★ 繊維造形作家 久保田繁雄さん (エディンバラ芸術大学での個展) |
| スコットランドのエディンバラ芸術大学で1997年夏、久保田繁雄
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| さんは作品を制作し▼個展を開いた。国際交流事業の一環で、さま
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| ざまな国の人が参加するサマースクールで講演も行った。
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| ☆★ECAでの久保田繁雄先生のレクチャー☆★ ▼記事 ECAメインレクチャーシアターにてランチタイムトーク:8月14日(木) 12:45-1:30 ビデオをまじえて先生の作品紹介 お話がありました。
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★ PROFILE (久保田繁雄さん ) |
| ★略歴、作品等は、次ページよりご紹介(上部ボタン↑)
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| 1947 京都に生まれる 1973 京都市立芸術大学美術専攻科修了 現在 大阪成蹊大学芸術学部教授
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| アートライフ・みつはし
Art Life Mitsuhashi, Kyoto
KIBISO
250×250×90/ 2003
|  第3回国際テキスタイル・コンぺティ ション京都/(京都文化博物館) "3rd International Textile Competition Kyoto"/1992 Forest Series I 180×360×25 |  古式の微笑み190*180/1973 |
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★1997年/京都新聞掲載記事 (エディンバラでの久保田 繁雄 制作活動) |
「織り造形の可能性を探り続ける」というタイトルで 紹介されました。日本でファイバー・アートという新しい 芸術運動が沸き起こったのは1970年代だった。75年、 ローザンヌ国際タピストリー・ビエンナーレに出品した 久保田さんは、その草分け的存在である。西陣の帯を 織る家に生まれ、京都市立芸術大学で染織を学んだ のは自然だった。だが在学中から求めたものは、織り による造形作品だった「伝統工芸の技術がどうのとい うより、むしろ自分に合った技法や素材をみつけて新 しい表現がしたかった」という。使う素材は、サイザル 麻というフィリピンの麻。固くて形が崩れにくく、織ると 光沢が出るので造形には適しているのだという。 久保田さんが作品に託すイメージは「対極にあるもの 同士の共鳴」だそうだコントラストが織りなすハ−モニ ー寂しさの中にある華やかさコミカルにして重厚なもの 確かに、作品には光と陰が漂い、シックな色と原色の グラデーションが掛り込まれている。 「エディンバラでは伝統的なタピストリーから次第 に新しい展開を目指す熱意が感じられました。私 も立体や平面という事にこだわらず今までの自分 の表現方法を生かして伸び伸びと作品を生み続け たいと思います」というエディンバラでの体験が久保田 繁雄さんに新たな 創造意欲をかき立てたのだろう。 | 1997年エディンバラ・ ECAにて久保田繁雄 先生と作品 |
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★「発動 京都の工芸」 掲載より久保田繁雄 先生紹介▲ページTOPへもどる |
素材、色彩、形態の自然な融合 染織が壁掛けなどの用途性を離れて純粋な造形美へ向かったのは、わが国では 1970年以降のこと。ファイバーアートやファイバーワークの名称で呼ばれた新しい うねりの発信拠点になっていたのは、スイス・ローザンヌの国際タピストリー・ビエン ナーレやポーランド・ウージの国際テキスタイル・トリエンナーレだった。京都で染織 に取り組んでいた新進作家たちは国際舞台で活躍、繊維素材による新しい造形表現 の熱い息吹をもたらしたが、90年代以降は、ローザンヌなど国際的な舞台の性格の 変化や、日本でもかつての熱気が薄れてきていることは確かだ。久保田繁雄さんは わが国のファイバーアートの第1世代の有力作家のひとり。ローザンヌやウージなど の国際展に数多く出品してきたキャリア作家。そんな久保田さんは、来る7月に大阪 成蹊大学芸術学部(長岡京キャンパス)でシンポジウムや展覧会を企画開催する。 ローザンヌの国際タピストリー・ビエンナーレに出品した作家の展覧会やシンポジウム を通して、果たした役割を問い直し、テキスタイル表現の展望と課題を考えようという 意図だ。そんな企画を進める一方、自らは3年ぶりの個展を5月4日までアートライフ みつはし=銀閣寺前町=で開催中。従来のサイザル麻から、初めてきびそ(生皮苧) を素材にした新作を並べ諧(かい)調の中に適度の乱調が自然なリズムとなって息づく 新境地を見せる。きびそは、繭から生糸を繰るとき最初に糸口を探すときに出る副蚕糸 久保田さんは、長く使って熟知したサイザル麻に代わって、新たな創意を触発する素材 をさがしていて、きびそに出合った。サイザル麻に比べて軽い。素朴で自然であり、光沢 もあって、上品な色合いに染まる。繊維でしか出せない素材感。空気が軽やかに動くよ うな立体感。響き合う染織の色彩。それらの融合を一貫して追い求めてきた久保田さん の作品は、今回は円筒形を基本的なフォルムにして構成した半立体作品に、ユーモラ スな表情や少しくだけた余裕のような遊びも織り込んでいる。「今回はスケッチも模型も つくりませんでしたが、自分の気持ちが作品の中に入り込んでいった」という。円筒形の 造形イメージ。きびそとの出合い。 生糸を繰る糸口を見つけるときに出るきびそは、 繊維造形の新たな方向を探る久保田さんの今にとって、良い糸口や端緒となった。 西陣に生まれ、機音や美しい色に染められた糸に囲まれて育った。ごく自然に染織の 道へ。京都美大では、平面から立体へと移行する時期の織作家、故高木敏子に学ん だ「作家として時代の動きやテキスタイルの国際性などを考えることはもちろん大事で すが、それにとらわれず、自分はこうなのだということ、自分でしかできない表現方法を 信じて突き進んでいきたい」触覚性も含めた繊維の素材感を無理やりに造形に押し込 めることをせず、素材感や色彩、技法を融合し、空間に息づく織り造形に昇華させる、 「柔らかな前衛」姿勢は今も変わらない。 |
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