本文へジャンプ放送大学大学院絵本への取り組み日記
コラム


絵本・童話の記録(更新2007年11月3日)

◆橋本香折(小森香折)
題   名   出版社名   ストーリー展開型
感   想
五月の力 BL
出版
生活成長・事件遭遇型
(2000年)

素晴らしい!の一言。主人公の女の子、五月の悩みや成長が描かれる生活型でありながら、微妙なファンタジー設定になっている。しかも、周りの麦や担任の由良じぃ、カメそして不登校の教師やら受験、大人と子どもの立場の違い、更には「浦島太郎伝説」までも。それら、すべてが違和感なく一つのストーリーに納められている。
作者の並々ならぬ力量と天分を感じさせるものだ。宮部みゆきをある種越えているとまで言えそうだ。
 何より、主人公の心理と成長を事細かく丁寧に描写しているのに舌を巻かされる。

A
さくらひかる BL
出版
事件解決型
(2006年)
相変わらず、上手いの一言。小森香折の世界は、主人公一人の危機ではなくて、その周りの世界の危機において、嫌々ながら立ち向かっていく主人公というのが王道になっている。それは、決して全世界とか大きなものにまではいかないけれど、ある種、萩尾望都的な世界の破滅に立ち向かうヒロインだね。しかも、やたら仰々しく誰かを殺したりの残虐さがない。岡田淳の世界が、どこか作者とは距離感がある「説話」的な語り口なのに対して、もっと深く主人公の細かな癖とか、生活ぶり、特に感性が伝わってくるように思う。
A
ブラック・ウィングス、集合せよ 解放出版社 生活事件
解決型
(1999年)
引っ越し、三人組との出会い、魔女と渾名されるクレーマー、烏の森神社の秘密と神主じいさん、嫌な奴真田などとの出会い、そして魔女宅への忍び込みと、クグツ虫の登場。四神伝説と三本足のカラス。ここまではあまり関連がない。むしろ、バラバラなのも逆に利用して話を続ける感じである。いつもの冴え無し。それはクグツ虫との関わりをエピソードでなく、人物たちの回想や言葉の説明で終わらせているからではないか。いつもの対決するカタルシスが無いんだな。ちょとしたことなのにね。
おそなえは
チョコレート
BL
出版
事件解決型
(2003年)
水の扉 ひくまの出版 事件解決型
(1998年)



その他の童話
題   名   作者名 出版社名   ストーリー展開型
感   想
にじとそらのつくりかた かとう
じゅんこ
理論社 事件解決型 惜しい!鏡の世界を通って、女の子が鬼たちの酒盛り現場にくる出だしなんだけれど、安っぽい昔話にはなってない。描き出された異世界は(子どもが撫でた鬼の頬から出た透けた青い布が、空に広がって青空になるなんて至極まっとうなファンタジーなんだが、オチが単に女の子(中編なのに、なんと終わりまで名無し。感情移入しにくいじゃん!)が戻るだけで終わってる。もうひと事件、世界の根幹や人間世界的スケールがあれば、おお化けするのにね。もったいないこと。