感じて楽しむ吹奏楽

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 この章では、「Vいいサウンド作ろう」であげた「音楽つくりの全体図」の「サウンド作りのノウハウ」から、 より音楽作りをする時に必要となるポイントをまとめていきます。

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1.記号に注意

 楽譜に書いてある音楽用語をしっかり読むのは当然のことなのですが、これがなかなか出来ません。 速度記号などについては、学校である程度習っていることもあって、注意を喚起すれば気をつけてくれるようなります。 しかし、表情記号などは、それが表情記号だと気づかないまま演奏していても平気な場合が多くあります。 これは、調べないと分からない、どこを調べればいいのか分からない、という理由もあって、なかなか音楽用語の重要性の理解が進みません。 この点については、演奏者が自分で読み取る習慣をつける必要があります。 小さくていいので、楽語辞典や音楽理論書は必ず1冊は揃えたいものです。

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2.続・記号に注意

 また、音楽用語には、ちゃんと注目するようになっても起こる、人間心理の不可思議ともいえる点があります。 それは、矢印の形をしたクレッシェンドは、それを見ると反応するのですが、「cresc.」という 表記にはあまり反応しないという点です。 これも、記号に注意を払わない習慣から来ています。ただ、このような場合は、楽譜のcresc.のところに、 大きな矢印を書き込むのも一つの解決策です。いずれにせよ、楽譜に書いてある記号は、 音符以外の細かな記号も注意して読む習慣を身につけることが大切です。

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3.音色に注意

 ある程度いい音がしてきて、音程のとり方も良くなってきたのに、和音がちゃんと合わない、ということはよくあることです。 これは、音の三要素がうまくかみ合ってないからです。音の三要素、「音程・音量・音色」、 この3つのうち一番合わせにくいのが音色です。合唱の場合は、みんな同じ人間の声ですので、母音を合わせれば音色が合ってきて、 うまくいくのですが、吹奏楽の場合はそれぞれの楽器の音色が違うため、合わせるのは大変です。 しかし、音色を決めるのは音の立ち上がりの瞬間なのです。その例として、オーボエの音とトランペットの音を録音し、 音の出だしの部分をカットして聞かせたところ、どちらの音か判断できなかった、という実験がありました。 つまり、出だしの部分では音色の違いというのは大変目立つのですが、 伸ばしている音の部分ではあまり違いは出ません。この点を利用して、出だしの音の濁りにはまず目をつぶって、 伸ばしている音で和音を合わせる練習をしましょう。 そして、この時に音色を合わせるとはどんなことなのかを感じ取ればいいのです。 まず、同属楽器で、それから近い種類の楽器と、そして金管・木管混じってと進めましょう。 この音色についての感覚がちゃんとついてくれば、出だしから合わせられるようになってきます。

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4.長さに注意

 練習を重ねていると、最初には注意を払っていたのに、だんだん楽譜の読み方・感じ方が甘くなってくることがあります。 演奏する人の慣れや、息の使い方が甘くなってくることが影響して音楽が変わってきます。そのうちで影響の大きいものの一つが、 音の長さが短くなってくることです。最初は、「この音は2拍伸ばすんだ」と注意して演奏していても、 慣れてくると長さが足りなくなることがよくあります。特に、あるパートは3拍伸ばしているのだけど、 他のパートは1・2拍目を伸ばして3拍目に音が変化するなど場合など、音の長さが足りなくなって、 フレーズの最後の和音がつぶれてしまう場合がよくあります。指揮者が注意を払ってあげる必要があります。

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5.音量に注意

 これも練習をしているうちに音楽の形の崩れてくる例と言ってもいいでしょう。原因はもちろん、 音量への感覚が甘くなってくるということです。クレッシェンド場合は、注意すればすぐ直る場合が多いのであまり問題にはならないですが、 デクレッシェンドが甘くなって強弱の差がはっきりしなくなってきた場合は、ちゃんと直す必要があります。 弱いけれど、しっかりした音でハーモニーなどを作る事は、少なからず集中力がいります。 なので、ただ単にデクレッシェンドする練習を繰り返すだけでは、その時には出来てもすぐ元に戻ってしまいます。 ですので、こんな場合は、最初に行き着いた先の「p」などの弱い音を作って、 その音をちゃんと鳴らせるように練習します。それから、その音量を目指してデクレッシェンドをつける練習していい音楽作りをしましょう。

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6.クレッシェンドの形

 クレッシェンドの意味は、「だんだん強く」です。しかし、実際の演奏ではこの「だんだん」という言葉を工夫しないと、 いい演奏に聞こえません。その工夫とは、クレッシェンドの形に注意を払うことです。 まず、一定の割合で強くするという本来の意味の形、 次に、最初の変化を少し抑えて後半特に変化をつけるトランペットのベルのような形、 それの反対の最初に変化を大きくして後はなだらかに大きくする釣鐘を横にしたような形、 この3つが代表的な形でしょう。使われる割合は、経験的に、5割くらいがトランペットの形で、後の3割が本来の形で、 最後の2割が釣鐘型だと思います。曲の状況や使われている楽器などによっても、どの形が効果的か変わる場合があります。

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7.リズムの形

 たしか、カラヤンの初来日の時だった思うのですが、日本のオーケストラを指揮した後、日本のオーケストラに対する技術的問題について 話している映像を見たことがあります。その中で、「音階の第2音(レ)の音が低くなる」というのと、 「付点八分音符のリズムが三連符に近くなる」と指摘しているのを聞いたことがあります。タッカのリズム (付点8分音符と十六分音符)が、三連符の前二つの音にタイのついた形のようになる傾向が強いという話です。 この二つのリズムの違いが、ちゃんと表現できているか、必ずチェックしましょう。日本人のリズムの甘さの特徴です。

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8.小節番号を書き込もう

 演奏している曲が長くなると、曲の途中から練習を始めようと指示を出した時に、開始位置がすぐに見つけられなくなりします。 また、同じような音形が続くような曲では、どの音について注目しているのか、混乱してしまったりする場合があります。 長い曲には、こんな場合を想定して、練習番号として「@、A」や「A・B」という番号入っています。しかし、「@の13小節前」など、 やっぱり探し出すのに時間がかかったり、指示した位置の勘違いは起こってしまいます。こんな時には、面倒でも、 すべての小節に通しの小節番号を打っておくといいでしょう。 演奏位置を探すストレスや、勘違いからもう一度やりなおすストレスから解放されて、指揮者も演奏者の練習に集中できるようになります。

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9.音のピラミッド

 ピラミッドは、その高さを維持するために基礎の部分は広くなっています。他のものですそうですが、大きな物が安定するためには、 重心を低くする必要があり、下のほうが大きく・重くなっています。音を重ねる時にも同じことが言えます。つまり、 低音を大きくして、高音を小さめに。このように、音のバランスを取っていくと安定感のある響きになります。 吹奏楽でも合唱でも、高音を出すために力が入ってしまい、音量のコントロールを失いがちです。また、CDなどの演奏を聞くと、 高い音は目だって聞こえているように感じるので大きな音にしがちです。でも実際は、低音の響きが充実していると、 高音は小さな音でも十分聞こえてくるのです。「音程の不思議」でも書いたように、高音は音程を正確に作るのが難しい音です。 ですから、音量より音程に注意が必要です。いい響きを得るためには、音量に気をつけて、 ピラミッドを積み上げるつもりで、低音から高音に向かって音を積み上げていきましょう。

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10.低音が先 NEW

 以前ある音楽番組で、「演奏者が指揮者の棒の動きにどのように反応するのか」、という実験をしていました。 プロのオーケストラのメンバーの体のあちこちに電極をつけて、指揮者の動きへの反応を、機械で測ってみると言うものです。 「曲が始まるとき、どのように反応しているか」、の結果は予想できますか。様相に反して、皆同じではなく、大きな楽器ほど、 指揮棒の動きに早くから反応して演奏の準備をしていました。つまり、大きな楽器=低音を演奏する人ほど 指揮者の動きに敏感に反応しているといことです。逆に言うと、みんな一緒に演奏の準備を始めたのでは、 低音は遅れて音が出てきてしまいます。低い音に注意して、曲の出だしを聞いて合わせていきましょう。

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