的には職種の制限や、退職後一定期間はライバル会社での勤務を認めないといった規制です。これに違反して強引にライバル会社へ転職すれば退職金を支払わないなどのペナルティを課すことができます。
また、会社の資産を退職者が転職の際に意図的に持ち出せば、損害賠償請求の対象になる可能性もあります。
◆退職に関する特約の例
退職の際のトラブルを防止するためにも、就業規則によって次のような取り決めをしておくとよいでしょう。
・在職中に扱った書類、伝票、帳簿などを返却する
・貸与されたパソコンやフロッピーディスク、携帯電話を返却する
・仕事で使っていた個人所有のパソコンから業務情報を削除する
・社内電話番号簿、社員連絡票などを返却する
・在職中に知り得た会社や取引先の秘密・個人情報を漏洩しない
・退職後2年間は競合他社に就職しない
・万一、機密情報や個人情報を漏洩したり、使用した場合には、それにより発生した損害について賠償する
9月の税務と労務の手続
「提出先・納付先」
10日
○ 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
○ 雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>
「公共職業安定所」
○ 労働保険一括有期事業開始届の提出<前月以降に一括有期事業を開始している場合>
「労働基準監督署」
30日
○ 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
○ 日雇健保印紙保険料受払報告書の提出[社会保険事務所]
○ 労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
社会保険労務士田村事務所
〒531-0072 大阪市北区豊崎三丁目20−9 (三栄ビル8階)
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所長 特定社会保険労務士 田村 幾男
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