感じて楽しむコンピュータ音楽

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コンピュータを使った授業の取り扱う内容についての課題と、実施するとき、及びその普及を阻んでいる課題です。

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1.時間がかかる

 「コンピュータ音楽のここがすごい」の「時間を超える」で扱った特徴と相反しているように思えますが、 年間カリキュラムとして授業で扱う時の授業内容の範囲という意味での話です。歌ったり・演奏したり・聴いたりして音楽を楽しむことは、 授業中だけでなく生涯ずっと関わっていきます。同じ意味で、コンピュータ音楽で作った作品を、本気で完璧なものにしようとすると 授業中だけではとても時間が足りません。2単位(週2時間)で年間カリキュラムを組んでも、最大で年間70時間。 コンピュータの扱い方から導入して、自分なりの音楽作りの最初のステップは踏めても、 1年間ではプロなみの完璧な音楽作りまで決していきません。だから、授業でのコンピュータ音楽はあくまでもシミュレーションをとおして、 音楽作りの基本を教えるところまでに限るべきだと思います。コンピュータ音楽を導入したからといって、だれもが、 どこかに発表できるようなすばらしい作品作りが出来るようになる、というようなことを授業目標にするべきではないでしょう。

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2.環境を整えるには予算が

 最近でこそ、アカデミーパックなどと銘打った、教育用の低価格なソフトウェアなどが用意されてきました。 それでも1クラス最大40人に対応する環境をそろえることは安易ではありません。 授業環境としてコンピュータの以外に必要なものは、音源、鍵盤キーボード、コンピュータ音楽用ソフト、スピーカーなどあります。 最近のコンピュータの性能ならば、音源の代わりに内臓のソフトシンセが代用し、 またスピーカーはたいて最近のコンピュータには付属してますし、イヤフォーンやヘッドフォンでも代用できます。 そうすると、コンピュータ音楽用ソフトの導入を考えるだけで、システムは一応組めます。 ただこれは最低条件で、データ入力の授業での効率などを考えるとき、やはり、鍵盤キーボードはあったほうがいいと思います。 そうすると、一人当たり予算は、最低条件で約10,000円程度、授業を効率良く行うためには数万円程度の予算を考える必要が出てきます。 これは学校の中での教科予算としてはとしては、非常に大きな額です。 毎年、少しずつ買い足していくとか、学校全体の理解を得て予算を組んでもらうなどしないとそろえることが出来ず、大変頭の痛い問題です。

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3.授業に適したソフトがない

 一般に市販されているコンピュータ音楽用ソフトは、ある程度音楽の知識を持っている人を対象に開発されています。 ところが授業での生徒達はそうとはかぎりません。画面に表示された音符の棒の向きが違う、 音符の旗がつながっているかいないかというようなことから、生徒のつまずきが始まってしまいます。 一般の市販ソフトではそんなのは当たり前といった対処しかされていません。 また、市販ソフトでは、授業では扱うことのない機能が、たくさん搭載されていて、それによって価格は上がっています。 いまのところこのような市販されてるソフトの中から選ぶしか仕方がないのですが、是非、 廉価で生徒のような音楽の初心者でも扱い安いソフトを開発して欲しいものです。

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4.音色が変わる

 コンピュータの性能が猛烈なスピードで進歩しているように、コンピュータ音楽のための機器もどんどん新しい製品が出てきます。 特に音源が新しくなると、音色が増え新しい音を使えるようになったりして便利になってきています。 しかし、実際の現場では困ったことが起きます。音源などを少しずつ買い足して環境を整えていった場合、途中の機器変更により、 使っている音源により音色が変わってしまうのです。その機種独自が持っている音色はもちろんなのですが、 基本的音色であるGM音源の音色の感じも変わります。この点は、発売元に配慮を求めていく必要があります。

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5.先生はコンピュータが苦手?

 今でも、「コンピュータで音楽」というだけで拒否反応を示す先生がいます。原因は2つ、一つは機械に対する拒否反応、 もう一つは音に対する拒否反応。コンピュータは無機質な機械、というイメージがまだまだ強く残っています。 また、コンピュータ音楽が紹介され始めたときの、ピーピー鳴っている無機質な音色のイメージがあって、 コンピュータの出す音は授業では使えないと考えている方がいます。今では、文章を書くのも、絵を描くのもコンピュータで自在にできるのですから、 音楽の授業を行うのにピアノやリコーダーやギターなどが必要なように、コンピュータは楽器であると感じてもらえればいいのですが。 そして、コンピュータから演奏される音は、コンピュータの飛躍的な進歩で、普通の楽器と同じような音質にまで高められています。 ですので、これらの、先入観はそろそろ払拭されてもいいのですが。また、コンピュータ音楽の授業は特殊な応用のように思っている方もいます。 どこかの学校で実践例が報告されても、あの生徒達だからできる、あの先生だからできるのだと評価してしまって、 自分の授業には役に立たないと考える傾向が音楽の先生にはあるようです。しかし、いまやコンピュータはどの生徒にも扱えどの先生にもとっても便利な道具です。そして、今やコンピュータは、ピアノなどの楽器を同じように、 生徒に音楽を伝える存在になってきているのを知ってほしいと思います。

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