3画像の取込

 ここでは実際に刀剣類の画像の取込み方法に付いて説明しますが、現在でも刀剣類の写真はモノクロでバックを黒く塗りつぶす手法が最も多く使われています。今回はその手法に沿った作業の手順を説明して行きます。カラーの環境下で作業を行う場合は、スキャナは製造元により、色に関して特性が異なる場合がありますから、キャリブレーションと呼ばれる色補正を行うなど、色合いについては常に気を配る必要が有りますから注意して下さい。
 実際に画像を取り込むに場合、通常スキャナは接続されているコンピューターから操作を行いますが、製造各社のスキャナのドライバーは多少異なりますから、その操作法方に従って取込み操作を行います。


短刀の場合

 取込み作業に当たり、短刀などの比較的寸法の短い物は一度の取込み作業で全身を取り込む事が可能ですが、スキャナの取込み面に直に刀身を置く事になりますから、原稿台の清掃や刀剣類の取扱いは特に慎重に行う必要が有ります。

 


長い刀の場合1


長い刀の場合2

 刀の様に長い物を取り込む場合、中の移動する定規に刀を固定して刀身を平行に移動しながら何回かに分けて取り込みます。原稿台が1メートル以上有るような、高解像度の大形スキャナが有ればこのような手順は必要有りませんが、市販の比較的安価な機種を使うにはこのような工夫が必要になります。また、このような方法は、他の美術や工芸の分野の長大な作品をスキャナで取り込むのにも応用が出来ます。


裏側を撮影する場合

 刀剣類の表裏とも画像を取り込む場合、反対側の定規を使い作業を行います。刀剣類のような立体物を撮影する場合、発光体が被写体と少し離れた位置に付いている為、一定方向に影が出来ます。表裏を撮影する場合は、異なる影が出来ないように、このような工夫が必要になります。

 スキャナによる画像の取込みでは、従来のカメラによる撮影ではなし得なかった利点が幾つも有ります。先ず、レンズの球面収差による画像の歪みが無い事で、非常に正確な被写体の画像が得られるという事です。また、スキャナのCCDと被写体の距離は常に一定な為、いくら長い作品を撮影してもピントが甘くなる事が有りませんし、光源が移動するため、被写体と光源の位置関係も常に同じな為、被写体のどの部分でも同じ条件の光で撮影する事が可能です。更に広い原稿台全体がカメラののフイルムに当たる訳で、従来では考えられない程の高解像度の画像が得られます。これらの特性は平面的な工芸品や絵画などの美術品の撮影には理想的な方法と言えると思います。

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