FAQ一覧

Q.遺言書がない場合どうなるの?

A.人が死亡して相続が開始すると、遺言がない限り、法定相続分に従って相続財産を分配することになります。法定相続による相続割合(法定相続分)は、以下のとおりです。

 

 ☑ 配偶者と子供がいる場合… 
  配偶者が 1/2 、残り1/2を子供が均等に分割。

 ☑ 子供がいない場合… 
  配偶者が 2/3 、残り1/3を直系尊属(両親、いなければ祖父母)が均等に分割。

 ☑ 子供、両親がいない場合… 
  配偶者が 3/4 、残り1/4を兄弟姉妹が均等に分割。

 ☑ 配偶者も子供もいない場合… 
  まずは直系尊属が、直系尊属がいない場合は兄弟姉妹が均等に分割する。

2016年04月24日

Q.必ず法定相続じゃないといけない?

A.被相続人が遺言書を残すことなく死亡した場合において、相続財産を、法定相続によらずに相続人全員で分割方法を決めることを遺産分割協議といいます。

遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、仮に相続人の一人でも参加せずに遺産分割協議がなされた場合、その遺産分割協議は無効となります。
また、相続人の中に、行方不明者や未成年者、成年被後見人などがいる場合、不在者財産管理人、親権者、成年後見人などが本人に代わって協議に参加することになります。
相続放棄をした者がいる場合には、その者は最初から相続人ではないものとはみなされますので、協議に参加することはできません。

遺産分割協議がまとまらないような場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。
相続開始後に認知によって相続人となった者(死後認知、遺言認知)がいた場合、既に遺産分割協議がなされている場合、価格による支払い請求権を有するのみですが、後順位の相続人(直系尊属、兄弟姉妹)が被相続人の配偶者と共同相続し、遺産分割を行った場合は、相続回復請求権により全面的に遺産の回復をすることができます。

2016年04月25日

Q.遺産分割の方法ってどんなの?

A.現物分割、代償分割、換価分割、共有分割などがあります。

【現物分割】
不動産・現金・預金・株式などの現物をそのまま分割する方法です。

【代償分割】
遺産を相続した者が、その他の相続人に対し、現金(代償)を支払う方法です。

【換価分割】
遺産を売却し、得られた現金を分割する方法です。

【共有分割】
相続人がその相続割合に応じて共有する方法です。

2016年04月26日

Q.遺産分割協議って?

A.相続人は、いつでも遺産の分割を請求することができます。また、被相続人が遺言で分割方法を指定することもできます。(遺産分割方法の指定)

この場合、当然に当該遺産が当該相続人に承継されるので、遺産分割協議を要しません。
もっとも、相続人全員の合意があれば、遺言と異なる遺産分割協議を行うことも可能です。(遺言執行者がいる場合は除く)

【遡及効】
遺産分割協議がなされると、相続開始時に遡って効力を生じます。もっとも賃料収入については、遺産分割前に発生し、確定的に分割取得した分については遡及しません。(金銭債権は当然に分割され、遺産分割の対象にならなため)

【遺産に建物がある場合】
生前、被相続人と同居していた相続人については、少なくとも遺産分割終了までは、明け渡しを請求することはできません。(被相続人の地位を承継した他の相続人と、同居していた相続人との間には使用貸借契約が成立しているため)

【解除】
遺産分割協議を合意解除することは可能ですが、債務不履行を理由に解除することはできません。

2016年04月27日

Q.遺産分割前の財産の扱いって?

A.個々の相続財産いおいて、相続人全員の共有となります。そのため、その持ち分の処分も当然有効となります。もっとも、被相続人の債権債務(可分のものに限る)については、各相続人に当然に分割されるため、遺産分割の対象となりません。

 たとえば、生前、被相続人が有していた売買代金請求権や賃料請求権は、金銭債権なので、各相続人に当然分割され、各相続人は遺産分割協議を経ずとも、自己の相続分に相当する金銭の支払いを求めることができます。(実務上は相続人かどうかの判断がつかないので、遺産分割協議書が必要になりますが…)

 これに対し、現金は動産ですので、当然には分割されず、遺産分割前においては、全相続人の共有に属することになります。自己の相続分だからといって、勝手に処分することは許されません。

2016年04月28日

Q.遺言書ってホントに必要?

A.遺言書をなぜ作るのか…
相続で事件にまで発展するケースは稀でしょうが、多少なりとも一悶着あることが多いのも事実です。

その場合、当事者の話し合いだけで解決できればいいのですが、解決できずにそのまま疎遠になってしまったり、また、言われるがまま相続の手続きしたものの、よくよく調べてみると、実は不公平な内容だったなど、身内の死をきっかけに、後々まで遺恨を残すことになりかねません。
そうならないためにも、誰もが納得のいく形で、相続手続きをする必要があります。

誰もが納得する相続がなされるための手段の一つが、被相続人(亡くなった人)が 遺言書を残すことです。

というのも、遺言書のないまま相続が開始されると、法律の定めるままに相続分が決定されます。しかし法律は個別の事情まで考慮しているわけではありません。

そのため、例えば、ずっと親の介護をしていた子供も、まったく家に寄り付かなかった子供も、法律上は同じ相続分になります。しかし、介護をしてくれた子供に少しでも多く残してやりたいと親が思った場合、遺言書にその旨を記載しておきます。

そうすれば、遺言書の内容にしたがって相続手続きがなされます。遺言書が残されていた場合、原則法律の出番はありません(例外として遺留分という制度がありますが…)。
遺言書は、死後に自分の財産を思いどおりに処分するための手段なのです。

そして、遺言書の存在は、相続関係を大きく左右するため、真に作成されたものかどうかを判別するため厳格な形式が要求されています。
仮に、真に作成されたものであっても、法の要求する条件を満たしていなければ、遺言書としての効力が生じません。
せっかく円満な相続のために遺言書を作成したのに、遺言書の効力を巡って争うようなことになっては元も子もありません。

行政書士が作成する場合、依頼者のリクエストを踏まえつつ、法的にも有効な遺言書作成が期待できます。
また、行政書士が併せて 遺産分割協議書 を作成すれば、相続人(残された人)にしっかりと法的根拠を説明し、その内容について納得したことを確認してから作成しますので、後々紛争になるということを回避できます。

2016年04月29日

Q.遺言にはどんなのがあるの?

A.遭難や伝染病隔離者のような特別な状況を除き、普通方式の遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。

【自筆証書遺言】
遺言者が自筆で作成するものです。①自筆であること、②日付が記載されること、③氏名(通称も可)が記載されること、④押印があること、が必要です。また訂正方法が決められているので、それに従った訂正をしないといけません。
効力要件ではありませんが、家庭裁判所による検認が必要になります。

【公正証書遺言】
公証人の面前で遺言内容を口授する(実際には事前に遺言を作成して、当日に読み上げる)ことによって作成されるものを言います。公証人のチェックが入るので、方式が無効であったり、内容に不備があったりという心配はありません。また、遺言の原本が公証役場で保管さるため、遺言を紛失したり、偽造・変造されるおそれもありません。

【秘密証書遺言】
 遺言書を封筒等に入れ、公証人・証人の面前に提出し、自分の遺言書である旨を申述する遺言をいいます。遺言の内容を秘密にしつつ、その存在はハッキリさせたい場合に有効です。秘密証書の方式に不備があり無効な場合でも、遺言の効力自体はなくならず、自筆証書遺言の方式を備えていれば、自筆証書遺言としての効力が認められます。

2016年05月09日

Q.死亡保険金の取り扱いは?

A.保険契約に基づき受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権、もしくは、これを行使して所得した死亡保険金は、民法903条1項に規定する遺贈または贈与にかかる財産には、原則あたりません。
 ただし、当該保険料が、生前に被相続人から保険者支払われたもので、それにより保険金受取人である相続人に保険金請求権が発生することからすると、保険金受取人である相続人と、その他の相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし、到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき「特段の事情」がある場合には、当該保険金請求権を特別受益に準じて、持ち戻しの対象となります。
【特段の事情】
①保険金ん額、②保険金の額の遺産総額に対する比率、③同居の有無、④被相続人の介護等に対する貢献の度合い、などを総合的に考慮して判断することになります。

【持戻し】

相続開始時の財産に、相続人が贈与された金額を加えることをいい、贈与された金額を加えた相続財産を、みなし相続財産といいます。みなし相続財産は、特別受益者の相続分算定の基礎となります。

2016年05月09日