次はちょっと硬い話で恐縮です。興味がある方は、ご覧下さい。
〔日本食文化のユネスコ(国連教育科学文化機関)無形文化遺産登録申請について〕
① 食文化とは 料理が口に入るまでのすべての工程を含む
(料理、食器、しつらい、装い、ふるまい、おもてなしの心、 等)
② 期待される効果
・国が食を文化として認める ・日本国内の食文化の再生
・海外へ正しい日本食文化の発信 ・海外からの観光客増加 他
③ 申請から登録の可否決定までのスケジュール
2011年7月~11月 日本食文化ユネスコ申請検討委員会(4回)
登録申請への国民的支持(アンケート等)
2012年1月~2月 文化審議会等での審議(3回)
3月 ユネスコに申請書を提出
2012月9月 『和食』 日本の最優先案件に決定
2013年11月 ※補助機関による事前評価結果の公表
(政府間委員会委員国のうち6カ国の有識者(文化人類学者等)から
なる評価機関)
スペイン・チェコスロバキア・ペルー・ナイジェリア・モロッコ・日本
2013年12月 ※政府間委員会で登録の可否が決定
(政府間委員会とは 締約国(2013年2月現在148ヶ国)のうち24カ国
からなる委員会)
④ 国民意向調査 2011年9月15~20日、3,134名(20歳以上男女)農林水産省
(1)日本食文化は世界に誇れるもの Yes 99.2%
(2)日本食文化は日本人の生活に欠かせないもの Yes 98.2%
(3)日本食文化を保護し、次世代に伝えることは重要 Yes 98.4%
(4)日本食文化の無形文化遺産登録を支持する Yes 91.8%
⑤ 申請に必要な事項
・登録内容 ・保護措置 ・社会の賛同
注)商業主義(コマーシャリズム)は一切禁止
⑥ 世界における食分野の無形文化遺産
・フランスの美食術(平成22年登録) ・地中海料理(平成22年登録)
・メキシコの伝統料理(平成22年登録) ・トルコのケシケキの伝統(平成23年登録)
⑦ 登録内容
和食:日本人の伝統的な食文化 WASHOKU: Traditional Dietary
Cultures of the Japanese.
1)多様で新鮮な食材と、その持ち味の尊重
・明確な四季と地理的多様性により、新鮮で多様な山海の幸を使用
・食材の持ち味を引き出し、引き立たせる工夫
2)栄養バランスに優れた健康的な食生活
・米、味噌汁、魚や野菜、山菜といったおかずなどにより食事がバランスよく構成
・動物性油脂を多用せず、長寿や肥満防止に寄与
3)自然の美しさや季節の移ろいの表現
・料理に葉や花などをあしらい、美しく盛り付ける表現法が発達
・季節にあった食器の使用や部屋のしつらえ
4)年中行事との密接な関わり
・正月を始めとして、年中行事と密接に関わった食事の時間を共にすることで、家族や地域の絆を強化
さらに3つの特色、和食
1)米飯を主食とする一汁三菜(主菜、副菜、味噌汁、お新香)
2)口中調味 三角食べ 主食(ごはん)と菜と汁
3)食器を手に持ち、唇につけて直接食べる
金属(韓国) 木質(日本) 「吸う」「すする」行為
「和食:日本人の伝統的な食文化」と題し、「自然の尊重」という日本人の料理を体現した
食に関する「社会的習慣」として提案
|
⑧ 保護措置
<地域及び地方公共団体の取組>
◆子ども達に『和食』を伝えるため、学校給食や地域の行事で郷土料理を提供
(例:霧島食育研究会、一関もち食推進会議、鶴岡市食育・地産地消推進協議会、鯖江市)
◆家族や学校、生産者、民間団体の協力のもと、あらゆる世代・立場の人への食育を実施
(例:庄内浜文化伝道師教会、小牛田地域精進料理の会、小浜市、富士宮市)
◆地域の『和食』の伝統に関する知識や技術の保持者を匠として登録する制度
(例:JA秋田やまもと、北海道、岩手県、香川県、大野市)
◆各地のシンポジウムやセミナーにおいて、様々な食文化を展示
(例:滋賀の食事文化研究会、愛媛県農山漁村生活研究協議会、山菜文化研究会)
<その他の取組>
◆地域の『和食』を正しく記録するため、またその機能や意義を知るために様々な調査や研究を実施
(例:日本家政学会、日本食育学会、沖縄県栄養士会、日本伝統食品研究会)
◆和食の文化の継承を支援する料理の専門家や研究者を行うための高等教育機関を設立 (京都府)
<国のサポート>
◆食育推進基本計画に沿って、生涯食育の普及、
団体などが行う食文化の継承のための活動を支援
◆地域固有の農林水産物・食品の保全に資する地理的表示の保護制度の導入
◆新たな展示会の開催・2015年ミラノ国際博覧会への公式参加
◆モニタリングの取組を支援
|