感じて楽しむ吹奏楽

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 吹奏楽を始めたときに、「最初に知っておいたら練習が楽になったのに」という、いい音を作るための教則本には書いていないポイントです。

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1.楽器の基礎

 まず、楽器から「いい音」が鳴らないと、合奏しても楽しくはならないものです。でも、「いい音」が出るようになるには、 練習が必要で、そして、その練習の方法が悪いと、「いい音」がなかなか鳴りません。 練習方法が間違っていると楽器自体を楽しめなくなります。こんな苦労はしなくていいようにしたいものです。 そのためには、あたりまえのことですが基礎が大切。では、まず、最初に押えておくべき基礎、それは、各 楽器の持ち方や、楽器の置き方、そして整備の方法など、楽器をきっちり扱う方法からです。

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2.楽器の本

 では、この楽器の扱い方などはどこで知ればいいのでしょうか?それは、 楽器ごとに出版されている楽器の本(教則本)を見るのが一番です。では、どのように教則本を選べばよいか。 これは、いろいろ取り揃えるより、何か一冊をちゃんと最初から最後までやり通すことが大切です。 でも、近くの本屋や楽器店ではこのような専門的な本を扱ってなかったりして、なかなか手に入らない場合もあります。 しかし、その時は、最近では便利なものが出現しています。インターネットで調べましょう。 その楽器のプロが書いてるホームページで大変多くの情報が得られます。それを参考にして練習するのもいいでしょう。

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3.姿勢

 もうひとつ、楽器を鳴らす前の基礎です。楽器を持つ姿勢に気をつけましょう。いままで、もったことのない重い楽器を、 初めて長時間持つことになるわけですから、普段、姿勢のいい人でも、バランスを崩して姿勢が悪くなりがちです。 姿勢は良くなっては崩れ、良くなっては崩れということを繰り返しますので、楽器に慣れるまで、何度も正しい姿勢になるよう注意が必要です。 また、この正しい姿勢は、正しい呼吸をもたらすという効果も生み出すので、初心者のうちに身に付けておきましょう。

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4.日本人の初心者

 基礎の基礎というべきポイントを押さえたら、いよいよ、音を鳴らしてみましょう。口の形や、リードやマウスピースの当て方などを、 教則本を参考にやってみましょう。この音を出す技術については、教則本や専門のホームページに書いてあるので、 このホームページでは触れません。ここでは教則本にはあまり書いてない、しかし、これを押さえないと、 なかなか練習が上手く進まないというコツを挙げていきます。なぜ、ここで挙げるコツが教則本に書かれてないのか。 その大きな理由の一つは、吹奏楽で使う楽器は、そのほとんどが西洋で発達したもので、西洋人にとって扱いやすい状態で発展してきたことです。 もう一つは、教則本は既に演奏できるようになった人が書いた本です。このため、 日本人の初心者が楽器を扱う場合を想定した練習方法は少し工夫が必要なのです。

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5.日本語の問題

 ではまず、日本人として注意する点とは何か?その一番目は、日ごろ使っている日本語の特徴からきています。 日本語は外国語に比べて、しゃべるときの息が少なく、ゆっくりしています。このため、西洋の言語を使う人たちに比べて、 「しっかり息を出す」という練習をすることが、楽器を吹く前に必要になります。 また、ノドを閉めて声を出す傾向が強いことも特徴としてあげられます。 このことにより、楽器を吹くときにも息を詰めてしまって、硬い音を出す傾向になります。この点も、注意して練習する必要があります。

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6.息が足りない

 まずに、呼吸の問題についてです。日本語は外国語に比べて使う息は、少なく、ゆっくりしていると言いましたが、 その一つの例は、言葉の中にある「撥音」の数を比較してみるとよくわかります。 日本語の方が圧倒的に少ないのです。「撥音」は、息のスピードを上げて鋭く出さないと出ません。 日本人としては、その練習が日ごろから出来ていないのです。小学生が楽器を吹くときの練習方法として、 ティッシュを細長く丸めて、それを口にくわえ、強い息で遠くに飛ばしてみるというのがあります。 この練習により、息の量とスピードを上げることができて、楽器が鳴りやすくなり、いい成果を上げているようです。 このように、まず、しっかりした、息を出す練習が必要です。

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7.日本の文化

 二番目には、日本の文化からくる問題です。日本の伝統音楽文化の特徴の一つとして、単旋律音楽が主流であったことが挙げられます。 つまり、和音の感覚がなかったのです。もちろん、明治以降、 いろいろな西洋音楽が入ってきてこの傾向は少なくなってきていると思われます。 しかし、それでも、和音をちゃんと聞く機会は、西洋に比べればはるかに少ないでしょう。 ですので、演奏する人の耳に、和音を聞き取る力を楽器の練習とともに育てていく必要があります。

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8.貧弱な音のイメージ

 次に、音に対するイメージです。西洋では、家族で演奏会に行って素敵な楽器の音を聴く機会が、日本より多くあります。 そして、日曜日に行く教会などでも、パイプオルガンの音などを聴いて、音に対する豊かなイメージを日常の中で作っています。 それに対して、日本人の吹奏楽の音へのイメージは、昔の軍隊の起床ラッパなど、貧弱なイメージを持っている場合が多いのです。 また、生活環境としての日本の住宅は、障子や畳など音を吸収する構造で、音の響きが少ない場所で暮らしています。 このため、響きのない音を基準に音を鳴らし始めます。だから、音が出ただけで満足して、 いい音を出したい、よく響いた素敵な音を出したいという意識が乏しい場合が多いようです。 単に楽器の練習をするだけでなく、いい音・いい音楽を聞いて音のイメージを育てることも大切です。

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9.詰まった音のイメージ 

 また、日本の独特の音楽としての演歌や民謡などでは、ノドをしめたような声がよく聞かれます。 この感覚が楽器を演奏するときにも影響を与えています。このノドをしめる傾向により、硬い音・詰まったような音を出しがちです。 もともと日本語は、ノドの奥を開けずに会話しているので、ノドの奥が開いた状態はイメージすることは難しいのでしょう。 しかし、吹奏楽で使う楽器は西洋で発達したもの、外国語のノドを開けた発音の状態で演奏する方がいい音が出るのです。 ですので、のどが開いた(口の中にピンポン球を入れてノドが下がったような)状態というのをつかむことで、 演奏の音が変わってきます。

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10.リラックスしてますか 

 日本人の性格からくる課題です。よく言われる、日本人の真面目さや真剣さが、逆に上達を妨げることがあります。 本来、練習はリラックスして楽しく行うと、練習効率はあがります。しかし、過度の真面目さは、 練習の時に体を硬くして力を入れすぎてしまうことで、練習の効率が上がらず、上達を遅らせる場合があります。 一生懸命さがあだになっているのです。楽しい練習をしてこそ、練習の効率も上がり、 また上手くなることを実感できるから練習は楽しくなるものです。

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11.「道」に注意 

 これも、日本人の性格や気質からくる問題です。日本人は「道」を追求する傾向があります。 つまり、「柔道」や「剣道」と同じように吹奏楽を考え、吹奏楽を学び極める「道」として「吹奏楽道」みたいなものを 作ってしまう傾向があります。このことにより、楽器を演奏して音楽を楽しむことを忘れがちになります。 また、過度な精神主義による練習や、コンクール至上主義を生み、吹奏楽を楽しむ気持ちを潰してしまうこともあります。 音楽は、極めるべきものではなく、楽しむものです。

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11.日本人の気質 

 また、譲り合いや謙遜を美徳とする日本人の気質は、音まで謙遜して鳴らしてしまいがちです。 心の中で思っているだけでは、楽器から出てくる音はいい音にはならないのです。そして、吹奏楽は一人ではできません。 吹奏楽は、仲間と一緒にいい音楽を作っていくのですから、その仲間といい関係を作り、仲間の前でなんでも表現できるようにすること。 そんな仲間との環境がまず必要です。そうして、仲間の前で自分の音を聞いてもらったり、仲間の音の長所や短所を言い合えるようにしましょう。 こんな気心の知れた仲間との関係が、いい音を育て、いい音楽作りに結びついていきます。

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