![]() ▲ TOP PAGE 不知利害 松尾芭蕉と老荘思想 ▼ 夏炉冬扇 不易流行 飛花落葉 大弁若訥 色即是空 空即是色 阮宣杖頭 石川虚舟/俳句集 |
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![]() あさがおや昼は鎖おろす門の垣 ばせを 爽やかに咲く朝顔も、昼には花を閉じる。 それにならって、老後は門に鍵をかけ、 静けさを楽しむことにしよう。 三ケ月や朝顔の夕べつぼむらん ばせを 「つぼむ」の両義性=萎む/蕾む cf. 小宮豊隆著 『芭蕉句抄』(岩波新書)1961 |
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煩悩増長 して一芸すぐるヽものは、 是非の勝(すぐる)る物なり。 是をもて世のいとなみに当(あて)て、 貪欲の魔界に心を怒らし、 溝洫におぼれて生かす事あたはずと、 南華老仙の唯利害を破却し、 老若をわすれて、 閑にならむこそ、老いの楽とは云べけれ。 『 閉関之説 』 堀切実編注『芭蕉俳文集』(上)岩波文庫、pp.99-100 名利に使われて、閑かなる暇なく、一生を苦しむるこそ、愚なれ。 財多ければ身を守るにまどし。害をかひ、累(わづらひ)を招く媒なり。 ・・・智恵出でては偽りあり。才能は煩悩の増長せるなり。 伝えて聞き、学びて知るは、誠の智にあらず。いかなるをか智といふべき。 可・不可は一條なり。いかなるをか善という。まことの人は、 智もなく、徳もなく、功もなく、名もなし。誰か知り、誰が伝へん。 これ、徳を隠し、愚を守るにあらず。 本より賢愚・得失の境にをらざればなり。・・・ 『 徒然草 』 第三十八段 子不知利害、則至人固不知利害乎、・・・ 若然者、乗雲気騎日月、而遊乎四海之外、 死生无変於己、而況利害之端乎、 子は利害を知らず、則ち至人は固より利害知らざるかと。・・・ かくのごとき者は、雲気に乗じ日月に騎りて、 四海の外に遊び、死生も己れを変えうることなし。 而るを況んや利害の端をやと。 『 荘子 』 斉物論篇 第二 金谷治訳注 『荘子』 第一冊内篇(岩波文庫)、p.77 |
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