有機化合物

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分子模型(2時間)

 直鎖状炭化水素・環状炭化水素等の基本的な炭化水素の分類について説明を行った後、分子模型を使って立体構造を確認する。

☆アルカン

・メタン→正四面体構造
・エタン→単結合の回転
・プロパン→単結合の回転による形状の変化
・ブタン→構造異性体

☆アルケン

・エチレン→平面構造
・プロペン
・ブテン→幾何異性体

☆シクロアルカン

・シクロペンタン→平面構造
・シクロヘキサン→イス型・フネ型

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メタンの発生と性質


☆発生

・酢酸ナトリウムおよびソーダ石灰をともに試験管に4分の1程度ずつを紙の上で手早く混ぜる。
※ソーダ石灰は水酸化ナトリウムおよび酸化カルシウムをほぼ同量ずつ、乳鉢で砕いたものを用いた方が発生しやすい。市販のソーダ石灰ではあまり発生しなかった。
・上の粉末を試験管にいれほぼ水平にスタンドに固定しゴム栓付きガラス管・ゴム管をへてガラス管をつなぐ。
・ガスバーナーは手で持ち、始め試験管全体を加熱し、温度が上がってきたら一部分ずつ強く加熱していく。
・捕集は
水上捕集で行い、発生のはじめから集気ビン4本集める。

☆性質

1本目:そのまま点火
 ふたを取り去り、ガスバーナーの種火を持っていく。
 →すすは出ず、明るい炎を上げて燃える。

2本目:空気と混ぜて点火
 ふたをした空の集気ビンを逆さにしてメタンの入った集気ビンの上に乗せふたを取り去った後、よく混ぜる。再びふたをして1本目と同じ要領で片方だけ点火する。残ったもう一本について同じ要領で空気と混ぜていき、勢いよく燃える時の空気との混合の割合を調べる。
 →燃焼の反応式はCH4+2O2→CO2+2H2Oであるから
  メタン:空気=1:10でよく燃えるはずである。この実験では3回目(メタン8分の1あたり)。

演示:ブリキ缶でのメタンの爆発
 固くふたの閉まる缶を用意し、上下に5mm程度の穴を開けておく。
 都市ガス(天然ガス)を缶の中にガスコックより十分に導きいれる。
 上の穴からもれて出てくるガスに点火する。
 →始め明るい大きな炎であるが次第に小さくなり、缶の中が臨界に達したとき大きな音とともに爆発する。
  私はキョロちゃんのお菓子の缶詰めの缶を利用しています。直径・高さとも20cm程度のもので、最近ではふたがさび付いて固くなってきたため、爆発時には天井までふたが飛び上がるようになりました。

3本目:臭素水との反応
 臭素水5mlを分配し、集気ビンにいれる。
 →反応無し。

4本目:過マンガン酸カリウムとの反応
 0.2mol/l KMnO4水溶液 1ml、3mol/l H2SO4 3mlを試験管で混ぜ、集気ビンにいれる。

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エチレンの発生と性質

☆発生

 300ml程度のフラスコを用意し、ゴム栓には温度計(200℃)およびガラス管を通しておく。
 フラスコにはエタノール10ml、濃硫酸15mlおよび砂を薬さじ1杯入れてスタンドに固定。
 三脚を使ってフラスコを加熱し、160℃にまで一気に温度をあげる。
 160℃を保ちながら、発生した気体を水上補集で集気ビン2本捨てた後、4本集める。

☆性質

1本目:そのまま点火
 ふたを取り去り、ガスバーナーの種火を持っていく。
 →すすは出ず、明るい炎を上げて燃える。

2本目:空気と混ぜて点火
 ふたをした空の集気ビンを逆さにしてメタンの入った集気ビンの上に乗せふたを取り去った後、よく混ぜる。再びふたをして1本目と同じ要領で片方だけ点火する。残ったもう一本について同じ要領で空気と混ぜていき、勢いよく燃える時の空気との混合の割合を調べる。
 →燃焼の反応式はC2H4+3O2→2CO2+2H2Oであるから
  エチレン:空気=1:15でよく燃えるはずである。この実験では3〜4回目(エチレン8分の1〜16分の1あたり)。

3本目:臭素水との反応
 臭素水5mlを分配し、集気ビンにいれる。
 →二重結合を持つ炭化水素は臭素水を付加して、臭素水の色が消える。

4本目:過マンガン酸カリウムとの反応
 0.2mol/l KMnO4水溶液 1ml、3mol/l H2SO4 3mlを試験管で混ぜ、集気ビンにいれる。
 →二重結合を持つ炭化水素は酸化されやすく、KMnO4の色が消える。

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アセチレンの発生と性質

☆発生

 発生にはカルシウムカーバイドを用いる。
 カルシウムカーバイドはやや細めの試験管にいれゴム栓をしてわたす。
 水槽には通常の水上補集よりもやや多め(3〜4cm)に水をいれておき、親指で試験管の口をふさいだまま水槽に沈める。
 親指をはなすとすぐにアセチレンが発生するので試験管を軽く上から押さえながら集気ビン5本集める。

☆性質

1本目:そのまま点火
 ふたを取り去り、ガスバーナーの種火を持っていく。
 →多くのすすを出して燃焼。

2本目:空気と混ぜて点火
 ふたをした空の集気ビンを逆さにしてメタンの入った集気ビンの上に乗せふたを取り去った後、よく混ぜる。再びふたをして1本目と同じ要領で片方だけ点火する。残ったもう一本について同じ要領で空気と混ぜていき、勢いよく燃える時の空気との混合の割合を調べる。
 →燃焼の反応式は2C2H2+5O2→4CO2+2H2Oであるから
  アセチレン:空気=1:15でよく燃えるはずである。この実験では3〜4回目(エチレン8分の1〜16分の1あたり)。

3本目:臭素水との反応
 臭素水5mlを分配し、集気ビンにいれる。
 →二重結合を持つ炭化水素は臭素水を付加して、臭素水の色が消える。

4本目:過マンガン酸カリウムとの反応
 0.2mol/l KMnO4水溶液 1ml、3mol/l H2SO4 3mlを試験管で混ぜ、集気ビンにいれる。
 →二重結合を持つ炭化水素は酸化されやすく、KMnO4の色が消える。

5本目:銀アセチリド
 0.1mol/l硝酸銀水溶液1mlに、6mol/lアンモニア水0.5mlを水で15mlに薄めたものを、沈殿がほぼ消えるまで加えていく。
 上の液をアセチレンの入った臭気ビンに入れ、できた沈殿をろ過する。
 沈殿はろ紙ごとピンセットではさみガスバーナーの炎の中で燃やす。
 →生成した沈殿は銀アセチリド。乾燥すると爆発する。
  C2H2+2Ag+→Ag2C2+2H+

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液体炭化水素の比較

炭素数の近い、液体炭化水素について構造の違いによる性質の違いを比較する。

☆燃焼

 ヘキサン・ヘキセン・シクロヘキサン・シクロヘキセン・ベンゼン・トルエンの6種類を蒸発ざらに2ml程度ずつとり、順に点火していく。
 →炭素の数に比べて水素の数の少ないベンゼン環を持つものは多くのすすを発生して燃える。

☆臭素(四塩化炭素溶液)との反応

 上の6種類の試料を2mlずつ試験管にとり、臭素(0.1mol/l 四塩化炭素溶液)を2mlずつ加え、ゴム栓をする。
 →ヘキセン・シクロヘキセン  すぐに臭素の色が消える。
 →ヘキサン・シクロヘキサン・トルエン  太陽の光にしばらくあてていると色が消える。

 さらにガラス棒に濃アンモニア水をつけて試験管の口に近づける。
 →光にあたって反応した3種類については白煙が発生する。置換反応によりHBrが生成したからである。

☆液体臭素との反応

 液体の臭素0.5mlずつを3本の試験管にとり、ヘキサン・ベンゼン・トルエンを各2mlずつ加えて、光のあたる場所においておく。
 →トルエン・ヘキサン  白煙が発生。置換反応によりHBrが生成。

 上で反応しなかったベンゼンには300メッシュ程度の鉄粉をいれる。
 →しばらくすると白煙が発生。鉄触媒により置換反応。

 トルエンについては黒い紙を巻き、光をさえぎって同様に行う。
 →ベンゼンと同じように白煙を発生。ベンゼン環の水素が置換されたことがわかる。

☆過マンガン酸カリウムとの反応

 0.2mol/l KMnO4 5mlに3mol/l H2SO4 10mlを加え、これを6本の試験管にわける。ここに6種類の液体炭化水素を加えていく。
 →ヘキセン・シクロヘキセン   過マンガン酸カリウム色が消える。
 →トルエン  加熱により色が消える。メチル基が酸化される。

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臭化エチルの合成

炭化水素のハロゲンによる置換体として臭化エチルを合成し、ハロゲンの検出を行う。

☆臭化エチルの合成

 なす型フラスコに沸騰石 数粒を入れエタノール 4ml,水 2ml、濃硫酸 4ml、臭化カリウム2.5gを加える。
 気体誘導用のL字管を通したゴム栓をつけ、スタンドに固定する。
 L字管には試験管をかぶせ、氷水をいれたポリビーカーに深く沈めるようにする。
 留出液が3ml程度になるまで蒸留を続ける。この間、L字管の先は留出液から1cm程度の隙間をあけ、逆流を防ぐ。
 留出液に、0.5mol/l Na2CO3を3ml加え、同時に発生したHBrを中和する。これにより、液は2層に分かれ、臭化エチルは下層に沈む。
 漏斗にろ紙を取り付け、水でぬらしておく。ここに上の液をいれると、臭化エチルだけが漏斗の中にのこる。試験管にうつしておく。

☆ハロゲンの検出

 銅線をガスバーナーで熱し、臭化エチルにつけ、再び、炎の中に入れる。
 →青緑の炎色反応が見える。

☆分子量の測定(演示)

 実験でできた臭化エチルには無水硫酸ナトリウムをいれて乾かしておく。
 試料1〜2mlを入れたガラス管の両方に200mlの注射器を取り付け、120ml程度の乾いた空気を往復させて試料を気化させる。
 ガラス管をあらかじめ質量を測った活性炭をつめたものに取り替え、吸収させる。
 吸収された体積、活性炭の質量の増加から、気体の状態方程式を用いて、分子量を計算する。
 →C2H5Brの分子量 109。およそ105〜115程度の結果が得られる。

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エタノールとナトリウムの反応

 官能基としてヒドロキシル基を持つものをアルコールという。アルコールの分類を講義した後、以下の実験を行いました。

☆エタノールとナトリウムの反応
 1mlのメスピペットまたは毛細管に駒込ピペットのゴム球を取り付け、スポイトにする。
 このスポイトをゴム栓に通し、一度エタノールを吸い取り、秤量ビンに移し、質量を記録する。
 試験管の枝管の先には水でぬらした注射器を取り付け、発生した気体の体積を読み取れるようにしておく。
 金属ナトリウムを5cm分くらい薄くてばやくきりきざみ試験管に入れる。
 スポイトに前回と同じ量のエタノールを入れ、試験管に取り付ける。
 少しずつエタノールを落とし、ドライヤーで軽く加熱しながら完全に反応させる。
 発生した水素の体積を注射器の目盛りより読み取る。

※エタノールの質量をxとすると、エタノールの物質量は・・・・・・x/46mol
※発生した水素の体積より気体の状態方程式を用いて計算し・・・・・・ymol
 反応した水素原子は                       ・・・・・・2ymol

 x/46:2y=1:1の結果となる。

以上より、反応によりナトリウムと置換した水素原子はヒドロキシル基の水素原子であると予想できる。

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アルデヒドの生成と検出

☆アルデヒドの生成

 時計皿を2枚用意し、メタノールおよびエタノールをそれぞれ2ml程度いれる。
 ガスバーナーで螺旋状にした銅線を加熱し、時計皿に入れたアルコールの表面をこするように動かす。
 →銅線の表面は輝き、メタノールからはホルムアルデヒド。エタノールからはアセトアルデヒドが生成する。
 ※銅線の温度が高すぎるとアルコールは燃え出すが、慌てずに吹き消す。
 ※試験管にコルク栓を通した銅線を用いる方法がよく使われるが、時計皿のほうが銅の表面の変化がめまぐるしく、臭気も感じやすいのでこの方法を用いている。

 反応後の時計皿には
シッフ試薬を試験管にとった後、一滴ずつ加える。
 →赤紫になる。アルデヒドができていることがわかる。

☆アルデヒドの性質

アルデヒドは酸化されてカルボン酸に変化しやすい。その還元作用を確認するためには、銀鏡反応・フェーリング反応がよく使われる。
以下の還元作用の確認にはホルマリンを試験管で分配して用いた。

○銀鏡反応
 新品の試験管を用い、0.1mol/l硝酸銀水溶液3mlを入れておく。
 別の試験管に6mol/lアンモニア水0.5mlをとり、水を加えて10mlに薄めておく。
 硝酸銀の中に薄めたアンモニア水を一滴ずつ加えていき、沈殿がほぼ消えたところで加えるのをやめる。
 ここにホルマリンの一滴を加えて手早く振ったならば、試験管台においておく。
 →しばらくすると試験管の内壁に銀鏡ができる。

○フェーリング反応
 フェーリング液のA・Bを2mlずつ試験管にとり混ぜておく。
 ホルマリン一滴を加えたならば、ガスバーナーで加熱する。
 →Cu2Oが生成し、あずき色の沈殿ができる。

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