『古仏語小文法』と『古仏語動詞変化表(TCAF)』は、いわば文法表で、教室で教員の指導を受けることが前提になっています。上記の書物だけを頼りに、単独で『中世仏語入門：Initiation à l’ancien français avec Ami et Amile』を読めるようになるのは至難の技といえるでしょう。もう少し詳しい文法書を作り上げることは筆者の長年の懸案でした。また、他方で、現代フランス語の不思議を解き明かすことで、より多くの方に、古いフランス語やフランス語の歴史に興味をもっていただいたいのというのは私の夢でもありました。そうしたわけで、2017年夏に京都大学で集中講義を行う機会を得たことは、大変良いきっかけとなりました。講義のために作成したノートは、『古フランス語入門 (Introdution à la langue française médiévale)』の出発点となりました。ただ、公開するまでには長い時間が必要でした。原稿を読んでも読んでも、誤字脱字はもちろん、記述の誤りも全然なくならなかったのです。それに加えて、どうしても、手直しや加筆を行いたくもなります。作業は無限ループに陥ったかのようでした。そのようなわけで、筆者としてはようやく宿題をやり終えたような気分であると同時に、大いに不安を感じてもいます。まだまだ不十分なところや、端的に誤っている部分があるに違いありません。是非とも読者の皆さんのご意見やご指摘をいただけたらと思います。
本書はamazonで、Kindle版とオンデマンド本が入手可能です。いずれも内容は、ここで公開しているPDF版と大差ありません。それどころか、PDF版に劣る部分もあります。まず、Kindle版は固定レイアウトで、リンク等は一切機能しませんので、PDF版の方が遥かに便利です。PDF版をお使いになって、もし、寄付したいと思われるようなことがあれば、役に立たないけれども、Kindle版やオンデマンド本をお求めください。オンデマンド本は、リンク等が使えない上に、白黒印刷ですが、こちらは、自分でプリントアウトして製本する場合よりは、安くつくと思います。
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