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(1) 床面積と壁の比率の説明がありましたが、壁は連続ですか?途中に窓などがある場合はどうなのでしょうか?
(2) ベタ基礎の説明がありましたが、ベタ基礎の定義(一見してベタ基礎の様なものもあるため)を、教えて下さい。
(3) 「細長い住宅はベタ基礎は向かない」 旨言われていますが、なぜですか?
(4) 普通のベタ基礎ですが基礎梁と基礎梁の間は埋め戻すのでしょうか?
(5) また、逆スラブの場合立ち上がりは、付けないのでしょうか。換気はどの様に取るのですか?
(6) 基礎パッキングの取りつけ方法、数、単価、種類(あれば)教えてください。
(7) 外壁の下地について教えて下さい。
(8) 長方形の建物の場合、長辺にあたる壁は横揺れは少ないので筋交いなどの補強はいらないとの指摘を受けた事があります。(短辺側に補強をしていれば)本当ですか。
(9) 土台について教えて下さい。どのような材木を使えばいいでしょうか。
(10) 栂について教えて下さい。
(11) バラ板を斜め貼りにする事によって水平力を負担させようと思います。このときの注意点について教えてください。
(12) 屋根材の内、葺き土有り瓦屋根、葺き土なし瓦屋根、スレート屋根(クボタコロニヤル等)、型押しのスレート瓦(セキスイかわら)についてその長所や注意点について教えてください。

(1) 床面積と壁の比率の説明がありましたが、壁は連続ですか?途中に窓などがある場合はどうなのでしょうか?
窓がある部分は長さには、算入しません。施行令には、規定がありませんが、特に短い壁(90cmに満たない壁)も剛性を考えれば、算入しないのが安全でしょう。(算入する場合は、上下連結部の剛性を高めて下さい。これとは、別の話ですが長い壁は、強度を高め特にアンカーボルト等で補強し浮き上がりの検討をして下さい。)換気口程度の開口部なら無視しますが、枠等で補強されていることが必要です。

壁長さ=ax(a部分の壁率)+bx(b部分の壁率)+dx(d部分の壁率)となります。ただしc部分は、90cmに満たない長さ,d部分の開口部は、換気口程度で小さいもの、とします。
(2) ベタ基礎の説明がありましたが、ベタ基礎の定義(一見してベタ基礎の様なものもあるため)を、教えて下さい。
ベタ基礎とは、十分に剛性のある面的な基礎です。もちろん構造的にも安全であることを要します。私が勧めているのは、特に根切り量が少ない逆スラブのベタ基礎です。

一見逆スラブのベタ基礎は、根切り深さが浅いように見られますがA部分の土質がその下より良好の場合は、根切り深さは、Bとなります。
   布基礎築造後土間コンクリートを打設したような物は、その下の地盤を一度掘り返しているのでどんなに構造的に立派でもベタ基礎とは、言えません。
  また土質が砂地盤の時は、ベタ基礎の中央付近に最大荷重がかかりますので十分な耐力が必要です。
  (3) 「細長い住宅はベタ基礎は向かない」 旨言われていますが、なぜですか?
逆スラブのベタ基礎は、向かないと言う意味です。逆スラブは、その施工上方法で一度打ちとなります。その為スラブの顎を打設する事が困難なためです。
細長い建物は、できるだけ顎を出して計画すべきです。

(4)普通のベタ基礎ですが基礎梁と基礎梁の間は埋め戻すのでしょうか?
外部GLより建物内部は、必ず高くなければなりません。(水が建物内に入らなくするため)そのためには、埋め戻す必要があります。しかし確実に床下に水が流入しない保証(崖地等で浸水の恐れのない所)があれば埋め戻す必要は、ありません。埋め戻した場合下がコンクリートのため排水されません。基礎コンクリートを増し打ちしてGLより高くするのが最良です。また逆流しない排水口も設けると良いでしょう。 また床下も高くとった方が換気のためには、良いでしょう。 

(5)また、逆スラブの場合立ち上がりは、付けないのでしょうか。換気はどの様に取るのですか? 
 もちろん立ち上がりは、必要です。構造用でない立ち上がりとするか、基礎梁とするか構造計画を立ててください。換気口も大きめにまた逆流のない排水口も取り付けられれば最良です。
(6) 基礎パッキングの取りつけ方法、数、単価、種類(あれば)教えてください。
 建物を解体したとき換気口のある部分だけ腐朽していない土台を、発見したことがあります。
 基礎パッキングの効用は、基礎の湿気を土台に伝えないことと、換気です。基礎が湿気ているのは、論外です。換気については、有効だと思いますが専用の換気用網や水切りを付けてください。(水仕舞い等もよく考えてください)土台は、時間の経過とともに腐朽し、柔らかくなってパッキングは、めり込んでしまいます。均等に沈むことは、ないので注意してください。金属・ゴム・プラスチックス製があるようですが時間の経過をよく考えてつかってください。単価等は、「建築物価」等の雑誌をご覧ください。また施工要領書を熟読の上施工ください。
(7) 外壁の下地について教えて下さい。
    先日、着工した現場で、当初私からの要望で外壁に構造用合板をつける様依頼をしておりました。が、実際にわ付けておらず現場で工務店の責任者〈その会社の常務)と揉めてしまいました。個所は側壁(正面からは見えません)でサイディングの下地です。防湿シートを柱などの上に直接貼りその上に貼るとの事でした。都内の三階建てという事もあり長方形の家です。横揺れを考えれば、9〜12ミリの合板、と考えていましたが、必要性は乏しいような事を伝えられました。(工事は一応ストップし元受け会社に確認する事になりました。)サイディングは、構造材と考えて良いのでしょうか?また、下地はこれで良いのですか?(パンフレットを見ると下地のようなものが挿絵にあります)
上記に関して 他の現場の監督に聞いたところ同じような下地との事でした。
 よく見かける施工方法です。たぶん長辺方向が筋交いで補強されているのだと思います。規定通り入っているか調べてください。サイディングにもよりますが普通の部材なら構造用では、ありません。構造用ならサイディング四周に規定通りの下地及び釘打ちが必要です。また構造用合板を耐震要素として使う場合は、規定通りの四周を下地及び釘打ちが必要です。


(8) 長方形の建物の場合、長辺にあたる壁は横揺れは少ないので筋交いなどの補強はいらないとの指摘を受けた事があります。(短辺側に補強をしていれば)本当ですか。

 長辺方向も耐震要素は、必要です。地震力や風力は、あらゆる方向からやってくると考えられています。すべての方向に必要な耐力を計算し建物を設計しなければなりませんが、構造計算では、通常直交する二軸について計算することになっています。長方形の建物なら短辺方向と長辺方向です。長辺方向は、壁が多くなることが予想されていますが耐震要素が必要でないと言うことは、ありません。内壁も耐震要素ですがそれに見合う施工が必要です。上下の横架材(土台と胴差・梁)に規定通りの接合がされていればよいのですが通常床を施工してから内壁を作るため土台には、接合されません。また上部も天井裏まで施工しないのが普通ですので、内壁は、余力程度に考える方がよいと思います。(それなら内壁も上下の横架材長辺方向も計算して必要な筋交いまたは、有効な壁をもうけてください。

(9)土台について教えて下さい。どのような材木を使えばいいでしょうか。

一般的に言って土台に使う材としての必要な性質を以下に列挙すれば次のようです。
1,なるべく心持ち材であること。
 心持ち材とは、材木の中心がある材木です。材木の耐久性は、辺材より心材の方が極めて高い事は、良く知られていることです。
2,大きな節がなく特に死節・抜け節がないこと。
 大きな節は強度が不足します。また土台には、構造上極めて重要な部材である柱や筋交いが取り付きます。柱のめりこみに対して十分な強度と釘等で割れや裂けを生じない、粘りのある材種が望まれる。
3,曲がり・反り・大きな丸み・割れがないこと。
4,適切な防腐処理がなされていること。
どのような材種でも、通常水がかりあるいは、多湿の所に用いると腐れを生じます。しかし材種によってそれは、異なることが一般的に、知られています。防腐材としては、良く知られているクレオソート(木材を乾留したとき(炭を作るとき)に得られる特有の臭いを持つ木酢)や浸漬処理に使う硫酸銅溶液(処理した木材は、繊維方向に規則正しい切り傷を持ち少し青みがかっている)、キシラモンのような化学合成品があります。いずれも薬品がしみこんだ所塗ってあるところ)は、極めて長年に渡って防腐能力があるように見えます。しかし薬品のしみこんでいないところ(材の中央部分)は、残念ながら腐っているのが事実です。
5,耐久性があること。
具体的な材種としては、桧です。先頃は、補助金の成果が上がり内地檜が土台用に安価に多数出回っています。
少し丸みがありますが、適切な木取りをすれば、問題ないと思います。
もっと高級品としては、栗材を勧めます。
また、浸漬防腐処理を、施した小節の栂でしたら問題は、ないと思います。基準で節の大きさは、決まっていますのであまりにも悪い材が使われることは、少ないと思います。
★その他
どのような材種・防腐処理を施そうとも腐れから土台を守るのは、適度な乾燥と水仕舞いです。それには、適切な基礎高さ、換気及び適切な使用と補修が必要です。シロアリ駆除も、当然必要です。(シロアリ駆除は、有効期限があります。)
また乾燥度合いが大切です。乾燥計があればいいのですが、....
他に工期が短いと増し締め(金具のボルトが材木の乾燥に伴い緩む現象に対処するため後日締めなおす事)の期間も短いためボルト等が緩んだ状態になり強度低下の原因になります。
★余談
素人・専門家を問わず、材木の材種・等級については、よく解りません。見本品を用意しそれと同等かどうかで判別するのが良いと思います。もちろん適切な材種を、選ぶことは大切です。それとともに材木には、節に代表される欠点がありますので、一本一本の欠点も見て
下さい。また継ぎ手・仕口・金物についても事前に見本の提供を受けておいて下
さい。
(10)栂について教えて下さい。
日本産栂は、「ほんつが」と呼ばれ私も見たことがありません。極めて高級品で栗材と同じように枕木にも用いられる位の耐久性があります。(高いので土台なんかには、使わないと思いますが)
通常栂と言えば、「べいとが」と呼ばれる、カナダツガです。(近頃需要が内地材が補助金の成果が上がって出回っているため、反対に減っているのかテレビで宣伝していました。)大きな材なので部材を取る部分によって、上級品から下級品までありその耐久性に極めてばらつきがあります。良材の米栂は、きれいな柾目で柱や内法材になります。下級品は、節が大きく節周りは、割れやすく逆目を生じやすいです。いずれの場合も、時間の経過とともに黒ずんでくることが特徴です。
構造材として用いる場合は、重要な部分に欠点が来ないようにうまい木取りが必要です。土台には、浸漬処理が必要です。

(11)バラ板を斜め貼りにする事によって水平力を負担させようと思います。このときの注意点について教えてください。

バラ板(以下下地板と言います)についてですが、注意点を列挙するなら次のようです。
  ●構造面から 
@下地板を斜め貼りすることによって、水平力を負担させるためには、厚さが、1.5cm必要です。(施行令)
A木ずり下地の場合も水平力を負担できると施行令では、示していますが、モルタル下地には、該当しないものと思われます。
B余力として下地板を見る場合、剛性と脆性を考えに入れなければならないと思います。まず水平力が徐々に、または急激にやってきた場合。
剛性の強い物から順番に負担します。木造の場合は、次の順番と考えられます。
@.内外装壁材等の構造材に直接付いている面材(モルタル壁そのものについては破壊等の状況から見るとそれほど負担してないように思われます。たぶんAかB程度)
A.筋交い等の水平力負担部材
B.木仕口、貫等、水平貼りした下地板等ラーメン構造として負担する部材
下地板を、筋交い貼りにすると上記BからA上がったことになります。
 耐震要素が各戸撃破されないように最終の変形(潰れる一歩手前)の時まですべての耐震要素は、靱性(粘り強さ)を持ち続けなければなりません。一般的に接合部の破壊は部材そのものの破壊より靱性に欠けるので接合部が先に破壊されないように設計すべきです。接合方法やそれに付いてるモルタルの剥離についてのよく考えるべきでしょう。接合方法部材断面等は、別途計算すべきでしょうが、少なくとも次のようあること。
○接合は、4−N50(長さ50mmの丸釘4本打ち)縁空きは4cm以上
○部材は、釘割れのない様杉材等の軟材、上部水平部材より下部水平部材まで1材で(どうしても継ぐ場合は、1カ所に集中しないように)
○釘打ち機使用の場合は、釘頭を必要以上に沈めないようにしてください
  ●施工面から
@下地板を支える間柱の間隔は、45cm以下が望ましいので、斜め貼りにすると間柱は@300mmとなります。下地板は、普通長さが2mですので間柱間隔で4間の所に継ぎ手を生じます。間柱は、普通の四つ割程度では、細いと考えられます。だからと言って柱の所で継ぐとロスが多すぎるように思います。普通の下地板ではなく貫に使うような3mや4m材を使うかコスト比較が必要です。
B水平貼りの時より下地板継ぎ手も一カ所に集中しないようにお願いします。
C構造の所でも述べましたが、ラスや力骨の補強もお願いします。
D斜め貼りとは関係ありませんが、水がかりでない天井面には防水紙を貼らずに十分にモルタルを裏出してください。モルタルの剥離を防ぎます。(設計者施主の事前の承諾を得てください。)
E下地板は、暴れる檜材ではなく、素直な杉材を用い下さい。
F耐久性のことを考えると、だからといってコンパネを下地板に用いなで下さい。
以上の申し述べましたが斜め貼りは、多数の困難があります。しかしながら剛性を増し振動障害を防ぐ優れた長所もありますので、困難を克服して採用されますようお願いいたします。

(12) 屋根材の内、葺き土有り瓦屋根、葺き土なし瓦屋根、スレート屋根(クボタコロニヤル等)、型押しのスレート瓦(セキスイかわら)についてその長所や注意点について教えてください。
  構造的には、軽くて脱落しない物がいいので釘で留めるスレート瓦でしょう。 しかし何十年も使う屋根材ですから耐久性のことを考えると色々不安もあります。
 @スレート瓦の標準施工は、野地板が最近は殆どコンパネです。少しの水漏れでもあるとコンパネは、接着面が剥離してしまいます。そのため釘が効かなくなってしまう場合があります。
 Aスレート瓦は、必ず劣化します。色落ちもあります。スレート瓦は、ロットにより色の劣化が違うように思います。色落ちしても目立たない色を用い同じロットを使いましょう。10年は色落ちしては、困りますが付近を観察すると出来ていない物もあります。
 B屋根の上も 色々な事情で上ることがあります。下地が不安定だったり水切り材を挟んでいたりして下地が不同の場合足をかけると割れることがあります。特にスレート瓦は、時間がたつと堅くもろくなります。下地や水切り材には、注意してください。
 C型押しのスレート瓦は、下地材との間に空間があります。これは、熱問題には大変良いことですが、虫や鳥等が侵入する危険が考えられます。(葺き土有りのかわらの場合100パーセント近く雀が巣を作っています。)指定部材を用い隙間を生じないようしましょう。
 D単純な切妻屋根の場合は、問題ありませんが谷がある場合は、特に注意してください。谷部分には、耐候性のある金属で作ってください。変化のとんだ屋根の形の場合は、捨て水切り等を積極的に用いましょう。また屋根と壁との立ち上がり部分についても同じです。
 E必ずアスファルトルーフィングを使ってください。アスファルトは、優れた防水材ですが常時水がある場合には水漏れを生じます。
 Fいずれの瓦葺きも標準施工方法に従って施工下さい。少しだけ足りない場合、施工者によっては間隔を標準施工法より広めに使う場合があります。また標準部材を使ってください。
 G天窓を取り付ける場合は、適合するかどうか検討しましょう。波の高い瓦は、水仕舞いが困難です。また標準施工図のように決められた場所に来るとも限りません。注意してください。
 H半端が出ないように、けらば、軒の出を検討してください。
 I屋根の上に設置する予定のアンテナ等がうまく納まるか検討下さい。
 
 私なりの結論で言うと、天窓があるなら平のスレート、です。天窓がない場合は、単価と相談の上意匠の合う物を採用してください。
瓦屋根の場合は、大変ですが全面釘打ちを採用すれば特に問題は、ありません

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