平成16年(行ク)第117号 緊急命令申立事件
(基本事件 平成15年(行ウ)610号)

                         決             定

        申立人                  中央労働委員会
        同代表者                 山 口  浩 一 郎

        申立人補助参加人           全日本港湾労働組合関西地方神戸支部
        同代表者支部執行委員長       馬 越  輝 光

        被申立人                 本四海峡バス株式会社
        同代表社代表取締役          川 真 田  常 男


                         主             文

  1.  被申立人は、被申立人を原告、申立人を被告とする当庁平成15年(行ウ)第610号不当労働行為救済命令取消請求事件の判決確定に至るまで、申立人が中労委13年(不再)第44号事件について発した命令によって維持された兵庫県地方労働委員会の平成13年11月20日付け命令(兵庫県地労委平成12年(不)第6号事件)の主文3項に従い、申立人補助参加人の組合員に対し、申立外全日本海員組合以外の労働組合を認めない旨表明するなどして、申立人補助参加人の運営に支配介入してはならない。

  2.  被申立人は、被申立人を原告、申立人を被告とする当庁平成15年(行ウ)第610号不当労働行為救済命令取消請求事件の判決確定に至るまで、申立人が中労委平成13年(不再)第44号事件について発した命令によって維持された兵庫県地方労働委員会の平成13年8月21日付け命令(兵庫県地労委平成12年(不)第15号事件)の主文1項に従い、申立人補助参加人が平成12年7月31日付けで申し入れた団体交渉事項(ただし、兵庫県地労委平成11年(不)第5号事件に係る平成12年6月20日付け命令の受入れに関する団体交渉事項を除く。)についての団体交渉に誠意をもって応じなければならない。

  3.  申立人のその余の申立てを却下する。
                         事 実 及 び 理 由
  1.  本件申立の趣旨及び理由は別紙記載のとおりである。

  2.  中労委平成13年(不再)第44号事件についてされた救済命令(以下「本件救済命令」という。)は、現時点において、その適法性に疑義を認めることはできない。

  3.  そこで緊急命令を発する必要性について検討する。
     申立の趣旨1項の3は、申立人補助参加人(以下「補助参加人」という。)の組合員に対し、申立外全日本海員組合以外の労働組合を認めない旨を表明するなどして、補助参加人の運営に支配介入してはならない旨の命令の履行を求めるものであり、申立ての趣旨2項は、補助参加人が平成12年7月31日付けで申し入れた団体交渉事項についての団体交渉に誠意をもって応じなければならない旨の命令の履行を求めるものである。
     この点、被申立人は、兵庫県地労委平成12年(不)第6号事件の命令を受け、補助参加人との間で多数回にわたり折衝を行っているし、本件救済命令を受けた後も、これを真摯に受け止め、補助参加人と交渉を行い、補助参加人の交渉権を侵害するような対応も、支配介入に該当するような行為も一切していない旨主張する。
     しかしながら、被申立人は、現在に至るまで、一貫して、補助参加人との間に労使関係を認めて団体交渉を行うことはできないとか、被申立人の従業員中に補助参加人の組合員が存在しているとは認識していないとの立場を堅持し、基本事件においてもその旨主張するのであって、上記の交渉、折衝が団体交渉の実質を有すると認めることはできず、申立ての趣旨1項の3及び2項に係る本件救済命令の内容は、未だ履行されていないというべきである。
     そして、補助参加人は、団結権の侵害という重大な不利益を受けているところ、被申立人の上記姿勢に照らすと、現段階で被申立人に本件救済命令を自発的に履行する意思がないことは明らかであるから、申立ての趣旨1項の3及び2項については緊急命令の必要性があるというべきである。

  4.  これに対し、申立ての趣旨1項の2は、平成12年6月5日付け補助参加人組合員古川雅昇(以下「古川」という。)に対する転勤命令の取消し命令の履行を求めるものであるが、一件記録上、既に古川は元の勤務地である徳島営業所に復帰していると認められる。

  5.  以上によれば、申立ての趣旨1項の2については実質的に履行済みというべきであるから、この点に関しては、そもそも救済命令の履行を求める必要性はない。
     よって、主文のとおり決定する。


     平成17年6月30日
          東京地方裁判所民事第19部


                          裁判長裁判官              中 西  茂

                               裁判官              森 富  義 明

                               裁判官              本 多  幸 嗣
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