新幹線のコンクリートは、なぜ落ちた。
前段
昨年新聞ををにぎわしていたコンクリートの落下事件について私見を述べます。
私は、住まいが新幹線の用地になったので近くに引っ越ししました。
それで山陽新幹線の高架橋を、作っているときよく見ていました。
大きな現場打ちの杭を、作るためハンマーグラブで掘って鉄かごを入れコンクリートを流し込んでいました。その後鉄筋でぎっしり詰まった基礎や柱・梁を作っていました。
柱と梁を別々に打設しているのは、土木特有だと思いました。
同時期私も大きくは、ありませんが鉄筋コンクリート造の共同住宅を初めて建てることになり
色々とコンクリートのことを勉強しました。
それから二、三年後新幹線の高架橋が剥離しているのを見て新幹線の工事の監理に大きな疑問を感じました。
詳述
さて新聞には、コンクリートの落下事件の原因を未だよくわからないが、JRによると次のようだと言っています。
1.コンクリートポンプ車による工法が未だ一般的でなっかた時に、施工者が施工効率を上げるため水を混ぜた。
2.そのため中性化が進みコンクリート強度が落ち剥離した。
3.結論として施工者が悪い。またその時代には、コンクリート剥離について防止する知識もなっかた。
私の意見
結論からまず言うと工事監理が全くされていなっかた、と言うことです。
@施工者が水を混ぜて施工効率を上げることは、よくあることです。そのためコンクリートポンプ筒先での簡単なスランプ試験を行うのが、当たり前です。(スランプ試験とは、底のない高さ30cmの小さなバケツを反対に置きその中に調べるコンクリートを入れ、鉄の突き棒で所定回数突きその後バケツを引き上げます。当然柔らかいコンクリートは、周りに流れ山は、低くなります。低くなった長さをセンチで表します。ふつうは、18cm下がるコンクリートを用います。)
A山陽新幹線を作る当時は、すでにコンクリートポンプ工法は、一般的でした。特に高架橋のようなマスコンクリート(大きな断面のコンクリート)では、水など混ぜなくても十分に打設は、可能です。
コンクリートの強度は、十分あったと思います。それに当時でも生コンは、JIS製品で厳しく監理されていました。温度やセメント強度・骨材強度等を考慮し4週強度(打設後28日目の所要設計強度)を、設計します。実際は、少なくとも1年間以上強度は、増加し続けます。その上セメントの価格は、他の物に比べてそれほど高くない。考えられる欠点とすればアルカリ骨材反応ぐらいな物だけです。
Bそれでは、なぜ剥離したのでしょう。
それは、テレビでもよく映っていた剥離場所の映像を思い出してください。中にさびた鉄筋が見えているあの映像です。鉄筋は、コンクリートの中のどの位置にありましたか。深い位置ですか。それとも表面からわずかの位置ですか。そうなんです、浅い位置に鉄筋が見られましたね。
このコンクリートの深さ、鉄筋から言えばどれくらいコンクリートに覆われているか。それが問題なのです。
 これを、かぶり厚さと言います。鉄筋は、鋼でできています。だから錆びます。コンクリートは、鋼には、ちょうどよいアルカリ性です。その上熱膨張率も似ているし最適の関係です。(アルミは、コンクリートのアルカリ性で錆びてしまいます。)コンクリートは、空気中の二酸化炭素や酸性雨のため中性化します。特に水かかりの部分は中性化しやすいものです。もちろん外から中性化します。かぶり厚さが厚ければ鉄筋の所までなかなか中性化しません。かぶり厚さと耐久性は、大きな関係があります。なお中性化したコンクリートの強度は下がらないとするのが一般的な説です。
では、この大切なかぶり厚さを確保するのには、どうしたらよいのでしょう。
簡単なことですスペーサーをつければいいのです。ドーナッツ型さいころ型など色々あります。値段も安い物で数もそれほどいりません。監理者は、鉄筋の数よりスペーサーの位置と適否を監理していればこんなことには、ならなかったと思います。
スペーサーの内サイコロと呼ばれるもの床(スラブ)の下に所定のかぶり厚さをとります
今新幹線は、剥離してもコンクリートが落下しないように、プラスチックの網をかけられています。

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