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年少者の日本語教育

 日本の学校に在籍する外国籍の児童生徒が増加、多様化し、近年、年少者の日本語教育が注目を浴びています。
このサイトでは、歴史的に移民の受け入れが古く、移民の第二言語教育が進んでいる海外の言語教育の例をあげ、年少者の教授法を紹介します。
また、開発したカリキュラムや教材を紹介し、ダウンロードもできます。
 ぜひ教材に関するご意見、フィードバックをいただき、改善していきたいと思いますので、ご協力よろしくお願いいたします。

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■日本語指導が必要な外国人児童生徒

文部科学省の平成20年度の調査では、現在日本の公立学校に在籍する外国人児童生徒数は、28,575人、最も多い母語はポルトガル語、中国語、スペイン語が全体の7割を占めています。
在籍期間ごとにみると、1年以上2年未満の児童生徒数が最も多く、次に6か月未満の児童生徒数が多くなっています。つまり、このことからも、教科学習で必要となる日本語指導の充実が求められています。
このサイトでは、特に中学校に在籍する外国人生徒を対象とし、生活言語と教科学習の橋渡しをする日本語学習の支援をする教材研究を行っています。外国籍の生徒の日本語指導を担当していらっしゃる方々のご意見、アドバイスをいただき、より改善していきたいと思いますので、ご協力をよろしくお願いいたします。

■「生活言語(BICS)」と「学習言語(CALP)」の違い

公立学校に在籍する外国人児童生徒は、生活で使う日本語ができてもなかなか教科学習についていくことができないないケースがあります。このような違いは、「生活言語(BICS)」と「学習言語(CALP)」の違いによると言われており、カナダの言語学者Cumminsによると「生活言語(BICS)」は2〜3年を要し、「学習言語(CALP)」は5〜8年を要すると述べています。しかし、現在公立学校の日本語学級に在籍できるのは制度上6か月で、その後は日本人生徒と一緒に母学級の教科学習に参加することになるのが一般的です(兵庫県のケース)。

さらに中学校では教科の内容が小学校よりも複雑かつ専門的になり、語彙も難しくなります。また教師が授業中に説明する内容を理解する力や抽象度の高い内容を学習するための思考力、認知力も多く必要とされます。以上のことからも「生活言語(BICS)」を習得することだけでなく、短期間に母学級の教科学習に必要となる「学習言語(CALP)」の必要性を示唆していると言えます。

また日本人児童生徒と同様の学習環境にあり、日本の学校に合わせた学習要領に基づき授業を受けることとなります。そのため日本語ができなければ、友達ができないだけでなく、学校の試験や高校受験も困難であることは容易に想像されます。そのため、このような外国人児童生徒にとって、母国での学力はあっても日本での成績は悪くなり自信喪失に陥るというケースも報告されています。以上のように、生活面、学習面において、楽しい学校生活を送るためには、生活に必要とされる日本語の学習のみならず教科学習にも対応できる日本語の学習が必須条件であると言えます。

しかしながら外国人児童生徒が「学習言語(CALP)」としての日本語を習得するには、さまざまな課題が残されていることも事実です。近年ようやくさまざまな種類の年少者向け教材が開発され始めてきましたが、その大部分が小学生あるいは「生活言語(BICS)」の習得を対象とした日本語の初級教材で、教科の学習に必要な「学習言語(CALP)」としての日本語の習得を目指し、日本語の学習段階で認知発達を促進するための教材はほとんど出版されていません。このような教材の限界もあり、母学級の教科学習に参加するために必要となる日本語の読み書き能力を身につけることは難しいと考えられます。
 本ホームページでは、教科学習につなげるための日本語指導のカリキュラムと教材開発の研究を行い、紹介しています。