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ROE

○割安銘柄の見つけ方





















ROE

PERとPBRの関係、ROE

会社の設立時を考えてみてください。

今は商法が変わって会社設立時の株価に関する制限がないので
すが、いずれにしても最初は、一株あたり**円といった形で株主が
資本を出し合って会社を設立します。

株主は、この一株あたり**円が増えて行くのを期待します。
その株式が取引所に上場されるまでは、この**円が増えるた
めには、純資産(自己資本)そのものが増えないとだめですが、
上場しますと、純資産が増えなくても市場での評価が上がって
株価が上昇し、株主の資産が増えることもあります。

取引所では売買を通じて株価は、一株当り純資産に対して
プレミアムがついたりディスカウントになったりして形成されるのです。

そこで株価を次のように表現することができます。

株価=PBR×1株当り純資産

PBRが1より大きければ、株価にはプレミアムが付いているとい
うことです。
1より小さい場合はディスカウント状態です。前回、PBRの意味は
実務的には、会社の純資産の「質の評価」だと書きましたが、
質の評価とは純資産に対するプレミアム、ディスカウントの状態で
表され、それがPBRなのです。

現状、東証一部上場銘柄の平均PBRは1.7倍ほどです。平均的に
見て、東証一部上場企業に100万円投資しますと、会社はそれを
170万円くらいあるのと同じ「効率」で事業に使ってくれると
「投資家は見ている」ということになります。

株価が上がることを株主は望みます。会社の一株当り純資産が
増えれば株価は上がる計算ですから、当然株主は会社が利益を
上げて一株当り純資産を増やしてくれることを期待しますが、
短期的に見れば会社の純資産はあまり変動しません。
純資産が変わらなくても、PBRが大きくなれば株価は上がることを上記
の式は示しています。つまり、株価が上がるためにはPBRが大きく
なるのが手っ取り早い、ということになります。

実は、これまでに縷々説明してきたPERとPBRの間には、ある
「重要な」関係があります。

PBR=株価÷1株当り純資産、ですから、式を変形しますと、

PBR=株価×(1÷1株当り純資産)となります。さらに変形します。

PBR=株価×(1÷1株当り純資産)×(1株当り利益÷1株当り利益)
とし、さらに変形しますと、

PBR=(株価÷1株当り利益)×(1株当り利益÷1株当り純資産)、
となります。ここで、PERの計算式を思い出してください。
右辺の最初の値は、まさにPERです。つまり、

PBR=PER×(1株当り利益÷1株当り純資産)となります。
この(1株当り利益÷1株当り純資産)のことを、ROE(自己資本利益率)
と言います。
純資産(=自己資本)に対する純利益の割合だからです。
つまり、PBRは次の式で計算されるのです。

PBR=PER×ROE

ややこしい式の変形にお付き合いいただいてありがとうございます。
いずれにしましても、PBRとPERの間には、ROEを介して関係がある
ということです。
株価の市場のおける、1株当り純資産に対するプレミアムとか
ディスカウントとかの「評価=PBR」を決めるのは、PERとROEだ、
ということです。

株価=PBR×1株当り純資産、ですから、PBR=PER×ROEを
代入しますと、株価は次の式で表されることになります。

株価=PER×ROE×1株当り純資産

1株当り純資産が一定として、株価が上がるためには、
「PERが大きくなるか」、「ROEが大きくなるか」、
「またはその両方が大きくなるか」すれば良い、ということです。
(より厳密に言えば、一方の数字の大きくなり方が他方の数字の
変化を上回って大きくなれば良いということです。)

すでにPERの解説のところで説明しましたように、PERは
「利益の成長性が大きければ大きな数字」が正当化されます。
投資家が将来の利益増を期待して株価が上がるからです。さらには、
ROEは、純資産に対する純利益の割合が大きくなれば、
大きな数字となります。

つまり、株価を上げるためには、「利益の成長性を高める」か、
「純資産に対する純利益の割合を高めるか」か、
「そのどちらも達成する」かすれば良いということになるのです。

PERは市場における投資家の評価として決まります。会社の経営者
が決められる数字ではありません。しかしながら、ROEの向上は
企業活動における経営者の努力で達成可能です。したがいまして、
株主は経営者に対してROEの向上を求める、このことが株主の
期待の第一義となるのです。経営者に株主が求めることは
「ROE向上の一点」にある、と言っても良いのです。

ROE=純利益÷純資産、ですから、これを変形しますと、

ROE=純利益×(1÷純資産)×(売上高÷売上高)
  =(純利益÷売上高)×(売上高÷純資産(=自己資本))
  =売上高利益率×自己資本回転率
となります。

つまり、ROEを向上させるためには、「売上高利益率を高める」か、
「自己資本の回転率(少ない自己資本でどれくらいの売上を上げた
かということ)を大きくする」か、「両方とも達成する」かすれば良い
ということになります。

自己資本回転率を上げるためには、
自己資本回転率=売上高÷自己資本=売上高×(1÷自己資本)
ですから、これに(借入金÷借入金)を掛けて・・・・

もうこれ以上は止めにしておきます。ご興味あれば、ご自分で式を
作ってみてください。いずれにしても、自己資本というものは、
大きくするだけが能ではありません。借り入れをうまく使う
(財務レバレッジを掛けると言います)、それも手です。

売上げマージンの拡大努力と、資産の回転率の向上、これがROEを
向上させるために必要なことなのです。

それから、自己資本回転率を上げるためには、売上を大きくする
ほかに、自己資本を小さくするという手もあります
(財務レバレッジの活用)。新興市場の会社のROEは高いのが普通
ですが、往々にしてこうした会社は自己資本が小さいことがROEの
高さにつながっています。

これは財務戦略の結果ですから何とも言えません。
回転率を上げるために自己資本を小さくしておく、というのは必ずしも
株主から見ますと好ましいとは限りません。
必要十分な自己資本を確保した上で高い自己資本回転率を達成し
てもらいたい、というのがふつうの株主の期待でしょう。

いずれにしましても、ROEを大きくする努力を株主は経営者に求める。
それはROEが向上することで株価が上昇するからである。こんな風
に考えることができるのです。

世のため人のためにより良いモノとサービスを供給する、
というのも立派なビジネスの理念ですが、株主の利益を極大化する
という目標を掲げてそれを実践する経営者を社会は
高く評価するのです。






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