【Cinema Holiday】  お遊びですが、自分では結構楽しかったです
      =果たして何の役に立つのか? 1998年見た映画ベスト10発表(長い……)=    

1999/1/16

まずは結果発表(作品名をクリックすると、親方のコメントへジャンプします)

  作品名 製作国 監督 主演
がんばっていきまっしょい 日本 磯村一路 田中麗奈
ラブ・ゴー・ゴー 台湾 チェン・ユーシェン タン・ナ
スウィート・ヒアアフター カナダ アトム・エゴヤン イアン・ホルム
フル・モンティ イギリス ピーター・カッタネオ ロバート・カーライル
ブラス! イギリス マーク・ハーマン ピート・ポスルスウェイト
トゥルーマン・ショー アメリカ ピーター・ウィアー ジム・キャリー
普通じゃない アメリカ ダニー・ボイル ユアン・マクレガー
カフェ・ブダペスト ハンガリー・ドイツ フェケテ・イボヤ イーゴリ・チェルニエヴィッチ
ビッグ・リボウスキ アメリカ ジョエル・コーエン ジェフ・ブリッジズ
10 リング 日本 中田秀夫 松嶋菜々子

【親方】
   恭賀新年。
【編集者】
   迎春。で、何なんですか、この場は?
【親方】
   見れば分かるだろう、1998年のワタシが見た映画ベストテンを語り合おうという素晴らしい企画じゃないか。
【編集者】
   いや、それは分かるんですけどね、これ、親方の持ちネタでしょう? どうせ一人で書いてるくせに。昔からの親方の友達は多分笑ってますよ。ネタ切れかって。
【親方】
   まあ、いいじゃないか、編集者君。それに、いつもあの文体で書いてても、読む方が飽きるだろうが。とにかく、今回はだな、去年ワタシの見た映画の中から勝手にベストテンを選んで語り合おうということだわな。
【編集者】
   文体と言える程の文体があるんですか、親方に。理屈臭くて読みにくいという批判もありますけど……
【親方】
   黙らっしゃい! んなことはお前さんに言われんでも分かっておる。だから日々精進して滝に打たれて文体修行をしておるのだ。とーりあえずだなぁ、早く語り合おうじゃないか?
【編集者】
   語り合うというより、語りおろしになると思いますけどね。まあ行きましょうか。で、1位は……はあ、親方も芸がないですね、やっぱ『がんばっていきまっしょい』ですか。予想通りですね。
【親方】
   いきなり『ゴジラ』でも持ってくれば良かったのか? 『ゴジラ』は1回しか見てないぞ。それに引き換え『がんばっていきまっしょい』は3回見たんだ。これが1位でなくて何が1位だと言うのかね?
【編集者】
   別に見た回数で順位つけてる訳じゃないでしょう。他にも2回以上見た映画あるんですか?
【親方】
   2位が2回、3位が2回、4位以降は全部1回だ。
【編集者】
   親方、メチャクチャ分かりやすいですね。まあ、話を戻しましょう。実は田中麗奈のファンだからやたらプッシュしてるという巷の噂もあるんですけど……
【親方】
   いや、それは違うぞ、編集者君。確かに田中麗奈は好きだが、映画の評価とは別だよ。この作品の映画評でさ、「心が洗われる青春映画の傑作」というのがあったんだけど、それはちょっと違うとワタシは思うんだ。自分のレビューでも書いたけど、青春映画じゃないから、感動したんだよ。あえて言えば「心象映画」だな。
【編集者】
   結構、世間の評価も高いですよね。キネ旬で3位、朝日シネマベストテンでは堂々1位。
【親方】
   そうそう。大阪ローカルの話になるけど、2月にその朝日シネマベストテンの上映会があるし、春休みにはアンコール・モーニング・ショーがあるんだ。まだ見てない人は絶対見にいくべきじゃな。損はさせんぞ。
【編集者】
   損はさせんって、別に親方が作ってるんじゃないでしょう。まあ、思い入れはよく分かりました。んじゃ、次は2位の『ラブ・ゴー・ゴー』。え? 『スウィート・ヒアアフター』より上なんですか?
【親方】
   そうなんだ。って言うかな、実は1位にしようかな、ともチラッと思ったんだ。
【編集者】
   へー、そうなんですか。チョット小粋な佳作、っていうレベルじゃないんですか?
【親方】
   いやいや、コメディ作品みたいにして紹介されてるけど、全然違うぞ。チョット小粋な感動大作だ。特にエンディングが素晴らしいんだ。パン屋の小太りの男が○○して、それで幼なじみの美人が△△になって泣くんだけどな、これがこっちも泣きたくなるほどジーンとくるんだ。ついでに言うとな、美人役のタン・ナがホントに綺麗。
【編集者】
   それじゃ全然分かりませんよ。まあ、あれだけ褒めちぎってた『スウィート・ヒアアフター』を追いぬいたんだから、そういう位置付けなんですね、親方の中の狭い世界では。
【親方】
   フン、狭くて結構だ。ワタシは映画評論家じゃないからな。徒然なるままに見て、徒然なるままに感想を書くだけなのだ。
【編集者】
   まあまあ、そう言わずに。それで『スウィート・ヒアアフター』は結局3位な訳ですね。あれだけ力入ってた文章書いてたのに。
【親方】
   あれはまだ夏だったからな。大体、映画に順位を付けようなんて発想がどだい無理なんだよ。お茶漬けとステーキはどっちも旨いだろう? それと同じだよ。
【編集者】
   別に誰も頼んでませんよ。親方が勝手に企画して勝手にやってるんでしょ。
【親方】
   いや、だからな、遊びとしては面白いかな、と思ったんだ。順位を考えるのは結構楽しかったぞ。それで分かったのは、上位3位までがひとかたまりのトップ・グループで、4位から10位までがこれまたひとかたまりの後続グループってことだったんだ。要するに、それぞれの順位はあんまり意味がないってことだな。
【編集者】
   それじゃあ、企画倒れじゃないですか。とにかく、一通り紹介しますんで、頼みますよ。
【親方】
   分かった分かった。『スウィート・ヒアアフター』はだなぁ、深かったぞ。それに、サラ・ポーリーがめちゃ可愛かった。
【編集者】
   田中麗奈にタン・ナにサラ・ポーリーですか、要は可愛い女の子が出ていればそれでいいと……
【親方】
   それはいわれのない誤解だな。4位の『フル・モンティ』はムサイ中年男の話だぞ。これはレビュー書いてないんだけど、良かったなぁ。もう笑いまくりでさぁ、それもいかにもイギリスって感じのヒネくれたユーモアなんだ。情けなさを笑い飛ばすユーモアだな。見た後、みんなを元気にさせる映画だったなぁ。
【編集者】
   確かにヒロイン不在の映画でしたね。『トレイン・スポッティング』から、やたらめったらイギリス映画がブームになってますけど、親方もそのクチですか?
【親方】
   元々イギリスって国が好きっていうのはあるけどな。今のイギリス映画は。金かかってないんだけど、ユーモアとペーソスで十分2時間持たすんだよ。でも、5位の『ブラス!』は同じイギリス映画だけど、ちょっと違うぞ。一言でいうと「やるせなさとプライド」だな。
【編集者】
   それじゃぁ、二言ですよ。でも、音楽シーンの素晴らしさにストーリーが助けられたって評が多いですね。
【親方】
   だからな、ワタシは思うんだけど、音楽もストーリーも何もかんも含めて映画というものが成り立っているんだろう? だからさ、感動すればそれが音楽の力であったとしても、それは素晴らしい作品なんだ。シナリオ・コンクールじゃないんだから、ストーリーの稚拙がどうのこうの、なんて理由はおかしいよ。もっともワタシは『ブラス!』に関しては、ストーリーも大好きだけどな。
【編集者】
   なるほどね、やっぱ親方、理屈言いですね。5位までアメリカ映画全然選んでないし。ハリウッド作品を選ばないことで、何かセンスの良さを見せようとか思ってないですか? ほんで、やっと6位にハリウッド作品『トゥルーマン・ショー』。
【親方】
   別にハリウッド作品が嫌いとかいうのは全然ないんだけどな。偶然だよ。でも『トゥルーマン・ショー』はさ、手に汗握ったね。エンディングなんか観客全員息止めてみてたもんな。
【編集者】
   そんな訳ないでしょうが。あ、そういえば7位の『普通じゃない』もアメリカ映画ですね。
【親方】
   こっちは、実質イギリス映画だけどな。スタッフも主演もイギリス人だし、単にハリウッドが金を出したというだけなんだけど。ところで、今やハリウッド最大の昇り竜女優、キャメロン・ディアズがこの作品のヒロインなのに、みんなあんまり知らんみたいだな。今度の主演作『メリーに首ったけ』のレビューの中でさ、過去の出演作品リストに殆ど『普通じゃない』が載ってないのはどういう訳かな?
【編集者】
   本人が気に入ってないんじゃないですか?
【親方】
   そうなのかなぁ。生まれを隠した秀吉じゃあるまいし……
【編集者】
   まあ、いろいろ事情があるんでしょう。映画はいったん世に出たら、観客のモノですからね。親方が気にいってたらそれでいいんじゃないですか。
【親方】
   おまえ、中々いいことを言うなぁ。とにかく、1998年の不当低評価作品第1位であることは間違いないな。
【編集者】
   8位の『カフェ・ブダペスト』はどうですか? この手のヨーロッパ芸術系映画って、逆に必要以上に持上げられがちですよね。
【親方】
   『カフェ・ブダペスト』は芸術作品というほど堅苦しい映画じゃないけどな。確かに『ゴジラ』を誉めるより『カフェ・ブダペスト』を誉める方が頭いい感じはするわな。でも、これはマジでいい映画だよ。重くて疲れるけど。
【編集者】
   ヨーロッパ映画っていうと、まずイギリス、フランス、ドイツだろうけど、その真ん中のハンガリーとかオランダとかも面白そうな映画作ってるんですね。
【親方】
   そうそう。台湾もカナダもハンガリーもそして我が日本もがんばっておるのだよ。シネコンでやってるハリウッド映画ばっかりじゃなくて、ちょっと足を伸ばせば、ザクザクと素晴らしい作品に出会えるんだ。
【編集者】
   いわゆる単館巡りってやつですか? なんだかマニアっぽいなぁ。
【親方】
   何も巡れとは言わないけどさ、たまにはそういうのもいいよ、ってことだ。
【編集者】
   なるほどねぇ。で、9位が泣く子も黙るコーエン兄弟の『ビッグ・リボウスキ』なんですけど、随分順位低いですね。
【親方】
   ここらへんは殆ど紙一重だからな。でもコーエン作品としては前作の『ファーゴ』の冷たい感触の方が好きだな。『ビッグ・リボウスキ』はちょっと策を弄し過ぎって感じ。
【編集者】
   結構厳しいですね。さあ、最後の第10位はこれまた意外なメジャー作『リング』なんですけど。
【親方】
   これはさ、単純なハナシ、ホントに怖かったんだよ。半年後に出たビデオを夜中に一人で見たら、もっと怖かったぞ。
【編集者】
   わざわざそんなシチュエーションで見ることないでしょ。で、親方、今度の『リング2』はもっと怖いですかね?
【親方】
   それもいいけどな、同時上映の夏川結衣嬢主演作『死国』を見ようじゃないか。
【編集者】
   そういうオチですか。それで1999年のナンバーワンは『死国』だとか言わないでくださいよ。
【親方】
   夏川結衣嬢が主演だったら、治外法権で1位に決まってるだろうが。
【編集者】
   じゃあ、『がんばっていきまっしょい』の1位も怪しいもんですね。
【親方】
   いや、あれは違うぞ。あの作品は映画史に永遠に残る傑作なのだ。布教活動と揶揄されようが、ワタシは主張し続けるのだ。
【編集者】
   はいはい。とりあえず、今年もいろんな映画をいっぱい見て楽しみましょう、ということで本企画を終わります。みなさん長時間お読みいただきありがとうございました。

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