4  和解勧告から、手のひらを返した棄却

   2011年11月29日、「棄却」の裁定書が送達されました。10月半ばという当初の予定にもかかわらず、理由を告げることなく、遅れること1か月半でした。低周波音の裁定事件は、はじめから「棄却」と決まっていたようです。一円の損害賠償も認めることはなく、審査官の言うように「責任裁定は全くだめ」でした。「棄却の裁定書」は、工場側を「特に問題はない」として、それどころか「賞賛」しているかのような記述が目立つ一方、当方は「クレーマー」という位置付けでした。
 しかも、相手方が準備書面に載せた当方を中傷する嘘を論理のすりかえの為に巧みに盛り込み、「工場側には非はなく、おかしな隣の住人が根拠のない言いがかりを付けている」と匂わせて「棄却」という結論に結び付けていきました。そのようなことを載せながら、当方が相手方から受けた暴言等の非は載せず、その被害者をおとしめ、顔に泥を塗るような書き方には、良識のかけらも感じられませんでした。「せっかく、和解勧告を出してあげたのに、それを蹴るとは不届きな申請人だ」として、ことさら屈辱的な内容となったとでもいうのでしょうか。

 企業の味方であり、中立ではないにもかかわらず「権威」を振りかざすという公調委の実態を、棄却されて初めて知ることになりました。


 この無益な調停案をもし当方が受諾していたならば、棄却ではなく調停成立となり、「低周波音問題の解決事例」として格好の宣伝材料になっていたでしょう。しかし、当方はそれを拒否しました。
 公調委は、国策の「経済優先」が根底にあるため、低周波音被害は決して認めることなく、むしろ排除したいと考えているのでしょうか。近年、低周波音と名の付く「裁定事件」が救済されることなく続々と棄却されているという現実がそれを物語っています。

 公調委の低周波音事件に関する本当の扱いは「政府インターネットテレビ」には登場しないようです。
そして、被害の救済を求めて、今も申請する人は、後を絶たないように思います。

                   <裁判所に提訴>

 「公調委に全てを決められてはならない」。行政機関内の「裁判を真似たもの」が機能しないのなら「司法」に「本当の裁判」に判断を仰ぎたい。
 当方は弁護士を解任し、低周波音問題に理解のある弁護士を新たに代理人に立て、司法による「本当の裁判」に挑戦する決心をしました。しかし、理不尽な裁定書にダメージを受けていたのも事実であり、提訴を決意するまでにはかなり揺れ動きましたが、新たに依頼した弁護士に励まされました。
                   
 2011年12月28日、裁判所も「御用納め」という日に地裁に提訴しました。公調委で棄却後1か月以内と決められている裁判所への提訴ですが、何とその期限の最終日のことでした。このように、年末の切羽詰まった日が提訴日となってしまったのも、公調委が裁定書の送達を、理由も告げずに1か月半も大幅に遅らせたことに原因がありました。棄却後1か月以内に提訴の準備をするのは本当に大変であり、しかも年末です。「もしや、裁判所に提訴するのを妨害したのでは?」と今でも疑いを抱いています。

 公調委では、工場経営者、地主、不動産業者の三者を相手取っていましたが、裁判では、工場経営者一人を被告としました。 
 
2009年3月 工場操業
   11月 公調委申請
   12月 自治体測定
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      ・
2011年2月  和解勧告
2011年7月  調停案拒否 
  10月中旬 裁定書送達予定
  11月29日 棄却の裁定書到着
  12月28日 提訴 

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