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夏を越した植え込み材は傷んでいます。
炭疽病(病因は炭疽病糸状カビ菌、軟腐病(病因は土の中にいる常在細菌 Erwinia Cartorora)
害虫ではスリップス(吸汁、病気を伝搬させる)、なめくじ(食害、傷口からの細菌の侵入)など。
その卵、幼虫など蘭栽培を困難にさせるものが潜んでいます。
それらを除去するために植え込み材を全て取り除き根を良く洗浄して植え替えていました。
この方法はどうしても根を傷めてしまうこと、半年もすれば鉢内が元の状態に戻ることなど
十分ではありませんでした。別の解決策を模索していましたが・・・
次亜塩素酸ナトりウムでカビ菌類、細菌類、害虫及び卵と幼虫などを消毒する方法を見出しました。
これにより、根の傷みが少ない植え替えが可能になりました。
「病気と害虫はこれで解決」を参照願います。
「植え替え前の消毒」
まず植え替え作業でカビ菌類や細菌などを吸い込む危険性を低減します。
水5リットルにキッチンハイタ−50ml(キャツプ2.5杯分)を添加混合して600ppm溶液を作りました。
葉の両面とバルブと鉢内に600ppm溶液を散水&潅注しました。
10分〜20分そのまま放置。その後水で洗い流しました。
植え替えは後日、暫く置いて行いました。
「植え込み材」
上層は『くるみバ−ク(中粒)』
下層は『くるみバ−ク(小粒)と中粒+ハスクチップ(中粒)』の4/4/2混合物
保水性と通気性のバランス&鉢表面の加湿防止が狙いです。
植え込み材は石灰水で「アク」抜き&細菌&カビ菌、害虫を駆除しました。
上層用(バ−ク中粒) |
下層用(中粒/小粒/ハクスチップの4/4/2混合物) |
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植え込み材は上記の2種類を使用します。
灰汁抜き/殺菌処理済みです。 |
「植え替え」 (実施例) Katuragawa 'Canary' SM/JOGA (M,K,Mito×P,Takamado)
鉢いっぱいになっているので5号鉢に植え替えます。
菌類は消毒しているので植え込み材の全交換はしません。
部分交換は植え替え傷みが軽減されるので好ましい方法です。
バルブが出来上がる頃が植え替えの好機です。
花芽が小指の先くらいに伸びた時が植え替えの適期です。
花芽を傷つけない限り、植え替えで時化ることはありません。
深植してはいけません。新芽が出る部分に光が当たる様に植え付けます。
毎年咲かせないで隔年にすると株が大きくなります。
苗株、今年咲かせない株には置肥を少量与えます。
開花を予定している株に施肥はしません。
植え替え前の状態 (2023/10/15)
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鉢から抜いて下部の植え込み材を
除いた状態 |
バックバルブ側の状態 |
取り除いた古い植え込み材 |
鉢底にパ−ライトを敷きます |
ミズゴケで根鉢を覆って
鉢に移します |
隙間に下層用の植え込み材を
詰めた状態 |
「植え替え後の消毒」
上層用のバ−クで覆って植え替えました。
その後もう一度消毒した状態 (2023/10/15)
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「植え替え」半月後の状態 (2023/10/29) |
「植え替え時の消毒は2回、600ppm溶液で」
次亜塩素酸ナトりウム600ppm溶液で根、葉、バルブ、花芽を2回消毒しました。
1回目は10月9日、2回目は10月15日でした。
花芽が落ちる様なこともなく順調に経過しています。
正常な部位(バルブ、根、葉、花芽、新芽など)に障害はでていません。
年末〜年始に花が見られると思います。
「植え替え」1ヵ月後の状態 (2023/11/14) |

「病気予防は月2回、60ppm溶液で」
次亜塩素酸ナトりウム60ppm溶液で根、葉、バルブ、花芽を予防処理しました。
1回目は11月5日、2回目は11月22日を予定しています。
花芽が3輪順調に伸びてきました。
正常な部位(バルブ、根、葉、花芽、新芽など)に障害はでていません。
この個体で3輪花芽が上がったのは始めてです。
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