感じて楽しむ合唱

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 みんな、いい声で歌いたいと思っています。が、なかなかうまく声はでませんね。 それにはいくつか理由があるのです。 でも、そのことを心配することはありません。声がうまく出ない理由をちゃんと理解すれば、対応はすぐにできます。 まず、声を出す前に、この「声の話」を読んでみてください。

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1.いい声を妨げる3つの要因

 皆さんが合唱を楽しもうとしているのに、いい声が出るのを妨げる、日本人特有の要因が3つあります。 それぞれ、なにがその要因の障害となっているのかを意識すれば、直していくことは難しくありません。まず、この点から話を始めたいと思います。 その3つの要因とは、「日本人の言葉」、「日本人の耳」、「日本人の気質」です。

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2.日本人の言葉

 日本人の言葉、つまり、日本語の問題です。日本人は、外国の人に比べると、「表情が乏しい」とよく言われます。 これは、日本語が「顔の筋肉をあまり動かさずにしゃべる」ことからくるものです。筋肉が少ししか動いていないので、表情が乏しく見えるのです。 このことは、私たち日本人は顔の筋肉を動かすのがあまり上手ではないことを意味しています。 しかし、いい声が出るようになるには、顔の筋肉はとても大切です。無表情な顔からは、けっしていい声がでないことは、誰もが認めることでしょう。 でも、「表情豊かに歌おう」と思うだけでは、すぐにできるようにはなりません。このような、基本的なことに対応する練習が必要です。 「発声練習」に具体的な練習方法を載せています。

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3.続、日本人の言葉

 また、日本語は「腹筋を使ってしゃべる言葉が少ない」ことも特徴の一つです。このことは、 腹筋を動かすことが苦手なことにつながります。 外国語には、息をしっかりと使わないと発音できない「p」「b」などの子音が含まれていますが、日本語にはこのような音はあまり含まれていません。 このことは、「いい声」を出すときに必要な、息のコントロールのための腹式呼吸が苦手、ということにつながっています。

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4.続々、日本人の言葉

 さらに、アクセントの問題があります。日本語のアクセントは高低でつけますが、外国語のアクセントは強弱でつけます。 このアクセントは、「いい声」を出すときに必要な息のスピードを変化させるというテクニックに結びつくのですが、日本人は苦手です。 ですので、この点も発声練習の時に、日頃は意識しない、息のスピードを変えるという練習することが必要です。

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5.日本人の耳

これは、文化の問題でもあります。合唱で使われる声は、「共鳴」という現象を使って、よく響かせて声を出します。 しかし、日本の、特に伝統音楽に使われる声はそうではありません。声を共鳴させるというより、喉そのものを鳴らして声を出すといった発声法が 多く用いられてきました。この声を、知らず知らずに聞いて覚えているため、声を共鳴させるという感覚が日本人には育っていません。 また、木造建築に住んでいるという住環境も、部屋がよく響かないため、この共鳴ということを経験することが少ないのです。 つまり、日本人の耳は、いい声のために必要な「共鳴」の経験が十分ではなく、いい声のためには耳の練習も必要です。

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6.続、日本人の耳

また、古くからある日本の音楽は基本的に単旋律音楽です。もちろん、4度や5度などのハーモニーを構成する音は鳴っていますが、 西洋音楽よりははるかに少ない量しか聞いていません。声をハモらせるには、音程を正確に取るだけでなく、 耳で聞いて感覚的合わせることが必要です。合唱の発展してきた西洋では、教会などに行くことによって、 きれいに響いたハーモニーを聞く機会はいろいろあります。この経験から、自然に感覚としてハーモニーの感覚が身についていくのです。 しかし、日本ではこのような経験が非常に少ないので、この点でも、耳が慣れていないのです。

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7.日本人の性格

 日本人の美的感覚の問題です。何事にも真面目に真剣に取り組み学ぼうとする姿勢が美徳とされ、合唱についても学ぶ姿勢が前面に出てきます。 この真面目さは大事なことですが、一生懸命になりすぎて、かえって力が入ってしまい、体を硬くして声を出す傾向が多くの人に見受けられます。 ところが、「いい声」を出すときは、リラックスしたほうがよく声は響きます。歌うときは、真剣に、しかし、合唱を、音楽を、 大いに楽しむことを心がけましょう

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