隼人石 -隼人説考-
20 佐保山・奈保山の御陵
さて、改めて隼人石の所在地の解釈についてまとめてみます。
佐保山・奈保山には多くの御陵が点在します。津久井清影の『聖蹟図志』(1854年)をもとにして、絵地図に表してみます。
1 聖武帝 佐保山南陵
2 光明后 佐保山東陵
3 佐保山 椎岡墓
4 淡海公墓(藤原不比等)
5 聖武太子 那富山墓
6 稲荷(隼人石)【七疋狐】
※「丘上犬石トテ石三ツ在」の説明あり
7 大皇后 佐保山西陵(聖武帝母・藤原宮子)【大黒芝(大黒平)】
※「石四ツ在 以上大黒芝七ツ石ト云」の説明あり
8 宇和那辺山(元奈保山東陵比定地・大奈閉)
9 小那辺山(元奈保山西陵比定地)
10 雍良峯 元明帝 奈保山東陵
11 弁天山 元正帝 奈保山西陵
A 眉間寺 B 般若寺 C 奈良春日社(函石) D 不退寺
2 光明后 佐保山東陵
3 佐保山 椎岡墓
4 淡海公墓(藤原不比等)
5 聖武太子 那富山墓
6 稲荷(隼人石)【七疋狐】
※「丘上犬石トテ石三ツ在」の説明あり
7 大皇后 佐保山西陵(聖武帝母・藤原宮子)【大黒芝(大黒平)】
※「石四ツ在 以上大黒芝七ツ石ト云」の説明あり
8 宇和那辺山(元奈保山東陵比定地・大奈閉)
9 小那辺山(元奈保山西陵比定地)
10 雍良峯 元明帝 奈保山東陵
11 弁天山 元正帝 奈保山西陵
A 眉間寺 B 般若寺 C 奈良春日社(函石) D 不退寺
地図にすると、聖武天皇ゆかりの人物の陵墓が集まっているのがよくわかります。
佐保山東陵の光明皇后は聖武帝の皇后ですし、佐保山西陵の藤原宮子は聖武帝の母親です。光明皇后と宮子の父が藤原不比等、淡海公ですし、その不比等を取り立てた持統帝の妹が元明帝です。元明帝はまた聖武帝にとっては祖母にあたり、さらに元正帝は元明帝の娘にして聖武帝の叔母になります。
陵墓の多くは中世以降荒れてしまい、来歴もわからなくなってしまいました。その荒廃を嘆き、考定しようとしたのが江戸時代の尊皇派の人々でした。
佐保山・奈保山の陵墓も例外ではなく、隼人石の所在地について諸説噴出する一因になっています。
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