3.1 研究業績一覧

 

小栗栖のこれまでの研究業績です。年代順に並んでいます。学生時代に書いた、初期のものはとりわけ不出来ですが、ほぼすべての業績がダウンロードできます。口頭発表については、比較的新しいものは、音源などもご利用いただけます。

 

著書

著書・学術論文等の名称

単著・共著 / 査読

発行又は発表の年月日

発行所・発表雑誌等又は発表学会等の名称

概要

[1] 十二世紀のディスクールの概念(大阪市立大学大学院博士号(文学)、第3192号取得論文)

出版社の注文ページ

単著

1998年2月

駿河台出版社 (平成9年度文部省科学研究費補助金、「研究成果公開促進費」(一般学術書)) 全460頁

第一部では、『ロランの歌』の解釈の多様性を扱い、中世の文学を、我々とは異なった価値観と認識論的前提をもつ、異文化の産物として扱わねばならないということを指摘する。第二部では、十二世紀の諸作品を詳細に分析し、現代とは異なった文学技法が十二世紀に存在したことを示す。すなわち、とりわけ武勲詩作品で多用される「反復」は、物語が時間軸に沿って整序・一本化されるという近現代の文学の前提を覆す。また、空間に関する記述が物語の進行と切り離されることのない「空間的描写」は、12世紀の作品で多用されるが、これは、描写のために物語の時間を止めることをよしとする近現代の読者の感覚が必ずしも当時の読者・聞き手に受け入れやすいものではなかったことを意味している。第三部では、第二部で扱った中世の技法が、近現代とは異なった空間・時間表象の概念に裏付けられたものであったことを論証する。すなわち時間が円環をなすという感覚、空間が事物と密接に結び付けられているという感覚は、中世の人々は馴染みやすいものだったのである。

[2] テキストの電算処理 —電子テキストと解析ツール—

リンク

単著・査読なし

2003年7月

『点描 — 欧米の文学』 大阪教育図書  67-84頁

本論の前半では、書籍の文字をそのままコンピュータに入力しても有効利用が可能な電子テキストにはならないことを指摘する。その理由は三つある。1) 書籍では印刷上の習慣を遵守したり、視認性を高めるために、テキストに様々な加工が施されているが、それらの加工は往々にして、コンピュータの情報処理の妨げとなること、2) コンピュータを使えば、複数の電子テキストを一括処理することができるが、それを実現するには、扱う電子テキストの全てに対し、規格化された記号が使用されていることが前提となること、3) 印刷本では、行や段落、単語、頁といったものが、人間には直感的に理解できる形で示されるが、それをコンピュータで処理できるようにするには、かなり複雑な定義が必要となるため、不要なイレギュラー要素は削ってしまうのが合理的だということ、である。本論では、上記の点を踏まえて、首尾一貫した電子テキスト入力法のルールを提案した。

[3] 古仏語小文法

リンク

単著・査読なし

2006年5月

WEB公開 全116頁

Edmond FaralのPetit grammaire de l’ancien françaisの翻訳である。ただし、原著には、曲用表や活用表の羅列に終始する部分がかなりあるが、これについては、歴史形態学の見地からの注釈を施した。また、音声学の章も、初心者が単語を同定するのに役立てるためだけに書かれており、直感的な記述と、古フランス語と現代語の単語の対応表に終始するが、これについても、歴史音声学観点からの注釈を付した。また、各章に概説と基本文献案内も加えた。その結果、本訳書は原著の三倍以上のボリュームを持つ。本書は、主に、日本の大学で古仏語を学ぼうとする学生を対象に作られたものであり、複数の教員から、副読本として利用しているとの報告を得ている。

[4] 「ギョームの詩群その他」

共著・査読あり

2007年1月

『フランス中世文学を学ぶ人のために』、原野昇編、世界思想社教学社 36-43頁

武勲詩のギヨーム詩群は少なくとも2世紀にわたる時間のなかで成立した複数の個別の作品が、13世紀半ば頃までに、一つの物語として、再構成されたものである。が、それは系列作品が、単に物語の辻褄をあわせるために、写字生が作品に細かな手直しを加えた結果だということを必ずしも意味しない。個々の作品の中でも、時代の流れの中で、様々な変化が生じたきたことが、とりわけ古い作品との比較で明らかなとなることも多い。例えば、11世紀末頃に成立したとされる『ギヨームの歌』は、12世紀末にその後半部分が、リライトされている。それが『アリスカン』である。両作品では、ほぼ類似の物語が語られているものの、その成立年代の時代背景に相応しい形で、作品世界が構成されている。リライト版には、家族愛や笑いの要素がふんだんに取り込まれ、経済的に豊かで、政治的に安定した時代であった12世紀末の世相をよく表しているのである。

[5] Edition électronique du Roland d’Oxford

リンク

単著・査読なし

2013年3月

WEB公開 全604頁

現存最古の武勲試作品『ロランの歌』を伝えるオックスフォード本の校訂テキスト。科研費を得て作成された。組版されたPDF書籍版と電子テキスト版からなる。PDF版には各行毎に詳細な脚注を付し、過去の主な校訂本との異動等を記し、研究者の便宜を図った。校訂テクストのベースには、R. Mortierの刊行本を電子テキスト化して使用したが、写本や既存刊行本の校合作業を徹底して行い。既存刊行本とは異なる、幾つかの新しい読みを発見・採用した(論文 De nouveau sur le texte du Roland d’Oxfordを参照)。校訂作業に際してはコンピュータを最大限に利用し、作業にともなって開発したソフトウェア、辞書類の多くもWEB上に公開している。

[6] TCAF4(古仏語動詞活用表)

リンク

共著・査読なし

2015年6月

全264頁(共著者:岡田真知夫)

正書法の不在・方言の影響・不安定な変化規則といった要因により、古仏語の動詞変化形は、非常にヴァリエーションに富んでいる。そのため、学生のみならず、専門家でさえも、動詞の同定を誤ることは皆無ではない。出発点においては、本書は文法書から動詞変化形を収集した学習参考書であったが、現在は、その全形態を出典作品にさかのぼって、文証を確認している。また、直接作品からも変化形を収集し、日々収録形態数を拡充している。そのため、類書のなかで最大の収録形態数(35000)を誇る。書籍版はpdf書類として配布。フルテキスト版の電子辞書版はAlmaceおよびAiAlmace(業績一覧「その他」を参照)で検索できる。また、ATILFのDicitionnaire du Moyen Français(www.atilf.frdmf)では、analyse graphie verbaleのツールの一つとしてTCAFが採用されている。

[7] 古フランス語文法入門:11世紀末から15世紀末まで

単著・査読なし

2022年6月4日

Independently published 全326頁

Amazonで購入可


論文

著書・学術論文等の名称

単著・共著 / 査読

発行又は発表の年月日

発行所・発表雑誌等又は発表学会等の名称

概要

[1] 武勲詩の起源問題に関する諸主張

リンク

単著・査読なし

1990年5月

TLLMF(大阪市立大学文学部 森本研究室) 第1号 22-27頁

武勲詩が民衆の口承詩から発達したものであるのか、それともただ一人の知識人によって一息に書き下ろされたものであるのか、という起源の問題については、19世紀半ばから今世紀半ばに至って、熱い議論が交わされた。例えば、『ロランの歌』が、ロンスヴォーの悲劇の翌日から人々の間で語り草となり、やがて詩的作品として結実したのか、それとも、サン・ジャック詣での巡礼路に点綴する寺院・修道院で、カロンリング王朝時代に書かれたラテン語史書をもとに知識人によって書かれたものなのかが多いに議論されたのである。本論ではその論争の流れを辿り、時代を経て、論争の本質が変化していったことを指摘する。すなわち、当初、新たな史料を発掘することで解決可能と思われた文献学的論争は、両陣営の主張の変化と相まって、『ロランの歌』を完成されたのは誰かという、美学的論争に変容してしまったのである。

[2] 武勲詩の起源問題に関する諸主張 その2

リンク

単著・査読なし

1991年5月

TLLMF(大阪市立大学文学部 森本研究室) 第2号 1-12頁

『ロランの歌』が民衆ではなく一人の知識人の作品だとする、ジョゼフ・ベディエの「個人主義」に対して、20世紀半ばに異議を唱えたのは、メネンデス・ピダルである。彼は、ベディエ以前に主流派をなした「伝承主義」を復権し、武勲詩が口承詩に基づくとする主張の文献学的根拠を大部の著作の中で示したのである。これに対し、「個人主義」の急先鋒、ポール・エビシェもまた『ロランの歌』が唯一の作者によって完成されたとする文献学的根拠を示した。しかし、この二つの著作を詳細に比較検討してみると、両者のあげる文献学的証拠によっては、起源論争は解決され得ないことは明らかである。なぜなら、両者の真の対立点が、『ロランの歌』が唯一の詩人によって美的に完成されたかいなかという点にずれてしまったからである。ある作品が美的に完成しているか否かは主観の問題である以上、起源論争は今や解決不能の状態に陥ってしまったのである。

[3] 『ロランの歌』と「一貫性」の神話

リンク

単著・査読なし

1991年7月

LUTECE(大阪市立大学フランス文学会発行) 第21号 23-38頁

従来、多くの研究者が『ロランの歌』の物語内容について、様々な解釈を提案し、自説を作者の意図に合致する唯一絶対のものと主張してきた。とりわけ、意見が分かれ、議論が白熱したのは、二点であった。すなわち、裏切り者のガヌロンを単なる悪者と見るか、それとも、状況により裏切りを余儀なくさせられた気高い騎士と見るか、ロランを勇敢だが死に急ぐ無鉄砲者と見るか、破滅を知りつつ神の意志に殉じたキリスト的な存在と見るか、である。作品内の矛盾に満ちた記述を幾多の研究者が「整合的に」解釈し、自らの説を最も正しいと唱えたのであった。しかし、実際には、彼らの主張のいずれかを特権視せねばならない理由は何もない。というのも、『ロランの歌』が整合的に解釈され得るという前提そのものが疑わしいからである。むしろ、多様な解釈を許容する点こそにこの作品の歴史性は存する、と本論は指摘する。

[4] 武勲詩に関する諸研究 その1

リンク

単著・査読なし

1992年6月

TLLMF(大阪市立大学文学部 森本研究室) 第3号 7-14頁

ジャン・リシュネルの『武勲詩』は、武勲詩研究に大きな転換点をもたらした、画期的著作である。これ以降、当該ジャンルの研究の主流は作品の形式的分析に大きく舵を切ることとなり、出口の見えない起源論争に見切りをつけたのである。実際、ソシュールの『一般言語学講義』が個々の言語に通底する一般的特徴を記述しようとしのと通じるやり方で、武勲詩作品に共通する一般的特長、すなわち武勲詩の形式を扱うという発想は、極めて斬新であった。本論では、『武勲詩』を祖述すると共に、注釈によって、彼の主張の思想的背景、問題点、他の研究者の主張との比較などを行った。そして、『武勲詩』が提唱した形式的特徴が妥当性を有することを認めた上で、武勲詩の形式的特徴が、かのジャンルの口承詩としての性格を裏付けるという主張、あるいは、口承詩としての制約の帰結だとするリシュネルの結論は、必ずしも正しいとは言えないということを指摘する。

単著・査読あり

1992年10月

フランス語フランス文学研究 日本フランス語フランス文学会 第61号 1-12頁

武勲詩作品を特徴付ける技法の中でも最大のものが「反復」である。同じ出来事を複数回繰り返して述べる、この技法はジャン・リシュネルによって、いくつかのタイプに分類されたことにより、その重要性が多くの研究者に認識されるようになったのである。実際、「反復」技法は、前後に並べられた事件を同時性のもとに読み直すことを読み手に要求するという点で、近現代の常識に反しており、中世文学の「他者性」を強く意識させる技法だと言える。しかし、反復が、口承という伝達形態に武勲詩作品が縛られていたために生じた技法だという、リシュネルの主張は決して受け入れられるものではない。というのも、「反復」技法と極めて似通った「反復法」の技法は近現代にも見られるが、この技法もまた武勲詩作品に頻出するからである。その観点からすれば、むしろ、中世は近現代よりも多くの選択肢を持っていたとも言えるのである。

[6] リシュネルの「反復」の概念再考

リンク

単著・査読なし

1992年12月

LUTECE(大阪市立大学フランス文学会発行) 第22号 20-37頁

ジャン・リシュネルは、武勲詩に見られる「反復」技法を詳細に考察した、殆ど最初の研究者である。しかし彼は、これを作品の詩節形式との関連で捉え、技法の本質を深く考察することはなかった。実際、繰り返しの技法を、いくつかの類型に分類したものの、そうした類型は、あくまで見た目のものに過ぎず。「何が繰り返されている」かは問題とならなかった。そのため、シニフィアンの繰り返しに過ぎない「反復法」と、シフィエの繰り返しである「反復」が区別されることはなかったのである。本論は、多くの事例を分析し、「反復」の本質は、物語を前から後ろへと読み進めねばならないという、近現代文学の常識を覆す点にあることを指摘する。すなわち、「反復」は前後して並べられた事件を同時性のもとに読み直すことを読み手に要求するのである。それゆえ、異なった出来事を類似の言い回しで表現する「反復法」とは厳密に区別されねばならないのである。

[7] Les Vers d’Intonation de la Chanson de Roland

リンク

単著・査読なし

1993年6月

TLLMF(大阪市立大学文学部 森本研究室) 第4号 21-30頁

本論は次項「〈冒頭詩行〉の存在性格」の予備考察である。ジャン・リシュネルは武勲詩の詩節冒頭には形式的な特徴があるとし、詩節の第一詩行を「冒頭詩行(vers d’intonation)」と名付け、その特徴を四つの大カテゴリーに分類した。本論では、『ロランの歌』の詩節冒頭の詩行を網羅的に調査し、これらのカテゴリーが妥当性を持つことを確認した。すなわち、当該作品の冒頭詩行のほぼ全てがいずれかのカテゴリーに属しており、典型から外れるのは4パーセントに過ぎなかったのである。しかし、カテゴリーが妥当性だからといって、冒頭詩行が他の詩行と区別される特徴を有していることが証明されたとは言えない。すなわち、リシュネル以降の研究者のように、特権的な構文が現れれば、その詩行は詩節冒頭であるとまでは言えない。それを証明するには、冒頭詩行と他の詩行との網羅的比較が必要となるのである。

[8] 「冒頭詩行」の存在性格

リンク

単著・査読なし

1993年11月

LUTECE(大阪市立大学フランス文学会発行) 第23号 1-12頁

武勲詩の詩節冒頭には特権的な構文が頻出するというジャン・リシュネルの「冒頭詩行(vers d’intonation)」の主張は広く受け入れられ、多くの学者が、特権的な構文が現われれば、その詩行は詩節冒頭であると考えてきた。例えば、『ロランの歌』の第125詩節を二分割する際、ジェラール・モワニェはその根拠として、当該詩節の半ばに位置する1652詩行が「典型的な冒頭詩行」であることを挙げた。しかし、ドミニック・ブーテが典型をなすように、「冒頭詩行」が固有の特徴を持つとされるのは、他のすべての詩行と比べてである。しかし、本来比べるべきなのは、詩節冒頭の詩行と詩節内で文頭に位置する詩行である。本論は、作品の全詩行を網羅的に調査・分析し、両者の間に構文上の違いが見られないことを立証した。さらに、そもそもリシュネルの主張が、詩節冒頭には固有名が頻出するというものに過ぎなかったことを指摘する。

[9] ラテン語版『ユスタッシュ』の言語

リンク

単著・査読なし

1994年8月

TLLMF(大阪市立大学文学部 森本研究室) 第5号 40-57頁

十世紀のラテン語作品である、『聖エウスタキウスとその家族』に見られる、俗ラテン語的な特徴を扱った。すなわち、テキストを電子化し、ジョセフ・ヘルマンの『俗ラテン語』であげられた、音声学・形態論・統辞論的特徴を網羅的に採集した。uとo、iとeの混同、二重母音の単音化、tとcの混同、一貫しないhの使用などは、ラテン語からロマンス語への移行に際し生じた音声変化の傾向と軌を同じくする。一方、曲用に関しては、概ね、古典ラテン語の規範が遵守されている。さらに、動詞活用に関しては、受動相の複合形の用法に関し、古典ラテン語と俗ラテン語二つの体系の間での揺らぎが見られる。対格-不定法構文はquod, quaeによる従属節構文と拮抗しており、現在分詞構文と絶対奪格は、古典ラテン語とは異なった機能配分体系のもとに用いられている。つまり、本作品の言語は、古典ラテン語と俗ラテン語の双方の特徴を混在させているのである。

[10] 空間的描写

リンク

単著・査読なし

1994年12月

LUTECE(大阪市立大学フランス文学会発行) 第24号 1-18頁

中世の作品に見られる描写を形式的に扱うことのできるような方法論はこれまでの所提案されていない「空間的描写」は近現代の文学作品に多用される、描写物語展開を停止するような空間描写とともに、中世の作品で頻繁に見受けられる、物語展開を停止しない描写を包含する概念である。本論では、『ロランの歌』、『エネアス物語』など、12世紀に成立した七作品を網羅的に取り扱い、「空間的描写」を四つのカテゴリー、「付加形容詞による空間的描写」、「知覚内容としての空間的描写」、「語り手のセリフとしての空間的描写」、「状態を表す動詞による空間的描写」(これが近現代に多用される描写に相当する)を設定し、明確な定義を与えた上で、さらに下位カテゴリーを定めた。これにより、各作品の描写を数量的に扱うことを可能にし、形式的考察の基盤を整えた。「空間的描写」の考察そのものは博士号取得論文で行われることになる。

[11] 散文版『聖ユスタッシュ伝』における固有名詞の格変化

リンク

単著・査読なし

1996年12月

TLLMF(大阪市立大学大学院TLLMF研究会) 第7号 25-32頁

『聖ユスタッシュ伝』には十世紀に成立したラテン語版(原本)と十三世紀に成立した俗語版(訳本)がある。本稿では俗語版(M写本とG写本)に見られる、JhesusとPlacidusという二つの固有名の格変化を検討した。当該作品では、この二つの固有名詞だけが、一貫して、ラテン語の語尾変化を有しているが、その格変化がラテン語の規範に沿うものかどうかは大きな意味を持つ。すなわち、語尾変化が見かけだけのものであった場合、俗語版の作者のラテン語能力そのものに疑義が付され、俗語版がラテン語版からの直接の翻訳ではなく、他の俗語訳に基づく孫訳だということが示唆されるからである。しかし、事例を網羅的に調査した結果、ラテン語原本に対応箇所がある場合はもちろん、そうでない場合でも、形態は用法と一致しており、大きな間違いは見当たらなかった。それゆえ、俗語版は、ラテン語原本から直接翻訳されたものである可能性が高いと考えられるのである。

[12] 『聖ユスタッシュ伝』の「散文版」と「韻文版」

リンク

単著・査読なし

1996年12月

LUTECE(大阪市立大学フランス文学会発行) 第26号 16-32頁

聖ユスタッシュの物語は様々な形で作品化されているが、十三世紀にはラテン語版に基づくとされる二つの俗語作品、「散文版」と「韻文版」がある。本論は、この「散文版」と「韻文版」が直接ラテン語版に基づくものであって、いずれか一方が他方から生じたという意味での親子関係が両者には認められないことを文献学的に証明する。すなわち、numeros「数」をhumeros「肩」と誤解した誤訳が、韻文版では見受けられないのに対し、散文版から派生したスペイン誤訳には見られる。つまり、「韻文版」から「散文版」へ、 という影響は考えにくい。他方、「韻文版」は「散文版」よりもラテン語原本を自由に訳しており、後者が前者から生じることも考えられないのである。更に、類義語の並列を多用する「散文版」の文体的特徴、他方で、クプレを尊重しつつもアンジャンブマンを効果的に使用する「韻文版」の詩法上の特徴は、両作品がともに十三世紀初頭に生じた可能性の高いことを示している。

[13] 二人の主人公:アレクシスとユスタッシュ

リンク

単著・査読なし

1997年2月

和歌山大学教育学部紀要 —人文科学 — 第47号 179-187頁

十三世紀に成立した『聖ユスタッシュ伝』と十一世紀に成立した『聖アレクシス伝』の主人公の違いを扱った。いずれも、十世紀以前のラテン語原本に基づく作品であるが、俗語に翻訳された時期には大きな開きがある。それには、二つ時代では、作品の受容者が主人公に求める人間像が異なっていたことに原因の一つを求めることができる。すなわち、十二世紀半ばまでは、一貫して聖人、英雄の立場を貫き、そのためには家族も顧みない主人公が好まれた。例えば、新妻を捨てて出家してしまうアレクシスの姿は、義理の父を危険な敵地への使者として推挙するロランの姿と重なる。他方、十二世紀後半以降は、悩み、苦しみつつ成長する、家族愛に満ちた主人公が好まれた。すなわち、神からの試練に黙々と耐えるのではなく、失った家族のことを嘆き続けるユスタッシュの姿は、君主の無能ぶりに業を煮やし、その味方となった妹を殺めようとするも、彼女との血のつながりを再確認して和解するギヨームの姿と重なるのである。

[14] 韻文から散文へ —『聖ウスタッシュ伝』と『ポンテュー伯の娘』—

リンク

単著・査読なし

1999年12月

TLLMF(大阪市立大学大学院TLLMF研究会) 第8号 11-24頁

十三世紀前半に成立した二つの散文作品に見られる韻律文を扱った。韻律文は筆者が提唱する概念で、散文中にあって、8音節、10音節、12音節の韻文のリズム構成を持った文のことである。本論では、『聖ウスタッシュ伝』と『ポンチュー伯の娘』の二つのバージョンに見られる韻律文を網羅的に採集した。それにより、『ウスタッシュ』では、総語数7299のうち2133語が、『ポンチュー伯』のA写本では9835のうち2575語が、B写本では9970のうち3040語が、それぞれ韻律文に属していた。つまり、作品全体の3割前後が散文の中で韻律を持っていたのである。韻文から散文への移行は、形式的制約からの解放のように受け取られがちである。しかし、実際には、それは一つの形式から別の形式への移行に他ならない。散文という新しい形式は、自動的に格調をもたらす韻律からの困難な離脱過程をへて、創り出されたものなのである。

[15] 文学と電子テクスト —電子テクストの可能性、技術的問題について—

リンク

単著・査読なし

2002年12月

LUTECE(大阪市立大学フランス文学会発行) 第30号 35-53頁

多くの電子テキストがWeb上に公開されているが、その質は概して粗悪である。第一に、誤字脱字が頻出し、原本のテキストを忠実に再現していないことがある。スキャナとOCRの普及は、印刷本を電子化する際の労力を大幅に軽減したが、安易な電子化を助長するという弊害ももたらした。実際、自動処理で作成した電子テクストは、想像以上に手間をかけなければ、使い物にはならないのである。本論では、具体的なノウハウを通して、電子化の精度を向上させる方法を論じる。第二に、プログラムによる処理の可能性を考慮せずに作られたものが大半だということがある。WEBに公開するという関係もあって、見た目に美しくするために、テクストに不要な記号を付け加える一方で、例えば、行番号と行本文の区別さえも適切になされていない場合が多いのである。本論では、電算処理を念頭においた電子テキストの成形方法を解説する。

[16] 電子テキストの書式 —より快適な電算処理のために—

リンク

単著・査読なし

2004年5月

『TLLMF・周辺』 シメール社 合併 3-21頁

電子テキストは、データを必要な部分を、必要な形式に処理して、取り出せるという意味での動的性質を持ち、固定的なデータを提供するという意味での静的性質をもつ書籍とは決定的にことなる。本論では、その違いを説明した後、電子テキストの動的性質を保証するのがプログラムに他ならないことを指摘して、筆者が開発したプログラムを利用した、電子テキストの活用法を紹介する。もちろん、本論で紹介される、ソフト類の現状は、当時とは異なっている。LEXICA, HpConc, LexicaMakerは、現在ではAlmace, Halteclereなどが後を次いでおり、、TCAF(古仏語動詞活用表)はWEB上で公開されている。Van Daeleの辞書も完成して久しい。したがって、本論には、年月の経過により、古くなった情報も含まれている。しかし、電算処理の根本概念や、筆者が公開しているソフトウェアの背景となる思想は、現在でもほとんど変わっていない。

[17] 中世の言葉ともの—テーベ・トリスタン–

リンク-

単著・査読なし

2009年2月

和歌山大学教育学部紀要—人文科学— 第59号 63-70頁

本論では、言語表現の多義性のテーマが、12世紀後半に、どのように利用されたかを検討する。『テーベ物語』に描かれるアポロンの神託(父親が誰かというオイディプスの問いへの答え)、「お前の望みのことをお前が聞くことがないであろう」は、二つの意味を持つ「父親が誰かを知ることはない」と「父親が誰かを知るが、それはお前の望むことではない」である。『トリスタン物語』のうちベルールのバージョンが語る、イズーの有名な誓いと同様、二重の意味を有する表現は、不案内な「読み手=聞き手」には理解されない恐れがあった。そのため、『トリスタン物語』のドイツ語バージョンや、一部に古態を残すとされる『テーベ物語』の一写本では、現代の読者には興ざめに思えるほどの、あからさまな「解説」が付された。だが、時代が下るにつれ、そうした「解説」は、不要となっていくのである。

[18] CourLouisLeの語彙集について

リンク

単著・査読あり

2010年3月

LUTECE(大阪市立大学フランス文学会発行) 第37号 17-36頁

LepageによるLes Rédactions en vers du Couronnement de Louis (CourLouisLe)は、現在においても『ルイの戴冠』校訂本の決定版であるが、語彙集に重大な欠陥を持つ。そして、語義に関する勘違いは、時に、校訂法上、妥当とはいえない異文の採択さえも、引き起こしているのである。本論では、そうした例として、issue, plait, a desteseeという三つの語・表現を言語学的・文献学的な見地から詳述する。そして、それを通じて、Lepageの失敗の原因が、Godefroy, Tobler, Wartburgといった大型辞書の検索を怠り、学習辞書に過ぎない、Greimasの辞書の記述を鵜呑みにしたことにあることを示す。そして、このフランス文献学の悪習を避けるため、論者により、Godefroyの電子辞書が作成されたことを報告する。

[19] Scriptorium による電子校訂

リンク

単著・査読なし

2011年2月

和歌山大学教育学部紀要—人文科学— 第61号 79-95

Scriptoriumは筆者が作成した電子校訂用ソフトウェアであり、本論は、それを利用したテクスト校訂法を論述したものである。しかし、そこで展開されるのは、ソフトウェアの単なる使用法ではない。コンピュータの処理に最適化したテクスト記述の方法論である。すなわち、今日の印刷本のようには規格化されていない写本の表記を、そこで多用される略号も含めて温存しつつ、他方で、柔軟な電算処理をいかに保証するかが、本論が扱う最大の問題なのである。一方、Scritoriumは本論のガイドラインに沿って作成された電子テキストを適切に処理するためのソフトウェアである。これにより、LaTeXを用いて人間が読みやすい形に組版を行うことができるようになったり、著者が作成したHalteclereなどのソフトウェアで柔軟な検索を行うことができるようになるのである。

[20] Un supplément au glossaire de CourLouisLe

リンク(このリンクはDe Gruyterのサイトにジャンプします)

単著・査読あり

2011年9月

Zeitschrift für romanische Philologie, De Gruyter 第127 号-第3 分冊 411-421

Y. Lepage によるLes Rédactions en vers du Couronnement de Louis (CourLouisLe)の語彙集に問題があることは、『CourLouisLeの語彙集について』で述べたが、本論では、その問題点を逐一指摘し、必要な語彙を追加し、語彙集の補遺を作成した(約70 項目)。その際には、過去の書評を網羅的に参照したのはもちろん、Godefroy, Tobler, Wartburg, Baldingerなどの大型辞書をもれなく参照した。ただし、本論は、既存辞書の記述と単なる過去の書評の寄木細工ではない。多岐にわたる作品に対して、独自に行った調査の結果も踏まえ、ジル・ロック、サラ・ケイといった一流の学者の主張や大型辞書の記述も批判的に利用し、新解釈を提示することも辞さなかった。とりわけ、第3節で詳述したa desteseeは、従来のどの辞書にも知られていなかった用例をあげ、妥当と思われる解釈を裏付けのある形で示したと自負している。名古屋大学リポジトリでダウンロード可

[21] De nouveau sur le texte du Roland d’Oxford

リンク(このリンクはDe Gruyterのサイトにジャンプします)

単著・査読あり

2014年

Zeitschrift für romanische Philologie, De Gruyter 第130 号-第1 分冊 23-45頁

Edition électronique du Roland d’Oxfordの校訂作業に際し、従来の校訂者が提案した読みの一部には、再検討を要するものがあることに気づいた。そこで、問題となる箇所の文字を、他の類似の環境にある文字と徹底的に比較することで、例えば、uとnやiとrの識別が文字の形よりも文脈に依存していることを指摘し、機械的に文字を判別し、中世フランス語に存在しない単語を読み取ることの無意味さを指摘した。またで、19世紀に提唱されたもののこれまで無視されてきた二つの読みが正しかったことを証明し、従来のすべての研究者が読み違えてきた箇所を二つ指摘した。とりわけ、重要な発見は、第811行の読みの修正であり、seientがferentと読まれなければならないということであった。これにより文全体の解釈が変わる。また、その読みは、中高ドイツ語版『ロラン』の読みとも整合するのである。名古屋大学リポジトリでダウンロード可

[22] Amis et Amiles: texte et commentaires

リンク

単著・査読なし

2014年

和歌山大学教育学部紀要—人文科学— 第65号 5-24頁

本稿、第一部は、第二部に収録されたテクストに対する、序章と詳細な言語学的注釈である。第二部は、Konrad Hofmann のAmis et Amiles und Jourdains de Blaivies. Zwei altfranzösische Heldengedichte des kerlingischen Sagenkreises nach der Parisier Handschriftの刊行本文の一部に、様々な手を加えたものである。原著の注釈(ドイツ語)をフランス語訳し、詩行の句切れを明示、種々の弁別記号を付したのが、手直しの主なところである。序文や注釈の多くは、古フランス語の初心者を念頭に置いて書かれている。実際、これは京都大学の講義でテキストとして使用したものである。が、テクストに弁別記号を付すことは、原文の解釈の問題と結びついており、学問的な判断を要求される。そのため、本論作成に際しては、Hofmann以外に、Dembowskyの刊行本、写本原本も参照した。

[23] Le compte rendu du livre Ma[r]jorie Moffat, 《The Châteauroux version of the Chanson de Roland》

リンク(このリンクはDe Gruyterのサイトにジャンプします)

単著・査読あり

2016年

Zeitschrift für romanische philologie, De Gruyter 132号、第3分冊 824-855頁

書評であるが、単なる紹介記事ではない。投稿時の原稿でA4版22枚におよぶ学術的批判を展開をしたものである。すなわち、他の参考文献や写本そのものを利用し、校訂テクストの問題箇所を指摘するとともに、筆者独自の見解を示した。例えば、写本の読み違え箇所を指摘するとともに、正しい読みを文献学的根拠を示して提案した。さらに、詩行や単語の解釈の間違いを言語学的な根拠をもとに修正した。その際には、Châteauroux本の既存写本にさかのぼって定説となっている読みや解釈の誤りを指摘している場合も少なくない(1171 mescosiz, 1512 asseürez ...)。また、大型辞書や文献の記述の修正提案もしている(675, morerez, 1544 plaïst, 2610 voïst, 3343 aveüz ...)。つまり、多数の新しい見解も示されており、実質的に論文の内容を備えているのである。 名古屋大学リポジトリでダウンロード可

[24] Problèmes méthodologiques de The Cambridge version du Roland éditée par Wolfgang G. van Emden

単著・査読あり

2020年

Zeitschrift für romanische philologie, De Gruyter 136号、第4分冊 952-973

ヴァン・エムデンは、ケンブリッジ版の『ロランの歌の校訂にあたり、数多くの修正を行った。しかし、これらの修正は、その正当性が十分でないことが多く、歴史言語学の立場からの厳密で詳細な検証には耐えられないものが少なくない。ヴァン・エムデンは、ケンブリッジ写本の写字生が従ったモデルに存在したはずだと推測される、韻律上正しい詩を「復元」するために、写本のテキストを修正することが多い。しかし、そのために、一方では、近代化された形態や単語を退け、他方では、維持するという矛盾した態度をとった。また、時に、ケンブリッジ写本が成立するはるか以前に使用されなくなっていた、古風な形態や単語を再建テクストに使用するという時代錯誤を犯した。とはいえ、この論文は、このような矛盾した、あるいは不適切な修正を単に列挙しようとするものではなく、そうした修正の根底にある、方法論上の問題を明らかにしようとするものである。すなわち、ヴァン・エムデンは、テキストの進化のどの段階を復活させようとしているのかを十分に自覚していなかったのである。そして、この問題意識を通して、本論の著者が目指すのは、ケンブリッジ写本の新しい刊行本のための方法論を練り上げることなのである。 名古屋大学リポジトリでダウンロード可

[25] Commentaires sur des vers problématiques du manuscrit de Cambridge du Roland

単著

2021

137号、第4分冊 1014-1077

2023年度以降名古屋大学リポジトリでダウンロード可


学会発表

著書・学術論文等の名称

発表形態

発行又は発表の年月日

発行所・発表雑誌等又は発表学会等の名称

概要

[1] 『ロランの歌』作品解釈の可能性

単独発表

1989年4月23日

リュテス研究発表会(於大阪市立大学)

[2] 『ロランの歌』を巡る諸言説のある前提について

単独発表

1991年1月12日

リュテス研究発表会(於大阪市立大学文化交流センター)

[3] Rychnerの「反復」の概念について

単独発表

1992年5月5日

リュテス研究発表会(於大阪市立大学)

[4] 『ロランの歌』の「反復」について

単独発表

1992年6月7日

日本フランス語フランス文学会春季大会(於東京都立大学)

[5] 文学・美術・世界

単独発表

1992年12月19日

リュテス研究発表会(於大阪市立大学)

[6] 『ロランの歌』における「冒頭詩行」の存在性格について

単独発表

1993年6月26日

リュテス研究発表会(於大阪市立大学)

[7] 中世における現実と理想

単独発表

1993年12月16日

リュテス研究発表会(於大阪市立大学)

[8] 十二世紀のディスクールの概念

単独発表

1994年5月29日

日本フランス語フランス文学会春季大会(於慶應義塾大学日吉学舎)

[9] 『聖ユスタッシュ伝』の「韻文版」と「散文版」

単独発表

1996年12月1日

リュテス研究発表会(於大阪市立大学)

[10] 韻文から散文へ ─ 『聖ウスタッシュ伝』と『ポンチュー伯の娘』を中心に ─

単独発表

1998年5月31日

日本フランス語フランス文学会春季大会(於成城大学)

[11] 『ロランの歌』電子エディション

単独発表

2001年9月23日

リュテス研究発表会(於大阪市立大学)

[12] 12世紀における「言葉ともの」:『テーベ』、『トリスタン』、『イヴァン』

単独発表

2007年3月25日

リュテス研究発表会(於大阪市立大学)

[13] Glossaire supplémentaire de CourLouisLe

単独発表

2008年9月13日

リュテス研究発表会(於大阪市立大学)

ハンドアウト

[14] 『ルイの戴冠』におけるギヨーム像

単独発表

2009年6月6日

リュテス研究発表会(於大阪市立大学)

ハンドアウト

[15] 『ルイの戴冠』におけるルイの人物像

単独発表

2011年度11月12日

日本フランス語フランス文学会関西支部大会(於大阪市立大学)

[16] 「電子校訂法—古い文学とコンピューター」

基調講演とシンポジウム

2011年度12月9日

東北大学文学研究科主催シンポジウム「古い文学と私たち」(於東北大学川内北キャンパス マルチメディア教育研究棟)

[17] オックスフォード本『ロランの歌』のテクスト再考

単独発表

2012年6月1日

国際中世叙事詩学会日本支部研究報告会(於成城大学)

ハンドアウトは、小栗栖までメールで請求があった場合にのみ開示します。

[18] オックスフォード本『ロランの歌』のテクスト:いくつかの修正について

単独発表

2014年5月23日

国際中世叙事詩学会日本支部研究報告会(於成城大学)

ハンドアウト、発表内容(音声ファイルmp3)ともに、小栗栖までメールで請求があった場合にのみ開示します。

[19] 印刷本と電子校訂

基調講演とシンポジウム

2014年12月13日

国際アーサー王学会日本支部2014年度年次大会 第1部:シンポジウム「書物の過去と未来」(於龍谷大学大宮学舎南黌203教室)

7cm

[20] オックスフォード本『ロランの歌』のテクスト:いくつかの修正について(2)

単独発表

2015年5月29日

国際中世叙事詩学会日本支部研究報告会(於成城大学)

ハンドアウト、発表内容(音声ファイルmp3)ともに、小栗栖までメールで請求があった場合にのみ開示します。

[21] リヨン写本『ロラン』のテクスト

単独発表

2016年5月27日

国際中世叙事詩学会日本支部研究報告会(於亜細亜大学)

ハンドアウト、発表内容(音声ファイルmp3)ともに、小栗栖までメールで請求があった場合にのみ開示します。

[22] 『ロランの歌』のテクストについて

単独発表

2017年6月3日

国際中世叙事詩学会日本支部研究報告会(於亜細亜大学)

ハンドアウト、発表内容(音声ファイルmp3)ともに、小栗栖までメールで請求があった場合にのみ開示します。

[23] 『ロランの歌』P/T写本のテクストについて

単独発表

2018年6月1日

国際中世叙事詩学会日本支部研究報告会(於亜細亜大学)

ハンドアウト、発表内容(音声ファイルmp3)ともに、小栗栖までメールで請求があった場合にのみ開示します。

[24] 武勲詩概説

単独発表

2018年6月16日

日本中世英語英文学会西支部主催セミナー (於三重県勤労者福祉会館)

[25] Anglo-Norman 語の「武勲詩」における「異教徒」=「サラセン人」から見る「世界」観 とその広がり

単独発表

2018年6月16日

日本中世英語英文学会第34回東支部研究発表会・第34回西支部例会(合同開催)、シンポジウム:中世文献から見える「世界」と「世界の広がり」—WHERE the east meets the west— (於三重県勤労者福祉会館)

[26] 中世フランス文献学の仕事

単独発表

2018年11月8日

日本フランス語フランス文学会中部支部大会(於名古屋大学)

[27] ケンブリッジ写本『ロランの歌』のテクストについて

単独発表

2019年5月24日

国際中世叙事詩学会日本支部研究発表会 (於亜細亜大学)

[28] 変異を繰り返すテクストとコンピュータ――『ロランの歌』とヴァレリー『旧詩帖』

共同発表

2022年12月3日

2022年度中部支部大会 (オンライン開催)

共同発表者:鳥山定嗣


その他:研究関連(電子辞書・データベース・ソフトウェア)

著書・学術論文等の名称

単著・共著の別

発行又は発表の年月日

概要

[1] GdfEdic

単著

2006年

Frédéric Godefroy, Dictionnaire de l’ancienne langue française(全七巻約6000頁)の画像電子辞書(LexicaNEO/Durendal/AiDurendalで検索できる)。序文とマニュアルはフランス語。本電子辞書の開発に際しては、不連続辞書(dictionnaire sporadique)という、新たな電子辞書の概念を考案した。なお、Godefroyの辞書はChampionからフルテキスト版がすでに市販されているが、本業績の価値を損なうものではない。市販版は誤植があまりに多いため、専門家の厳しい批判を受けている(D.E.A.F.の文献データベース参照)。また、ATILF(www.atilf.fr)のDictionnaire du Moyen Français(1330-1500)がリンクするGodefroy辞書のデータは、本辞書および、下記GdfCEdicのデータである。

[2] GdfCEdic

単著

2006年

Frédéric Godefroy, Dictionnaire de l’ancienne langue françaiseの補遺部分(全3巻約2000頁)の不連続電子辞書。LexicaNEO/Durendal/AiDurendalで検索できる。

[3] GdfLexEdic

単著

2006年

Frédéric Godefroy, Lexique de l’ancien françaisの不連続電子辞書(全1巻約550頁)。LexicaNEO/Durendal/AiDurendalで検索できる。

[4] GaffioEdic

単著

2006年

Félix GaffiotのDictionnaire latin-français(全1巻約1270頁)の不連続電子辞書。LexicaNEO/Durendalで検索できる。なお、本電子辞書データが出発点となって、大久保克彦, V. M. Komarov, Gérard Grécoらにより、Gaffiotの辞書のフルエンコーディング改訂版が作成された(Gaffiot 2016)

[5] VanDaele

単著

2007年

Hilaire Van DaeleのPetit dictionnaire de l’ancien françaisの画像電子辞書。序文とマニュアルはフランス語。不連続辞書ではなく、全見出し語とその異形(総見出し語数約3万)をテキストデータ化し、辞書の頁画像とリンクしたものである。見出し語の初期入力のみ複数の手を借りたが、データの見直し・編成・予備情報の入力など、作業の大半は小栗栖個人が行った。LexicaNEO/Almace/AiAlmaceで検索できる。

[6] LexicaNEO

単著

2007年

電子辞書閲覧と電子テキスト解析に利用できるソフトウェア。10年間あまりにわたり改良を重ね、複数の専門家からの利用の報告、批評を得ている。Windows版、Macintosh版のそれぞれに、マニュアルを含む日本語版・仏語版がある。サポートはすでに停止。Almace, Durendal, Halteclereが後を継いでいる。

[7] TL_LexMaker

単著

2008年

TLEL ("Tobler-Lommatzsch, Altfranzösisches Wörterbuch", Elektronische Ausgabe redaktionell bearbeitet von P. Blumenthal und A. Stein, Stuttgart (Steiner) 2002.) のインターフェース変換ソフト。BlumenthalとStein両氏の許可のもとに公開している。

[8] LexRomEdic

単著

2008年

François J. M. RaynouardのLexique roman ou dictionnaire de la langue des troubadours comparée avec les autres langues de l’Europe latine (Silvestre Librairie, 1844)(全5巻約3000頁)の不連続電子辞書。LexicaNEO/Durendal/AiDurendalで検索できる。序文とマニュアルはフランス語。

[9] Durendal

単著

2011年

不連続辞書閲覧ソフトウェア。不連続辞書は辞書のページ画像と各画像の最初の見出し語のテキストデータをリンクすることで、とりわけ、複数巻にわたる大型辞書の検索閲覧の効率を格段に向上させるソフトウェアである。日本国内はもとより世界中の研究者から使用の報告を得ている。WEB版として、Michel Corne氏によるDicFro(www.micmap.org/dicfro/)がある。英語インターフェース。日・英・仏語マニュアル。

[10] Scriptorium

単著

2011年

電子校訂本作成ソフトウェア。一定に書式に基づいた電子テキストを、pdf本としてLaTeX組版するソフトウェア。著書[5] Edition électronique du Roland d’Oxfordの組版にこのソフトウェアを使用した。フランス語インターフェース。日本語マニュアル。

[11] LevPEdic

単著

2011年

Emil Levy, Petit dictionnaire provençal-français, 4eme éd.,Carl Winter-Universitätsverlag, Heidelberg, 1966の不連続辞書。LexicaNEO/Durendal/AiDurendalで検索できる。

[12] LacEdic

単著

2011年

Dictionnaire historique de l’ancien langage françois ou Glossaire de la langue françoise, J.B. de la Curne de Sainte-Palaye, Niort (Favre) - Paris (Champion) 1875-1882, 10 vol.の不連続辞書。LexicaNEO/Durendalで検索できる。

[13] Oliphan

単著

2013年

写本画像閲覧ソフト。詩行番号やフォリオ番号を入力すると、写本画像の該当ページを表示するほか、電子テキストとリンクして、検索した単語を写本画像上で逐一確認することもできる。フランス語インターフェース。フランス語マニュアル。

[14] Halteclere

単著

2013年

電子索引作成・閲覧ソフト。電子テキストの全単語索引を作成する。単語を入力すれば、索引の該当項目が表示されるとともに、電子テキストの該当行が一括表示される。複数の電子テキストを処理することも可能である。英語インターフェース。日・英・仏語マニュアル。

[15] Almace

単著

2013年

電子辞書閲覧ソフトウェア。不連続辞書よりも複雑な構造をもつ電子辞書を閲覧するためのソフトウェア。TCAFのようなフルエンコーディング辞書や、Van Daeleのような全見出し語電子辞書を検索・閲覧する際に使用する。英語インターフェース。日・英・仏語マニュアル。

[16] LexerEdic

単著

2015年

Mattias Lexer, Mittelhochdoeutsches Handwörterbuch, 1869-1878, Leipzig, Verlag von Hirzel.の不連続辞書。LexicaNEO/Durendalで検索できる。

[17] REWeDic

単著

2015年

W. Meyer-Lübke, Romanisches Etymologisches Wörterbuch, 1935.の不連続辞書。LexicaNEO/Durendalで検索できる。

[18] AiVeillantif

単著

2016年2月11日

iPad, iPhone用ソフトウェア。pdf書籍の語彙集・作品・固有名詞などを電位辞書として検索し、各記載項目への迅速なアクセスを可能にする。英語インターフェス。

[19] AiDurendal

単著

2016年3月12日

iPad, iPhone用ソフトウェア。Durendalとほぼ同等の機能を実現する。英語インターフェス。

[20] AiAlmace

単著

2016年3月12日

iPad, iPhone用ソフトウェア。Almaceとほぼ同等の機能を実現する。英語インターフェス。

[21] AiAlmace

単著

2016年3月12日

iPad, iPhone用ソフトウェア。Almaceとほぼ同等の機能を実現する。英語インターフェス。

[22] Durendal2

単著

2018年3月29日

Mac/Windows用の辞書閲覧ソフト。Durendalを全面改定

[23] Gdf2

単著

2018年3月29日

GdfEdicを大幅改訂。Durendal2専用。

[24] GdfC2

単著

2018年3月29日

GdfCEdicを大幅改訂。Durendal2専用。

[25] GdfLex2

単著

2018年3月29日

GdfLex2を大幅改訂。Durendal2専用。

[26] AiVeillantif2

単著

2021年7月28日

iOS用Veillantif

[27] AiAlmace2

単著

2021年7月24日

iOS用Almace

[28] AiDurendal2

単著

2021年7月24日

iOS用Durendal


その他:教育関連(テキスト・参考書・ソフトウェア)

著書・学術論文等の名称

単著・共著の別

発行又は発表の年月日

概要

[1] Collection Geste Francor

ギヨームの幼年時代

単著

2006年

学生向けに作成した、中世フランス文学作品の要約集。pdf書類として配布。

[2] Collection Geste Francor

ルイの戴冠

単著

2006年

学生向けに作成した、中世フランス文学作品の要約集。pdf書類として配布。

[3] Collection Geste Francor

ニームの荷車隊

単著

2006年

学生向けに作成した、中世フランス文学作品の要約集。pdf書類として配布。

[4] Collection Geste Francor

ギヨームの出家

単著

2006年

学生向けに作成した、中世フランス文学作品の要約集。pdf書類として配布。

[5] フランス語単語10000

単著

2006年

中級から上級レベルのフランス単語・連語をABC順に収録。pdf書類として公開。

[6] PasAPas

単著

2006年

フランス語単語練習ソフト。Windows版とMacintosh版。

[7] RegEtDep

単著

2006年

県名暗記ソフト。Windows版とMacintosh版がある。フランスの県名を暗記するために開発したものだが、フランス人が日本の県名を暗記できるように、フランス語版も作成した。

[8] フランス語初級文法

単著

2007年- (毎年改訂)

初級レベルの文法事項を網羅した文法書と練習問題集。pdf書類として公開。

[9] フランス語基本単語集

単著

2008年

基本単語600語をABC順とテーマ順の二通りの並び順で収録。pdf書類として公開。

[10] Ecoutez-moi

単著

2011年

外国語聞き取り練習ソフト。Macintosh用。

[11] フランス語初級文法

単著

2022年

上記『フランス語初級文法』の改訂版。書籍として販売。pdf書類は無料公開。