感じて楽しむ合唱

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 「声の話」と「いい声を作ろう」は、合唱のための声を作る練習方法の章でした。 ここからは、いよいよ合唱を楽しむための章です。 この「声を合わせよう」は主に合唱をするための基礎技術をまとめてあります。

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1.首振り歌い

 歌っていると、いつの間にか力が入り体や首が堅くなって声が出にくくなっていることがよくあります。 その時の特効薬です。首を水平に左右に振りながら歌ってみましょう。 ところが、やってみると動かしながら歌おうとしても動かせなかったり、動きが一様でなくぎこちなくなったり、途中で一旦止まってから また回りだしたりします。これは全て、どこかに余分な力が入っていてリラックス出来なくなっているからです。 この力みが声を出にくくしています。この練習をする時には、声が小さくなったり、かすれた感じで出てもいいので、 スムーズに動かしながら歌えるようにしましょう。 この時のスムーズに動いて歌えている体やノドの状態が、いい声の出発点になります。

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2.糸を巻き巻き

 伸びのない声への対処方法です。声が伸びていないときの原因として、息の使い方が十分でない場合に大変効果があります。 まず、握りこぶしを作って、その握りこぶしが上下に重なるよう、腕を体の前に曲げます。そうしておいて、 その握りこぶしを回してみましょう。これが、「糸を巻き巻き」です。この運動をしながら、歌います。 なんと、声が伸びていきますよ。これも体が硬くなってリラックス出来ない状態で、息の流れを阻害しているのを開放するものです。 ただし、これを行うときは、歌う本人は腕を回すことに気が集中して声が変わったか分からない場合がありますので、 誰かに聞いてもらいましょう。また、この方法で声を出すと、息を送り続ける効果があるので、息が少ししか出ない、 息を出し続けるのが苦手な人にも効果を上げます。

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3.続、リラックスの方法

 「いい声作ろう」でリラックスした姿勢の話をしました。しかし、歌っているうちに力が入り、体や首が堅くなると、 声は出にくくなります。それを防ぐリラックス方法の続編です。 ノドが十分に開いていない場合などに、首の筋肉に力が入り、顎を必要以上に引き下げたり、反対に顎が上がっていく現象が見受けられます。 こんな場合には、歌っている時に、顎を引き過ぎるなら「おでこを押してやる」、 顎が上がっていくなら「顎を押してやる」ことで、その緊張を解きほぐすことが出来ます。 つまり、力の入ってる逆の方向に、動かしてやるといいのです。このことで、自分がどんな風に力が入っているのかが分かり、 力を抜くコツが分かります。

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4.続々、リラックスの方法

 上体に力が入っている場合のリラックス方法です。といより、発声法に注意を払うようになると、 その発声法を実践するために力を入れてしまいます。その「りきみ」によって、上体に力が入っている場合はよくあることです。 この「りきみ」を取る方法は、体を前に倒し、前屈して歌う方法です。 腹式呼吸のための腹筋も力を抜き、手もぶらぶらするくらい力を抜いて、前屈しながら歌ってみて下さい。 これで案外、声がよく出てきます。この力の抜けた状態を覚えて、元の姿勢に戻した時に使ってみてください。

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5.母音を合わせる

 合唱メンバーに、一人ずつ順番に「ア」の母音を発音してもらいましょう。「ア」、「アー」、「アゥ」、「アッ」などと、 いろいろな「ア」が聞こえるはずです。日本語の母音は、基本的には「アイウエオ」の5つで、「ア」の母音は一つですが、 国が変わるといろいろな音が存在するのです。日本語でも「あかい」の「あ」と「あおい」の「あ」は、次にくる言葉の違いにもより、 厳密に言えば異なっているといっていいでしょう。まず、母音は5種類だけではない、 いろいろな母音があるということを認識することが第一歩です。 その上で、そのいろいろな母音が発音できるようになり、理想的には、それらの母音がきれいに合うようになれば良いのです。 が、それには口の形をコントロールする、声が響く位置を変えるなどいろいろな技術が伴ってこないとすぐには実現しません。 だから、まず、例えば「あ」の母音が一つではないことを理解し、自分の出している母音がみんなと同じかどうかを聞きあう姿勢を作りましょう。 そして、練習のときに同じ母音をイメージして出す努力をすることが、母音を合わせる第一歩です。

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6.母音を混ぜる

 「母音を混ぜる」とは、例えば、「あ」に「え」を、「お」に「う」を混ぜるなど、 異なった母音を混ぜて声を出すことです。 これにより、いろいろな母音や中間母音などの感じがつかめて、母音を合わせる時に大変役立ちます。 また、声を出した時の音色を合わせることも、コントロール出来るようになります。特に、外国語の曲を演奏するときには、 必要になるテクニックです。日本の演歌歌手の練習にさえ、例に出した「あ」と「え」を混ぜた発音で歌うというような練習があるそうですので、 合唱の練習でも、この練習を取り入れて、いろいろな母音をうまく出せるようしていきましょう。

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7.子音を合わせる

 子音を合わせるには、その一つ一つの子音について考えていく必要があるのですが、 ここでは、あわせにくい子音が出てきた時にどう合わせていくかにポイントをしぼります。 一つ目の子音を合わせるためのコツは、息のスピードです。 しゃべる時と歌う時では、 子音を出すための息のスピードは違います。たいていの場合、子音をきれいに歌うためには 息のスピードを上げる必要があります。 しかし、しゃべる時に使う息のままで発音している人が混ざっていると、子音のばらつきとなって出ます。息のスピードを合わせる練習をするわけですが、 具体的には、詩を読む練習です。単に読んで合わせるのではなく、息のスピードを合わせること主にしましょう。 二つ目のコツは、唇の動きです。子音を合わせるための練習の時に、 一生懸命唇を動かそうとして、かえって力が入り、 うまく動かなくなっている場合があります。すばやく動かす必要のある場合こそ、リラックスして 唇のまわりの筋肉を柔らかく使うようにしないとうまく動きません。 どんな子音の時にも、唇は柔らかく使いこなせるよう練習しましょう。

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8.発声と発音

 実は、これは永遠の課題といってもいいものです。練習を始めたばかりのころは、この二つのことは相反するような状態におちいります。 具体的には、気持ちよく発声ができるようになると、発音が不鮮明になる。逆に言葉をちゃんと聞こえさせるように歌うと、 声の出し方が変、と言う現象です。発音と発声をうまく両立させることが出来るようになるには、練習をある程度積み重ねる必要があります。 この原因は、言葉をはっきりさせるためには、しゃべっている時の声の出し方が出てきて、ノドが開かなくなるからです。ノドを開くと発音が悪くなる、 発音を良くしようとするとノドが閉まる、またノドを開こうとすると発音が悪くなるという、悪循環が断ち切れないからです。 練習するときの心構えとして、初心者のうちは発声を優先させましょう。 発声がよくなったら発音に気をつける、すると、発声のバランスが悪くなるので、また発声の練習をする、 というように、一歩一歩進んでいきましょう。もう一度言いますが、この両者がうまくバランスが取れているかは、 どんなに経験を積んでも常にチェックしなければいけない課題です。

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9.ハーモニーと母音

 発声練習で声の出し方がよくなり、音程の取り方がよくなってきたのに、「ハーモニーを作ってみると、余りよく合わない」、 ということが起こります。ただ、何度も練習しているうちに合ってくる場合もあるので、この現象は見逃しがちです。 しかし、そのまま見逃していると、同じ和音なのに歌詞が違ったら合わなくなるというようなことが起こるので、 この現象はきっちり意識しておく必要があります。この音程が良くてもハーモニーが合わない現象は、 音色が合っていないことが主な原因です。そして、その音色を合わせるために大切なことは母音の歌い方です。 練習を重ねていると、知らず知らずに母音がそろってきて合うではなくて、本当の美しいハーモニーの得るためにも、 また音楽作りのためにも、母音をきれいに合わせる練習を取り入れておきましょう。

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10.長く伸ばす音

 同じ音を長く伸ばしていると、音程が不安定になる場合があります。これを安定させる方法です。 飛行機の乗ったことがあるでしょうか。飛行機に乗っていると、機体の前方を少し上げて飛行しているのが分かります。 水平飛行をしている飛行機は、揚力が必要なので、機体の前方を少し上げて角度をつけて飛んでいます。 機体を完全に水平にして飛ぶと、機体の重力で少しずつ高度が下がっていくのです。長く音を保つ時はこれと同じ考え方をしましょう。 つまり、伸ばしているあいだ、音程を少し高めにしようとする意識がないと音程が下がったり ゆれたりしてしまいます。音程を少し高めに感じ続けることによって、音程は安定します。

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11.中間母音を歌おう

 「母音を合わせる」の項で、「母音は5種類ではない。いろいろな母音がある」ということを書きました。 その、いろいろある母音を歌うための基礎練習方法です。日本語のアイウエオの母音から、他の母音に母音の種類を広げてみます。 練習方法は、イエアオウの順番に母音を歌っていきます。 ただし、「イからエ」、「エからア」….と、母音を変える時に、どこで次の母音が変わったのか分からないように 歌ってみましょう。これが、中間母音の練習です。まず、2つの母音の間にあるいろいろな母音を試して見ましょう。 練習のときの注意として、エイは口を横にひきながら、オウは口を丸くしながら歌ってください。 これで、日本語の5種類のアイウエオという母音だけではない、いろいろな母音のニュアンスをつかんで下さい。

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12.発音を合わせる

 発音を合わせる時によく言われるのは、言葉を合わせるということです。たしかに、合唱曲には歌詞があり、 どんな言葉で歌い始めるのかによって、言葉を合わせるタイミングの取り方は違ってきます。ただその基本は簡単です。 母音が拍のちょうど上(このことをオンビートといいます)で鳴るように、子音を前に出して合わせることです。 子音を拍の前に出すわけですが、それぞれの子音によって出し方が異なるし、また、少しぐらいなら、 ずれた方がニュアンスはよく伝わる場合があります。このことを細かく書き始めると一つの項目では収まらないので、ここでは、 ブレスの問題だけを取り上げます。人の声は、出せば自然に合うように思いがちですが、案外、何も意識せずに声を出したのでは合わないものです。 それは、しゃべる声を聞いても、早口の人・ゆっくりの人、人それぞれで、同じタイミングでしゃべっているわけではないですからね。 ですので、発音を合わせるには、声を出す前の準備の時から合わせる必要があります。声を出す準備、つまり、 同じブレスをして声を出すようにしましょう。出だしを指揮者の動きに合わせようなど注意するより、 みんなで一緒に同じ息をして音を出す練習をした方が、発音は合わせやすくなります。

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13.和音を合わせる

 ピアノの音は平均律ですが、歌う声は純正律です。ですから、ピアノの音で正確な音程を取って和音を合わせても、きれいには響きません。 平均律と純正律の違いは次の項目で書きますが、ここでは基礎編としてピアノを使って長3和音(たとえば、ドミソの和音)の 純正律の響きを得る方法を書いておきます。よく、ドミソの順に音を重ねて和音を合わせようとしますが、この順ではソの音が入ってきた瞬間に、 ミの音が不安定になります。問題になるのは、ミの合わせ方です。まず、和音の構成ですが、 ドミソのドにあたる音を、和音の基礎となる音ですので、根音と言います。それから、3音上のミにあたる音を第3音、 5音上のソにあたる音を第5音といいます。平均律での根音と第5音の関係は純正律になっても、ほぼ変わりません。 ですから、まずこの根音と第5音を合わせましょう。これは、ピアノで音を取って大丈夫です。 互いの音を取っておき、根音・第5音の順に音を重ねて合わせます。その重なりの中に、第3音を入れます。 この時、出来るだけピアノなしで音をはめて見ましょう。うまくいくコツは、少し根音や第5音より弱く音を出すことです。 数回、この練習を繰り返し慣れて見ましょう。どうしても、うまくいかない時には、第3音をピアノで取ってから歌えばいいのですが、 この時きれいに合うためには、第3音を少し下げないといけません。(半音の約1割強ほど下げるといいのですが)何度か練習して、 コツをつかめば、とても気持ちよく、和音として響きます。

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14.純正率と平均率(1)

 少しややこしい話です。でも、よく響いた音程を作るためには、とても大切な話です。「音程」、言い換えると、音の高さの幅は、 弦の長さの比で表されます。長い弦は低い音、短い弦は高い音が出ます。これを、弦の長さに比で置き換えると、2本の弦を張り、 その長さを1:2にすると、1オクターブ離れた音程が出ます。簡単に言うと、1:2は「ド」と「ド」の音です。同じように、 2:3は「ド」と「ソ」。3:4は「ド」と「ファ」というようになります。 (詳しい証明は長くなるので、インターネットで「純正律」や「純正調」、また「平均律」を検索すると、詳しく説明されたサイトが見つかります。) これを元に、「ドレミファソラシド」の音階を作ります。しかし、こうして作った音階の、それぞれの隣の音の幅を計算すると、 「ド」と「レ」の音程幅と「レ」と「ミ」の音程幅が少し違ってくるのです。 このことは、大変、困ったことを起こします。つまり、「ド」から始まる音階と「レ」から始まる音階を比較すると、 最初の音程幅が違った音階が出来上がることになります。

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15.純正率と平均率(2)

 これでは、「ド」から始まるハ長調の曲を演奏する時と、「レ」から始まるニ長調の曲を演奏する時では、その調に合わせて調律を変える 必要が出てきます。ピアノで演奏する場合、曲の途中で転調するような場合には、2台の調律を変えたピアノでも使わない限り演奏できません。 この現象を解決するために考案されたのが、平均律です。 つまり、オクターブの12個の半音がほぼ均等になるようになるようしてあります。 このことによって、あらゆる調に対応できます。しかし、声の響きは(1)で述べた弦の比で出来る音程 (純正律)によって、初めてうまく響き合います。ですので、伴奏で声を支えてくれるピアノの音程と、 歌う時の声の音程は微妙な差なのですが、異なっています。

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16.純正率と平均率(3)

 しかし、平均律のピアノの音に比べて、全ての音について、修正が必要な程ずれているのではありません。和音を作るときに大切になる5度は、 両者のずれはほとんどありません。しかし、「13 和音を合わせる」でも書いたように、第3音には注意が必要です。 ピアノの音より、長三和音の第3音は低めに、短三和音の第3音は少し高めすると、 純正律の音になります。また、七の和音の第7音も低めにする必要があります。その変化の割合を数字として表すと、 ピアノの半音の約1割ほど、高低を変える必要があるのです。ただ、数字で理解できても音は合いません。 練習によって、純正律で和音をはめる耳を育てていって下さい。

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17.純正率と平均率(4)

 平均律の半音を100とした、「セント」と呼ばれる音程を表す単位があります。半音が100なので全音(1音)は200。 1オクターブは12半音だから1200になります。この単位を使って、平均律と純正律でどれくらい差があるかを示したのが、次の表です。 純正率と平均律の差を知る参考にしてください。(「差」の欄には、より詳しい数値を上げてあります。)

 
ファ
平均律 0 200 400 500 700 900 1100 1200
純正律 0 204 386 498 702 884 1088 1200
0 +3.5 -13.7 -2.0 +2.0 -15.6 -11.7 0


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18.母音の話(1)「あ」

 日本語の母音の最初の音で、発声練習でもよく使われる母音ですので、大多数の人が歌いやすい母音のように感じています。 しかし、案外、落とし穴がある母音でもあります。「あ」の母音は、自然に口を開け、無理なく出せばいいでしょう。口の形としては、 悩む必要はないと思います。問題は、その口でよく響いているかどうかです。まず、よく落ち入る点として、 あまりに自然に出せすぎて、口の中の共鳴が十分でないのに気が付かないまま歌っている場合がある事です。また逆に、大きく口を開けすぎて、 折角の母音の響きを逃がしたまま歌ってしまっている例も見受けられます。「あ」は歌いやすい母音ですが、 万能な母音ではありません。いつもいい響きが鳴るように気をつけて歌いましょう。

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19.母音の話(2)「い」

 響かせにくいと感じている人が多い母音です。どのように響かせればいいか迷っている場合が多いようですが、 コツは、上の歯を使うことです。鼻に響かせようとするより、発声練習の「よく響かせるための練習」にある 「ズッーーーーーー」を使いましょう。マスク共鳴を利用して上の歯付近を振動させ、その響きに「い」の母音をのせてみましょう。 練習の時には、低い音で練習すると響く感じがわかり易いと思います。こうして、ちゃんと響くようになれば、 「い」から「あ」の母音へ響きを広げたり出来て、他の母音の発声にとてもいい影響が出てきます。また、声量を上げることにもつながる母音ですので、 いい響きが得られるよう、練習をしてみてください。

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20.母音の話(3)「う」

 日本人とって、きれいに響かせることが難しい母音です。響きが薄くなったり、口の奥でこもったように響いたりしやすい母音です。 これは、日本語の喉の閉まった硬い発音の特徴から来るものなのです。ところが、フースラーという人の書いた、ベルカント唱法の教科書と言うべき 「うたうこと」という本には、『母音ウには「のどを開く」働きがある』、とあります。西洋の人にとっては、このような感覚なのでしょう。 ですので、「う」の母音をきれいに出すためには、これを真似しましょう。まず、ノドを開ける。すると、 日本語としては少し変な音の感じがします。しかし、そのまま、ノドを開いて「う」の母音が出るようにしましょう。 そして、その響きを残したまま、日本語の「う」に近づけて見ましょう。「う」の発音からノドを開いていくのは難しいのですが、 ノドを開いた状態から日本語としての「う」を見つける方が、きれいに響く「う」を見つけ易いですよ。

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21.母音の話(4)「え」

 口の形は、「あ」と「い」の中間の口の形をして出す母音ですが、発音すると、「あ」のようには出し易くもなく、「い」のように出し難くもない、 少し中途半端な母音です。ですので、中途半端なまま発音すると、「あ」に聞こえてしまったり、無理に「え」の母音を作ろうとすると、 変に「い」に近い薄い響きになったりします。「あ」の母音が得意な方は、「あ」から口を少し横に引けば出し易い でしょう。「い」の母音が得意な方は、「い」の母音から口を少し丸めてください。ただ、逆に、この「え」の母音は、 「あ」や「い」の母音の響きが、硬くなったり薄くなったりした時に、「え」の母音を混ぜて発声すると、豊かな響きに改善されます。 うまく、使ってください。

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22.母音の話(5)「お」

 喉の奥で響きを作ってしまって、暗い響きの、音程が下がりがちになってしまう母音です。ですので、響くポイントを前にしましょう。 上の歯の裏側くらいに息を当て、その延長の顔の前方に響きのポイントがあるよう、 練習のときから意識して声を出してみましょう。そして、「お」の母音がうまくなると、「あ」や「う」の母音が薄く平べったい感じの声になる時に、 この「お」を混ぜて歌うと豊かな響きが加わります。他の母音にもいい影響を及ぼすことが出来る母音ですので、 明るく響く「お」をマスターしてみてください。

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23.母音の順序

 日本語の母音の順序は、「あ」「い」「う」「え」「お」です。しかし、この順序は、当然のことながら、 発音のためを考えて並んでいるのではありません。ですので、練習の時に、この順序で発音する必要はありませんし、また、すべきではありません。 歌うときの口の形を考えると、「あ」から「え」「い」は横に口をひきます。また「あ」から口を丸くつぼめていくと「お」「う」になります。 このため、「いえあおう」の順に発音すると、横に引いた口をだんだん丸めていき、さらに口をつぼめていく順になり、 スムーズに母音を変えていけます。中間母音の練習の時などには、この順序がいいでしょう。ただ、この順番だと「い」の発音が苦手な人には 最初が発音しにくくて、いい響きが得られないかもしれません。そこで、比較的発音し易い「あ」を初めにして「あえいおう」 と言う順も母音の練習の時には有効でしょう。

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24.ヴィブラートについて NEW

 ヴィブラートで問題になる点は、2つあります。ひとつは、細かなヴィブラートがついて音程が不安定になり、みんなと声が合わなくなる点、 もう一つは、メロディ等を歌う時にヴィブラートをどのようにかけたらいいか、という点です。後者の問題は、問題点というより 「テクニックとしての課題」といった方がいいと思います。ですので、ここでは1点目の細かなヴィブラートの問題 を取り上げます。  この細かなヴィブラートがかかる原因は、「いい声のための三原則」からいうと、「いい息をする」と、「良く響かせる」という2つの点を 含んでいる複合的な問題です。その2つのかかわり方は、まず、息が弱いため声がなかなか大きくならない、 しかし、大きな声で歌いたいので良く響かせることを忘れて、喉だけで音量を上げようとして歌ってしまう。すると、声帯に力がかかり、 安定せずにヴィブラートがかかる。という場合が多いようです。しかも、声帯が鳴っているという状態が、自分自身にはしっかり歌っているように 快く感じられて、自分自身の声に問題があるとは認識していない場合が多く見られます。
 このように、原因が複合的なので、この細かなヴィブラートへの対応も2つ点をバランスよく直していかなければなりません。まず、もう一度 腹式呼吸に立ち戻り、一定の強さの息が持続して出るようにすることです。この息の準備、俗に言う「息の支え」 を再度確認しましょう。練習方法には、「W-2糸をまきまき」などを取り入れるといいでしょう。次に、自分の出している 声が共鳴して出ている声か、喉を使って出している声かを聞き分ける力をつけます。実際には、「Y-5鼻つまみ」がいいでしょう。 この時、鼻をつまんでから声を出すだけでなく、声を出しながら鼻をつまんでみる方法が自分の状態を認識しやすいでしょう。 こうして、ちゃんと響いている声が自分で出せているかいないかを確認出来るようにしましょう。
 この準備をした上で、ヴィブラートを直すにはある程度の期間が必要です。そして、その期間、 大きな声を出さないで練習をする必要があります。まず、しっかり息をしながら、小さな声で歌う練習をします。 小さな声でヴィブラートのかかっていない声をまず作ります。そして、その声を少しずつ、 普通の音量に戻していくのです。 この時、自分の声を録音して聞いてみるのがいいでしょう。ところが、少しおおきくすると、すぐにまたヴィブラートがかかってしまいます。 これは喉が今までの声の出し方を覚えていて、以前の歌い方に戻ってしまうからです。この練習を普通の音量に戻るまで、繰り返すわけですが、 どれくらいで、喉の力が抜けるようになるかで、必要な期間が多少します。感覚としての話になってしまいますが、細かなヴィブラートがなく 声を出している時は、何か喉には空気だけがスッと流れていて、自分ではこれでいいのか、もっとしっかり歌わないといけないのでは、 と不安になるような感覚になります。でもこの力の抜けたリラックスした状態で歌うのがいいのです。 声量が元に戻るまでの間、歌っている人はつらいのですが、喉で歌わず、息で歌うことを覚えると、響きが良くなり、しかも楽に歌えるようになります。 この期間を上手に乗り切っていい声を手に入れてください。

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