飛花落葉 
松尾芭蕉と老荘思想
 
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 夏炉冬扇 
 

 不易流行 
 

 不知利害 
 

 大弁若訥 
 

 色即是空 
 

 空即是色 
 

 阮宣杖頭 
 

石川虚舟/俳句集
 
随風庵
H O M E
 
 
 
 

 
八咫烏奈良へいざなふ落葉哉     虚舟
 
 
 
 
師の曰、乾坤の変は風雅のたね也といへり。
静なるものは不変の姿也。
動るものは変也。
時としてとめざればとヾまらず。
止るといふは見とめ聞とむる也。
飛花落葉の散乱るも、
その中にして 見とめ聞とめざれば、
おさまることなし。
その活たる物だに消て跡なし。
・・・
句作に
な(成)る と、 す(為)る とあり。
内をつねに勤めて
物に応ずれば、 その心のいろ句となる。
内をつね勤めざるものは、ならざる故に私意にかけてする也。
服部土芳 『 三冊子 』 (あかそうし)
『去来抄、三冊子、旅寝論』岩波文庫、p.103-104  
 
問題は「その中にして」の一語にある。
飛花落葉を外から写すのではない。
・・・
物が物として見えてくるということは、
「物に応ずる」ということである。
唐木順三 『無常』 (ちくま学芸文庫)、pp.236-238
 
庭掃て出ばや寺に散(ちる)柳     芭蕉

先ほど掃き清めたばかりなのに、寺の庭に柳が散っている。
入れかわり立ちかわり宿泊する旅人は、落葉に似る。(虚舟)