感じて楽しむ吹奏楽

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楽器を吹く練習だけではなく、耳の訓練を一緒にしましょう。これで、上達は早まります。

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1.いい音楽を聴く

 まずは、吹奏楽以外の音楽も聞くことです。吹奏楽が楽しくなると、特によくあることなのですが、 吹奏楽の演奏ばかり聴いて他のジャンルの音楽を聴かなくなります。吹奏楽オタクでは豊かな感性は広がりません。 ポップスやジャズ、またオーケストラや合唱曲など、いろいろな音楽を聴いて耳を磨きましょう。

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2.音の三要素

 音の三要素とは、音程・音量・音質です。オシロスコープなど器具を使うと音がサインカーブのような波形として表示されます。 その波形は、横幅が音程を表し、縦幅が音量を、そして波の形が音質を表します。だから、ひとつの音を作るといくことは、 どんな音程を出すか、どんな強さで出すか、どんな音色で出すかが大切なのです。しかし、音程と音量は割りと早くから意識できますが、 音色を意識して音を作ることはなかなか難しいことのようです。同じ音程で同じ音量でも、音色を変えて音が出せるようになると 演奏の幅が断然広くなります。音程・音量・音色の三つを意識するには耳が大切です。

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3.練習場所

 意外に耳を作るのに影響を与えているのが、練習場所の問題です。 いつも練習しているところが、よく響く場所なのかどうか、その場所は広いのか狭いのかなどです。 響きがない場所だと、自分の出している直接音のみしか聞こえてこないので、音を貧弱に感じてしまいます。 基礎練習をするときなどには厳密な判断ができますが、一方、旋律を歌わせる練習をする場合はどうしても下手に聞こえてきて、 音楽のイメージを作れない面があります。よく響く場所では、逆に音がうまく聞こえてきて、 自分の表現がうまく出来ているかの判断をするには好都合な面があります。 しかし、それで満足してしまって、基礎が出来てないのを見逃す場合があります。 また、狭いところで練習してると音の伸びがなくなる危険がありますし、だだっ広い場所では音が荒くなる危険があります。 自分の練習場所の状況に応じた練習内容・方法を工夫して、練習場所から生じるデメリットをなくすことが必要です。

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4.歌う

 ある時、メロディーの音程がうまく取れないトランペット吹きに、楽器を置かせて、 その部分をピアノで音を聞かせながら歌う練習をしてもらいました。そうしてから、楽器でその部分を吹くと、 うまく取れなかった音程が直っているのです。聞いた音を歌って声にするという行為が、この効果的を生みました。 実は、歌うことは、楽器を吹くことより、はるかに大きなエネルギーで、音程を作るという作業を要求されます。 この音に対する積極的な姿勢が、耳を育て、いい音程感を生みます。 さらに、「2.音の三要素を意識しよう」で、音の三要素を取り上げましたが、今度は音楽を作る時に大切な「音楽の三要素」というのがあります。 それは、「旋律・和音・リズム」です。この演奏に関する大切な要素に関しても、歌うことが耳を育てるとともに、 さらに追加的な効果も生まれて、楽器を演奏することに対して自然に力がついていきます。 吹奏楽の人たちが歌を歌うのは、変な感じがするかもしれませんが、非常にいい練習方法ですので是非取り入れてみてください。

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5.旋律を歌う@

 楽器は、教則本に書いてある指使いをすれば音程は出ます。しかし、それはその付近の音程が出るだけで、正確な音程ではないのです。 この正確でない音程を、聞く人がきれいな音と感じるような音程にするには、まずその演奏者の耳が、 自分の吹いている音が正しく出ているのか判断が出来なくてはいけません。この耳の力を育てることに、歌うことはとても有効な手段です。 例えば、メロディーをピアノやハーモニーディレクターなどを使って一つの音を出し、その音に合わせて歌ってみる。 これだけでかなり音程感は良くなります。また、声は音程の微妙な変化を表現することが、簡単に出来ます。 細かな音程の調整を行う力が歌うことによって育ち、究極の課題である純正調を理解していくうえでの基礎力となります。

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6.旋律を歌うA

 楽譜には音符だけでは書ききれない、音楽の抑揚や強弱の変化などがあります。 このことがまだ解らない初心者の演奏は、たいていかまぼこ型になります。つまり、どこをとっても同じ音量で、 おなじニュアンスで吹いてしまいます。しかし、歌ってみることにより、自然に音楽の抑揚や強弱の変化、フレーズ感、 などが身についてきます。

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7.和音を歌う

 声は、チューニングを行うことなく、自然にハモります。しかし、吹奏楽部員3人が、例えばドミソと吹いてもすぐにはハモりません。 そこで、まず、歌ってみます。コツは、主音(ド)の上に第5音(ソ)を重ね、最後に第3音(ミ)を軽く合わせることです。 こうすると簡単にハモらせることが出来るのです。こうして、まず声でハモった感じをつかんでから、今度は楽器でその音を出してみます。 今度は、きれいにハモってますよ。

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8.リズムを歌う@

 リズムのうまく取れない人、いわゆる「リズム音痴」を治すには時間がかかり、 即効性のある特効薬のような練習はないと言っていいでしょう。 しかし、そのリズムも歌って練習することによって、比較的早く治ることがあります。 その練習のコツは、歌う時に使う言葉を、指導する側と同じにしておくことです。具体的に言うと、模範を示すときに、 「la」で歌ったら、それをまねする生徒の側も「la」で歌うようにしましょう。 違った歌い方をしてると、指導したいリズムのポイントをはずして、直したいリズムがうまく相手に伝わりません。

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9.リズムを歌うA

 リズムの専門化であるパーカッションの人にも、この歌うということは非常に効果があります。 歌うことにより、音に表情がついてくるのです。タンタタ、と歌うか、ダンダダを歌うかは表情に大きな違いがあります。 この表情をどう歌うかで、パーカッションとしての感性が分かります。 例えば、弾むリズムの得意な人は「la」を使う傾向があるのに対して、正確なリズムを大事にする人は「ta」を使う傾向があります。 この違いを利用して、「la」を使う生徒に「ta」を使って歌わせて正確なリズムのニュアンスをつかませたりすることが出来ます。 また、歌うと「ブレス」をしなければいけません。このブレスを取るタイミングを覚えたパーカッションの奏者の音は、 生き生きとした表情を出すようになります。

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10.音楽の三要素

 いい耳を作ろうということで、ここの話を進めてきました。この耳が育つということは、実は、音楽を聞き取り理解するための耳が育ち、 そして、その耳をとおして、音楽を楽しむための基礎的な力がついてくることです。 各楽器の教則本や指導書には、いい音の出し方は書いてあるのですが、いい音楽の楽しみ方が書いてある本は、残念ながら少ないのが現状です。 折角、いい練習をして、いい音が出るようになっても、いい音楽作りが出来ないのでは音楽をやっている意味はありません。 車の両輪のように、いい音作りと、いい耳作りの両方を同時に行う必要があります。 そして、その音楽作りのための基本は、音の三要素と音楽の三要素です。 この基礎の力を育て、次の章の、みんなで合奏をすることが出来れば、吹奏楽の、音楽の楽しみをより深く味わうことが出来ます。

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