保険治療詳細


はり・きゅうの支給基準


● はり師、きゅう師の施術
1 支給対象
 はり師、きゅう師の施術において、療養費の対象となるものは、慢性病であって、医師による適当な治療手段のないものである。
 そして、医学的な見地から、はり師、きゅう師の施術を受けることを医師が認め、これに同意した場合が療養費の支給要件に該当する。
 従って、神経痛、リウマチ、頚腕症候群、五十肩、腰痛症、頸椎捻挫後遺症等の病名であれば、医師の同意書によりこれら6疾患等であることが確認できれば、個別に判断することなく、要件を満たしているものとして療養費の支給対象として支給して良い。
 現在のところ、通知で支給対象として明記された疾患は、上記6疾患等ではあるが、これ以外の疾患では認められないというものではなく、慢性的な疼痛を主症とするものについて、神経痛やリウマチなどと同一範疇であると認められる疾患であれば、支給要件に該当するかどうかを個人的に判断し、支給の適否を決定することとなる。
 また、その他の疾患として変形性膝関節症含む関節症を多くの保険者で支給を認めているが、これらの支給の適否についても保険者において個別に判断されたい。
 ここでいう慢性病は、必ずしも当該疾患の症状が慢性期に至らないものであってよろしい。
療養費請求の際には医師の発行した同意書(病名、症状、発病年月日が記載されているものであって、療養費払いの適否が判断できる医師の診断書でも良い。)の添付が必要とされている。
 なお、同意書(又は診断書)については、施術の円滑な実施を図るため様式が定められた。このことから、医師照会等はその趣旨を踏まえ、いたずらに調査することなく必要に応じてなされるべきである。
 平成14年6月からは、個別の症状を勘案し、従来の支給期間や支給回数の限度を超えて支給しても差し支えないものとされたことにより、支給期間や支給回数の制限が撤廃された。(平成14年5月24日付保険局長通知)
 初療の日から3月を経過した時点(初療の日が月の15日以前の場合は当該月の翌々月の末日、初療の日が月の16日以降の場合は当該月の3ヵ月後の月の末日)において更に施術を受ける場合には、改めて医師の同意は必要であるが、実際に医師から同意を得ていれば、同意書の添付は省略しても良い。その際には、療養費支給申請書に再同意医師の氏名等を記入する必要がある。また、給付手続きに際し、特別な場合を除いて患者(被保険者)の経済的負担等を考慮すれば、できる限り速やかに償還手続きをすべきである。償還に際し、被保険者が当該施術に係る療養費の受取を他の者に委任し、受取ることが可能である。
 前回の施術後、例えば2ヵ月経過していれば、再発として新たに療養費として支給する保険者もあるが、このように一定期間施術を受けていない場合に、再発とみるか又は前回からの継続とするかについては、一律取扱うことなく、医師の同意内容等により、適宜判断し、患者及び施術者との無用の疑義が生じることのないようにすることが望まれる。

2 療養費の額
 はり師、きゅう師の施術料金の算定は、平成22年6月1日から次の基準により取り扱われている。
 1 施術料金について
 (1)初検料
  @ 1術(はり又はきゅうのいずれか一方)の場合
     1,405円
  A 2術(はり、きゅうの併用)の場合
     1,455円
 (2)施術料
  @ 1術(はり又はきゅうのいずれか一方)の場合
     1,195円
  A 2術(はり、きゅうの併用)の場合
     1,495円
     注 はり又はきゅうと併せて、施術効果を促進するため、それぞれ、はり又はきゅうの業務の範囲内において人の健康に危害を及ぼすおそれのない電気針、電気温灸又は電気光線器具を使用した場合は、電療料として1回につき30円を加算する。
 (3)往療料 1,860円
    注1 往療距離が片道2キロメートルを超えた場合には、片道8キロメートルまでについては、2キロメートル又はその単数を増すごとに、所定金額に800円を加算し、片道8キロメートルから片道16キロメートルまでについては、一律2,400円を加算する。
    注2 片道16キロメートルを超える場合の往療料は往療を必要とする絶対的な理由がある場合以外は認められないこと。
2 施術回数
  同意期間内において、施術に必要な回数は支給できることとされている。
  ただし、疾病の種類、疾患の数及び部位数にかかわらず1日あたり1回に限って算定できるものであることに注意する必要がる。
   医師の同意書又は診断書に加療期間の記載のあるときは、その期間内が支給期間であるが、初療の日から起算して3ヵ月を超える期間が記載されていてもその超える期間については、別途、医師の同意を得なければならない。

【関係通知】

○按摩、鍼灸術にかかる健康保険の療養費について

(昭25.1.19 保発 4)
 標記については療術業者の団体と契約の下に、これを積極的に支給する向もあるやに聞き及んでいるが、本件については従前通りの御取り扱いを願いたい。
 従って、この施術に基づいて療養費の請求をなす場合においては、緊急のその他真に巳むを得ない場合を除いては、すべての医師の同意書を添付する等、医師の同意があったことを確認するに足る証憑を添えるよう指導することとして、その支給の適正を期することと致されたい。


○あんま・はり灸、マッサージの施術にかかる健康保険の療養費について
(昭26.3.9 保発 14)
 標記については客年1月19日保発第4号をもって通知したにも拘らず、いまなお施術業者の団体との契約を続行し、甚しきは新たに契約を締結しているところがあるやに聞き及んでいるが、若しかかる事実の存する場合はその事情の如何を問わず、支給これを破棄するようご措置願いたい。


○あんま・はり灸、マッサージの施術にかかる療養費の取扱いについて
(昭42.9.18 保発 32)
(最終改正 平8.5.24 保発64)
はり、きゅう及びマッサージの施術に係る療養費の支給にあたっては、もとより保険者がその必要ありと認めたときに限り支給されるところであるが、その具体的取扱いは昭和42年10月1日から次のとおりとしたので、貴管下各保険者を指導するとともに関係方面に、この旨の周知をはかられたい。
 記
1 施術同意書について
 (1)療養費支給申請書に添付するはり、きゅう及びマッサージの施術に係る医師の同意書については、病名、症状(主訴を含む。)及び発病年月日の明記された診断書であって療養費払の施術の対象の適否の判断が出来るものに限り、これを当該同意書に代えて差し支えないものとすること。
 ただし、脱臼又は骨折に施術するマッサージについては、なお従前のとおり医師の同意により取り扱うものとすること。
 (2)同意書又は診断書は、療養費支給申請のつどこれに添付することを原則とするものであるが、次に掲げる場合は、第2回目以降その添付を省略して差し支えないものとすること。
  ア はり及びきゅうの場合
    同意書又は診断書に加療期間の記載のあるときは、その期間内。なお、療養費は初療の日から3ヵ月を限度として支給するものであるから、3ヵ月をこえる期間が記載されていてもそのこえる期間は、療養費の支給はできないものであること。
  イ マッサージの場合
     (略)
2 類症疾患について
 はり及びきゅうに係る施術の療養費の支給対象となる疾病は、慢性病であって、医師による適当な治療手段がないものであり、主として神経痛、リウマチなどであって類症疾患については、これら疾病と同一範ちゅうと認められるものに限り支給の対象とすること。
 なお、類症疾患とは、頚腕症候群、五十肩、腰痛症及び頚椎捻挫後遺症等の病名であって、慢性的な疼痛を主症とする疾患をいう。
3 往療について
 はり及びきゅうに係る施術において治療上真に必要があると認められる場合に行う往療について認めて差し支えないこと。
 この場合において、往療料の算定にあたっては、柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準(昭和41年9月28日保発第27号通知)の往療料の項に準ずるものとすること。ただし、同項の注3については、適用しないものとすること。


○はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給について
(平4.5.22 保発57)
(最終改正 平22.5.24 保発0524 4)
 はり、きゅう、及びあん摩・マッサージ・指圧に係る療養費の算定については、今般、従前の施術料金等を下記のとおり改め、本年6月1日以降の施術分から適用することとしたいので、関係者に対して周知徹底を図るとともに、その取扱いに遺憾ないよう御配慮願いたい。 
 記
1 はり、きゅう
 (1)初検料
  @ 1術(はり又はきゅうのいずれか一方)の場合
     1,405円
  A 2術(はり、きゅうの併用)の場合
     1,455円
 (2)施術料
  @ 1術(はり又はきゅうのいずれか一方)の場合
     1,195円
  A 2術(はり、きゅうの併用)の場合
     1,495円
     注 はり又はきゅうと併せて、施術効果を促進するため、それぞれ、はり又はきゅうの業務の範囲内において人の健康に危害を及ぼすおそれのない電気針、電気温灸又は電気光線器具を使用した場合は、電療料として1回につき30円を加算する。
 (3)往療料 1,860円
    注1 往療距離が片道2キロメートルを超えた場合には、片道8キロメートルまでについては、2キロメートル又はその単数を増すごとに、所定金額に800円を加算し、片道8キロメートルから片道16キロメートルまでについては、一律2,400円を加算する。
    注2 片道16キロメートルを超える場合の往療料は往療を必要とする絶対的な理由がある場合以外は認められないこと。
2 あん摩・マッサージ(略)


○はり・きゅうの施術について
(昭61.4.21 保険発 37)
はり・きゅうの施術に係る医師の同意書について、これが施術の円滑な実施を図るため今般別紙のとおり様式を定めたので、その趣旨を踏まえその取扱いについては遺憾のないよう関係者に周知されたい。
 なお、初療の日から3月を経過した時点において、更に施術を受ける場合に必要な医師の同意書については、実際に医師から同意を得ていおれば、必ずしも医師の同意書の添付は要しないものとする。この場合、療養費支給申請書には、同意した医師の住所、氏名、同意年月日、病名、要加療期間の指示がある場合はその期間が付記されているものとし、また、当該施術者は、患者に代わり医師の同意を確認したときは、当該医師の氏名、住所、同意年月日、病名、要加療期間の支持がある場合はその期間を記録しておくものとする。


○はり・きゅう及びあんま・マッサージの施術に係る診断書につい
(平5.10.29 医事 93,保険発 116)
 標記については、昭和42年9月18日保発第32号、平成元年9月4日保険発第85号及び平成4年5月22日保険発第75号通知により実施しているところであるが、施術の円滑な実施を図るため、下記の点について御了知のうえ、関係者への周知徹底及び指導に遺憾のないよう配慮されるとともに、今後とも療養費支給の適正化に御尽力賜りたい。
 記
 はり・きゅう及びあんま・マッサージの施術に係る診断書の交付を患者から医師が求められた場合には、適切な対処がなされるよう配慮されたいこと。


○はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について
(平16.10.1 保医発1001002)
(平17.3.30 保医発0330001)
(平20.5.26 保医発0526002)
 はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の取扱いの適正を図るため、留意事項等に関する既通知を整理し、別添のとおりとしたので貴管下の関係者に周知徹底を図るとともに、その取扱いに遺漏のないよう御配慮願いたい。
 なお、下記の通知は、平成16年10月1日をもって廃止する。
 記
あんま、マッサージに係る療養費の支給について
(昭和33年9月30日保険発126号)
あん摩マッサージ指圧師に係る療養費の支給について
(昭和40年4月8日保険発37号)
はり、きゅう及びマッサージの施術に係る療養費の取扱いについて
(昭和46年4月1日保険発28号)
はり、きゅう及びあんま・マッサージに係る療養費の支給について
(昭和47年2月28日保険発22号)
あんま・マッサージの施術について
(昭和63年6月6日保険発59号)
はり、きゅう及びあんま・マッサージの施術に係る医師の同意書の取扱いについて
(平成元年9月4日保険発85号)
はり、きゅうの施術に係る医師の診断書について
(平成4年5月22日保険発75号)
はり、きゅう及びあんま・マッサージに係る療養費の支給の取扱いについて
(平成8年5月24日保険発84号)
はり、きゅう及びあんま・マッサージの施術に係る療養費の取扱いについて
(平成9年12月1日保険発150号)

別添1
はり、きゅうの施術に係る療養費の取扱いに関する留意事項等

第1章 通則
 1 はり、きゅうの施術に係る療養費(以下「療養費」という。)の対象となる施術は、「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律」(昭和22年12月20日法律第217号)に反するものであってはならないこと。
 2 療養費の適正な支給を確保するためには、施術を行う者の協力が不可欠であることから、療養費の対象となる施術を行う機会のある施術者に対しては、本留意事項の周知を図り、連携して円滑な運用に努めること。
 3 請求のあった療養費は、適正な支給を確保しつつ速やかに支給決定するよう努めること。

第2章 療養費の支給対象
 1 「はり・きゅう及びマッサージの施術に係る療養費の取扱いについて」(昭和42年9ガツ18日保発第32号)により、療養費の支給対象となる疾患は、慢性病であって医師にひょる適当な治療手段のないものとされており、主として神経痛・リウマチなどであって類症疾以外による患については、これら疾病と同一範ちゅうと認められる疾患(頚腕症候群・五十肩・腰痛症及び頚椎捻挫後遺症等の慢性的な疼痛を主症とする疾患)に限り支給の対象とされていること。
 2 神経痛、リウマチ、頚腕症候群、五十肩、腰痛症、頚椎捻挫後遺症について、保険医より同意書の交付を受けて施術を受けた場合は、医師による適当な治療手段のないものとし療養費の支給対象として差し支えないこと。
 3 神経痛、リウマチ、頚腕症候群、五十肩、腰痛症、頚椎捻挫後遺症以外の疾病のよる同意書又は慢性的な疼痛を主症とする6疾患以外の類症疾患について診断書が提出された場合は、記載内容等から医師による適当な治療手段のないものであるか支給要件を個別に判断し、支給の適否を決定する必要があること。
 4 支給の対象となる疾病は慢性病であるが、これら疾病については、慢性期にいたらないものであっても差し支えないものであること。

第3章 医師の同意書、診断書の取扱い
 1 「はり・きゅう及びマッサージの施術に係る療養費の取扱いについて」(昭和42年9月18日保発第32号)により、病名・症状(主訴を含む)及び発病年月日の明記され、保険者において療養費の施術対象の適否の判断が出来る診断書は、同意書に代えて差し支えないとされていること。
 2 同意書に代える診断書は、療養費払の施術の対象の適否に関する直接的な記述がなくても保険者において当該適否の判断が出来る診断書であれば足りること。
 3 「はり・きゅう及びマッサージの施術にかかる療養費の取扱いについて」(昭和42年9月18日保発第32号)により、同意書又は診断書は、療養費支給申請の都度これを添付することを原則としているが、第4章1の療養費の支給が可能とされる期間内における2回目以降の請求にあっては、その添付を省略して差し支えないとされていること。
 4 初療の日から3月を経過した時点(初療の日が月の15日以前の場合は当該月の翌々月の末日とし、初療の日が月の16日以降の場合は当該月の3ヵ月後の月の末日とする。)において、更に施術を受ける場合は、実際に医師から同意を得ておれば、必ずしも医師の同意書の添付は要しないこととするが、この場合、支給申請書には、同意をした医師の住所、氏名、同意年月日、病名、要加療期間の指示がある場合はその期間を付記する取扱いとすること。
 また、施術者が患者に代わり医師の同意を確認した場合は、同意をした医師の住所、氏名、同意年月日、病名、要加療期間の指示がある場合はその期間について施術録等に記録し、療養費支給申請書の同意記録欄は、施術者が記入する取扱いとすること。
 以降引き続き施術が行われた場合も同様の取扱いとして差し支えないこと。
 5 医師の同意書及び診断書の基準様式をそれぞれ別紙1及び別紙2のとおりとしたので参考にされたいこと。なお、医師の記名押印は、当該医師の署名でも差し支えないこと。
 6 同意書は、医師の医学的所見、症状経緯等から判断して発行されるものであり、同意書発行の趣旨を勘案し判断を行うこと。なお、保険者が同意医師に対して行う照会等は、必要に応じて行われるべきものであること。
 7 同意を求める医師は、原則として当該疾病にかかる主治の医師とすること。ただし、同意を求めることができないやむを得ない理由がある場合は、この限りでないこと。
 8 はり、きゅうの施術に係る診断書の交付を患者から医師が求められた場合は、円滑に交付されるようご指導願いたいこと。

第4章 初検料
 1 初検料は、初回の場合にのみ支給出来ること。
 2 患者の疾病が治癒した後、同一月内に新たな同意に基づき新たな疾患に対して施術を行った場合の初検料は支給出来ること。
 3 現に施術継続中に他の疾病につき初回施術を行った場合は、それらの疾病に係る初検料は併せて1回とし、新たな初検料は支給出来ないこと。
 4 再発の場合は初検料が支給できること。なお、再発として取扱う基準は、一律に設けることは出来ないことから、同意書等により適宜判断すること。
 5 施術継続中に保険種別に変更があった場合の初検料は、支給出来ないこと。

第5章 施術料
 1 「はり・きゅう及びマッサージの施術に係る療養費の取扱いについて」(昭和42年9月18日保発第32号)により、同意書又は診断書に加療期間の記載のあるときは、その期間内は療養費を支給して差し支えないこと。
 ただし、初療の日から3ヶ月(初療の日が月の15日以前の場合は当該月の翌々月末日とし、初療の日が月の16日以降の場合は当該月の3ヶ月後の月の末日とする。)を超える期間が記載されていても、その超える期間は療養費の支給はできないこととしており、引き続き支給を行おうとする場合は、改めて医師の同意を必要とすること。
 加療期間の記載のない同意書、診断書に基づき支給を行おうとする場合にあっても、一の同意書、診断書により支給可能な期間は、初療又は医師による再同意日が、月の15日以前の場合は当該月の翌々月の末日とし、月の16日以降の場合は当該月の3ヶ月後の月の末日とすること。
 2 療養費は、同一疾病にかかる療養の給付(診察・検査及び療養費同意書交付を除く。)との併用は認められないこと。
 なお、診療報酬明細書において併用が疑われても、実際に治療を受けていない場合もあることに留意すること。
 3 「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給について」(平成14年5月24日保発第0524003号)により療養費の施術期間及び回数の限度は設けず、個別のケースに応じて、必要性を十分考慮して対応すべきであるので、療養費の支給決定にあたって、必要に応じ申請書に施術者が作成した施術内容のわかる文書の提出を求めるなど、その適正な支給に万全を期すこととされていること。
 4 保険医療機関に入院中の患者の施術は、当該保険医療機関に往療した場合、患者が施術所に出向いてきた場合のいずれであっても療養費の支給はできないこと。
 5 施術料(初回を含む。)は、疾病の種類、疾病の数及び部位にかかわらず1日1回に限り支給するものであること。なお、同日に行われたはり術、きゅう術の施術は、それぞれ1術で支給を行うことなく2術として支給が行われるものであること。

第6章 往療料
 1 往療料は、歩行困難等、真に安静を必要とするやむを得ない理由等により通所して治療を受けることが困難な場合に、患家の求めに応じて患家に赴き施術を行った場合に支給できること。
 2 往療料は、治療上真に必要があると認められる場合に支給できるものであり、これによらず、定期的若しくは計画的に患家に赴いて施術を行った場合には、支給できないこと。
 3 「はり・きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養煮の支給について」(平成4年5月22日保発第57号)により、2戸以上の患家に対して引き続き往療を行った場合の往療順位第2位以降の患家に対する往療距離の計算は、第7章2に掲げる施術所の所在地又は届け出た住所地を起点とせず、それぞれ先順位の患家の所在地を起点とするものとされているところであるが、先順位の患家から次順位の患家への距離が第7章2に掲げる施術所の所在地又は届け出た住所地から次順位の患家への距離に比べ遠距離になる場合には、第7章2に掲げる施術所の所在地又は届け出た住所地からの距離による往療料を支給すること。
 4 往療の距離は、第7章2に掲げる施術所の所在地又は届け出た住所地と患家の直線距離を原則として支給すること。ただし、直線距離による支給が実態に比べ著しく不合理と考えられる場合は、合理的な方法により算出した距離によって差し支えないこと。
 5 片道16qを超える往療については、第7章2に掲げる施術所の所在地又は届け出た住所地からの往療を必要とする絶対的な理由がある場合に認められるものであるが、かかる理由がなく、患家の希望により16Kmを超える往療をした場合、往療料の支給は認められないこと。この場合の往療料は、16kmを超えた部分のみではなく全額が認められないこと。
 なお、片道16kmを超える往療とは、2戸以上の患家に対して引き続き往療を行った場合の往療順位第2位以下の患家に対する往療距離の計算ではなく、第7章2に掲げる施術所の所在地又は届け出た住所地と患家の直線距離であること。
 6 同一家屋内(介護老人福祉施設等の施設を含む。)で複数の患者が施術をうけた場合の往療料は別々に支給できないこと。
 7 往療料を支給する療養費支給申請書には、施術者に施術内容と併せて「摘要」欄等に往療日及び往療を必要とした理由の記入を受ける取扱いとすること。
 8 往療に要した交通費については、患家が負担すること。
 往療時に要したバス、タクシー、鉄道、船等の交通費は、その実費とすること。自転車、スクーター等の場合は、土地の慣例、当事者間の合意によるべきであるが、通例は交通費に該当しないこと。

第7章 施術録
 療養費の円滑な運用をするためには、施術者の行った施術の内容について確認する必要が生じる場合が考えられるが、社団法人日本鍼灸師会、社団法人全日本鍼灸マッサージ師会、社団法人日本あん摩マッサージ指圧師会、社会福祉法人日本盲人会連合の会員である施術者には、当該法人より別紙3の施術録を整備すること、保険者等から施術録の提示及び閲覧等を求められた場合は速やかに応じること、施術録を施術完結の日から5年間保管すること、が周知指導されているので参考にされたい。
 施術録の記載事項(例)
 (1)受給資格の確認
  ア 保険等の種類
   @健康保険(協・組・日) A船員保険 B国民健康保険(退) C共済組合
   D後期高齢者医療 Eその他
  イ 被保険者証等
   @記号・番号 A氏名 B住所・電話番号 C資格取得年月日 D有効期限
   E保険者・事業所名称及び所在地 F保険者番号等
  ウ 公費負担
   @公費負担番号 A公費負担の受給者番号
  エ 施術を受ける者
   @氏名 A性別 B生年月日 C続柄 D住所
   ◎月初めに適宜、保険証を確認するなど、必要な措置を講ずること。
 (2)同意した医師の住所、氏名と同意年月日及び再同意した医師の住所、氏名と再同意年月日
 (3)同意疾病名
 (4)初療年月日、施術終了年月日
 (5)転帰欄には、治癒、中止、転医の別を記載すること。
 (6)施術回数
 (7)施術の内容、経過等
   施術月日、施術の内容、経過等を具体的に順序よく記載すること。
 (8)施術明細
   @往療料 km、その他
   Aはり、きゅう、電気鍼又は電灸器及び電気光線器具
   B上記について施術後その都度、必要事項及び金額を記入すること。
   C施術所見を記入すること。

第8章 支給事務手続き
 1 療養費支給申請書の基準様式をそれぞれ別紙4のとおりとしたので参考にされたいこと。
 なお、必要に応じ保険者において必要な欄を追加することは差し支えないこと。
 2 療養費支給申請書の施術証明欄の施術者住所は、保健所等に開設の届けを行っている施術所の所在地とすること。なお、専ら出張のみによってその業務に従事することとして保健所等へ届けを行っている施術者にあっては、届け出た住所地とすること。
 3 療養費支給申請書は、原則として暦月を単位として作成すること。
 4 はり師、きゅう師の継続施術中に保険種別等の変更があった場合で、被保険者又は、変更後の保険者から同意書の写しの請求を受けた変更前保険者は、速やかに同意書の写しを交付すること。
 5 同意期間中に対診を行った場合であっても、対診が診察又は検査のみであって、対診時の病名で施術を再開した場合は、当初の同意期間内であれば改めて同意は不要として差し支えないこと。
 また、施術の転帰が中止であれば、同意期間中の施術の再開は差支えがないこと。

別添2
マッサージの施術に係る療養費の取扱いに関する留意事項等(略)