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ようこそ みのたけワールドへ!---- Kyoto Minotake Alpine Club

隊長のひとこと VOL.3VOICE

「みのたけ登山」と「安全・安心の山登り」 

 「安全、安心」は、本会が最も大切にしているコンセプトであり、最重点のテーマです。いわば、原点中の原点、一丁目一番地にあたります。毎月の例会においても、この大原則を最優先に貫いています。けっしてムリや背伸びをせず、会員一人ひとりが、自らの力量にあった山登りを楽しむ…これがモットーです。さらに、「安心」は本人だけでなく、無事の帰りを待つ家族の方たちも含めた概念と位置づけています。
 とは言え、山に「絶対の安全」はあり得ません。「100%の安全」があるとすれば、それは「山に行かない」ことでしょう(笑)。登山が人智を超えた大自然の真っただ中に身を置く行為である以上、必然的に、自然に内在する危険と背中合わせになります。登山とは、安全が保障された日常の空間とはまったく異なる世界に身を置く行為なのです。山に登ろうとする者は、まず、このことをしっかりと自覚することが大切です。
 そのうえで、いかに危険を回避し、安全を確保するか。それは、登山者にとって永遠の課題であると同時に、登山の面白さや醍醐味でもあります。「彼を知り 己を知れば 百戦するも危うからず」は、有名な中国の兵法書「孫子」の言葉です。その伝でいけば、「山を知り 己を知れば 百登するも危うからず」となります。山を知り、己を知り、自らの実力、力量に見合った山登りを心がければ、安全度はグッと高まります。まさに「みのたけ」にあった登山を志向する所以です。「登りたい山」と「登れる山」とは別物なのです。
 しかし、ことはそれほど簡単ではありません。「山を知る」ことも「己を知る」ことも、なかなか一朝一夕に出来ることではありません。どちらも、長い経験の積み重ねがあってはじめて身に着くものなのです。登ろうとする山がどのような山なのか、どのようなリスクが待ち構えているのか、この季節、この時期には山はどのような状態にあるのか、天候が急変すればどのような事態になるのか…そうしたさまざまな状況を事前にイメージし危機を予測できる能力が必要です。ベテラン登山者ほど、長年の経験に裏打ちされたイマジネーションの力に優れ、高い「危機予知能力」と「危機回避能力」を有していると言えます。過去の遭難例をみると、「登山届の提出」や「装備の不十分」を云々する以前の問題として、明らかに「登る山やルート」、「登る季節やタイミング」の選択を誤っているとしか思えない事例が、多々、見受けられます。登ろうとする山のレベルと自己の力量を正しく把握しないままに、安易に山に突っ込んで行ってしまっているのです。
 では、安全な登山を目指すにはどうすればいいのか?本会が特に重きを置いているのは①「徹底した事前調査と綿密な登山計画の策定」と②「適切な気象予測と見極め」の二つです。この二つが十分になされておれば、安全の度合いはかなり高まると思います。大切なことは、山に対する「意識と姿勢」です。「気構えと覚悟」をもって山に臨んでいるかどうか。今日では、インターネットでもさまざまなレポートが報告されていますし、その気になれば、かなりの情報を事前に入手することが出来ます。十分な下調べと入念な登山計画を作り上げる中で、かなりのリスクは予見できますし、それを回避することや万が一に備えてあらかじめ手を打っておくことも可能になります。実際に山に入ってから遭遇するアクシデントの大半が「想定の範囲内」に収まるなら、常に心に余裕をもって行動できます。
 山に登るという行為は、「選択」の連続であるといえます。入山して登頂し無事に下山するまで、あらゆる局面で次々と目の前に立ちはだかる事態に対し、その都度、適切な選択と決断を下し続けなければなりません。まさに真剣勝負!「チョイス」「チョイス」の連続です。ルートの分岐や道迷い、天気の急変、転倒や滑落、野生動物との遭遇、急病や体調不良、日没時間…などなど。そして、ちょっとした選択のミス「バッドチョイス」が、次のさらなるミス、新たな「バッドチョイス」を誘発し、事態は連鎖反応的にどんどんと悪い方へと悪循環で進んでしまいます。過去の遭難例をみても、単一の原因によるものよりも、いくつもの負の要因が重なった結果の複合的な原因によるケースが多いと思います。
 若いころは、頂上に立った瞬間がベストであり、思わず心の中で「ヤッター!」と叫んでいました。でも今は違います。もちろん、登頂の喜びと感動、達成感は今も変わりませんが、「まだ道半ば」の意識の方が強いのです。山の事故はむしろ下りで多く発生しているからです。今は、全員そろって無事に登山口まで下山してはじめて、密かに心の中で「ヨシッ!ヤッタ!」とガッツポーズをとり、本当の意味での達成感を味わっています。無事に無事故で山を登り終え、感動をともにしてくれた仲間一人一人の手をとり、「ありがとう」「ありがとう」と感謝したい気持ちでいっぱいになります。
 2014年も、素晴らしい山の計画が目白押しです。今年も「安全、安心」の旗を掲げ、皆さんと一緒に「みのたけ登山」を楽しみたいと思います。
 さあ、今年も一緒に山に登りましょう! レッツみのたけ!

「トビ」にご注意! 大文字山 

 好天に恵まれた春の大型連休。身近で手軽に登山気分が楽しめる京都の「大文字山」は連日、大勢の登山客でにぎわっています。「送り火」で知られる「大文字」の火床が並ぶ広場は、新緑の森と京都の市街地が一望できる格好の休憩スポット。お弁当を広げる家族連れや若いカップル、登山客らでいつもにぎわっています。
 ところが最近、ここで気になる光景をよく目にするようになりました。トビの襲撃です。頭上を旋回していたトビが、突然、狙いを定めて急降下し、登山客が手にしているお弁当やおやつを奪うのです
=写真左上(右上方にトビの姿が)=。まさに「トンビに油揚げ…」のことわざどおりの光景。突然、音もなく背後から急襲された人は、一瞬何が起きたかわからず、「あ~怖かった」とビックリするばかりです。ケガをしなかったかと、側で見ていて、いつもハラハラします。
 「大文字」の火床が並ぶ山の斜面は樹木が切り払われ、平らな草つき斜面になっているため理想的な上昇気流が生まれるのでしょうか。いつも1~3羽のトビが上昇気流を利用して輪を描くように優雅に舞い上がり、頭上を滑空しています。よく見ると、首と目をキョロキョロさせながら「獲物」を探し、スキのある登山者や女性、子供に狙いをつけているのがよくわかります。どうも、このトビ君たちは「悪しき学習」をしてしまったようです。
 初めて大文字山に登った人たちや子供たちは、そんなことはつゆ知らず、感動的な景観やお弁当、楽しいおしゃべりに夢中になっていて、自分が格好のターゲットにされているのに気づきません。
 トビはタカ科の中では比較的大型で、全長は60~65センチはあります。日本ではもっとも身近な猛禽類です。その鋭い爪や嘴で引っ掻かれると大けがをしかねません。ヒトは身の回りを飛ぶハチなどには注意を払いますが、頭上を音もなく旋回して獲物を物色しているトビには、どうも警戒心が薄いようです。せっかくの楽しい一日、ケガなどの思わぬトラブルに巻き込まれないよう、頭上のトビにはくれぐれもご用心くださいね。

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