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1 ある日突然、隣の倉庫が工場となった恐怖

   2009年3月30日の朝のことでした。隣地の至近距離(当方宅西側より1.4m)の「倉庫」から、突然大きな機械の稼働音が響き渡り、「何事が起きたのか!?」と驚き、また恐怖を感じました。ほどなく倉庫が「あるヒット商品」を製造する工場となったのを知り、譬えようのないショックを受けました。気持ちが混乱する中、とりあえず市役所に通報をしました。その朝からが、今までに経験したことのない「苦悩」の始まりでした。

 工場開設にあたり、事業者から近隣住民に対する事前の説明や挨拶は一切なく、関係各機関への届け出もなされず、当方が把握出来ただけでも、騒音条例違反、建築基準法違反、原材料の届け出違反等がありました。しかし、やったもの勝ちとでも言うのでしょうか、行政からは予想に反して「全て後付で」すんなりと認可されてしまいました。そして、一時休業のあと、操業が再開して、以来、低周波音は平穏に生活していた当家に容赦なく侵入し、当方一家は健康被害に苦しむことになりました。

 この縦長の工場(約250u)には、当方を含め民家三軒が隣接していますが、加害音源の集塵機、コンプレッサーは、当方宅2階西側から2mの真横に、わざわざ寄せるかのように設置されており、当家が最も被害を被る形となりました。このような静かな住宅地に騒音(低周波音)を伴う工場を開設し、操業を行うことを決めた事業者の認識に驚きました。行政指導により、騒音基制値を僅かに下回るような簡易な防音措置は施したものの、低周波音への配慮は全くありませんでした。
 市役所環境課は騒音数値を確認した時点で、何も指導する「権限」が無くなったとし「市役所は中小企業を守る立場でもある」そして「低周波音には法規制がない」と言いました。当方は、突き放されたような気持ちになりましたが、それでも、市に断られた低周波音測定をこれからも求めていくことにしました。
 「加害音源をせめて反対側に移設して下さい」と事業者に懇願しても、事業者は「移設費用が高額なので出来ない。行政からは認可もされている。法には触れていない。」、「不動産屋と地主がここで工場が出来ると言ったので家賃を払って借り受けただけ。自分には関係はない」と当方の願いは聞いてもらえず、不動産屋と地主は事業者を信じ切り、まさか「迷惑をかける工場」を開設するとまでは思ってなかったようですが、収益のために事業者を擁護し、暴言を吐いて当方の苦情を封じ込めようとしました。地主は、18年前に農地を転じ、当家西側から1.4mの至近距離に、圧迫感のある「大きな建物」を建てましたが、その際に「倉庫なので静かです。安心して下さい」と説明し、いずれ工場として貸し出すと言う話は一切ありませんでした。他の隣接する二軒の住民とは被害感に差があったため、近隣に協力は望めず、当方は誰も当てにすることなく、「ふりかかった災難」に立ち向うしかありませんでした。

 連日、工場から発生する低周波音のために心身ともに疲弊し、イライラ感、圧迫感、抑鬱気分、頭痛、動悸、時に吐き気などの症状に悩まされ、工場の本格稼働から3か月後、ついに心療内科を受診し、「精神安定剤」を服用するようになりました。また、その頃から何故か鼻血が出易くなり、翌年3月、鼻の中の血管を焼き切る処置を受けました。耳鼻科の医師は「鼻血の原因は不明」と言いましたが、当方には「低周波音」と無関係とは思えません(*)。
 夫は仕事を持つ為、専業主婦の私よりも在宅時間は少ないのですが、季節により比較的長い休みがあったこと、また、定年退職により勤務形態が非常勤に変わったため、在宅時間が増え、それとともにイライラ感、圧迫感、頭痛、時に目眩等の症状に加え、血圧も極度に高い状態が続き、内科を受診し投薬治療を受けました。また、心療内科も受診し、精神安定剤を服用するようになりました。
 





















2009年3月 工場操業
      市に通報
      工場一時休業
    7月 工場稼働再開
   10月 心療内科受診
2010年3月 耳鼻咽喉科処置
   6月 夫 内科、心療内科受診

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