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 アユタヤの獅子 
 
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 アユタヤ紀行

 アユタヤの獅子 (シンハー)
  ワット・タミカラート、 photo 2009.11.25

  1767年、ビルマ軍の攻撃にさらされ、
  アユタヤは徹底的に破壊される。
  そしてその王朝は、400年の歴史を閉じる。
 
 ⇒  「 越南紀行 」 ハノイの獅子
 
 
 
雨季も過ぎた11月の末、世界遺産アユタヤへ小さな旅。目当ては「アユタヤの獅子(シンハー)」。 タイでは「獅子」は王宮や寺院を守り、その図像は代表的なビールの商標にもなる。
 
タイ国鉄第一のターミナル、フアランポーン駅は旧式のヨーロッパ風巨大駅舎。 ファサードのアーチ型がそのまま大屋根となり、待合室とプラット・ホームを覆う。 往年の映画のシーンを彷彿させる光景。 そこから北へ二時間、80キロ、 ディーゼル機関車が牽引する薄汚れた3等車両は満席にもかかわらず、 この季節、窓から爽やかな風が吹き込む。
 
アユタヤへは15年ほど前、バンコクからチャオプラヤー川を観光船で遡った。 王宮址と、山田長政の何もない住居跡の記憶だけが残る。 今回の薄汚れた客車には、隣で足を組むテキヤの親分風の男、 斜め向こうの席には案内書を調べるバック・パーカーの白人カップルがいて、 それなりの風情がある。アユタヤ駅に到着するとチャオプラヤー川支流を小船で渡る。 古都アユタヤは巨大な中州に築かれた。
 
商店と露店がぎっしり並ぶ市場を抜け、区画された大通りを西へ2キロ、 刈り込まれた広い芝地と長閑な水路のある遺跡公園にたどり着く。 左右に大きな仏塔が聳える。北側の仏塔はピサの斜塔のように傾き、近づけない。 木陰でくつろぐ地元のライダー達が、画板を携えた女子高(大?)生達を冷やかす、のんびりとした風景。 王宮址の手前北側に古びた寺院、ワット・タミカラートがあり、 その仏塔の周りに数十体の「獅子(シンハー)」像が居並んでいる。 そのほとんどが壊れて、レンガが剥き出しになっていた。