フリーランスの応援サイト

フリーランスの税金と節税

  フリーランス(個人事業主)が事業をするにあたって関わってくる主な税金には、所得税、住民税、事業税、消費税があります。
それぞれ税金の概要と節税のポイントを記載します。

所得税/住民税

所得税/住民税は事業主の所得によって、課税されます。
課税所得(=売上-経費ー所得控除)が1円以上なら、課税が発生します。
(実際には課税所得や納税額に切り捨ての考えがあるので、少額では納税は発生しない)
累進課税なので課税所得額が大きいほど、税率も高くなります。

 

課税所得によって納税額が決まるので、この課税所得をできるだけ減らすことが節税になります。
そのために、適正に漏れなくしっかりと経費や控除を計上して節税していきます。
経費や所得控除についての、節税ポイントは後ほど紹介します。

間違っても、売上を少なく計上しようとは考えないことです。

立派な脱税です。取引先の帳簿や金融口座から直ぐにばれます。

脱税

 

事業税

事業税は個人の事業の所得に対して、課税されます。
事業主に対する課税ではないので、社会保険控除や医療費控除など事業主の所得控除は摘要されませんが、一律290万円(開業1年未満の場合は月割)の控除が適用されます。
基本的には290万円以上の事業売上がある場合に課税が発生すると考えます。
事業税も所得税などと同じく、所得額を減らすことが節税になりますが、その前に事業税の対象となる「法定業種」が定められています。
事業税の対象となる法定業種
これに自身の事業が当てはまるかどうかというのがポイントとなります。
例えば、エンジニアが請負契約でシステム開発をする場合は、「請負業」となるので課税の対象となりますが、準委任契約で作業を行った売上は、課税の対象とならないことが多いです。
アフィリエイト収入の場合は、「文筆業」と捉えれば課税対象となりませんが、「広告業」となれば課税対象です。
事業税は地方税なので、都道府県が管轄しており、各都道府県の判断となるので、虚偽なくしっかりと事業内容を申告して節税しましょう。

 

消費税

消費税は顧客や取引先から代金を受け取るときに、消費税も一緒に預かって、あとで納税する間接税です。
ただし、受け取った消費税がそのまま納税額になるわけではありません。経費や仕入の支払いの際に消費税を払っている分は、それを差し引いた額で納税します。

例)消費者が1、000円の商品を購入した場合、発生する消費税(10%)は100円です。
 小売店は100円の消費税を受け取っていますが、この商品の仕入れに800円(税込み880円)の仕入れが必要だった場合、既に80円の消費税を支払っているので、差額の20円を納税することになります。
さらにその仕入れ先についても、経費や仕入れで支払った消費税があれば、差額で納税することになります。
消費税はあくまで消費に対して課税されるものなので、製造・流通時の仕入には課税されません。

この差額の計算は大変です。仕入れが課税か非課税なのか、内税か外税かなどを取引毎に管理して差額を出さないといけません。
この方法は「原則課税方式」と言いますが、みなし額で簡単に計算したい場合は「簡易課税方式」を選択することができます。
簡易課税方式は、課税売上が5,000万円以下で、「消費税簡易課税制度選択届出書」を適用する前日までに提出する必要があります。
この方式では、実際の仕入れや経費の消費税額を考える必要はありませ。
事業区分ごとに決められたみなし仕入率を売上の消費税額に掛け算します。
  消費税納付額=(課税売上×10%)-(課税売上×10%×みなし仕入率)
サービス業の場合、みなし仕入率は50%、卸売業なら90%などです。
原則課税方式と簡易課税方式でどちらが節税になるかは実際の仕入れや経費の状態しだいです。

 

消費税の納付は課税売上高によっては免除されます。
課税対象となる「課税事業者」の条件は以下のいずれかです。
①1月1日~6月30日の課税売上が1,000万円を超えると、翌年は課税事業者となる
②①ではなく1月1日~12月31日の課税売上が1,000万円を超えると、翌々年は課税事業者となる
課税事業者となった場合は「消費税課税事業者届出書」を速やかに税務署に届け出る必要があります。

 

課税事業者にあてはまらない場合は、「免税事業者」として納税を免除されます。
(消費税を受け取ることはでき、受け取った消費税はそのまま所得となります。)
開業1年目は必ず免税事業者となることができます。
課税事業者が納付条件からはずれた場合は、「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」を提出して、翌々年から免税事業者になれます。

 

ただし、納付条件に当てはまらない場合でも、あえて課税事業者を選択することもできます。
課税事業者を選択してメリットがあるのは、消費税の還付を受けれる場合です。
例えば、大きな投資をするなどして、受け取った消費税より、支払った消費税のほうが多かった年度は差額の還付を受けることができます。
ただし、原則課税方式を選択している必要があるので注意が必要です。

 

その他租税公課
事業を行うなかで、固定資産税や自動車税、印紙税などが発生する場合もあります。

これらは必要な納税なので、定められた額をきちんと納税しましょう。

 

印紙税は紙で発行された契約文書に課せられる税です。
電子取引に対応できて、電子契約書を発行するようにした場合は印紙税は不要となります。

経費にできるもの/できないもの

  所得を減らして節税するには経費を多く計上する必要があります。
上でも記載した通り、売上を減らすのは脱税です。
本記事の目的は、交通系ICカードにチャージして旅費交通費で計上したものを、ショッピングで使うというようなルール違反の裏技を推奨することはありません。
あくまで、正当な経費を漏れなく計上するノウハウを使って節税するのが目的です。

 

経費は事業を行う上で必要な、備品やサービスにかかる費用です。
ポイントは、事業に必要かどうかは、事業を行っている事業主の主観によるものです。
なぜ経費になるのかをしっかり説明できるものであれば、経費にすることができます。

 

なお、以下に記載した内容は青色申告を前提としてる場合もあるので、白色申告との違いは以下の記事をご覧ください。
青色申告で65万円の特別控除が受けれます!おすすめの会計ソフト

 

衣食

事業主自身の衣食に関するものは経費にできないことが多いようです。

 

よく見かけるのが「スーツは経費かどうか」ですが、結果経費にできないという意見が多いです。
仕事で着る為にスーツを買ったとしても、「冠婚葬祭などで業務以外で着ることもできるから」という理由をよく見ますが、それだけでは正直よく分かりません。
業務用のパソコンを買った場合も、普段も使えるからという理由が当てはまってしまいます。

 

衣服は業務をしてもしなくても必要なものです。なので、業務外でも使えるような服を業務中に着用していても、単に生活の延長で服を着ているだけなので、経費とは認められないようです。
逆に業務するために必ずこの服装が必要というような条件がある場合は、経費になります。
例えば、工事現場のヘルメット、作業服、安全靴や、演劇の衣装、接客用のドレスなど。
スーツに関しても個人事業主の場合は、作業するときに取引先から指定を受け、わざわざ購入したような場合は、経費として認められることもあるようです。
(後で説明する家事按分という考えも適用できます。)
普段でも使うような帽子や眼鏡、鞄、靴などの小物も同じです。
条件があって、業務用に購入したと説明できるものであれば経費にできます。
スーツ

 

食】についても、生活の上で必要なものなので、基本的には経費となりません。
出張先での食事でも同じです。極端な話だと、宇宙にでも行ってどうしても超高価な宇宙食を食べる必要がある、とかなら話は別かもしれませんが。。。

 

喫茶店でコーヒーを飲みながら仕事をした場合のコーヒー代はどうでしょうか?
例えば、「業務中の移動の間に、どうしてもメールを書く必要があり喫茶店を利用した」などの明確に理由を説明できるなら、経費にできるでしょう。
また、ラーメン屋さんの記事を書くために食べたラーメン、なども経費にできるでしょう。
ラーメン

 

ちなみに、取引先との会食などについては、このあとの交際費でお話します。

 

家事按分

】についてはどうでしょうか?
事業専用に事務所を構えている場合、家賃や光熱費はもちろん経費となります。
では、住居で作業を行っているような場合はどうでしょうか?
これには「家事按分」を使って経費に計上できます。
家事按分では、プライベートと事業が混在するスペースで、事業で使用する割合を試算し、費用を按分して経費とします。
按分比率を厳密に出すのは難しいですが、おおよそでも根拠が言える割合を出します。

 

自宅の光熱費

自宅の一部を事業で使っている場合、光熱費の一部を経費とできます。

・電気代の場合は、居住面積のうち業務で使っている部分の割合や、コンセント数の割合など。
・電話代の場合は、通信相手先のうち業務関係の割合や、通話時間の割合など。
・インターネット通信費の場合は、1日18時間の利用のうち、平日8時間は業務に使っているなど。
etc...

水道やガスは実際に事業で必要な業種の場合、使用料などを試算できればよいでしょう。
例えば、居住者以外の従業員を自宅で作業させている場合は、従業員のトイレの使用なども、おおよその水量を算出して按分できます。
電気

 

家賃等

同じく、以下のような費用も面積の割合などを元に経費として計上可能です。

・自宅の家賃
・固定資産税
・住宅ローンの金利
・自宅の火災保険や地震保険
etc...

ただし、生命保険など個人に対する保険や、住宅ローン元本分は経費とできません。

 

車両費

自家用車を事業でも使う場合は、走行距離や使用頻度の割合を出して、経費とできます。

・ガソリン代
・駐車場代
・点検・整備費用や車検費用
・自動車税などの車両関係の租税公課
・自賠責、任意保険などの車両保険
etc...

車両

 

その他
交際費

個人事業主は交際費の計上について、金額の上限が定められていません。
もちろん、仕事とつながっている必要はありますが、取引先の接待や、仕事上の付合いで参加する会合などが対象となります。
また、取引先関係の葬儀に出席した際の香典や、ご祝儀、お見舞金なども交際費となります。

 

尚、こういった場合は、領収書、レシートを入手できない場合も多いです。
その場合は、案内状などが残せる場合は極力残しておき、自身で管理する台帳に「いつ、どこで、だれにどういう経緯でいくら支払った」など細かく記録を残しておきましょう。
宴会

 

減価償却

10万円以上の備品を購入した場合は、固定資産として耐用年数に合わせて減価償却する必要があり、購入した年に経費として計上できる金額が少なくなってしまいます。

 

購入金額が20万円未満については「一括償却資産」を行うことができます。
この場合、3年間にわたって購入金額の1/3ずつ経費に計上できます。

 

現時点では令和2年3月31日までの特例ですが、「少額減価償却資産の特例」として、年間300万円までは30万円以下の備品の購入はその年に一括で経費として計上できます。

 

研修費

業務を遂行する上で必要なスキルを身に付けるために参加したセミナーや研修は、経費として計上できます。
もちろん、会場までの交通費も旅費交通費として計上します。
本を購入した場合は新聞図書費として計上します。
事業とは関係なく、自己啓発などの目的でセミナーに参加したものは、経費とできないのでご注意ください。

 

手数料

仕入れや経費の支払いを振込で行った際、振込手数料は支払手数料として経費に計上します。
では、事業用の口座と個人用の口座間で振込を行った場合はどうでしょうか。

 

個人用口座 ⇒ 事業用口座に事業資金として振込みを行った場合
 事業主借となります。
(事業主借 … 事業主から事業用の資金を借りた負債(資本?))
 振込手数料も事業主借となるため経費となります。

 

事業用口座 ⇒ 個人用口座に生活費として振込みを行った場合
 事業主貸となります。
(事業主貸 … 事業資金から生活用の資金を貸した資産)
 振込手数料も事業主貸となるため経費にはなりません。

 

 

経費と合わせて「所得控除」も節税には重要な要素です。
控除にも数多くの種類が存在するので、こちらの記事を参考にしてください。
個人事業主(フリーランス)が恩恵を受けられる所得控除を知っておくべき