職場の人間関係の相談  回答は向井です。

回答は向井です。掲載に関しては、ご本人の承諾は得ております。

質問「土足で踏み込まない 」

「背負わない、土足で踏み込まない」
不動産の営業をしています。昨年入社した部下のKさん(男性 23歳)の事で相談しました。もう1年以上営業をしているのですが、先日中々仕事が進まないKさんに「もう、何回言ったらわかるんだ? さっきも同じことを言っただろう」と辛抱できずに叱ってしまします。
すると、彼はしゅんとして肩を落とし、終日元気がなさそうな素振りです。私は「少し言いすぎてしまったかな」と反省しています。彼の顔色が気になって、気になって仕方なくなりました。
私は子供にも「勉強しなさい」と命令をしてしまうと事があり妻に注意されています。良好なコミュニケーションのポイントがあれば教えて下さい
              大阪市在住 40歳 男性 不動産会社営業課長
回答  「良好なコミュニケーションの鍵は『課題の分離』」
例えば、あなたは子供に対して「勉強しなさい」と叱るとおっしゃっていますね。しかし、勉強をするか、しないか、それは誰の課題でしょうか。
勉強をしなかった事による結果の責任を引き受けるのは誰か? 簡単です。
それは子供です。ですから「勉強をするか、しないか」は、子供の課題です。
にもかかわらず、あなたが子供に「勉強しなさい」と命令をしてしまう。
これは、「親が子どもの課題に土足で踏み込んでいる」という事。そうするとどうなるか?「これにより親子の信頼関係が壊れてしまう」と考えるのです。
「相手との関係を壊した後で、支援を申し出ても受け入れられることはない」のです。つまり、「勉強しなさい」と親が子どもの課題に踏み込むのではなく、「親密な話し合い」をすればいいのです。「お父さんは君の進学について少し心配しているんだけれど、君はどう考えるかな? 
その件を話し合ってもいいかな?」このような話し合いで十分に事足りるのです。そのようにKさんとのやりとりが出来ないでしょうか?
適切な距離感のためには、課題を分離し、相手の課題に土足で踏み込まない。
あらゆるコミュニケーションの前提となる大切な考え方です。
「Kさんが仕事が出来なくて落ち込む」ことはKさんの課題であり、あなたの課題ではありません。ですから、彼が落ち込んでいることに介入するのは、課題の分離ができていないのです。もしも同じシチュエーションで同じ叱られ方をしたとしても、すべての人が落ち込むわけではありません。発奮してがんばる人もいれば、すぐに忘れてニコニコする人もいます。これは、あなたのではなく彼の課題なのです。しかし、だからといってそのままでいいというものではありません。彼に対するモノの言い方が少しキツすぎたかなと、そう思うのであれば、それは「あなたの課題」です。「モノの言い方に気をつける」という「自分の課題」にだけ集中し、改めればいいだけです。
「相手の機嫌」という「相手の課題」をごちゃ混ぜにしてしまうから、ややこしくなるのです。

質問「昔の事ばかり気にする」
来期の目標・計画を検討する部内会議での事です。部下のAさん(38歳、男性)は、「10年前の事を考えると、うちの部署もだいぶ変わったよな。昔はもっと○○だったよね」といつも昔話をするのです。周りは「また始まった」と思って聞こえていないふりをしています。私は心の中で「昔の事よりも、まずは、今やるべき事をしないと意味ないんじゃない?」と突っ込みを入れたくなります。Aさんのような過去にこだわる人はどのように対応したらいいでしょうか?           福岡市在住  医療機器関連会社勤務 41歳男性

回答  Aさんは、過去の事を重視する傾向が強いタイプのようですね。「昔は良かった」という言葉が多い人は「今が生きるのがしんどい」のだというメッセージを言っていると受け取ってあげましょう。過去の事をよく覚えていて、物事を捉える基準として「過去」に重きが置かれる傾向があると思います。人間が成長していく上で、過去を振り返り、そこから「教訓」を学び、次に活かしていく事は重要だと思います。ここに、「過去」を考える事の意味があるといえます。同じ失敗を繰り返さないようにしたり、過去の経験を活かせる人ともいえますが、この傾向だけが強く出すぎると、過去の経験に捉われすぎて、今からする事に焦点を当てる事を見失ってしまう危険性があります。禅語に「過去と今この瞬間は二度と戻ってこない」という話があります。「いま」この瞬間を大切に生きなければならないという「今を生きる」事の大切さが説かれています。聖書にも、マタイによる福音書に「明日の事で思い悩むな。明日の事は明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である」とあります。では、Aさんのような過去重視の人にはどう関わればいいのかというご質問かと思います。Aさんに「昔の事を次に活かすために、これからどうしていくのか?」と問うことで、過去を意味あるものにしていくことができるのです。だから、Aさんに対しては、単なる昔話をさせるのではなく、過去から教訓を学び、そこから今の仕事に何をどう活かすかを問い、考えてもらい、実践させることがAさんの持ち味を活かし、動かすポイントになると思います。「今をよりよく生きる」為に「過去のことを考えることに意味を見出す」ことを伝えたいですね。「以前はあんなだったのに」と考え、後悔してそこにこだわる事は、今現在の局面とはまったく関係がなく、状況の打開から遠ざかるとも言えます。「さあ今からどうしようか」と初めてのようにその場面を見、そして何がベストなのかを考えることだけに集中していくように導いてあげて下さい。

質問「なぜあの人は、回りに振り回されるのか?」

私の所属している広報課に最近、Nさんが異動してきました。周りの先輩たちは彼の事を気にかけて「こうしたほうがいいよ」とか「そういう時はこうするんだよ」と懇切丁寧にアドバイスをしてあげます。当初、Nさんは、先輩たちのアドバイスを聞いて、素直な人のように見えていたのですが、ただ言われていることをそのまま形だけ行っている気がして、「どうしてそうするの?」と質問すると、「それは、先輩がそうしろとおっしゃったので」とか、「マニュアルに書かれていたので」とか、自分がこうしたいという意思が一向に感じられません。先日、上司から「「なぜこうなの?」と聞かれ、「先輩が言っていたので」と、自分の意見を持たずに答えていました。その上司から「誰かが言っていたとか、どこかに書かれていたということを理由にするな」と注意されていました。どうして周りにふりまわされるのでしょうか? 彼を支援するにはどうしてあげたらいいでしょうか?
            名古屋市在住  会社員  男性  32歳
回答   「あなたが、本当にやりたいことはなんですか?」
Nさんは、物事を判断する際に、自分で判断するよりも周りからのアドバイスを優先するタイプのようですね。私はNさんに「自分の仕事がうまくいったかどうかをどこで判断しているの?」と聞いてみたいです。
周りの人の目には、当初「素直な人」と映っていたかもしれませんが、この傾向だけが強く出すぎてしまうと、「周りの人の態度や表情で判断する人」「自分で判断できない人」と思われてしまう危険性があります。Nさんは、「みんながそういっていますよ」また、「偉い人がいっていますよ」という言葉に動かされやすいのでしょう。こういう言葉かけは、Nさんが動かされるために効果があり、有効なのです。簡単にいうと、身体の具合が悪いときに、友人から「インフルエンザかもしれないね」といわれるよりも、医師から「インフルエンザかもしれない」といわれたほうが、そうかなと思ってしまいます。
人は医師や大学教授など、その道の専門家からいわれるとつい信じてしまう傾向があります。「社長だから」「上司だから」「年長者だから」その人のいうことを聞くというものです。だから、「偉い人がいっている」となれば、Nさんは動かされやすくなるというわけです。ところが、Nさんに「自分で判断できる人」にしたいという場合には、どうすればよいか。その方法は、かなり心のエネルギーがいりますが、「開かれた質問」が有効です。
自分の考えを持てるようにしていくことが必要ですが、「あなたは、本当は何がいいと思いますか?」「あなたが、本当にやりたいことはなんですか?」と、相手が本当に自分で思うことを言っているかを尋ねることがポイントだというところです。
誰かに依存していくことから、自分で判断するNさんになれるように、大きな気持ちで受け入れてみてはどうでしょうか。

質問「仕事は好きだが人間関係が最悪」

学生の頃から旅行が好きで、今の旅行会社に入社して、3年になります。仕事の内容はかなり理解出来てきました。旅行業の資格もとれたこともあり、業務自体は気に入っているのですが、上司の評価が気になるし、人間関係が最悪で、最近は出社する前の夜からしんどくて、憂うつになっています。
「また、あの現場に行くのか」と思うと、苦しくなってきます。
このままだと不安になるし、どうしたらいいものかと思い、相談させていただきました。
              大阪市在住  旅行会社勤務 25歳  男性
回答  「会社は何をするための場所か」
あなたの相談は、仕事の内容は好きだけど、人間関係が最悪なので会社に行くのが嫌で仕方ないというお悩みですね。先に結論を申し上げます。「仕事は好きだが人間関係が最悪」な職場は、決して悪い環境ではないという事です。「仕事の内容は好きだけど、人間関係が最悪」だと考えているということは、人間関係の悪さにばかり捉われているということです。
人間関係は悪くても仕事の内容は好きだということは、半分は救いがあるということになります。カウンセリングでは、その人が置かれた状況を最高、まあまあいい、どちらでもない、よくない、最悪の五段階で分類してみることがあります。人間関係は悪くても仕事の内容は好きだというのは、最高ではないにしても、決して最悪ではないといえます。という事は、「どちらでもない」から「よくない」と「最悪」に振り子のように揺れている状態ではないでしょうか。
これは、本当にダメな事なのでしょうか? 
会社という組織の中で仕事をするという事には、仕事そのものと人間関係という二つの軸があります。仕事がうまくいっていて人間関係も良好なら、それに越したことはありません。しかし、そんな恵まれた状況はめったにないでしょう。
では、その次にいいのはどんな状況でしょう。
つまり「仕事は好きだが人間関係が悪い」と、「人間関係はいいけど仕事にやりがいがない」ということを比べると前者の方がよりよい状況なのです。
なぜなら、「会社というのはあくまで仕事をする場所」だからです。
「会社に行く目的は仕事をすること」であって、上司や同僚と親睦を深めることではありません。「楽しくやれればそれでいい」という訳にはいかないのです。
「仕事をバリバリやる」ことと「仲間と楽しく過ごす」こと、どちらが社会人としての成長をもたらすかは明白です。
同じ状況でも捉え方を変えれば「人間関係は最悪だけど、仕事の内容は好き」となり、ポジティブに捉えることができるようになります。
職場の人間関係ばかりを気にかけるのか、あるいは好きな仕事がやれていることをより意識するのか。それは自分とどう向き合い、どう捉えるかで変わってくるのです。評価を受ける事を重視するより、自分の腕を磨くことです。腕が上がると誰もあなたを放っておきませんよ。

質問「暴君のように振る舞う上司」

今の会社に入って5年になります。今回相談したいことは、昨年移動になってきた上司(課長)の事です。暴君のように振る舞う人で、怖くて仕方がないのです。ちょっとしたミスでも「何度言えばわかるんだ」「こんなことも出来ないのか」と攻撃的な言葉を言われると「お前はダメな人間だ」と言われている思いがしてきて、萎縮して何も言えなくなります。仕事そのものは好きなので会社を辞めるつもりはなかったのですが、このままだと精神的に参ってしまいそうで、最近は会社に行くことが億劫になってきています。どのようにしていけばいいでしょうか?
                  大阪市在住 26歳 会社員  男性
回答  「縦の関係を横の関係に」「対等関係が共同体を作る」
会社での人間関係で、悩みの種になりやすいのは上司との関係でしょう。
上司が暴君で、怖くて仕方がない。怒られるのが嫌で、ついつい萎縮してしまう。そうなっては、仕事はうまくいきません。
怖い上司と、それに従う自分の「関係を変えること」があなたの課題です。
では、そのためにはどうすればいいのでしょうか。
社員研修で、よく出る感想は「上司に変わってほしい」という意見です。
人間関係に不満があるとき、多くの人は相手あるいは環境のせいにしようとします。「上司がもっと理解のある人間になってくれれば」「こんな上司がいる部署だから」と。それは「私は悪くない」とも言えるのです。それだけでは、結局何も変わりません。過去と他人は変えられないが、自分と未来は変えられる。自分が変わり、相手との関係性が変われば相手が変わるかもしれません。心構えを変えることで、人間関係を変えることができる。
怖い上司とそれに従わざるをえない自分では、主人と僕的な主従関係です。ですが本来、上司と部下は立場や役割が違うだけで、主人と僕の関係ではない筈です。横の対人関係、つまり「対等な関係」になることが重要です。対等な関係に変えることが、あなたの課題の解決につながります。
もし上司に理不尽なことをいわれたら、しっかり(冷静に)反論することが大事です。そうすることで、上司との関係は変わるはず。自分が変わるのです。なぜなら、隷属的な主従関係は、従う側の人間がいて成立するからです。自分が上司を恐れるあまり、何をいわれても服従してしまうから、相手が暴君のようになってしまうということもありえるのです。
隷属的な主従関係である自分に甘んじることをやめることで、上司との関係は変化するでしょう。攻撃的な人は恐れている人ともいえます。「上司に反論できれば苦労しないよ」と思う人は、客観的に考えてみてください。反論したくらいで大きな問題になるでしょうか。
会社が問題にするのは、あなたの行動ではなくむしろ上司のパワハラ的言動。
恐れるあまり行動しないことが、いちばん怖いことなのです。横の人間関係を築くべきです。

質問「重箱の隅をつつく上司」

私は旅行代理店で、企業向けの営業を行っています。私は学生の頃から文章を書くのが好きで、旅行案内のビジネスレターを書くことに多少の自信をもっていました。ところが、この春から就任した上司が私が書いたビジネスレターを細かく修正してきました。「君は気持ちがこもっていていいと思っているかもしれないが、仕事の場で求められていたのは、相手に確実に情報を伝える、整理された「文書」。それに接続詞が多いし・・」。
正直にいうととても不愉快でしたが、その上司が修正した文章とてもは優れたものでした。そこまではいいのですが、事ある毎に、「ここがおかしい、どうしてこんな表現をするかなあ」と重箱の隅をつつくかのように、指摘します。
最近心が重くなってきて、文章を書く意欲が湧いてきません。
この上司との関係をどうしていけばよろしいでしょうか?
              名古屋市在住  旅行会社勤務  25歳 男性
回答 「本質的なことであれば受け入れればいい」
職場では上司との関係で、どうしても「性格が合わないから仕事がうまくいかない」という事があります。しかしそれは当たり前のことで、それよりも「合わない上司の下で仕事をうまく進めるためにはどうすればいいか」ということを考え、行動することが大事です。その為には、性格が合わないことをどう捉えるかも重要です。たとえば、あなたが「あの人はいちいち細かい。重箱の隅をつつくような指摘をしてくる」と煩わしく思っている上司。でも、その上司は本当に「どうでもいいことばかりいう人」なのでしょうか。
他の人から見たら、「チェックがうまい人」なのかもしれません。
人によっては良く解釈する人もいれば、悪く捉える人もいるのです。
自分流の主観的な意味づけを通して物事を把握するしかないのです。
あなたは「自分が作成した文書に上司が手を入れることに憤慨」されたのだと思いますが、「修正された文章を見ると、素晴らしい文書になっていた」ことは認めていらっしゃる。成長されましたね。
自分が「重箱の隅をつつくようだ」と思っても、実はそうではなく、重要なことだったという場合もあるのです。その事は、あなたが様々な文章を書く中で確実に生きてきます。そこをフォーカスしてみてください。ものごとには本質的なものと瑣末なものがあります。
「重箱の隅」が本質的なものか瑣末なのか。それを自分で振り返るのです。
本質的なことであれば受け入れればいいですし、瑣末なことであるなら、その程度のことは讓ってしまってもいいのではないですか。
自分のやりたいこと、その本質が実現できるのであれば、細かいことは相手に合わせてあげればいいではありませんか。局地戦で負けてもマイゴールの闘いに勝てばいいのです。上司の基準に合わせることは、自分を否定することではありません。

質問「何故あの人は、1つのことにこだわるのか?」

「何故、1つのことにこだわるのか」
部下のAさんは、仕事の進め方に対して1つ1つ突っ込んでくるので意見交換をしたいのに、まったく進まないのです。一つひとつ手順を追って話をする傾向が強く、何かとこだわるので、回りから「融通の利かない人」とか「柔軟性がない人」「窮屈な人」といった烙印を押されています。
彼自身は人としては優しいいい人だと思うのですが、どのように支援してあげればいいでしょうか?
            名古屋市 在住 自動車関連企業  38歳  男性
回答  Aさんのように、「一つ一つ手順を追う傾向が強い人」は、その手順や進め方が気になる傾向があります
ですので、何事も順を追って一つひとつ示してあげる事、どんな順番で進めるのかを伝えたり、言葉にして一つひとつを丁寧に、分かり易く伝えていく事が大切です。あなたが、一つ一つ手順を追って話をする傾向が強ければ、比較的苦にならないかもしれませんが、そうでなければ意外と難しいものです。
自分の仕事の手順、普段当たり前にやっている事をきちんと言葉で伝えるのは想像以上に難しいものです。例えば、「はじめての取引先と話す時には、どのようにしていますか?」とAさんから質問されたとします。あなたが「普通に話をするだけですよ」と答えると、Aさんとしては、どんなふうに相手と接しているか、順を追って聞きたくて質問したのですが、あなたとしては「面倒な人だなあ」と思うかもしれません。「〜といったいきさつで」「〜という事情があって」「〜というなりゆきで」というように分解して、「なぜ私はこう考えるのか?」という思考の流れをできるだけ言葉にして伝えるようする事がAさんのように「一つ一つ手順を追う傾向が強い人」に対しては有効だという事です。
あなたにとっては、1つ1つ考えないで「無意識に行なっている行動を言葉に分解」していくことは、とても骨の折れる作業ですが、それをするとあなた自身にも新たな発見や気づきがある事も少なくありません。何かを創り出す手順や工程、どんな段取りで仕事をするかは、とても大切な事だと思います。
部下の指導を行なう場合、一緒に考えてあげたりする事がポイントというわけです。もしかするとAさんは「段取り上手」「しっかりした人」「几帳面な人」といった印象を与えるようになるかもしれません。計画通りに仕事を進める事は、当たり前の事のようで、意外と中々出来ないものなので、それができる人に対して、周りの人は「この人に仕事を任せたい」「この人なら安心だ」と思うかもしれません。その意味で、職場で頼りにされる存在になる可能性があります。

質問「何故この人は、人のいう事を聞かないのか?」

私の営業課に、最近、Kさん(男性、25歳)が異動してきました。
周りの先輩たちは彼の事を気にかけて「こうした方がいいよ」とか「そういう時はこうするんだよ」と懇切丁寧にアドバイスをしてあげます。
でも、Kさんは、言われた時は、「はい、はい」とうなずいて、聞いたふりをしているけれど、参考にしている気配が感じられません。アドバイスした方からすると、「人の話を聞いているの!」と腹立たしい気持ちになったりしているようです。とても優しくていい人なので、このままでは孤立してしまいそうで何とか応援してあげたいのですが、私自身、Kさんがどうしてそうなのか理解が出来ないのです。何故Kさんは人のいう事を聞かないのでしょうか? どのように援助してあげればいいですか?
             東京都在住  27歳 男性 不動産会社 営業
回答  「違いは間違いではない」
優柔不断な人は、慎重な人でもあるというように、人の性格には両面性があります。Aさんは、物事を判断する際に、誰から何といわれようとも、自分の判断を優先するタイプのようですね。このタイプは、「自分の中にしっかりとした判断軸を持っている人」と言えますが、反面、周りの人の目には人の意見を全く聞かない「頑固な人」と思われる危険性もあります。
こういう人に対して、一方的に説得しようとしたりすると、かえって反発されるので得策ではありません。そこでお勧めしたいのが「ソクラテスの質問」。例えば、「その時あなたはどう思ったの?」「あなたはどうしたいの?」といった質問をして、相手の思いを聞いていくのです。
こういう質問を投げかけていくことで、相手が自分の考えが完全でない事に気づくきっかけになるのです。自分の気づかなかった点、至らない点を自ら気づいてもらうのです。
質問のポイントをお伝えしましょう。質問には、「はい」か「いいえ」で答えることのできる「閉ざされた質問」」と「はい」か「いいえ」で答えることのできない、相手の考えや意見を引き出す質問「開かれた質問」があります。
例えば、「朝食は済ませましたか?」という質問をされると「はい」か「いいえ」としか答えようがありませんが、「どうすればいいと思いますか?」「その時、どう思いまし方?」「具体的には、どうしたいと思いますか?」などの開かれた質問だと、相手の考えや意見を引き出していくことができます。
また、「こうしてほしい」ということを相手に伝えたいときは、「〜しなさい」「〜べきだ」という指示ではなく、「私としては〜した方がいいと思うよ」「~してもらえないかなあ」と話しますと、実際にそれをするかどうかは相手に委ねられているわけです。ちょっとした事ですが、Aさんの受け取り方が変わる可能性が高いと思います。Aさんは「自分で決める人」ですから、指示では逆効果になります。

質問「会社に居場所がない」

夫は転職して2年になります。前の職場では「居場所がない」とよく愚痴を言っていました。
ところが今の会社に入ってから、「毎日飲まないと眠れない」と言って、お酒に溺れるようになってしまったのです。仕事のストレス解消にお酒を飲むのだろうと思い、今回のコロナウイルスで自宅勤務が増えたため、ゆっくり夫の話を聴く時間が出来たので、話を聴いたところ、「居場所がない、人が信頼できない、挨拶してくれない」といいます。このままでは同じことの繰り返しになると思い、今回、相談させていただきました。
            名古屋市在住  29歳 主婦  夫 29歳 会社員
回答  誰からも挨拶してくれないというのは苦しいですね。お酒に溺れてしまうのは「居場所がないから」という原因探しをしがちですが、ここで考えてみたいのは「なぜ飲むのか」という原因探しをしても解決になりません。それよりも、「何のためにお酒を飲むのか」という事です。
というのは、居場所がない人がみんながみんな、お酒に溺れるわけではないからです。居場所がないのなら、居場所が出来るように努力する事が辛いので、その辛さから逃れるためにお酒に溺れているのです。では「居場所」について考えてみましょう。ご主人のおっしゃる「居場所」というのは、信頼し合える仲間(共同体)としての感覚の事だと思います。
では、その共同体感覚を持てないという事は、どういうことでしょうか?
それは共同体(仲間・職場)への貢献度が低いからなのです。だからご主人は「居場所がない」と感じるのです。なのに、お酒に逃げても何の解決にもなりません。次に「人が信頼できない」とのことですが、信頼関係が結べないという事だと思うのですが、それはまず
自分から率先して挨拶し続ける事をお勧めします。それが相手に信頼を与える第一歩だからです。「挨拶」がどうして大切かというと、相手に対して「私はあなたを仲間だと思っていますよ」というメッセージが込められているからです。ですから、共同体感覚を得たいのなら、自分から先に挨拶をすろ事です。
最後に、飲酒の目的がストレスの解消とお分かりの様ですが、ならば、違う方法が取れる筈です。例えばスポーツジムで汗をかくとか、公園を散歩するとか、奥様とカフェで楽しくおしゃべりをするとか・・・。
このことを通して、お二人がより一層、深い所で心の絆が結ばれていくといいですね。

質問「昇進への不安」

私は、企業に勤めて20年になります。当社には「女性活躍推進法」以前から育休、時短などの制度があり、フルに活用してきました。最近、子育ても一段落し、今度は制度利用などの経験を活かして、「若い女性だけの部署の管理職にならないか」と打診されています。本来「昇進」なので喜ぶべきですが、「ちゃんと指導できるか」「部下から反発を受けないだろうか」などと、否定的な事ばかり考えて気が重くなっています。
前向きに受け止められるにはどうしたらいいでしょか?
        大阪市在住 42歳 会社員  夫 45歳 会社員  子供2人
回答 「どのような工夫が出来るか考えましょう」
私達は新しい状況に足を踏み入れたり、思いがけない出来事に直面すると、まずマイナスの可能性を考える傾向があります。これは誰でもが持っている「自分の身を守る為の自己保存本能」で、不安になるのは自然な反応ですし、必要な事でもあります。
新しい職場に行く事になると「頑張ろう」と前向きになる人の方がかえって心配です。「昇進した」と喜んで突き進んでいったのでは、後々、部下と衝突したり、うまくいかなくなる可能性が高くなります。前向きというのは、問題ない、明るく考えようとする事ではなくて、どういう工夫が出来るかと考える事だと思います。不安な時にはその気持ちを大切にしながら現実を振り返り、問題があればそれに対処していく事が大事です。不安になっている時に頭に浮かんでくる考えに目を向けると、自然に問題が見えてきます。
あなたは「指導できるだろうか」「反発を受けないだろうか」と既に問題点を感じ取っていらっしゃいます。こうした思いを大事になされながら、部下と交流し、仕事を進めていかれれば、うまく進むようになってきます。その為の工夫を大切にする事こそ、前向きに考える事だと思います。
悩んでいる部下の話を聴いていると、その大変さが伝わってきます。何としてあげたいと考えて、よい解決策が浮かんで来ればよいのですが、そううまくはいきません。優しい人ほど、相談者の悩みを引き受けすぎて、いつの間にか自分の問題であるかのように熱心に問題に取り組もうとされていることがよくあります。あなたが出来る事は、部下が冷静に問題に立ち向かえるように手助けしたり、解決する可能性があるのにためらっている部下の背中をちょっと押したりすることぐらいです。それが部下の役に立つ事があります。
他の仕事もありますから相談に集中できる時間は限られています。自分が集中できると思う時間を決めて、
あまり多くの話題を話し合わないように、話題は1つか2つに絞って集中的に話し合うようにするといいでしょう。そうすればいくらかでも先に進む事が出来、それが部下の自信にもつながってきます。

質問「現代版井戸端会議」

保育園のお母さんの中に、育児ストレスに悩んでいる人が何人もいます。「母親として子供を思う感情がうすい」「頭では分っていても、子供の行動に、すぐにかっとなって怒ってしまう」「子供に対してはしつけじゃなくて命令と強制ばかり」「自分がコントロール出来なくなっている。子供にどう接していいか分からない」「少しの事でかっとなって、子供を叱ったり、気がつくと叩いたりした」。そんな話をよく耳にします。
どうして親が子どもに虐待をしてしまうのか、また、どうしたら踏みとどまれるなど悩んでいる人に、どのようにしてあげたらいいでしょうか?
和歌山市在住  31歳女性  保母

回答   「親が望んだように、子どもがしてくれないとき虐待をする」
幼い子供の欲求と、親の欲求がくい違った場合、子供の欲求を優先してあげる事が出来るのが基本だと思いますが、そういう事が出来ないお母さんが多くなりました。どうしてお母さんは子供の欲求を、ありのままに受け入れる事が出来ないのかというと、日頃から、お母さん自身が自分の欲求を色々な人に、受け入れられていないという事なのです。
お母さんの欲求を他の人に受け入れてもらわなければいけないのです。
自分の欲求を夫や、友人、保育者、職場の同僚とか、色々な人に受け入れられていれば気持ちにゆとりができるので、自然と子供の欲求も受け入れやすくなるし、母性も発揮しやすくなるのです。
ところが、受け入れてもらっていないと感じていると、孤独で、孤立した気持ちになり、いらいらしたり不安感を持ち、子供の欲求も受け入れにくくなり、子供の欲求を無視したり、拒否して、自分の欲求を子供にぶつけるのです。その極端なものが虐待なのです。子供を虐待する親は増えております。どうしても直らないという母親もいます。
虐待というのは、親の欲求を子供が満たしてくれない時に、自分の不安やいらいらが引き金となり、衝動的に怒りを爆発させることです。
子供が親の望んだようにしてくれない時、自分の欲求を拒否したように見える時に激しくいらだってしまい虐待するわけです。苦労して作った離乳食を、中々食べてくれない、忙しい時に、足元にまとわりついて泣く。そんな時、いらいらしているお母さんが、衝動的に子供を叩いてしまう事があります。
愚痴とか、その他のささいな事でも、安心して話せる人を持てば、問題の多くは解決すると思います。そういうことを安心して話せるような雰囲気、「現代版井戸端会議」になる所が、お母さんの近くにあれば安心しますし、母性的な行動も自然にできるようになると思います。
質問

Kさん(男性:30代)は会議でなりふりかまわず自分から発言をする事が多く、おまけに他部署の仕事にも首を突っ込んだり。会議では、いつも自分から手を挙げて目立とうとするのです。
私はそんなKさんとソリが合わないのですが、私の部下だし、動いてもらわないといけないの困り果てています。彼の目立ちたがりの態度にイライラしてしかたありません。「なぜこの人は、こんなに出しゃばりなのか?」そう思えば思うほど、イライラしてきます。
Kさんと「いい関係」になり、動いてもらう為にはどうしたらいいでしょうか?
               横浜市在住 会社員 男性 35歳
回答  「いい人間関係」とは、「わかり合える関係」
こんな「出しゃばり人間」のKさんと、どうつき合うかというご質問ですね。 Kさんのようなタイプの人は、物事を進めていくにあたり、「主導権を握る」事に意識が向くのだと思います。このタイプの人は、周りと協調して動くというより、自分から率先して動くことが原動力といえます。良く言えば、人よりも先に一歩を踏み出せるので、周りに影響力を発揮し、人々を引っ張っていくリーダーシップの高い人といえます。
ただ、Kさんはこの傾向だけが強く出すぎてしまうため、周りの事を考えない「出しゃばり」と思われるのでしょう。提案としては、こういうダイブに対しては、「こちらが大人になって先を譲ってあげる」という事です。
「発言したり提案する場があれば、最初にKさんに優先して発言させてあげ、言いたいことは言わせてあげる」という事です。Kさんにそうさせてあげると、俄然やる気になると思います。
でも、あなた自身が、「主導権を握る」「他人より先にしたいと思う」クセが強い場合、イライラするかもしれませんね。あなたが「納得がいかないな」と思う事があっても最後まで彼の話を聞いて、話し終るまで待ってあげると、彼は言いたい事を言えたので気持ちがスッキリします。
人は、相手から何かをしてもらった場合、何らかのお返しをしなければならないという感情が湧くという傾向があるので、Kさんは、自分ばかりしゃべってしまったけれど、これでいいのかなという心理が働きます。彼に先に話をしてもらい、彼が何を考えているのかを理解する事で、あなたが提案がしやすくなるという訳です。まさに大人の在り様、「負けるが勝ち」です。「いい人間関係」とは、「わかり合える関係」という事だと思います。その為には、先ずは、相手の考えや思いをしっかりと聞き、その後で自分の考えや思いを伝える。そうやって「わかり合える関係」を築いていくのです。きちんとコミュニケーションを取るということが、いい人間関係を築くためにはとても大切だと思います。

質問「なぜ、回りに振り回されるのか?」

私の所属している課に、最近、Aさん(女性・20代後半)が異動してきました。周りの先輩たちはなにかと気にかけて「こうしたほうがいいよ」とか「そういうときはこうするんだよ」と懇切丁寧にアドバイスをしてあげます。先輩たちのアドバイスを聞いて素直な人のように見えていたのですが、「それは、Fさんがそうしろとおっしゃったので」とか、「それは、Kさんがそうおっしゃったので」とか、自分がこう思うという意思が一向に感じられません。「なぜこうなの?」と上司に聞かれたら、「先輩がいっていたので」とか、「昨年の報告書に書かれていたので」と、自分の意見を持たずに答えていました。
その当時の上司に、「誰かが言っていたとか、どこかに書かれていたという事を理由にするな」と注意され、落ち込んでいたのですが、言っている意味が分からないというのです。徐々に周りからすると、「自分で判断することができない人だ」というレッテル貼りがされてきています。とても優しい人なので残念です。 京都市在住  29歳 会社員 女性 IT関連

回答  「タイプを理解しましょう」
物事を判断する時に、周りの人の態度や表情で判断する「外向タイプ」と自分で判断する「内向タイプ」があります。自分よりも周りからの助言やアドバイスを優先するAさんは、外向タイプかと思います。
タイプが違うだけで間違いではありません。
その為、周囲には、「話しやすい人、親しみやすい人」と好感度が高く、いい人だと信頼される可能性がありますが、この傾向だけが強く出すぎてしまうと、「自分で判断できない人」と思われてしまう危険性があります。その上、周りの意見を尊重しすぎてしまう所が、周りにとってのイライラの原因になることが多いと思います。外向タイプ人を動かす秘訣は、多数派の意見に従う傾向であるので、「みんながいっている」と伝えれば、こちらの意図どおりに動かしやすくなります。このように、「外向タイプ」が強い人は、「内向タイプ」が強い人よりも、人に同調したり、人の意見を受けやすかったりするわけです。それではAさんを援助したいという場合には、どうすればよいか。
オープンクエスチョンでAさんに問いかけながら、自分の考えを持てるように誘導していくことが必要です。「あなたは、本当は何がいいと思いますか?」「あなたが、本当にやりたいことはなんですか?」と、相手の本音であったり、本心を尋ねる事がポイントです。
その事により、Aさん自身が自分自身の心の声を聴くことが出来るのです。その声に沿って生きていければAさんは今よりもっとありのまま(自然体)に生きる事が出来ると思います。

質問「心配性な人にどのように支援したらいいでしょか?」

社員のAさんはいろいろと「不安や問題点」ばかりが気になってしまうようで、任せてもらったせっかくのチャンスを逃してしまう事が度々があります。何が心配なのか聞いてみると、その多くは、「~であるべきなのにうまくやっていけないのでは」「問題を起こして迷惑をかけちゃいけない」「せっかく任せてもらったのに期待を裏切らないようにしないといけない」と心配になりすぎて、物事を中々前に進める事ができなくなるようです。とても優しいAさんをどう支えてあげればいいでしょうか?
              和歌山県在住 会社員 女性 32歳 

回答  Aさんのような特性の方は、細かなリスクにも気づけますし、失敗の少ない、そつのない仕事をすることができ、信頼に足る人物、仕事を任せるに足る人物と評価される可能性を秘めています。
残念ながら、捉われやすい特徴が強い為、ご自分の活かし方を知らなかったに過ぎません。不安は、取り除こうとすればする程、そこに自分の注意が集中してしまいます。恐怖・不安は、強く生きたいという生の欲望の裏返しなのです。(Aさんの場合の生の欲求は、期待にこたえたいという事)
何でも完全にやり遂げたい、こうしなくてはいけないという思いが強すぎると、行き詰まりやすくなり、「うまくやっていけないのでは」という不安が強まり、「うまくいかない」と思い悩み始めてしまうことがあります。大事なのは自分の限界を知り、自分が本当にしたい事は何かです。
Aさんは「~であるべき」という傾向が強すぎ、他の人にどう思われるかを気にするあまり、素直に生きづらくなっているのかも知れません。自分を愛せないで苦しんでいるのだと思います。
自己肯定感が低くなると、減少感を埋める為に他者からの賞賛を求めるようになっていきやすくなり、思うような反応を得られないと悩んでしまうのです。
Aさんの課題を乗り越えるためには、不安感をもちながらでも、「できないこと」は放っておき、「できること」に真摯に大切に取り組み、地道に続けて行く事が大事です。行動を重ねるうちに、恐怖や不安は去っていきます。他者が私をどう評価するかは、私の出来る事ではありません。
最後に支援の方法としては、「何に、不安を感じているか?」「うまくいかないとしたら、どんな所か?」と不安を「言葉」にすることを手助けしてあげてください。「もし、不安な点があるとしたら、それはなんだろうか?」「もし、問題があるとしたら、どんなことが考えられる?」という聞き方もいいと思います。
そうやって、不安な点や問題点をどんどん「言葉」にしてもらうことがポイントです。あなたに心配してもらえるAさんは幸せな方ですね。

質問   「怒りは心が痛んでいるサイン」

編集の仕事をして4年になります。 新しい課長に対して怒りが収まりません。 というのは、ただでさえ現場はオーバーワークなのに上司からの仕事を引き受け、その締め切りが守れそうにないと分ると「君の資料が不完全だから」とか「君が早く提出しないから」など、まるで私一人の責任のように言われたのです。本来は課長が責任を取らないといけない事なのに責任をなすりつけられたのです。それって人間としてあり得ない事だと思います。いつもは時間と共に冷静になり段々と収まるのですが今回はなかなか収まりません。このくすぶり続ける不満をどうしたらいいでしょうか?   東京在住 OL 女性 25歳 雑誌社勤務

回答
「怒りは心が痛んでいるサイン」です 。
まずは怒りの原因を探りましょう。怒りの最大の欠点は、コントロールするのが難しいことですから、そんな時は「怒っている自分」にふりまわされず、優しく、「心が痛んでいるサイン」として「怒りの感情」をそのまま受け入れる必要があります。 「人間としてあり得ない」という怒りに関連しているのは、「自分はちゃんとやっているのに」という気持ちです。本来は自分で責任をとらなければならない事なのに「君が早くを出さないから」などと、人のせいにするのが「言いがかり」です。これは、「締め切り」という結果が、課長にとってそれ程受け入れ難いという事です。 つまり「言いがかり」というのは、「何とかしてよ」という悲鳴なのです。 あなたが言いがかりをつけられ、我慢してきたのに、相手は我慢していないとい時、それは「被害」ということになり、この場合のあなたの怒りは「我慢と心の傷」から生み出される怒りです。 「こんなに一生懸命している自分をいたわってくれない」という「心の傷つき」があるからなのです。 通常は、「まあ何とかなるだろう」と思えると怒りも収まるのですが、そう思えない人はいつまでも怒り続け、「言いがかり」にしがみつく事になります。 次に課長に何を伝えたいのか、どのように変えてもらったらよいのかです。 そもそもこちらが忙しいかどうかを知らない、もともとそんなデリケートな人ではない、ということもあるでしょう。 「私のミスではないのに私のせいだと言われ、困っています」「仕事を引き受ける時は、こちらの都合に合わせてほしい」あるいは 「仕事を突然頼むときは、もっと気遣いを示してほしい」とでもはっきり伝えていない限り、課長は知らないかもしれません。 「これからは、忙しければ断ってほしい」「期限を延ばす相談をしてほしい 」「今の仕事とどちらを優先するか、相談した上で適切に働いてほしい」のいずれかに変えてもらうことができるかもしれません。 本当の不満はどこにあるのかをきちんと話し合っておかないと、どんどんずれにつながってしまいます。

質問  「他人の欠点が気になる」

貨物検査の仕事をしています。外大を卒業し、英語を使う仕事をしたかったので今の仕事は気に入っています。ただ、直属の上司ではないですが、となりのブースの課の課長の態度、声、それに最近はトイレで出会ったりすると顔を見るのも嫌なんです。出来るだけ会わないようにしています。 特に何か言われたとか言い争ったとかそういう訳ではないのですが、職場がブースで囲っていて、その課長が部下を怒ったりしている声が聞こえてきます。万一、人事でその課長が上司になったらと思うとぞっとします。

35歳  男性  空港会社勤務 12年 妻と子供2人

回答

他人の欠点なのにどうして放っておけないのか、なぜこんな嫌な気持ちになるのかと悩んでいらっしゃるのですね。それは、他人の欠点が、自分の欠点やコンプレックスと関係しているからです。気になる人の欠点というのは、あなたの心の一部と対応しているのです。ここで何点か、考えられることをお伝えします。 1つは、他人の欠点は自分の欠点に比べて格段によく分かるということです。それは他人の気になる欠点は、自分の潜在的欠点と関係しているからです。それを相手が持っていると、認めるのが辛いので意識の下に(無意識)抑え込んでいた嫌な自分が出てきます。ケチな人はケチな人が気になるのがそれです。 そんな時は、相手のどんな所が嫌なのか、自分にも似た傾向がないか自分を見つめてみて下さい。それを認めることが出来ればあなたは「成長した大人」と言えます。 もう一点は、心の中にまだ治り切っていない問題点があるという場合です。その問題点をあなたは気づいていないために、その人の態度に過剰に反応して、そんな自分を責めてしまい、余計落ち込んでしまうのです。 自分の過剰なまでの反応は過去(特に幼児期の親の態度)に未解決にしてきた問題点に気づくチャンスでもあります。「何故だか分からないが嫌な人」がいると、その時、自分がどんな気持ちになるか、どんな反応をしてしまうのか、過去の何かと関係していないか考えてみてください。 カウンセラーの重要な要件に、「クライエントを無条件に肯定的に理解する」という項目があります。 カウンセリングを受けると、人間関係がよくなるのは、カウンラーがクライエントを肯定的に見てくれるからです否定的なことが起こっていても、カウンセラーはその意味を考える手伝いをしてくれますので、自分の感情の意味がわかります。 意味がわかると、同じ行為に対しても見方が否定的なものから肯定的なものに変わるのです。 「そうか、だからこんな気持ちになるんだ」と分かるだけでも楽になります

質問 「ノーと言えない」

27歳  男性  会社員  独身

入社以来、経理課で5年働いています。 終業は5時なのですが、いつもギリギリに契約の書類を持ってくる営業課の先輩社員Aさん(38歳)がいます。 当初、多少帰りが遅くなっても嫌な顔をせずに受け付けていたためか、遅くなると決まって私のところに持ってきます。はじめは、頼りにされているふうで悪い気はしなかったのですが、私が疲れていようが、予定があろうが全くお構いなしです。もう少し早く持ってきて欲しいのですが、いつもギリギリに持ってきて、終業時でも駆け込んできます。同僚や先輩は見て見ぬふりで先に帰るので、残って戸締りをして帰る羽目になります。 「今日は無理です」とか「もっと早く持ってきてくださいよ」と言いたいのですが、言えずに困っています。「ノー」と言えないんです。我慢できなくなってきました。段々辛くなってきて・・・ 。

回答

言いたいことを言えず、嫌な事を断り切れないでつい我慢してしまうのですね。こういう状態が続くと今更「ノー」と言い出しにくく、かといって度重なるときつくなります。周りから注意してくれる人もなく、自分が直接本人に伝えないと変わらないのですね。「言いたいことを言えない」「言いづらい」という気持ちの時、どんな思いが心の底にあるのでしょうか。「嫌われるんじゃないか」「今後の人間関係が悪くなるんじゃないか」という思いが働いていていないでしょうか。「もう少し早くしてください」と言うと自分を嫌うのではないか、拒否するのではないかという怖れが潜んでいませんか。つまり、その底には、「自分がいい人と思われたい」「自分のことを認めて欲しい」という気持ちが潜在的にあるのではないでしょうか。そんな時は、自分が認められる為の小細工した表現はかえってよくありません。「あなたも急いでいるんだと思いますが、私も夕方から用事があります。    5時には会社を出たいのでもう少し早く持ってきてもらえませんか」と伝えたい事だけを言ってみてください。 それで相手が去ってしまうような関係であれば、あなたが今の気持ちを我慢していても早かれ遅かれ関係は終わります。あなたは自分を殺して会社を去る必要はありません。自分の言いたいことを殺さずにしましょう。冷静に、丁寧に、素直に、ありのままの気持ちを伝えてください。怖がることはありません。

 

質問  「若年社員の早期離職」

若年社員の早期離職が多くて困っています。一通りの業務内容は教育しているつもりなのですが、先日ある若手社員に、何度も仕事を教えているのに中々覚えてくれないので、つい「君、何度言ったら分かるんや」と注意したら翌日から出社しなくなりました。彼はコミュニケーションの苦手傾向があり、注意すると急におどおどしてしまう所があります。どういう態度で対応したらいいのか分かりません。      47歳  男性  企業の管理職  大阪在住

回答

現在は「勝ち組」「負け組」とハッキリ差のつく社会になっています。時間をかけて育成しようとする家 族主義から、結果の出せない人は自己責任でどうにかしろ、という成果主義に変化してきました。それは 一寸先は闇と言った緊迫した社会です。 企業で退職する理由の第一が「人間関係」です。仕事に追われている時の上司の部下への態度は、情緒 性が少なくなり、決め付け的で、言い訳を許さない、聴くより指示する傾向になりがちです。 部下は言い訳も愚痴も言いたいのに、それを遮り、言いたい事ばかり言われると、「どうせ何を言っても 聴いてくれない」と思うにようになります。 10 分でも言い訳を聴いてあげれば関係性も変わってくるのですが、その 10 分が待てない。こういう傾 向はさまざまな食い違いを生み出します。 仕事への動機付けは「報酬」「親和」「承認」「達成」「自尊」「貢献」など人それぞれですが、今の若者は、 生きがいや働きがい、仕事での自己実現を追求しています。 「私は、周りから認められるとやる気が出るけど、君はどう?」と上司から質問されると、部下も自分 がどんな動機で働いているか考えるようになります。 また、自信が持てず、必要とされていなと不安に思っている若者も多いようです。そんな時、上司から 「〇〇君この前良かったね」と言われた一言が励みになったという話も聞きます。 ちょっとした心の触れ合いが若者の支えになります。そういう日々の積み重ねが信頼関係を生み出しま す。 そうなると社員は「この人は自分のことを『人間』として見てくれる、『組織の歯車』として扱っていな い」と思えて、信頼関係が生まれます。 信頼感のない人に注意されても、素直に従おうとは思えないものです。こうした人間関係を上司が築こ うとすることで、若者の早期退職をかなり防げるのではないでしょうか。 若年者が企業で実力を発揮できずに離職したりするのは、当人にとっても不本意でしょうし、企業にと っても大きな損失です。上司に分かってもらっているという実感は、働く意欲につながります。

質問

27歳  男性 会社員  精密機械製造   独身  勤続 5年

今春から新しい課に配属され、仕事のミスで上司からひどく怒られてしまいました。それ以来、自分がダメな部下と思われているような気がして、その上司とのコミュニケーションが苦痛になってきました。何をしていてもどう見られているのか気になってしまいます。 上司と話さないといけないときも、内容はこれであっているのか、このタイミングで話していいかなどいろいろなことを考えすぎて、結局話せないこともあります。 朝、仕事に行くときなどは、常に不安がついてきます。 27歳 男性 会社員  精密機械製造 独身 勤続 5年

 

回答

新しい環境になり、ただでさえ緊張されているのに、新しい上司に怒られてとても心が傷つけられたのですね。 仕事のミスは誰にでもあります。出来ない自分を責めないであげて下さい。 あなたは、怒られて悩んでいるのですが、実はその事があなたの悩みを作っているのではなくて、その事をあなたがどのように捉えているかなのです。 人生の幸不幸を決めるのは、その人の人生に起きた出来事それ自体ではなく、人生で起きる様々な出来事をその人がどう受け止めるかということです。 自分の受け止め方が自分を幸せにする適切な受け止め方なのか、それとも不幸にする歪んだ受け止め方なのかを考えてみましょう。「上司に怒られた。だから、私はダメな人間だと思われたに違いない。これからもそう思われる」というのは、あなたが勝手に自分で予測して決めつけていることではありませんか? ミスをして「上司から怒られた」のは事実です。 「だから、私はダメな人間と思われた。これからも出来ない部下と思われ続ける」というのはあなたの強い思い込みであり信念になっています。 ですから「上司から怒られた。何が問題だったんだろう」とそこに焦点を当ててみては如何でしょうか? そして「だから」の後の文章を変えるのです。 「上司から怒られた」「だから、これをきっかけにスキルアップして、仕事の腕を磨こう」とか 「だから、分からないことを分かったつもりにしないで、自分の課題を明確にして、先輩に聞いたり、研修会に参加して課題達成に向けていこう」と後に続く文章はいくらでもあるのです。 なのに、よりによって不幸になる、みじめになる文章を選び、それが真理のように思い込んでいるのです。 こんな不幸へ導く歪んだ信念は変えましょう。 「だから」とか「その結果」という言葉の後の信念が「私を幸福にする正しい信念なのか」を考えてください。 今回の悩みは、あなたの信念を切り替えるための意味があるのかもしれませんね。

質問 「評価は相手に対する暴力」


私はパートしながら2人の子育てをしています。
自分としては精一杯家事と仕事と子育てをしているつもりですが、最近、夫から「だらしない」と言われカチンときて「どんなに忙しいのか知らないくせに」と言い返す事が何度もあります。「私だって仕事してるんだから気が付いたんなら掃除くらいしてよ。あなたと違って暇じゃないのよ。あなたは仕事人間なのよ」というと「その口の利き方はなんだ」と激怒されてしまいました。
こんなことを繰り返しているとヤバイと思い、相談させていただきました。
              福岡在住 32歳 パート 夫会社員 子供2人 回答

人には自分にしか分らない事情があります。そうした事情を知らない人から何かを決めつけられると、カチンとくるものです。
あなたはご主人から「だらしない」と決めつけられ、「人の気も知らないで」とカチンときたのでしょう。
「仕事人間」も「だらしない」も相手に対して下す「評価」です。
「評価」というのは、大体、相手にとっての現実とはずれているものです。それを「あたかも真実のように」相手に押しつけるのは、とても暴力的な事です。
評価ではなく「どうしてほしいか」を伝えましょう。
評価は相手への攻撃のようなものですから、相手の怒りを誘発し、反撃される事になりがちです。「あなたは仕事人間なのよ」と言われたご主人は、「その口のきき方は何だ」と、あなたに仕返しをしました。
「だらしない」と言われたあなたは「あなたと違って暇ではないのよ」と反撃されました。そんな反撃を受けて更に怒りが誘発されます。評価は、怒りの悪循環を引き起こしていく.のです。
こうして果てしないバトルが続きます。
ご主人に伝えたい事は「どうしてほしいか」であり、「自分がどういう評価を下しているか」ではないのです。
人は自分の人格に否定的な評価をされると、協力的になってくれません。
私たちは、何かの不満を伝え始めると、「大体あなたはいつも」など、相手の人格に踏み込むような発言をしがちです。
しかし、大事な点は「相手を変える」事ではなく、「行動を変えてもらう」という事にあります。
自分を変える事はできても、相手を変える事はできないのです。ですが今のご主人に可能な範囲で行動を変えてもらう事はできます。つまり、現在問題になっている行動だけに注目するのです。
「この行動が困る」ということたけを伝えればよく、「そもそもあなたは」という話をすると逆効果になってしまいます。ご主人に対して人格批判になっている時は要注意です。
ご主人を信じて、「この行動が困るのだけど、何とか協力してくれない?」と相談するイメージで伝えましょう。

質問  「怒りは心の痛点」
人から注意されたリ、自分の考えを否定されたりすると侮辱されたように感じて「怒り」がこみあげ、ムカッとして耐えられません。私のために注意してくれているのだと分かっていても、しっかり話を聞くことができません。嫌な性格だと思います。しかし、これからの人生を考えると、この性分は今のうちに克服しなければならないと、強〈思っています。 (大阪在住 女性 20歳)

回答

あなたのテーマは、怒りにコントロールされてしまっているという事だと思います。かといって怒っていないふりをしても解決にはなりません。怒りを抑え込もうとすると、消えてなくなるわけではありませんからかえってひどくなったり、爆発したりすることもあります。
怒りをコントロールするには怒りについて知ることですので、「この場合の怒り」について少し考えてみましょう。
人間の体には、自分を守るために備わった力があります。例えば熱いものに触ると熱いと感じるので、手を引っ込めてヤケドの危険を避ける事ができます。
この感覚は、「その状況が自分の身体にとってどういう意味を持つか」を教えてくれるものです。
同様に、感情にも同じような自分を守る機能があります。 「怒りは心の痛点」なのです。
怒りを感じる事は、「何らかの対処が必要な問題がある」事を教えてくれているのです。
足を踏まれて怒りを感じると「やめてください」と言って足をどけてもらうことができます。
侮辱されたように感じたのなら「そういう言い方は傷つくからやめてほしい」などと言って状況を変える事ができます。
怒りのこうしたメッセージを知る事が、怒りをコントロールする第一歩となります。
足を踏まれたときとは異なり、身体的な痛みは感じませんので、怒りを感じることが唯一のサインとなります。 大切な事は、状況に合わせて言葉を決める事です。相手を受け入れた姿勢を見せることを勧めます。
「心配してくれてありがとう」「うーん。そういう見方があるのね」と、相手を否定しない言い方をする事がポイントです。それで相手が「自分の意見を聞いてくれたんだな」と感じればラッキー。あなたが「もっともな指摘」と思えば、「ありがとう」でいいでしょう。
ちょっと自分と違うかなと思えば、「私の考えではダメですかね」と言ってみるのも悪くないと思います。
相手の為にと思って指摘したことに対して、不機嫌になったり、逆ギレされると、段々人はアドバイスしてくれなくなり、遠ざけられることになりかねないです

質問  「怒りは心が痛んでいるサイン」

編集の仕事をして4年になります。
新しい課長に対して怒りが収まりません。
というのは、ただでさえ現場はオーバーワークなのに上司からの仕事を引き受け、その締め切りが守れそうにないと分ると「君の資料が不完全だから」とか「君が早く提出しないから」など、まるで私一人の責任のように言われたのです。本来は課長が責任を取らないといけない事なのに責任をなすりつけられたのです。それって人間としてあり得ない事だと思います。いつもは時間と共に冷静になり段々と収まるのですが今回はなかなか収まりません。このくすぶり続ける不満をどうしたらいいでしょうか?
             東京在住  OL  女性  25歳  雑誌社勤務

回答

まずは怒りの原因を探りましょう。怒りの最大の欠点は、コントロールするのが難しいことですから、そんな時は「怒っている自分」にふりまわされず、優しく、「心が痛んでいるサイン」として「怒りの感情」をそのまま受け入れる必要があります。
「人間としてあり得ない」という怒りに関連しているのは、「自分はちゃんとやっているのに」という気持ちです。本来は自分で責任をとらなければならない事なのに「君が早くを出さないから」などと、人のせいにするのが「言いがかり」です。これは、「締め切り」という結果が、課長にとってそれ程受け入れ難いという事です。
つまり「言いがかり」というのは、「何とかしてよ」という悲鳴なのです。
あなたが言いがかりをつけられ、我慢してきたのに、相手は我慢していないとい時、それは「被害」ということになり、この場合のあなたの怒りは「我慢と心の傷」から生み出される怒りです。
「こんなに一生懸命している自分をいたわってくれない」という「心の傷つき」があるからなのです。
通常は、「まあ何とかなるだろう」と思えると怒りも収まるのですが、そう思えない人はいつまでも怒り続け、「言いがかり」にしがみつく事になります。
次に課長に何を伝えたいのか、どのように変えてもらったらよいのかです。
そもそもこちらが忙しいかどうかを知らない、もともとそんなデリケートな人ではない、ということもあるでしょう。
「私のミスではないのに私のせいだと言われ、困っています」「仕事を引き受ける時は、こちらの都合に合わせてほしい」あるいは 「仕事を突然頼むときは、もっと気遣いを示してほしい」とでもはっきり伝えていない限り、課長は知らないかもしれません。
「これからは、忙しければ断ってほしい」「期限を延ばす相談をしてほしい 」「今の仕事とどちらを優先するか、相談した上で適切に働いてほしい」のいずれかに変えてもらうことができるかもしれません。
本当の不満はどこにあるのかをきちんと話し合っておかないと、どんどんずれにつながってしまいます。

質問 会社でコミュニケーションがとれない
私は、話をすることが下手で相手にしっかり伝わっていない時や、話が噛み合っていない時が多くあります。
子供の頃は余り気にならなかったのですが、社会人になってから「すぐ話変えるよな」とか「なんの話してるん?」って質問された時、胸が苦しくなります。
そんな時、言葉がでてこないのです。
人と話することが苦手なんだと思うのですが、それでも、もっと沢山の人と話をしたいし、友達も増やしたいです。
そして、自分の素直な気持ちも相手に伝える事が出来るようになりたいです。
思っている事を伝えるやり方が分からず悩んでいます。教えてください。
                 神戸在住 24歳 アパレル関連企業 会社  

回答
コミュニケーションは言葉という道具を使って、考えや感情をキャッチボールすることです。そのためには、相手に自分のボールを受け取りやすいように投げる事が大事です。
つまり、「自分」を伝えるというのは、自分を上手に表現するという事だと言えます。
ただ、伝えたことは相手の受けとり方で変わりますから、誤解やズレは当たり前と考えましょう。
私たちの1人ひとりの物事の捉え方や感じ方、理解の仕方は違いますから、簡単にはわかり合えないものです。
そして、自分の中で起こっている事、伝えたい事を決して全部は表現できないという事です。
あなたのご質問で、「かみ合わない」「なんの話をしているか分からない」とよく言われるとの事ですが、それは相手の気持ちや自分の気持ちが把握できていないからではないでしょうか?
自己表現で重要なことは、言いたい事が伝わるかどうかではなくて、自分の気持ちが適切に言えるか否かです。つまり、自分は一体何がいいたいのかをつかむ事です。自分の気持ちを深く理解できてこそ、相手の気持ちを理解する事ができるのです。
多くの対人スキルは、子ども時代に身につけますが、スキルのない多くの人たちは、他の人びとのスキルが、幼い頃からの実行の積み重ねによって身につけたものと考えず、自然に出来るものと思っています。
しかし、いろいろな場面に適切な行動の仕方、自己表現の仕方については、スキルや方法をあまり習っていないともいえます。
あなたは「もっとたくさんの人と話をしたいし、友達も増やしたい」とのこと。
スキルを習得するチャンスがなかった人はそれを学び、訓練すればいいということになります。

質問 「コミュニケーションが下手」

今の会社に入って2年です。介護関連の会社で、私は利用者さんの窓口を担当しています。
私は正社員なのですが、50代のパートの女性職員さんが2人私の隣で仕事をしています。この二人がいつも仕事中に他の職員の悪口を言っていてそれが最近イライラしてしまいます。
かといって私はコミュニケーションが下手で、その二人以外でも同期とのやりとりや先輩とのやり取りが苦しくなっていて、限界にきています。
コミュニケーションが上手になり、本音で付き合えるようになりたいです。
どうすればいいか、アドバイスをおねがいします。
                       京都在住 23歳 女性 独身

回答
仕事が辛くて会社を辞めるより、人間関係がいやで辞める人のほうが圧倒的に多いといわれています。
「伝わらないと腹が立つ。受け入れられないと寂しくなる。相手に合わせ過ぎると虚しくなる」
とかく人間関係はむずかしいですね。
コミュニケーションの基本は、相手を理解する事と、関係をよくする事です。
相手を理解する為には、相手の話をじっくり聞くことです。
じっくり聞くのは、話の背後に隠されている相手の心の表情が読み取れるからです。
ここで注意したいのが、自分の「00であるべき」に固執しない事です。
自分にとって当たり前の事が、必ずしも相手にとっての当たり前ではないという事です。
この事に注意していると「私の考えが正しい」という思いで発言しなくなるので、相手も「否定された」と受け取らず、お互いに耳を傾けやすくなるのです。
理解の枠組み、言葉への意味づけは必ずしも同じではないのです。
次に、自分の感情をうまく伝える事です。
感情をうまく伝えるには、自分の感情を明確に把握している事が大切です。
逆に、自分の気持ちをしっかりつかめていない人は、伝えるのが下手です。
相手に対して、本来わかってほしい気持ちが表現できず、誤解を与えてしまいがちです。
感情をうまく伝えられる人は、相手の感情に振りまわされません。
相手が怒りをぶつけてきたり、こちらが不快に思う事を言ってきた時、過剰に反応せず、時には聞き流す事ができます。
これができると、余計な事でイライラしなくなります。
自分がどう感じたのか、どうしてほしいのかを相手に伝えることは、よい関係を築いていくためには必要なことです。
本当のよい関係は、怒りなどのネガティブな感情も含め、感じたこと、わかってほしいことを伝え合える関係ではないでしょうか。
感情的になることと、わかってほしい感情を伝えることは違います。
感情的になるのではなく、どのような感情を抱いたのかを伝えることによって本音で付き合える関係になります。