1.確定拠出年金の概要


 確定拠出年金とは、現在の我が国の公的年金制度(国民年金・厚生年金)を補完する目的で、2001年よりスタートした新しい私的年金制度です。

 確定拠出年金には「企業型」と「個人型」とがあり、前者は厚生年金加入者のサラリーマン等を対象としており、後者は国民年金加入者の自営業者等を対象としています。なお、公務員や専業主婦などは対象外となっています。

 従来からの企業年金である厚生年金基金、適格退職年金などは確定給付年金と呼ばれるもので、これは、あらかじめもらえる年金額を想定し、それに向けて掛金の拠出額を決めていく形式をとっています。一方、確定拠出年金は、掛金の拠出額(上限がある)を決め、それを金融商品等に投資をし、その運用結果でもらえる年金の額が決まるといういわば年金投資です。

 主な制度の特色として、

・ 給付額は加入者の運用次第

 加入者が自らの判断で運用方法を決定

 あらかじめ掛金額を決めて拠出する

 離・転職の際に持ち運びが可能(ポータビリティーがある)

などが挙げられます。運用方法は、加入者自身が選択するため、運用の良し悪しによっては各人の受取額が違ってきます。従って、運用結果のよい場合は、従来の給付以上のものが受け取れますが、悪い場合は拠出金が元本割れする可能性もあります。この場合、確定給付年金ならば企業がその運用リスクを補填してくれますが、確定拠出年金は「自己責任」で運用するため、運用リスクは加入者自身が負うことになります。

 また、従来の確定給付年金では、加入者各人の持分は、受給の段階ではじめて明確になりましたが、確定拠出年金では、掛金が個別に運用されるため、いつの時点でも個人の持分額は明確です。そのため、離・転職する場合には、個人別管理資産を他の確定拠出年金制度に移換することができます。

 近年の日本の時代背景として、金融ビッグバン、少子高齢化社会、雇用環境の変化、自己責任・自助努力などが挙げられますが、確定拠出年金はまさにそうした時代背景とマッチした制度であり、今後のニーズはますます高まっていくでしょう。

表1.確定給付年金と確定拠出年金の相違点

確定給付年金

確定拠出年金

給付額

あらかじめ確定

加入者の運用次第で変動

拠出

給付額と運用実績で決める

あらかじめ拠出額は確定

運用指図

実施主体

加入者本人

運用リスク

企業

加入者本人

資産の管理

実施主体が加入者分をまとめて管理

加入者ごとの個人別勘定による個人別管理

加入者の持分

加入者ごとの持分不明確

加入者ごとの持分明確

ポータビリティー

ない

ある


2.確定拠出年金制度導入の背景
3.401kプランと確定拠出年金
4.確定拠出年金の対象範囲
5.拠出限度額
6.確定拠出年金制度導入のメリット・デメリット
7.確定拠出年金のしくみ
8.受給方法
9.税制の優遇措置

確定拠出年金の運用商品


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