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観測船「ふじ」の後継船、「しらせ」・処女航海の隊です。
NHKの連続ドラマ『おしん』が大ヒットし、昼休みの隊員事務室では長寿番組『笑っていいとも』とのチャンネル争奪戦がいつも起こっていました。【世界に広げよう観測の輪!】が25次隊のキャッチフレーズでした。
また、映画『南極物語』もこの年に公開されました。ヒロインを演じた夏目雅子さんには、もっと長生きしてほしかったですね。
マスコミからも注目されて、共同通信社・東京新聞社・NHKから計5名のオブザーバーが観測隊に同行しています。
夏隊の旅程は全て船でした。
【 東京 → フリマントル(西オーストラリア) → 昭和基地(24次越冬隊乗船) → ケープタウン(病人発生の為に、緊急入港。) → モーリシャス(24次越冬隊下船、空路パリ経由にて帰国。)
→ シンガポール → 東京 】という長い船旅を経験しました。
モーリシャスから先は空き船室があるので各人が個室で生活しましたが、なんとなく寂しくて夜はいつもどこかの部屋に集まって酒を飲んでいました。
私は、設営部門の一大プロジェクト「新発電棟建設」と、昭和基地・みずほ基地に続く第三の基地候補地「セールロンダーネ地域」の予察に参加しました。
昭和基地の夏期建設作業では、太陽が沈まないのをいいことに朝から晩まで働きずくめでした。今でこそ、10日おきに休日が設けられますが、当時は休みは元旦だけでした。
自らが設計したプレハブ配管システムを自らの手で作り上げるという本当に素晴らしい経験をすると共に、設計に対する自信を深める事が出来たと思っています。
セールロンダーネ地域の予察は約3週間にわたり、雪上車とスノーモービルで雪原を走り周りました。山屋の私にとっては、南極の自然の厳しさと美しさを満喫できた素晴らしいオペレーションでした。
今の私の原点が、ここにあります。 |