マンション管理士の何でも建築相談室

ご質問
 築4年のマンションの地下部分に設置されている給水増圧ポンプが湧水(?施工会社説明)により浸水して故障、現在は仮制御盤でかろうじて生活に困らない程度に稼動しています。この浸水事故に関しては第三者機関から施工若しくは排水ポンプの管理の不備=管理会社の責任によるものと診断。事故当日の処理費用・仮制御盤のリース費用等は未支払。施工・売主・管理三社と話し合いを持つにはどうしたらよいのでしょうか。臨時総会では費用立て替えの決議がされてしまっているのですが、他の理事に支払いはしない方がいいと止められています。

お答え
原因をはっきりとしないと復旧の費用及び改善の費用の請求先が確定いたしません。私は、建築について一考することによって糸口を見つけていきたいと思います。
  1.施工者・売り主の瑕疵に依る場合
 地下に電気を使う制御盤を設置する時には、水没・水損等の危険を回避するため十分な防水及び、排水設備を設ける必要があります。ボーリング調査・根切り工事等で十分に地下水位が低いかあるいは、ひな壇状の造成地で地下室床面より道路の方が低いかなど理由で明らかに水没しないことが予想される場合は、それらが必要でないと考えられます。しかしながらそれ以外の場合、その程度により、外防水・防水二重壁・水密コンクリート壁・十分な容量の排水ピット及び排水ポンプ・故障時のための予備機・常時点検できないところの場合は、警報装置等が必要でしょう。尚かつ引渡時にその保守点検方法の説明も必要だと思います。
 施工者・売り主が責任を逃れられる場合は、近くの河川の氾濫によるし出水・過去にないような異常な降雨・十分に説明したにも拘わらず誤った管理例えば排水ポンプの電源を切ったりあるいは、警報装置が作動しているにも拘わらず放置した場合等でしょう。
  2.管理会社(建物の管理を受託している会社)の債務不履行による場合
 管理者(居住者の集まり)と管理会社の契約約款にはっきりと排水ポンプの維持管理が明確にある場合は、責任があると考えられます。明文があっても十分な注意義務をしていたにもかかわらず(例えば毎日点検していたが、予備機を含めすべての排水ポンプが同時に故障した場合など)事故が起きた場合、あるいは排水ポンプの故障を管理者に通知したが管理者が放置している場合などは、責任を免れるでしょう。
 一方明文がなくても、掃除用具等が地下室にあるため常時排水ポンプを見なければならないような場合は、少なからず責任は、あると思います。
  3.管理者が責任を取らなければならない場合
 ●十分な構造と設備が整っており十分な説明も受けている場合で、かつ管理会社に排水ポンプの管理を委託していない場合、かつ排水ポンプが管理会社の通常の管理外にある場合(鍵等が掛かっており管理会社が地下室に入室できない時など)
 ●管理者が施工者・売り主・管理会社の十分な警告を受けたのに従わなかった場合


 ご質問の費用の支払いについては、お考えのように三社とよく話し合った方がよいと思います。話し合いのテーブルに着いてくださらない場合は、瑕疵担保責任について説明した内容証明を発送されたらどうでしょうか。
 費用の支払については、支払先が施工者・売り主・管理会社なら話し合いのテーブルについてもらうため留保した方がよいでしょう。それ以外なら、支払う必要があります。その際には、明細を保存しておくとよいでしょう。
 実際の話し合いでは、施工者・売り主については、瑕疵担保責任に依って、より責任が重いと考えられます。施工者・売り主が、責任を免れるためには、十分な設備・構造・説明をしたこと、及び予想できない事柄が起こったこと、または管理・保守に重大な欠陥過失があることを、証明しなければなりません。
また、再発しては、困りますので十分な対策を取って下さい。後日のため写真等を撮っておいてください。

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