その日、わたしは旅行に出ていた。
出先で愛するなまずちゃんたちのことが気にかかり、母にメール。
「魚ちゃんヨロシク」
しばらくの後、母から返信。
「魚ちゃんの水槽のブクブクがつかないよ。つぶれたのかな。」
中水槽の外掛け式のフィルターがつかないという。
夏、暑い。循環しない水の中で煮魚になっていく魚ちゃんたちの姿が目にちらつく。
入れたばかりの日淡魚はよく動き回り、多量の酸素を消費するだろう。
私「一番右のスイッチだよ」
母「だけど何回つけたりけしたりしてもブクブクしないよ」
私「前にもいっかいあったから、ほっといたらなおるかも。」
母「つかない。魚ちゃんたち、しんじゃうかも」
出先の私を母がおどす。
とにかく酸素。
私「でか水槽の下に、段ボールがあります。その中に、酸素の出る石という箱があり、その中にの円柱形の石が入ってるので5個くらい入れておいてください。」
酸素の出る石投入。
以前に採取した魚を持って帰るときに使おうと思って買っておいたのだ。こんなときに役立つとは。
母「早く帰ってこないと煮魚になっちゃうよ〜」
母になまず水槽の中の投げ込み式フィルターを、中水槽に移して!というのは難しいお願いである。
ますます暑いお湯の中で浮かび上がる魚ちゃんたちの姿が目にちらつく。
私「部屋のクーラーをつけて部屋全体を冷やして!」
母「もったいない!……でも仕方ないか」
かくして魚ちゃんたちはせまりくる炎熱地獄から逃れたのでした。
旅行後、家に帰り真っ先に中水槽のフィルターチェック。
スイッチをパチパチ。やはりつかない。
接触か?ぐいっとひねると……
……ブイーン。
コードの角度が悪かったようだ。
何はともあれ、母の協力に感謝。
次に旅に出る時には投げ込み式フィルターを用意していくことにしよう。
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