スラブ落下事故について

2002年3月18日午後に起きた大阪環状線高架橋の側壁落下事故について
■環状線の落下事故の予測は、出来たか?
■私達は、このようなひび割れを見つけた時、どのように対処すべきか?
■なぜ落ちたのか?
■スラブの持ち出し方向の割れは、何か?
■以上のことからマンションに住んでいて何を注意すればいいか?

    

■環状線の落下事故の予測は、出来たか?

上記写真は、朝日新聞2002年3月19日より転載したものです。
「18日午後11時45分に高架橋を調べる作業員」と書いてあります。
この写真ではっきりと高架橋裏スラブに写っている白い線の様なものが見えると思います。スラブ(床版ーコンクリートの床の板状の部分)の持ち出し方向に大きく3カ所、それとは、垂直に1カ所の白いすじが、見えます。これは、白華現象(エフロレッセンスefflorescence)と言います。鍾乳石と同じようなもので、コンクリート内に水が流れるとコンクリートのカルシュウム分が水酸化カルシュウムとして析出するものです。
白いすじがあると言うことは、すなわち、コンクリートに水が、しみこみそして出てくるということが分かるのです。

以上のことから相当な亀裂・われが見えていたので、ある程度予測は出来たと思います。

■私達は、このようなひび割れを見つけた時、どのように対処すべきか?

写真では、あまり分かりませんが、その白いすじに赤みがあると中の鉄筋が錆びている、すなわちコンクリートが中性化していると言うことです。高架橋は、普通防水しませんので水が漏れます。しかし、普通の建物の屋根は、防水しますので、上記のようなすじが現れた時は、なるべく早く防水をやり直す必要があります。

■なぜ落ちたのか? 

さて他の報道から「鉄筋の上端筋がなかった」と報道されていました。持ち出しスラブ(床版ーコンクリートの床の板状の部分)の上端筋は、主筋(主な引張力を負担する鉄筋)です。これがないと言うことは、致命的です。鉄筋コンクリートは、計算上鉄筋は引張力、コンクリートは、圧縮力を負担することになっています。しかしながら、コンクリートに割れがはいるまでは、引張力も負担します。最初は、大丈夫でも次第にわれを生じ落下します。

■スラブの持ち出し方向の割れは、何か?

スラブの持ち出し方向の割れは、持ち出しスラブでは、よく起こります。これは、持ち出しスラブの付け根が強く拘束されているためにスラブが配力筋方向(持ち出し方向と直角の方向)に乾燥収縮する時われが生じると考えられます。乾燥収縮が少ないような緻密なコンクリートを、打設すればいいのですが、なかなか難しいと思います。そのため配力筋を配し収縮を分散させます。
こちらの割れは、ない方がもちろんいいがある程度は、仕方がないとも言えます。

■以上のことからマンションに住んでいて何を注意すればいいか?
◎スラブ裏(バルコニー・共用廊下・階段裏)に白いすじがないかどうか?
◎白いすじが茶色に変色していたら特に危険です。
◎最上階に居住されている方は、浴室やトイレの天井点検口または、ダウンライトからスラブ裏を観察して白いすじがないかどうか?
◎最上階でない人も出来ればよく観察して下さい。
◎特に持ち出しスラブの持ち出しと直角の方向にわれ・白いすじのあるときに専門家に見てもらって下さい
(そのようなことは、まずないと思いますが、、、、、)
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