雨飾山山行報告

【針ノ木隊】その9・下山編(担当.犬くん)
  97/07/31 22:08  

犬くんです。
では、第9部「下山編」、いきます。
下山は、比較的印象が浅くなりがちなのですが、頑張って報告します。
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  登頂を果たした針ノ木隊に残された使命は、怪我も無く無事に下山することである。
山頂にて満足感に浸った針ノ木隊は、下山へと向かった。
下山コースは、台風の影響を避けるために、その日の内に麓へ、ということで、
上りと同じコースをとった。同じコースをたどって下山するのは、
少々損した気になってしまうが、なぜか上りの景色と違って感じてしまうのが不思議なところ。
上りの時は、「ようこそ」と言っていた眼下の静かな水面が、
今度は「またのおいでを」と言っているようだ。

  あれだけ、上りがきつかっただけに、下りとはいえ楽なわけが無い。
ひたすらガシガシ下る。時々、コンパスが裂けそうになるほど段差が激しいところもある。
犬くんの場合、つい最近買ったLEKIの杖が、苦手な下りをよく助けてくれる。
単なる棒とは言え、こんなに楽になるとは。

  しばらく下ると、さっきまで後ろに付いていた薫さんがいない。
しばし、休憩を兼ねて足を止めて後方を見ていると、薫さんがなんとも清々しい顔で、
滑りながら追いついて来た。「薫さん、どうしたの?」。
薫さん、「処理。処理。戦後の処理。」とさっぱりした表情。
あれだけさっぱりした表情になる「処理」って何だろう?
あの処理かな?それとも、あれかな?「戦後」といえば、戦いの後。
何との戦いだったのだろう。自分との戦い?そうだとしたら、自分の何?
険しいながらも、一本調子でひたすら下っていると、
頭が暇になってついつい余計な事を考えてしまう。

  長い下りで膝が笑いを堪えている。いつ、プッっと笑い出すか分からない状態である。
かすかに膝がカクッときたところを、後ろの薫さんに見られ、
「犬くん、結構足にきてるね。今、カク〜ンときたよ。」と薫さん。「バレ」。

  きつい下りの後、雪渓にたどり付く。
雪解け水をチタンのシェラカップで汲み、乾ききった喉を潤す。
上りの時も飲んだので、どこで汲めばカップに細かいゴミが入ら
ないか心得ている。あ〜、なんとも言えない。冷たい水が、火照
った体を癒してくれる。チタンの熱伝導率の良さが、冷たさを引き立てる。

雪渓が終わると、下りはかなり楽になる。
途中、木にアメリカザリガニのようなものがしがみ付いているのを発見。
よく見ると、中身の詰まったセミの抜け殻である。
平たく言えば、セミの幼虫?セミのサナギ?どっちだ?
LEKIの先でそっと触ってみると、動いた!。動くセミの抜け殻は、初めて見た。

  ブナ林も終わり、湿っぽい地面になってくる。長い下山も終わりのようである。
布袋(ホテイ)さんが持っているような、道の両側に広がるおばけのように大きな
芭蕉の葉っぱに迎えられ、朝食を食べた小屋にたどり着く。
お疲れさまでした。無事、降りられて良かったね。
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第9部「下山編」は以上ですが、本文中に今回の山行きの謎を解くキーワードが隠されています。
ちょっと、無理があって難しいかな?

                                         97/07/31(木) 22:05   犬くん  

【針の木隊】山行報告・目次
【針の木隊】山行報告・その0・出発前(担当.丹)
【針の木隊】山行報告・その1・出発編(担当.薫)
【針の木隊】山行報告・その2・朝食編(担当.ミ〜ヨン)
【針の木隊】山行報告・その3・雪渓編(担当.武尼庫)
【針の木隊】山行報告・その4・急登編(担当.きすげ)
【針の木隊】山行報告・その5・昼食編(担当.Kem)
【針の木隊】山行報告・その6・お花編(担当.多聞)
【針の木隊】山行報告・その7・山頂編(担当.丹)
【針の木隊】山行報告・その8・展望編(担当.役行者)
【針の木隊】山行報告・その10・宴会編(担当.めぐ)
【針の木隊】山行報告・その11・事実編(担当.俊成)