-刀剣類の画像のデジタルデータ化技術-
はじめに
ここでは私が開発しこのサイトでも使っている、刀の写真技術を紹介いたします。
私は刀鍛冶ですが、記憶力があまり良く無い為に、自分の作った刀の事をあまり覚えていられませんでした。これは刀鍛冶としては大問題で、研究にも支障がありました。貧乏人の刀鍛冶に高価な写真設備など導入する事など夢のまた夢でしたが、20世紀の刀鍛冶としては珍しく電脳箱遊びをしていたため、あれやこれやと試行錯誤の結果、ついにこの方法を編み出すにいたりました。
以下、この方法を発表した時の序文から書いておきますので、この技術に興味の有る方はご覧下さい。
序
今迄、精密に研摩された刀剣類は、表面が傷付きやすく光沢のある状態であるため、写真撮影が非常に難しく、特殊な技術を持つ極一部の限られたプロのカメラマンだけが、その撮影を行って来ました。しかし、この技術では、撮影という概念の発想の転換により問題点を一挙に解決し、誰でも高解像度の美しい刀剣類の画像を作る事を可能にいたしました。
具体的な方法としては、フラットベッドスキャナを使い、刀剣類の画像の持つ情報を劣化させる事無く、直接コンピューターに取り込み、画像処理ソフトで画像処理を施し最適化する事により、従来の写真技術では到底為し得なかった画像を作り出す事を可能にします。
この技術の特徴は現時点で一般に普及している機材を使い、特殊な機械やソフトを使用する事無く、高解像度の刀剣類のデジタル画像を作る事を可能にします。
また、この技術は平面的な絵画などの美術品の画像の取込みに応用が出来ます。この技術が各博物館や美術館に導入されれば、現在進行している文化財のデジタルアーカイブ化において、データの収集方法の手段として非常に有効であり、美術や工芸の分野でのデジタルアーカイブの質を高める手法として有効に活用出来ると考えています。
以下はこの技術を段階を追って具体的に説明して行きます。
なおこの文章は、社団法人 情報処理学会の研究報告会で2004年3月に発表した時の論文を元に製作しています。
またこの研究報告は英文化して、2005年1月にハワイで行われた
Hawaii International Conferrence on System Sciences 38
で発表しました。その時の論文はIEEEのサイトの論文集に収録されていて、PDF形式で電子出版されていますので、誰でも以下のアドレスからダウンロードできます。http://csdl.computer.org/comp/proceedings/hicss/2005/22680120c.pdf
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